- YUKICHI OTSUKA 大塚雄吉
F1 ウォッチャー
- 幼少期にF1に魅せられ、50年以上にわたって、日本製のF1が出ていなくても、日本人F1ドライバーがいなくても50年以上にわたってF1を見続けてきた、F1 ウォッチャー。
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Formula One 2020(6)2020.08.14
フェルスタッペンが、70周年記念グランプリを完璧なレース運びで走り切って優勝した。
フェルスタッペンは、4番グリッドからスタートしたが、すぐさま3番手にあがり、ボッタスとハミルトンの背後でいつでも前に出られる状態を保ちながら走っていた。
先行するメルセデス勢は、両車ともミディアムタイヤを履いていたが、6週目あたりからタイヤが厳しくなり始めた。
上位陣の中で、唯一ハードタイヤでスタートしたフェルスタッペンは、タイヤをうまくマネジメントして走っていたので、なんの問題もなかった。
フェルスタッペンは、2番手ハミルトンの1秒後を走行していた11周目、ピットからは、ハミルトンに近づきすぎてタイヤの温度を上げないようにとの無線が飛んだ。
これに対して、フェルスタッペンは、「今が、メルセデスに追いつく唯一のチャンスだ」「おばあちゃんみたいに座っているわけにはいかないよ。」と無線を返し、メルセデスとの距離をさらに詰めてタイヤの厳しいメルセデス勢にプレッシャーをかけて追い込んだ。
ボッタスが14周目に、ハミルトンが16周目に、たまらずピットインして、ハードタイヤに交換する。
フェルスタッペンは、ハードタイヤ・スタートなので、そのまま走行を続け、トップの座を手に入れた。
25周目になっても、フェルスタッペンはタイヤ交換をせずに、ハードタイヤで快調にラップを重ねる。
フレッシュなハードタイヤに交換してフェルスタッペンを追撃するはずのメルセデス勢は、23周目からハードタイヤにブリスターが発生し、ずるずる後退していた。
この時点で、2番手のボッタスはフェルスタッペンに17秒以上の差をつけられていた。
フェルスタッペンは、27周目に、ピットインしてミディアムタイヤに履き替える。
ピットを出たときに僅かにボッタスの先行を許すが、ブリスターの出たハードタイヤを抱えるボッタスは、フレッシュなミディアムタイヤを履くフェルスタッペンの敵ではなく、僅か数コーナーで抜かれてしまった。
その後、33周目に、ボッタスとフェルスタッペンが同時に、ピットインしてハードタイヤに交換して、ハミルトンが一時トップに立つが、42周目にはピットインしてハードに交換したため、フェルスタッペンは、トップに返り咲き、ボッタスの8秒前で解消にh知り続ける。
44週目まで、ブリスターの出たハードタイヤで引っ張ったハミルトンは、残り8周をフレッシュなハードタイヤを利用して、ボッタスから2位を奪い、ファーステストラップを記録してレースを終えた。勝ち目のないフェラーリを駆ってワンストップで走り切ったルクレールが望外の4位を手に入れた。
70周年記念グランプリで、レッドブル・ホンダはチーム力のすごさを見せつけてくれた。
ハンガリーGP後には、各チーム、メルセデスとの圧倒的なパフォーマンスの差に呆然としていた。
しかし、レッドブル・ホンダは、何とかメルセデスを倒す方法を探っていたのだ。
ホンダは、早々と2機目のPUを投入した。昨年とっていた、プラクティスと予選・決勝で、古いPUと新しいPUを使い分けて、決勝で、パフォーマンスの高いPUを使えるようにする戦略だ。
レッドブルのシャシーは、レースを経るごとに風に対する嫌な敏感さがなくなるように改良されているのは明らかだ。
タイヤにも優しい。メルセデスの快進撃を見て、レッドブル流ハイ・レーキ空力コンセプトの時代は終わったと言っていたのは誰だ?
ハイ・ダウンフォースのメルセデスは、路面温度は高いと相変わらずタイヤに厳しいことが露呈した。
チームは予選タイムより決勝レースを重視して、タイヤに優しいセッティングをする決断をした。
そして、フェルスタッペンは、ハードタイヤで予選Q2を突破し、決勝をハードタイヤでスタートできるようにして、チームが立てた作戦を実行可能にした。
しかも、決勝レース重視のセッティングでもスターティング・グリッド2列目を確保した。
フェルスタッペンは、決勝の走りも、ペースを保つところと勝負どころで攻めるタイミングをわきまえた見事なものだった。
次は、スペインGPだ。
カタルーニャ・サーキットは、シーズン前テストが行われる場所なので、各チーム、多くのデータを持っている。
しかし、シーズン前テストは2月なのに対して今は8月だ。
もともと温暖な地域であるところに来て、今年は新型コロナ・ウイルスのせいで、本来ならF1の夏休み期間中に開催されるので、晴れればシルバーストーン同様、路面温度は相当高くなるだろう。
スペインGPは、70周年記念グランプリより1段硬めのブリティッシュGPと同じタイヤで争われることになるのは、メルセデスにとっては、小さな幸いだ。
このところ、ノリスばかり目立っているマクラーレンのサインツは、ホームGPでいい結果を出してもらいたい。
スペインGPは、1位フェルスタッペン、2位ハミルトン、3位アルボン、4位ボッタス、5位ガスリー、6位リチャルド、7位フェッテル、8位ルクレール、9位サインツ、10位ペレスかな。
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Formula One 2020(5)2020.08.07
ハミルトンがブリッティシュGP通算7勝目を挙げた。
ハミルトンは、決勝レースを通じて首位を独走していたが、ファイナル・ラップにタイヤがバーストし、左フロント・タイヤを引きずりながら辛くもゴールラインを横切った。
2番手を走っていたボッタスは、ゴールまであと2周というところでタイヤがバーストし、長い道のりをピットまで戻ってきた。
メルセデスチームには緊張が走り、ピットからハミルトンにできる限りタイヤをいたわってゴールまでたどり着くようにとの指令が飛んだ。
しかし、ハミルトンのタイヤはゴールまでもたず、ファイナルラップの途中でバーストしてしまった。
単独の3番手を走り続けていたフェルスタッペンは、ボッタスのタイヤがバーストしたのを見て取って、ソフトタイヤでファーステストラップを獲りに行った。
ハミルトンのタイヤもバーストしたことで、後から考えるとフェルスタッペンはタイヤ交換せずに走り続けていれば優勝できたかもしれない。
しかし自車のタイヤもバーストしていれば1ポイントも取れなかったかもしれない。
フェルスタッペンから30秒以上離されて4番手を走行していたルクレールは運良く3番手に浮上し、オーストリアGP以来の表彰台に立つことができた。
ボッタスは、何とかコースに戻ったが11位でレースを終えた。
シルバーストーンでもメルセデスは決勝のゴール2周前までは圧倒的に週末を支配していた。
唯一メルセデスに対抗できそうなのはレッドブルであったが、そのレッドブルでさえ、フェルスタッペンの予選タイムはハミルトンよりも1秒以上遅かった。
レッドブルはシルバーストーンに空力アップデートを持ち込んでいたが、メルセデスに迫るには不十分だった。
決勝レースでのメルセデスとレッドブルのタイム差は予選ほどではないが、それでも0.5秒以上はありそうだ。
決勝のラップ・タイム差が0.2秒以下にならないと真っ向勝負は挑めない。
それでも、今回のブリティッシュGPでは、勝利を得るためには多くの要素が絡んでいて、どれか一つ欠けても勝利には結びつかないというF1の面白さを象徴するようなレースだった。
1986年のF1最終戦、オーストラリアGP、当時、最高出力1500馬力と言われた無敵のホンダ・ターボを積むウイリアムスに乗るナイジェルマンセルは、予選から決勝まで圧倒的な速さを見せていて、最終戦の優勝は誰の目にも明らかだった。
ところが、そのマンセルがレース終盤にタイヤバーストに見舞われてリタイヤしてしまい、最終戦の勝利もその年のチャンピオンシップも逃してしまった。
その時、優勝してチャンピオンの座もさらっていったのがアラン・プロストだった。
プロストは、圧倒的に速いマンセルを無理に追わず、タイヤをいたわりながら、淡々と後を追っていた。ゴール直後にマシンを止め、マシンから降りるなりタイヤを見つめていたプロストが印象的だった。
シルバーストーンでルノーのピットにいたプロストは、今年のブリティシュGPの結末をどう見ていたのだろう。
今週末のF1は、先週末と同じシルバーストーンで、70周年記念グランプリとして開催される。
先週と違う要素は、タイヤがよりソフト目に設定されるということだ。
先週より路面温度が高くなり、タイヤ・コンパウンドがソフトになれば、タイヤ・トラブルが増えることも考えられるが、逆に、1セットのタイヤでこなせる周回数は短くなるから、ハードタイヤで多くの周回数をこなす必要がなくなり、ピットイン回数は増えるがタイヤ・トラブルは減るかもしれない。
どちらかといううと、タイヤを持たせる技術よりも、ソフトタイヤで速く走れるドライバーのほうが有利かもしれない。
英国特有の雨が絡めばまたストーリーは変わってくる。
ブリティッシュGPは、1位ハミルトン、2位フェルスタッペン、3位ボッタス、4位アルボン、5位ペレス、6位フェッテル、7位ガスリー、8位ルクレール、9位リチャルド、10位サインツかな。
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Formula One 2020(4)2020.07.30
ハンガリーGPは、予選・決勝を通じて、ハミルトンの圧勝で幕を閉じた。
決勝レース終盤でには、ファーステストラップを獲るために、ピットインしてソフトタイヤに交換をすることが可能になるほど、2位以下を引き離していた。
フェルスタッペンは、プラクティス、予選を通じて絶不調だったが、決勝では望外の2位に滑り込んだ。
ボッタスは、決勝のスタートでつまずいたことが響いて、3位に終わった。
予選が始まってみると、今年のメルセデス一強の度合いがより鮮明になった。
メルセデス勢の次に速かったのは、メルセデスPU+トランスミッションを積むレーシング・ポイント勢だった。
レーシングポイントの2020マシンは空力などでも非常にメルセデスに近く、ピンク・メルセデスと揶揄されている。
予選のトップ4は、ハミルトン、ボッタス、ストロール、ペレスのメルセデス勢が独占した。
グリッド3列目は、フェラーリの2台が占め、レッドブルは、フェルスタッペンが予選7番手、アルボンは13番手という有様だった。
決勝レースは、直前まで激しい雨に見舞われたため、コースはセミ・ウエット状態であった。決勝レースは、マグネッセンがレインタイヤを履いた以外、全員インターミディエイトを履いてスタートした。
スタート前にハプニングが起こった。ただでさえ、不調のレッドブルが、スターティンググリッドにつくためのレコノサンス・ラップでフェルスタッペンがタイヤバリアにクラッシュして左サスペンションを壊していまった。
何とかホームストレートに惑ってきたフェルスタッペンはピットに向かおうとするが、チームはそのままグリッドにつけろと指示し、フォーメーションラップ開始までの20分間にグリッド上でサスペンションの修復を完了させてしまった。
まさに神業だった。
これが、2020年ハンガリーGP最大のハイライトだ。
決勝レースは、ほとんどスタートで決まった。
上位勢の中では、ボッタスとペレスがスタートで出遅れた。
25分ほど前までは、スタートさえ危ぶまれたフェルスタッペンだが、1コーナーのイン側が込み合っているのを見て取って、アウト側からフェラーリ2台を抜き去り、あっという間に7番手から3番手まで浮上した。
スタート後に雨が降らなかったので、路面が急速に乾き始め、6周目までには全車ドライタイヤに履き替えた。
アルボンは13番手から追い上げて、5位でフィニッシュした。ハースのマグネッセンも検討し16グリッドから9番手(レース後のペナルティで公式結果は10位)まで順位を上げた。
2020年シーズン開幕三連戦の結果からみると、メルセデスの圧倒的優位は揺るがない。
昨シーズン前半は、燃料流量チェックの隙間を狙ったフェラーリのPUが速かったが、問題点が指摘されるとシーズン後半は速さが衰え、変わってシーズン終盤にレッドブルホンダがメルセデスの対抗馬となった。
今年は、メルセデスとレッドブルホンダががっぷり四つに組んだ戦いが期待されていたが、メルセデスは、PUとシャシーの両面できっちりとグレードアップを果たした。
PUは昨年のフェラーリの流量コントロールんヒントを得たらしい。
シャシー面でもDASを投入してコーナリング性能を上げてきた。
対抗するレッドブルは、空力性能を上げるためのチャレンジをしたが、路面や風によって影響を受けやすく、安定した性能を発揮できないでいる。
かつて、ニューウィがレイントンハウス時代に開発したマシンも路面がフラットでスムースな状態では高性能を発揮したが、路面が荒れていてアンジュレーションのあるコースでは振るわなかったことがある。
空力的に攻めすぎて、マシンの挙動が敏感になってしまったのかもしれない。
ホンダPUは、昨年達成した信頼性の上に、高地以外でのコースでも安定したパフォマンスを発揮できるようにしたようだが、メルセデスはさらに先を行っていた。
ブリティッシュGPは、伝統の高速コースシルバーストーンで開催される。
ここでは、PUの実力が決めてとなるので、メルセデス勢の優位は変わらない。
開幕からの4週間でレッドブルがどのような改良をしてくるか注目される。
F1チームの多くは英国に拠点を置いているので、ホームグランプリとなるチームが多い。
中でも、今年絶好調のマクラーレンは上位を狙っているだろう。
ハミルトン、ノリスとラッセルは、3人とも実力のある英国人ドライバーだ。
ホームカースではいつも以上に力を発揮するだろう。アルボンはタイ人だが英国育ちだ。
ブリティッシュGPは、1位ハミルトン、2位フェルスタッペン、3位ボッタス、4位アルボン、5位ペレス、6位ルクレール、7位ノリス、8位フェッテル、9位リチャルド、10位ストロールかな。
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Formula One 2020(3)2020.07.17
ハミルトンは、予選・決勝を通じて、2位以下を全く寄せ付けずシュタイアーマルクGPを制した。
ハミルトンは、練習走行P2中に、あたかも、不調を装っていたかのように、予選が開始されるや否や、突然速くなり、決勝でも圧倒的な速さを見せつけた。
予選当日は、朝から雨が降り続き、午前中のP3がキャンセルされた。
午後の雨次第では、予選中止となることも考えられた。
幸い、レーシング走行ができなくなるほどコース状態は悪化せず、全車レインタイヤを履いての予選となった。
予選が始まると、Q1からトップに立ったのは、P2ではセットアップに苦しんでいたはずのハミルトンだった。
P2でベストタイムを出したフェルスタッペンも独自に見つけた雨用のレーシング・ラインをとって応戦するが、ハミルトンを上回ることはできなかった。
結局、ハミルトンは、2番手のフェルスタッペンを1.26秒も離すトップタイムをQ3終了間際にたたき出して、ポールポジションについた。
予選3番手には大健闘のサインツが入り、今シーズンのマクラーレンの仕上がりの良さを証明した。
ルノーのオコンも予選5番手だったから今回のルノー勢は調子がいい。
それに比べて、フェラーリはフェッテルが予選10番手、ルクレールが予選11番手と振るわない。
ほかのフェラーリPUユーザーも下位に沈んだ。
決勝レースは快晴、予選がレインタイヤで行われたため、各車自由にタイヤを選んでスタートすることができる。
予選上位勢のスタート・タイヤは、フェッテルとリチャルドがミディアムを選んだのを除けば各車ソフトだった。
決勝レースのスタート、上位陣は波乱のないスタートを切ったが、中段のフェッテルにルクレールが追突し、フェラーリ・チームの2台は1周目でレースを失った。
昨年のオーストリアGPでは予選と決勝の終盤までは、独走していたフェラーリだったのに・・・。
4周目にはセフティカーが引っ込み、レースが再開されるが、予選グリッド降格ペナルティを受けたノリスと、予選ではなぜかQ1で敗退したペレスが後方からどんどん順位を上げていった。
20周目、上位陣は、ハミルトン、フェルスタッペン、ボッタスが8秒以内で出周回を重ねており、4番手のアルボン以下は、すでにワン・ピット・ストップ以上トップのハミルトンから離されていた。その後、フェルスタッペンが早めのタイヤ交換で仕掛けるが、速すぎるハミルトンの前になすすべはなかった。逆に、遅めのタイヤ交換をしたボッタスに66周目に攻略されてしまった。
結局、ハミルトン、ボッタス、フェルスッタペンが表彰台に上った。
2020年はメルセデス、レッドブル、フェラーリの三強の三つ巴になるかと予想されていたが、蓋を開けてみればメルセデス一強時代に逆戻りしたように見える。
対抗すべき、レッドブル・ホンダは、レッドブルの空力とサスペンションが安定していない。
シャシー・空力面では、セットアップが決まれば、空力・シャシーが先進的なレッドブルにアドバンテージがある。
ホンダPUは予選モードとERSの効率でメルセデスPUに差をつけられている。
今年は、信頼性向上を除いてはPUの開発ができないから、今から基本性能で上回るのは難しい。
PU面では、コースごとにベスト・セットアップをするしか対抗手段がない。
2020年シーズン開幕三連戦の第3戦ハンガリーGPは中小コーナーの連続でコース上で抜くことが困難とされるハンガロリンクで開催される。
ここでは、予選順位が極めて重要となるので、メルセデスの優位は変わらない。
ハンガリーGPは、1位ハミルトン、2位フェルスタッペン、3位ボッタス、4位アルボン、5位サインツ、6位ノリス、7位フェッテル、8位リチャルド、9位ガスリー、10位ペレスかな。
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Formula One 2020(2)2020.07.10
ボッタスが、2020年開幕戦オーストリアGPに見事な優勝を飾った。
昨年はPUのオーバーヒート対策の為に抑制を強いられた。
今年は、予選でポールポジションを獲り決勝レースでも結果的に完勝した。
ボッタスは、もともと、レッドブルリンクを得意としているから、今回の優勝はうれしかっただろう。
何よりもシーズン開幕戦で予選・決勝ともハミルトンを寄せつけずに優勝したことは、大きな自信につながっただろう。
オーストリアGPの予選での3強チームは、メルセデスが最も速く、レッドブルはメルセデスには届かないが2番手、フェラーリが予想以上に遅いというものだった。
中段チームの中では、シーズン前テストから速かったレーシングポイントとマクラーレンが抜きん出ていて、このコースではフェラーリやルノーよりも速かった。
メルセデスのボッタスは、レッドブルのフェルスタッペンに0.5秒以上速い予選タイムを記録した。
全長の短いレッドブルリンクで、このタイム差は大きい。メルセデスは開発しつくされたように見えるPUから更なる予選パフォーマンスを引き出すことに成功したようだ。
PUでメルセデスに並んだと思っていたホンダはまた弾き返された。
だが、盤石なように見えていたメルセデスも、実はギヤボックスに不安を抱えていた。
レッドブルは、フロントの空力が強化された過ぎたために、リヤとの空力バランスが悪くなり、中低速コーナーでのオーバーステアに悩まされていた。
フェラーリは、空力設計に失敗したことと、PUの燃料流量チェックが厳しくなったことによる二重苦で中盤に沈んでいる。フェラーリPUのパワーダウンのせいで、フェラーリPUユーザーのハースとアルファロメオも予選下位に沈んでしまった。
決勝レースは、ポールのボッタスが順調にトップを走り、2番グリッドのフェルスタッペンが追うというかたちででスタートし、3番手アルボンと4番手ハミルトン画続くという展開で、好レースが期待された。
しかし11周目にフェルスタッペンが突如スローダウンして、リタイヤしてしまう。
電気系統のトラブルによるラウンチ・コントロールの誤作動が疑われている。
その後、ボッタス、ハミルトン、アルボン、ノリスのオーダーでレースは進んでいたが、41周目になって、メルセデスの2台にセンサー・トラブルが発生した。
51周目と56周目に、セフティカーが入り、スロー走行が多かったためトラブルを抱えるメルセデスは救われた。
61周目に再スタートした後、セフティカー中にソフトタイヤに履き替えていたアルボンがハミルトンを抜いた瞬間に幅寄せされてスピンを喫し、レースを失う。
これによって、5秒ペナルティを受けたハミルトンをルクレールとノリスが上回ることになり、コツコツ走っていたルクレールと終始大健闘のノリスがボッタスとともに表彰台に上がった。
第2戦シュタイアーマルクGPは第1戦と同じレッドブルリンクで開催される。
1週間で大幅な修正とアップグレードを投入するのは困難だろうから、各車、初戦の問題を抱えて持てるチーム力でマシンをチューニングするしかない。
第1戦と大きく違いそうなのは、天候で、日曜日は雨と予報されている。
さて、第2戦は、だれに勝利の女神がほほ笑むか?
シュタイアーマルクGPは、1位フェルスタッペン、2位ボッタス、3位アルボン、4位ハミルトン、5位フェッテルル、6位ノリス、7位ガスリー、8位クビアト、9位サインツ、10位リチャルドかな。
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