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YUKICHI OTSUKA 大塚雄吉
F1 ウォッチャー
幼少期にF1に魅せられ、50年以上にわたって、日本製のF1が出ていなくても、日本人F1ドライバーがいなくても50年以上にわたってF1を見続けてきた、F1 ウォッチャー。

Formula One 2019(12)2019.08.02

ドイツGPは、フェルスタッペンの優勝で幕を閉じた。
フェッテルは、予選途中に発生したターボチャージャーのトラブルにより最後尾スタートとなったが、荒れたレースの中、見事な追い上げを見せて、2位でフィニッシュした。
クビヤトは、レース後半のタイヤ交換を早めに行ったことが功を奏し、3位に入った。

それにしても、ドイツGPの週末は天候の変化とレイン・タイヤの性能に翻弄された。
金曜日のフリー走行は、午前も午後も晴れていて気温と路面温度が高かった。
金曜日時点の天気予報によると日曜日は雨であったため、高い路面温度でのドライ・タイヤ走行のデータは決勝が雨ならばほとんど役に立たない。
土曜日の予選中に雨は降らなかった。
予選Q3はソフトタイヤでの決戦となったが、ポールポジションはハミルトンがとり、フェルスタッペンが0.346秒差の2番手、ボッタス、ガスリーと僅差で続いた。
フリー走行では好調だったフェラーリ勢は、フェッテルがQ2デターボ・トラブル、ルクレールはQ3に燃料系?トラブルが発生したため、フェッテルは最後尾、ルクレールは10番グリッドからスタートすることになった。

決勝の日曜日は予報どおりの雨となった。
4周のフォメーション・ラップのあと、各車、レインタイヤを履いてのスタンディング・スタート。
レッドブルの2台は、2台ともスタートで出遅れ、せっかくの好グリッドをふいにしまう。
それでも、フェルスタッペンは2周目には3番手まで挽回した。
フェッテルも、最後尾スタートながら14番手まで上がってきた。
3周目に、ペレスが単独クラッシュしたために、セフティカーが出動し、この間に、ほとんどの車がピットインしてインターミディエイトに交換した。
その後25周目時点では、ハミルトン、ボッタス、フェルスタッペン、ルクレールの順でコース上を走っている。
フェッテルは11番手まで浮上してきた。

ここまでの25周で、各車ともウエット用の2種類のタイヤに悩まされていた。
レインは、ゴムが柔らかすぎて走りにくく、インターミディエイトは、路面状況にもよるが15周程度しかもたない。
そこで、若干路面が乾き始めたと見た多くの車が26周目から27周目にかけて、ドライ・タイヤに変更した。
ところが、コースはドライで走れるコンディションではなく、雨を得意とするフェルスタッペンが単独スピンした。
それでも、これを360度スピンにして、クラッシュを回避したのはさすがだ。
28周目にノリスのリタイヤ車がコースわきにあることからVSCが出されその間に多くのマシンが僅か数周でドライからインターミディエイトにスイッチ・バックする。
31周目に、トップに立ったフェルスタッペンは、ルクレール、ハミルトン、ボッタスがコースアウトして自滅する中、トップを走り続け、ファーステストタイムも記録して、ゴールラインを駆け抜けた。

今回のレースで、改めて思い知らされたのは、フェルスタッペンとフェッテルは目まぐるしく変わる路面コンディションに対しては最強の二人であることだ。
そして、レッドブルチームの躊躇しない判断力と、ミスをしないプロフェッショナルなピット・ワークにも拍手を送りたい。

次は、第12戦ハンガリーGPだ。
ハンガロリンクはタイト・コーナーが連続していて、コース上で抜くことは容易ではない。
今年のメルセデスはタイトコーナーで速いから、このコースに向いている。
一方、メルセデスはPUの冷却不足問題も抱えているので、予選でフロントローを独占しそのままトップを走ってフレッシュエアを浴び続け、逃げ切るという作戦を立ててくるだろう。
焦点は、レッドブルが低速コーナーでメルセデスに対抗できる速さを発揮できるかだ。
フェラーリも版画路リンク用の空力パッケージを投入するといわれている。上位3チーム三つ巴の戦いが期待される。

ハンガリロリンクには、クビサとフェルスタッペンの応援団が多数押し寄せるだろう。
ハンガリーGPは、1位フェルスタッペン、2位ガスリー、3位ボッタス、4位フェッテル、5位リチャルド、6位ルクレール、7位ハミルトン、8位ライコネン、9位サインツ、10位アルボンかな。

2019 ©Yukichi Otsuka, All Rights Reserved

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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉

Formula One 2019(11)2019.07.26

ブリティッシュGPは、ハミルトンが6度目の優勝を飾った。
ボッタスが2位でゴールしたので、メルセデスは今シーズン7回目のワンツー・フィニッシュを決めたことになる。
3位にはルクレールが入った。
結果だけを見るとハミルトンがいつものように地元GPで快勝したように見えるが、決して、メルセデスの圧勝と言えるレースではなかった。

今シーズン第10戦にして、ようやく、トップ3チームの実力が接近してきたのは、予選の段階から明らかにだった。
昨年までなら、パワー・サーキットであるシルバーストーンでは、メルセデスが予選から他を圧倒していた。
特に、ハミルトンは、ホームコースのシルバーストーンでは、予選から決勝まで常に最速だった。
ところが、今年、ポールポジションを獲ったのはチームメイトのボッタスであり、ハミルトンは予選2番手に甘んじた。
それよりも驚いたのは、ポールポジションのボッタスから予選4番手のフェルスタッペンまでのタイム差が僅か0.183秒しかなかったことだ。
予選結果から見ても、メルセデス・ハミルトンの独走とはなりそうにないのは明らかだった。

決勝のスタートで、ハミルトンはボッタスの前に出ようとしたが、ボッタスは譲らずトップの座をキープすることに成功した。
ボッタスのあとには、ハミルトン、ルクレール、フェルスタッペンが続いた。
ハミルトンはしばらくボッタスとトップを争ったあと、ボッタスに近づき過ぎるとPUとタイヤのクーリングに問題が生じるから少し下がって、PUトタイヤに無理をかけないようにしていた。
この動きが勝敗に影響をもたらすことになる。

スタート時点で、メルセデス勢とレッドブル勢はミディアムタイヤを履いていたが、ソフト・タイヤでスタートしたルクレールが13周目にピットインしてミディアム・タイヤに交換したのを見て、ボッタスは16周目にピットインしてミディアム・タイヤに交換した。
(レース中に必ず2種類のタイヤを使用しなければいけないから、ボッタスはレース中にもう一度ピットインをして、ミディアム以外のタイヤに交換する必要がある)
ここで、ハミルトンはピットインせず、ミディアム・タイヤで走り続けた。
ところが、ボッタスのタイヤ交換ら僅か4周後、ジョビナッツィが単独スピンしたのを受けてセフティカーが出動した。
ハミルトンは、この間にピットインして、新品ハード・タイヤとトップの座を手に入れてしまった。
そこからは、ハミルトンがゴールに向かってクルージングするだけだった。
ボッタスが16周目にタイヤ交換をせずに、あと4周走っていれば、ボッタスが勝っていたかもしれない。

レースの結果はともかく、今回のブリティッシュGPはシルバーストーンの各所で接近戦が見られて面白いレースだった。
中でも、ボッタスとハミルトンの序盤のトップ争いとルクレールとフェルスタッペンの3番手争いは見ごたえがあった。
前回のオーストリアGPからレース・スチュワートがコース上のバトルに寛容になったことによって、ドライバーたちが積極的にコース上でポジション争いをするようになった。
ルクレールは、今回、許容範囲ぎりぎりのところでフェルスタッペンを合法的ににブロックして、オーストリアの借りを返した。レース後、ルクレールは、フェルスタッペンとのバトルはとても楽しかったと話している。なんと、健全なモーターレーシングだろう。

次は、F1GP全21戦の折り返し点、第11戦ドイツGPだ。
ホッケンハイムは、かつて、直線主体の高速コースだったが、近代F1的コースに改修されてからは高速セクションとテクニカル・セクションからなるバランスの取れたコースになった。
パッシング・ポイントのコース幅が広いことも特徴の一つだ。

シーズン後半を迎えて、トップチーム間の開発競争がますますヒートアップしている。
メルセデスは、ホームGPに大幅な空力アップデートを持ち込んで、直線でのスピード不足とPUの冷却問題を改善しようとしている。
フェラーリは、直線では速いがコーナーでは遅いことと、ソフト・タイヤの劣化が早いという問題を解決しなければならない。
レッドブル・ホンダは、予選の速さが足りないところをPUチューニングによって克服する必要がある。 
後半のグランプリは、チーム間の開発競争の結果としてレースの方程式が変わり、思わぬ結果を演出してくれることを期待する。

フェッテルとヒュルケンベルグにとってはホーム・グランプリとなる。
ドイツGPは1位フェルスタッペン、2位ガスリー、3位フェッテル、4位ハミルトン、5位ボッタス、6位ルクレール、7位ヒュルケンベルグ、8位リチャルド、9位ノリス、10位ライコネンかな。

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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉

Formula One 2019(10)2019.07.12

オーストリアGPは、フェルスタッペンが劇的な優勝を飾った。
メルセデスの連勝を止めたのはレッドブルとフェルスタッペンだった。
2位には、ゴール2周前までトップを走り続けたルクレールが入った。
我慢のレースを強いられたボッタスは、トップから19秒遅れの3位でゴールした。

今年のオーストリアGPは、F1が現行のターボ・ハイブリッド規定になってからのベストレースだったのは間違いない。
フェラーリのルクレールの速さはフリープラクティスから際立っていて、予選でも難なくポールポジションを獲った。
メルセデス勢は、以外にもフランスGPのような圧倒的な速さがなかったが、ハミルトンが一発の速さを見せて、予選2番手のタイムを出した。
フェルスタッペンはFP2の走行中に後ろからの風の影響でスピンし、マシンが壊れたため、予選までに充分な走り込みができなかったが、予選3番手のタイムをたたき出した。
ボッタスは、4番手タイムだった。
ただし、ルクレールの決勝タイヤはソフト、フェルスタッペンとメルセデス勢はミディアムとなっていた。

決勝レースのグリッドには、ハミルトンがペナルティで3グリッド降格となったため、ルクレール、フェルスタッペン、ボッタス、マグネッセンの順にならんだ。
決勝レースは、ポールのルクレールがうまくスタートを決めて先行したが、フェルスタッペンは、クラッチをアグレッシブに繋ごうとしたのか、アンチストールが作動してしまい、大きく出遅れて8番手まで後退してしまった。
フェルスタッペンのレースはこれで終わったかと誰もが思った。
しかし、フェルスタッペンが主役のドラマはここから始まった。
すぐさま追い上げを開始したフェルスタッペンは、5周目までにはガスリーを抜いて7番手、8周目にはノリスを抜いて6番手、9周目にはライコネンを抜いて5番手まで浮上した。
ソフト・タイヤでスタートしたフェッテルとルクレールはそれぞれ21周目と22周目にハード・タイヤに交換する。

ミディアム・タイヤでスタートしたフェルスタッペンは31周目まで引っ張った結果、35周目には4番手まで浮上する。
フェルスタッペンは、追撃の手を緩めず50周目にはフェッテルを下し、56周目にはついにボッタスを抜き去って2番手に浮上する。
この時点で、ルクレールとフェルスタッペンの差は約5秒あった。
フェルスタッペンは、1周につき0.5秒づつ追い上げないと、トップを走るルクレールを捕えることができない。
しかし、ルクレールもペースを上げたため、1周当たり0.2秒しか差が縮まらなくなった。
59周目、レッドブルのピットからフェルスタッペンに対して、エンジンのモード11、ポジション5に変更して、フル・パフォーマンスでゴールまで走れとの無線が入る。
ここからの、フェルスタッペンは1周0.5秒以上のペースでルクレールとの差を詰め、67周目には、背後まで迫った。
フェルスタッペンは、69周目にルクレールを仕留め、そのまま2.7秒差をつけてゴールラインを横切った。

では、フェルスタッペンは、スタート直後に8番手に落ちながら、開幕以来の8連勝のメルセデスをなぜ破ることができたのか?

第1に、フェルスタッペンは予選の一発の速さに加えて、決勝でも常に速いラップを刻むことができる上に、鋭いパッシングという武器を持っている。
しかし、フェルスタッペンの持つだれよりも強いスキルは、レースに勝つことを決してあきらめないことだ。

第2に、メルセデスは、コースによっては、オーバーヒートするぎりぎりのところまで追い込んでマシンを作っていること。メルセデスは、トップを快走していない限り、バーレーン、オーストリア、ハンガリー、メキシコ、ブラジルなどのコースではオーバーヒートに陥りやすく、フル・パフォーマンスで走ることができない。

第3に、レッドブルの空力が改善されたこと。レッドブルは、フランスGPから僅か1週間で新しいフロントウイングとノーズを用意してきた。
(1台分しか間に合わなかったが)これが、レッドブルリンクのターン1〜ターン4の圧倒的な速さを実現し、フェルスタッペンのパッシングを容易にした。
そして、第4に、ホンダのエンジニア達がフェルスタッペンと同じ気持ちを持って、レースを戦っていたこと。
フェルスタッペンがルクレールに追いつき追い越すために、どうしても必要だったPUの出力アップを、レース終盤にパフォーマンス・モードを解禁して勝ちに行ったことだ。

この4つの要素うちどれが欠けても、メルセデスとフェラーリを実力で下した、今回の、フェルスタッペンの大逆転勝利はなかった。

次は、第10戦ブリティッシュGPだ。
F1が最もF1らしく高速で自由に走り回れるシルバーストーンでのレースは今年限りになる公算が高い。
ここでは、メルセデス・ハミルトンが絶対本命だが、マクラーレンでレッドブル陣営に迫るタイムを出せるノリスとウイリアムスで頑張っているラッセルにとってもホーム・レースだ。
今年のブリティシュGPは、直線の速いフェラーリと空力がはまり出したレッドブルがどこまでメルセデスに迫れるかが見ものだ。

ブリティッシュGPは1位ハミルトン、2位ルクレール、3位フェッテル、4位フェルスタッペン、5位ボッタス、6位ガスリー、7位ノリス、8位リチャルド、9位グロージャン、10位ライコネンかな。 

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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉

Formula One 2019(9)2019.06.28

フランスGPは、ハミルトンが圧勝した。
ハミルトンはこれで8戦6勝だ。
ボッタスは、ハミルトンから18秒遅れながら、2位に入った。
3レースぶりにメルセデスのワンツー・フィニッシュを許し、メルセデスは開幕以来8連勝となった。
このままいけば、ハミルトンを止めることができるのはボッタスしかいないことになってしまう。
3位には、ルクレールが入った。
ルクレールは、このコースでは性能的にメルセデスの敵ではないフェラーリのタイヤを巧くマネージして、ボッタスから1秒以内でゴールし、成長の跡を見せた。
フェルスタッペンは、予選の速さと才能あふれるドライビングでフェラーリ2台の間に割って入って4位を獲得した。
5位には、予選から調子が上がらず、決勝でも挽回できなかったフェッテルが入った。
終盤、フェルスタッペンには追いつけないと悟ったフェッテルは、ソフトタイヤに履き替えてファーステスト・ラップを記録した。
しかし、フェッテルが新しいソフトタイヤで出したファーステスト・ラップは、ハミルトンが使い古したハードタイヤでファイナルラップに出したタイムより僅か0.024秒速いだけだった。
6位には、予選から絶好調のマクラーレンを駆るサインツがつけた。
マクラーレンは去年の不振が嘘のような大活躍で、同じPUを積むワークス・ルノーを上回るパフォーマンスを見せている。
6位までがトップと同一周回でゴールした。
7位には久々にレース巧者ぶりを見せたライコネンが入った。
8位にはヒュルケンベルグ、9位には、ノリスが続いた。
11番手でゴールしたガスリーは、7番手でゴールしたリチャルドが5秒加算ペナルティを課されテ11位になったおかげで10位を拾った。

第8戦目を終えて、メルセデスとそれ以外のチームのパフォーマンスの差は開くばかりだ。
開幕前はフェラーリがメルセデスより速くなったといわれていた。
しかし、メルセデスは開幕戦までに弱点を修正し、開幕以来勝ち続けている。
フェラーリ以下のチームは何とかメルセデスをとらえようと懸命な努力を続けているが、カナダGP以外では、歯が立たなかった。
フェラーリは、フランスに持ち込んだ空力アップデートのほとんどが機能しなかった。
ホンダの用意したスペック3PUはメルセデスのスッペク2PUに追いつくどころかルノーのスペック3に追いつかれてしまった。
シーズン中のレギュレーション変更か、タイヤスペックの変更ぐらいしかメルセデスの独走を止める手段はないようにさえ思える状況だ。

次は、ヨーロッパ・シリーズ全7戦の第2戦オーストリアGPだ。
レッドブル・オーナーにとってのホームGPとなる。
レッドブル・リンクは高低差がり、全長は短い部類に入るコースだ。
パワーよりもシャシー力の勝負になることが多いが、今年のメルセデスは、シャシー力があり、パワーもあるのでウイングを立てることができ、むしろ、中低速コーナーが得意だ。
ホームだからどうなるということでもないだろうが、レッドブルのシャシーアップ・デートがハマルことを願うばかりだ。

オーストリアGPは1位フェルスタッペン、2位ハミルトン、3位フェッテル、4位ルクレール、5位ボッタス、6位ガスリー、7位グロージャン、8位リチャルド、9位サインツ、10位ヒュルケンベルグかな。

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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉

Formula One 2019(8)2019.06.21

カナダGPのゴールラインを最初に横切ったのはフェッテルだった。
しかし、カナダGPの勝利者となったのは2番手でチェッカーを受けたハミルトンだった。
結果としては、シーズンの1/3を消化して、メルセデスの7戦全勝となった。

フェッテルは、ブレーキに多少の問題を抱えていたのか、終盤に差し掛かったところでハミルトンに詰め寄られ、プレッシャーを受けていた。
そして、48周目のターン4でコースをはみ出して戻った際にハミルトンを妨害したとして5秒加算ペナルティをくらった。
それでも、フェッテルは、ゴールまでの22周にわたってトップのポジションを守り抜いた。
ハミルトンは、何とか自力でフェッテルの前に出ようと65周目には0.7秒差まで追い上げたが、フェッテルに抑え切られた。

レース自体は、とても見ごたえのあるレースだっただけに、ペナルティに値するかどうかについて大議論を巻き起こすような判定によって、結果が覆されるのは考えものだ。

モナコGPに続いて、カナダGPでも、レース・スチュワートの判定によって上位の順位が入れ替わっことになる。
特に、今回はウィナーが入れ替わっのだから問題だ。
レースごとにスチュワートが変わる現行のシステムだと判定に一貫性がない。他の判定協議などを参考にして、5人程度のシーズン常任スチュワートによる即座の判断というような形態をとるべきだろう。
車両のレギュレーションなどは、極めて厳格化されているのに、肝心の競技のジャッジ方式がこれでは話にならない。

3位にはルクレールが入った。
ルクレールは、FPでは好調だったが、予選、決勝ともフェッテルに及ばなかった。
4位にはボッタスが入った。
ボッタスは、終盤、5位とのタイム差があったのでソフトに履き替えて、ファーステスト・ラップも記録した。
5位には9番グリッドから追い上げたフェルスタッペンが入った。
フェルスタッペンは、このコースではパフォーマンスの高くなかったマシンを操って、セフティカー出動のタイミングで一気にトップとの差を縮める作戦のようだった。
残念ながら、今年は、セフティカーの出動はなかった。
それでも、9番グリッドから5位まで追い上げたフェルスタッペンはさすがだ。ここまでがトップと同一周回でゴールした。

6位と7位にはルノーのリチャルドとヒュルケンベルグが入り、次戦フランスGPに向けて期待を持たせる結果となった。
5番グリッドからソフト・タイヤでのスタートのガスリーは、何とか8位でゴールした。
ストロールは地元の声援を受けて9位という結果を出した。最後の1ポイントを獲ったのはクビヤトだった。

F1サーカスはヨーロッパに戻り、次は、フランスGPだ。
シルキー・ポール・リカールは古くからあるコースだが、近年、過去の面影がないほど近代的に生まれ変わった。
エスケープ・ゾーンがコンクリート舗装なのでコーナーを攻めやすい。コーナリング速度が速くなるので今年のメルセデスには有利かもしれない。
ホンダは、早くもスペック3PUをフランスGPに投入する。

フランスGPは、ガスリーとグロージャンにとってはホームGPだ。
ルノーにとっても、今後のシーズンのジャンピング・ボードにしたい重要なレースだ。
フランスGPは1位フェッテル、2位フェルスタッペン、3位ルクレール、4位ハミルトン、5位ガスリー、6位ボッタス、7位グロージャン、8位ヒュルケンベルグ、9位サインツ、10位クビヤトかな

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