開幕戦のオーストラリアGPでフェラーリとフェッテルは見事な優勝を飾った。
現行のパワーユニット・レギュレーションになってから3年を経過して、やっと、メルセデスと互角に渡り合えるチームが出現したのだ。
2位と3位には相変わらず強いメルセデスのハミルトンとボッタスが入ったが、今年はメルセデス・レースではなくF1レースを見ることができそうだ。
フェラーリとメルセデスの拮抗した戦いはすでに予選から始まっていた。
ハミルトンは一発の速さを見せてポールポジションを獲ったが、フェッテルはハミルトンから僅か0.268秒差のタイムを出して、2番手に着けた。
予選3番手にはフェッテルに僅差で負けたボッタスが着け、ライコネンはハミルトンから0.915秒離された4番手だった。
予選5番手はレッドブルのフェルスタッペン、そして、6番手には、好調な2017フェラーリPUに後押しされたハースのグロージャンが入った。
メルセデスはPU、レッドブルはギヤボックスの信頼性を確保するために開幕戦を前に予定していたものよりも重いパーツに変更したのがタイムに影響している可能性が高い。
理由はともかく、少なくともフェラーリが天候やアクシデントに頼らなくてもメルセデスと互角に渡り合えるだけのマシンを仕上げてきてくれたおかげで、2017年シーズンが俄然面白くなったことは確かだ。
決勝レースは、ハミルトンがポールポジションからクリーンでミスのないスタートを決めた。
フェッテルはスタートでハミルトンを出し抜くことはできなかったが、常にハミルトンの背後につけ、ハミルトンから離されることはなかった。
フェラーリよりはタイヤに負担をかけるメルセデスに乗るハミルトンは、フェッテルより先にタイヤ交換をせざるを得なかった。
タイヤ交換を終えてコース上に戻ったハミルトンは、まだピットインしていないフェルスタッペンの背後につかざるを得ず、ラップタイムが若干遅くなってしまった。
この数周の間に好タイムを連発したフェッテルがタイヤ交換のためにピットインし、フェルスタッペンとハミルトンの前でコースに戻ることができた。
その後も、フェッテルのフェラーリは好ペースを維持し、ハミルトンはフェッテルから約10秒後方でゴールするしかなかった。
4位にはライコネン、5位にはフェルスタッペンが入った。トップと同一周回でゴールしたのは6位のマッサまでだった。
2017年シーズンはトップ3チーム・6台がマシンの特性とコースの組み合わせによって順位を入れ替える展開になると予想される。
タイヤもグリップの安定したものが用意されているから、タイヤによる不確定要素は少なくなる。
ただし、タイヤ交換回数は減るから、今回のレースのようにたった1度のタイヤ交換のタイミングでレースが決まってしまうことも多くなるだろう。
2016年シーズン終了時点から開発のトークン制が廃止されたおかげで、パワーユニットを自由に再設計して新シーズンに備えることが可能になった。
メルセデスは依然として先行しているが、フェラーリも遜色のないところまでPUを仕上げてきた。
ルノーもこれまでの3年間とは違い、メルセデスとの差を縮めることに成功したように見受けられる(信頼性に疑問は残るが)。
残念ながらホンダPUはいまだに低迷している。
今のところ、マクラーレンホンダの下にいるのは2016年型フェラーリPUを積むザウバーだけだ。
開発は自由に行えるのでパフォーマンスで追いつくことは可能だが、年間4基しか使えないので頻繁に新型に交換するとグリッド・ダウン・ペナルティを食らう。上位チームはアップデートを3回以内にとどめようとするだろう。
次はチャイナGPだ、上海は、ストリートコースのような特性のメルボルンとは違い、論理的に設計された専用コースなのでマシンの優劣がはっきりと出るだろう。
シーズン初戦を落としたメルセデスの巻き返しが見ものだ。
チャイナGPは1位ハミルトン、2位フェッテル、3位ボッタス、4位ライコネン、5位リチャルド、6位フェルスタッペン、7位マッサ、8位ヒュルケンベルグ、9位サインツ、10位ペレスかな。
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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉
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