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YUKICHI OTSUKA 大塚雄吉
F1 ウォッチャー
幼少期にF1に魅せられ、50年以上にわたって、日本製のF1が出ていなくても、日本人F1ドライバーがいなくても50年以上にわたってF1を見続けてきた、F1 ウォッチャー。

Formula One 2018(12)2018.07.27

ハミルトンが、ドイツGPで14番グリッドから劇的な優勝を飾った。
ボッタスは、チーム・オーダーに従ってハミルトンを抜くのをあきらめたことで2位となった。
メルセデスは、ホーム・レースで久々のワンツー・フィニッシュを決めた。
3位には、ブリティッシュGPに続いてライコネンが入った。
レッドブルのフェルスタッペンは、雨の間にインターミディエイト・タイヤに交換したことが裏目に出て4位に終わった。

ドイツGPは予選から波乱含みだった。
メルセデスの地元だというのに、マシンはフェラーリのほうが若干速く、フェッテルがQ3最後にスーパーラップを決めてポールポジションを奪い取った。
2番手はボッタスでフェッテルから0.2秒遅れだった。いつもはフェッテルとポール争いをしているハミルトンは、Q2で、ギヤボックスにトラブルが出てマシンがストップしてしまった。
ハミルトンは、この日体調が悪いと伝えられていたが、予選14番手という結果もあってか、マシンを止めた後しばらくマシンの横でうずくまっていた。
フェッテルにチャンピオンシップ争いで7ポイント差をつけられ、何としてもフェッテルの前でゴールしなければならないのに、決勝でこの位置からフェッテルの前に出るなど不可能に思えただろう。

決勝レースは、コース幅を広くとってあるホッケンハイムのコースレイアウトのおかげか、波乱なく始まった。
フェッテルは、トップの位置を守ったまま第1コーナーを回り、トップ・グループは、ほぼスターティング・グリッドの順番通りに1周目を終えた。
ここからフェッテルは、徐々に後続を引き離していった。

そんな中、14番グリッドからスタートのハミルトンはブリティッシュGPを上回る猛烈な追い上げを見せ、25周目には、5番手まで返り咲いた。
一方、ユーズドのウルトラ・ソフトでスタートしたフェッテルはタイヤに限界がきて、26周目にピットインしてソフト・タイヤに履き替えた。
この時点で既にタイヤ交換をしていたライコネンがトップだったが、39周目にチーム・オーダーが出てライコネンはフェッテルにトップを譲る。
ハミルトンはスタート時から履いているソフト・タイヤで42周引っ張り、43周目にタイヤをウルトラ・ソフトに交換した。

45周目時点で、トップのフェッテルと5番手のハミルトンの差は約11秒あった。
このころから第3セクターで雨が降り始めたが、コースのほかの部分はドライという難しいコンディションになる。
そんな中、フェッテルが52周目にトラクションを失いかけたマシンの向きを立て直そうとしてうまくいかず、コースアウトしてリタイヤした。
コクピットの中で何度もステアリングを叩いて悔しがるフェッテル。
自分のドライビングミスだからどうしようもない。
目の前の25ポイントが吹っ飛んだ瞬間だった。
ハミルトンより前にいたボッタスとライコネンがタイヤ交換を行ったことによって、タイヤ交換せずに走行を続けたハミルトンがトップに立ち、そのままゴールに滑り込んだ。ブリティッシュGPの借りを返してもらった形だ。

次は、ハンガリーGPだ。
ハンガロリンクは全長が短く、小さなコーナーが多いので、抜きにくいサーキットだ。
PUパワー依存度は、比較的低いので、ルノーPUとホンダPUを積むマシンにもチャンスはありそうだ。
ただし、予選でいいグリッドをとっておかないと決勝で抜く機会は少ない。

ハンガリーGPは、1位リチャルド、2位フェルスタッペン、3位フェッテル、4位ボッタス、5位ライコネン、6位ハミルトン、7位サインツ、8位オコン、9位ルクレール、10位ガスリーかな。

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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉

Formula One 2018(11)2018.07.20

フェッテルは、ブリティッシュGPで完全アウェーのフェラーリに7年ぶりの勝利をもたらした。
ハミルトンは、持てる力の全てを出し切って5連勝を目指したが、2位でフィニッシュせざるを得なかった。
3位には、ハミルトン2位の一因を作ったライコネンが入った。

ブリティッシュGPは予選から白熱した戦いが繰り広げられた。
フェラーリは、これまで決勝では強くても予選ではメルセデスの後塵を拝すことが多かった。
これまで、フェラーリがポールポジションを獲るときは、フェッテルのドライビングによるところが大きかった。
ところが、今年のブリティッシュGPでは逆の現象が起きた。
基本的なパフォーマンスでフェラーリはメルセデスを上回り、フロント・ローを独占しそうな勢いだった。
ところが、ホーム・グランプリ5連勝にかけるハミルトがン渾身のQ3アタックを決め、僅か0.044秒差でポールをもぎ取ったのだ。
同じメルセデスのボッタスがハミルトンより0.325秒も遅いタイムだったから、このラップがいかにスーパーなものだったかがわかる。
予選を終えてマシンを止めたハミルトンは、しばらく動けなかった。それほど集中していて全精力を使い果たしたということだ。

ところが、決勝レースのスタートでハミルトンのブリティッシュGP5連覇の夢が遠のいてしまった。
フェッテルはフロント・ローから素晴らしいスタートを決め、予選4番手のボッタスが続く展開になってしまった、
その結果、ハミルトンとライコネンが3番と4番手になった時に、焦ったライコネンがハミルトンに追突してしまい、スピンしたハミルトンは18番手まで後退してしまう。
ここから、ハミルトンの怒涛の追撃が始まる、3周目14番手、6周目12番手、9周目8番手、15周目には5番手まで追い上げた。
しかしこの間にフェッテルは首位を独走しており、ハミルトンの26.5秒前方にいた。
しかし、この後も、ハミルトンは手綱を緩めることなく、タイヤ交換をぎりぎりまであとにずらしてフェッテルを追い続け、2.26秒差まで迫ったが、前に出ることはできなかった。
全力を出し切って、どうしても優勝したかったレースを落としたハミルトンの落胆ぶりは目を覆うばかりだった。
レース後、ハミルトンはライコネンの追突を責めていたが、そもそも、スタートでフェッテルに先を越されなければこうゆうことにはならなかったはずで、負けは負けなのだ。

シーズン前半が終了して、フェラーリとメルセデスの速さがほぼ拮抗してきた。
すでに、オーストリアGPあたりからフェラーリPUのパフォーマンスがついにメルセデスPUを上回ったのではないかと思われていたが、その傾向がブリティッシュGPになって顕著になった。
フェラーリ本体だけでなく、フェラーリPUを使用するハースとザウバーもトップ10に入れるだけの速さを見せるようになったからだ。
ところが、ルノーPUとホンダPUはなかなかフェラーリ・メルセデスとの差を埋められないでいる。
レッドブルのシャシー能力ト空力性能をもってしてもルノーPUではシルバーストーンでは勝負にならず5位に入るのがやっとだった。

次は、2年ぶりのドイツGPだ。フェッテルとヒュルケンベルグ、メルセデスにとっては
ホームGPだ。ここで、ハミルトンがフェッテルを抑えれば後半戦はますます面白くなる。
ドイツGPは、1位ハミルトン、2位フェッテル、3位ライコネン、4位ボッタス、5位リチャルド、6位フェルスタッペン、7位サインツ、8位ヒュルケンベルグ、9位ルクレール、10位ガスリーかな。

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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉

Formula One 2018(10)2018.07.06

フェルスタッペンは、オランダから応援に駆けつけた2万人のファンの前でオーストリアGP優勝を果たした。
ライコネンが1.6秒遅れの2位フェッテルがさらに1.5秒遅れの3位となったが、このレースにおいてはフェルスタッペンの敵ではなかった。
メルセデス2台とリチャルドがリタイヤしたため、トップ6のうち3台しかゴールできなかったせいか、4位以下は全て周回遅れだった。
4位と5位にはハースの2台、6位と7位にはフォースインディアの2台、8位には巧みなドライビングで大幅に順位を上げたアロンソが入った。
9位と10位には、ザウバーの2台が入った。フェラーリPUは強くなった。

オーストリアGPは予選と決勝で大きく様相が変わった。
予選だけを見ると、メルセデスはフランスGP以来の性能的アドバンテージを維持していて、決勝グリッドのフロントローを独占した。
フェッテルは、ポールポジションのボッタスから0.35秒近く離されていた。
F1の世界では1周63秒のコースで0.35秒は大きな差だ。レッドブルはさらに離され、フェルスタッペンは、トップから0.7秒遅れの5番手だった。
ところが、決勝レースは快晴、路面温度はスタート時点で48度になってしまった。
路面温度が高くなったことによって、各車のタイヤはブリスターが発生しやすくなり、車とドライバーがいかにタイヤに負担をかけないで走れるかということが重要になる。

決勝レースは事故もなくスタートしたが、ハミルトンがボッタスの前に出てトップに立ち、フェルスタッペンが3番手にまで順位を上げ、フェッテルが8番手に順位を落とす形になった。
ところが、12周目に、ヒュルケンベルグのルノーが火を噴き、14周目には、ボッタスのメルセデスがギヤボックストラブルで止まってしまった。
15周目にバーチャルセフティカー・モードになったので、上位陣は各車タイヤ交換のピットインをしたが、メルセデス・チームはハミルトンにピットインの指示を出さなかった。
このためハミルトンは26周目にピットインすることになり、4番手まで後退してしまった。
これで、フェルスタッペンがトップに立った。
その後、フェルスタッペンは、タイヤを労わりながら、フェラーリに脅かされないスピードを保って逃げ切った。

オーストリアGPでは、ピットスタートから8位まで駆け上ったアロンソと序盤のトラブルから盛り返して9位でゴールしたルクレールが光るドライビングを見せてくれた。

次は、ブリティッシュGPだ。
高速コースだが近年の改修でインフィールド側ではテクニックが要求される。
チームとしてはメルセデスが大本命だが、直前のオーストリアGPで2台とも、メカニカル・トラブルで自滅しているのが気がかりなところだ。
シルバーストーンの場合は、快晴になることは稀だ(失礼!)から、レッドブルリンクのようにタイヤに悩まされることは少ないかもしれない。
優勝の最有力候補は、唯一の英国人F1ドライバー、ハミルトンだ。

ブリティシュGPは、1位リチャルド、2位フェッテル、3位ライコネン、4位ボッタス、5位フェルスタッペン、6位ガスリー、7位ヒュルケンベルグ、8位ペレス、9位グロージャン、10位ルクレールかな。

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Formula One 2018(9)2018.06.29

フランスGPはハミルトンの完勝に終わった。フェルスタッペンはハミルトンから7秒遅れの2位、ライコネンは約26秒遅れの3位だった。
メルセデスは、他のチームより1レース遅らせて第8戦のフランスGPからアップデート版のPUを投入してきた。
メルセデスは、空力のアップデートも合わせて投入した結果、予選から速く、ハミルトンがポールポジションを獲っただけでなく、ボッタスも僅か0.12秒差の2番手に着けた。
フェッテルはトップのハミルトンから0.37秒差の3番手だった。
予選4番手と5番手はフェルスタッペンとリチャルド、6番手はライコネンだった。

決勝レースは、またしても、クリーンスタートにはならなかった。
スタート直後、2番手ボッタスの前に出ようとした3番手のフェッテルがボッタスに追突して2台ともダメージを受けた。
後方グループの中でも接触があり、オコンとガスリーが止まってしまい、ホーム・グランプリのフランス人ドライバー二人が一瞬にしてリタイヤとなった。

2周目からセフティカーが入り、5周目にレースは再開された。
これでハミルトンは、スタート前よりもずっと楽になった。
フェッテルとボッタスが後方に行ってしまったので、注意を要するのは2番手まで浮上したフェルスタッペンだけだった。
しかし、ここでは、フェルスタッペン+レッドブルも、ハミルトンを脅かすだけの速さ持ち合わせていなかった。
タイヤに厳しいメルセデスとって、気温が25度で路面温度が45度だったことも幸いした。
注目の新人、ルクレールは、フランスGPでも10位に入る活躍を見せた。
来年のフェラーリ・シートは確実だろう。そうなると、フェッテルもうかうかしていられなくなる。

フランスGPでハミルトンが優勝、フェッテルが5位になったことによって、ハミルトンがフェッテルに14ポイント差をつけて、チャンピオンシップのトップに返り咲いた。
メルセデスが再びパフォーマンス上、優位に立ったように見えるが、昨シーズンまでとは違って差は小さく、コースとのマッチングや路面温度によって簡単に逆転できる。
シーズン終盤まで、3チームによるチャンピオンシップ争いは続くだろう。

今シーズンは、トップ3チームだけでなく、ルノー、ハース、フォースインディアがいいパフォーマンスを見せ始めているし、ホンダPUがようやくルノーPUと肩を並べるところまで来たので、トロロッソももう少し上位でフィニッシュできるようになるだろう。

次は、オーストリアGPだ。
レッドブルリンクは、標高700mに位置するので、メキシコほどではないが、吸気圧が低いのでパワーを出すためにはターボに負担がかかる。
コースは標準的なF1コースに比べると短めの全長4.3Kmなので、予選Q1はコース上が込み合うし、決勝も周回数が多いのでアクシデントの発生する確率が高くなる。
レッドブルチームにとって、オーストリアGPはホームレースだ。
レッドブル、トロロッソとも空気抵抗の少ない車体設計なので、空気の薄いところでは、むしろ、アドバンテージが減るが、ホームレースに向けて何らかのアップデートを入れてくるだろう。

オーストリアGPは、1位フェルスタッペン、2位フェッテル、3位ハミルトン、4位ライコネン、5位ガスリー、6位ボッタス、7位サインツ、8位ルクレール、9位グロージャン、10位ペレスかな。

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Formula One 2018(8)2018.06.22

フェッテルがカナダGPを完全に制した。
フェッテルはポールポジションを獲り、決勝レースでも、一度も首位の座を譲ることなくチェッカーを受けた。
決勝レースは、クリーンスタートで始まり、グリッド順でレースが進むかと思われたが、ターン5でストロールがコース左側に膨らみ、ハートレーが壁に押しやられて大クラッシュ、二人はここでリタイヤとなった。
このため、レース開始早々の2周目からセフティカーが入り、4周目にレースが再開した。

例年、カナダGPでは、ヘヤピン後の長いストレートを使って追いつき、シケイン手前で前に出る追い越しが頻繁にみられたのだが、なぜか、今年は追い越しがあまりなかった。
また、レース終盤になると、ハード・ブレーキングを繰り返しでブレーキが音を上げる車が出てくるのだが、ブレーキ・トラブルを起こした車はあまりなかった。

エネルギー回収システムの進化と、空力向上のためにブレーキの冷却気がホイール内側を抜けていく機構がメカニカル・ブレーキの負担を軽くしているのだろうか。
今年のカナダGP決勝レースは、淡々としたレースに終始し、2位ボッタス、3位フェルスタッペンという、スターティング・グリッドどおりの着順となった。
リチャルドは、グリッドより二つポジションを上げて4位、カナダでは圧倒的に強いはずのハミルトンは、5位、ライコネンは6位という結果だった。
7位以下は全て1周以上の遅れだった。
ルクレールは、ここでもザウバーで10位に入ってみせた。

第7戦、カナダGPが終了した時点で、今シーズン全21戦の1/3を消化したことになる。
フェッテルは、今季3勝目を上げたことにより、ハミルトンを1ポイント上回り、チャンピオンシップでトップに立った。
チャンピオンシップポイント3位には優勝はないものの2位の多いボッタスがつけている。
今シーズンは、昨年までと違い、メルセデスが突出しているわけではない。
フェラーリはメルセデスと互角に戦っているし、レッドブルもPUのハンディがありながら2勝している。

今年から、ピレリは、これまで最も柔らかかったウルトラ・ソフトよりもさらい柔らかいハイパー・ソフトを導入した。
メルセデスはリヤタイヤに厳しいので、柔らかいタイヤだと無理ができない。
これがメルセデスの決勝レースのペースに微妙な影を落としている。
このため、柔らかめのタイヤが指定されているコースでは、メルセデスが予選でもトップに立てなくなってきた。
ハミルトンが得意とするジル・ビルヌーブ・サーキットで予選4位に甘んじていることがメルセデスの苦悩を物語っている。
しかし、カナダGPは、メルセデスだけがPUのアップデート版を投入していないから、次のGPでアップデート版が投入されれば、メルセデスが盛り返す可能性もある。
カナダGP 後、レッドブルが来年からホンダPUを搭載することが正式に発表された。
来年から、ホンダは言い訳が利かなくなる。

次は、10年ぶりに開催されるフランスGPだ。
フランスGPが開催されるポール・リカール・サーキットは1990年までフランスGPが開催されていたコースだが、現在のコースは直線部分が長くのばされ、長い直線の中間にシケインを持つロング・コース・レイアウトとなっている。
チームもドライバーもほとんどロング・コースの経験がないから、金曜日のフリー走行によるマシン・セッティングが極めて重要になる。
フランスGPは、グロージャンとガスリーにとっては初めてのホームレースだ。
ルノー・チームにとっても重要なレースとなる。
フランスGPは、1位ハミルトン、2位フェッテル、3位リチャルド、4位ライコネン、5位ガスリー、6位ボッタス、7位サインツ、8位ハートレー、9位グロージャン、10位オコンかな。

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