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YUKICHI OTSUKA 大塚雄吉
F1 ウォッチャー
幼少期にF1に魅せられ、50年以上にわたって、日本製のF1が出ていなくても、日本人F1ドライバーがいなくても50年以上にわたってF1を見続けてきた、F1 ウォッチャー。

Formula One 2018(2)2018.04.06

2018年シーズン開幕戦、オーストラリアGPを制したのはフェラーリとフェッテルだった。
フェッテルは昨年に続いて開幕戦に勝利した。
2位でゴールしたのは、ポールポジションからスタートしたハミルトン、3位でゴールしたのは2番グリッドからスタートしたライコネンで、フェラーリにとっては最高の1日、メルセデスにとっては最悪の1日となった。

予選の結果からは予想できなかった結末だった。
開幕前の予想は、メルセデス、フェラーリ、レッドブルの差が縮まり、トップ3三つ巴の戦いが見られるだろうというものだったが、ふたを開けてみると、メルセデスの強さは相変わらず頭抜けていた。
ポールポジションを獲ったハミルトンは2番手のライコネンに0.664秒の差をつけた。
フェッテルはライコネンからわずか100分の1秒差だった。
予選4番手と5番手のレッドブルはフェラーリからさらに0.3秒遅れだから、ハミルトンとメルセデスの組み合わせがいかに速いかがわかる。1周で1秒近く離されたらレースにならない。

メルセデスは、今年から予選モードの開発に本格的に取り組んだと言っていた。
だから、決勝がスタートするまでは、決勝レースは予選ほどメルセデスに差をつけられないだろうとの希望的観測があった。
決勝レースがスタートすると、ハミルトンはポールから難なくトップに立ち、ライコネンの追随を許さなかった。
ここで、ライバルチームは、今年もメルセデスが圧倒的に速いことを思い知らされる。
ハミルトンはレースの前半、必至で食らいつくフェラーリ勢を尻目に3秒前後のリードを保つ余裕を見せていた。
このままいけば、ハミルトン・メルセデスの圧勝となるところだった。
しかしメルボルンの勝利の女神はまたしてもハミルトンに微笑まなかった。
20周目にタイヤ交換を済ませたハミルトンには同調せず走り続けていたフェッテルは、バーチャル・セフティカーが26周目に出ると、絶妙のタイミングでピットインしてコースに戻り、ハミルトンの前に出ることに成功した。
フェッテルは、オーバーテイクが難しいアデレードのコースをレース後半、見事に逃げ切って勝利をさらった。

26周目のバーチャル・セフティカーは、今回予選から絶好調で中団グループのトップで快走していたハースがつまらないピットのミスで引き起こしたものだった。
このインシデントがメルセデスから勝利を奪い、フェラーリに勝利をもたらすとは・・・。

初戦の結果から、今シーズン序盤の勢力図が見えてきた。メルセデス、フェラーリ、レッドブルの3強の中ではメルセデスが一歩先を行っている。
セコンド・グループにはハース、ルノー、マクラーレンの3チームが並んでいる。
フォースインディア、ウイリアムズ、トロロッソ、ザウバーの4チームはセコンド・グループからさらに1秒前後遅れをとっている。
ボッタスは、苦手コースを無くさないと今年1年ナンバー・ツーに甘んじることになるだろう。
トロロッソ・ホンダの成功への道のりはまだまだ遠そうだ。
ホンダは、PUの信頼性をある程度確保できたのだから、パフォマンス・アップ・バージョンを早期に投入する必要がありそうだ。

次の舞台は中東に移って、バーレーンGPだ。
ボッタスは、ここで、ハミルトンを打ち負かしておく必要があるだろう。
サキール・サーキットは、ブレーキに厳しいサーキットなのでハースはメルボルンで見せた速さを生かしきれないかもしれない。
トラック・コンディションがレース中に大きく変化するトワイライト・レースに、うまく合わせていくチーム力が試される。

バーレーンGPは、1位ボッタス、2位ハミルトン、3位ライコネン、4位フェッテル、5位フェルスタッペン、6位リチャルド、7位位アロンソ、8サインツ、9位グロージャン、10位ガスリーかな。

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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉

Formula One 2018(1)2018.03.23

2018年シーズン第1戦、オーストラリアGPが目前に迫った。
今シーズンは昨年より1戦増えて全21戦でチャンピオンシップを争うことになる。
今年から、使用できるICE(ガソリン・エンジン)の数は年間3基となる。
グリッド降格ペナルティを受ければ4基以上のICEを使用することは可能になるが、最後尾スタートだと多くのポイントを得られないから、できれば3基で済ませたいところだ。

また、今年は、ドライバーの頭部を保護するためにハローが導入された。
外観的には屋根付きマシンに少し近づいた感じだ。
いっそ、クローズドにした方が空力的にもすっきりするだろうが、オープン・ホィールとオープ・ンシングル・シーターを通してきたF1の伝統とアイデンティティからすると、こういうスタイルに落ち着かざるを得ないようだ。
安全面から見ると、クラッシュした時にクローズドボディよりもドライバーを容易に救出できるという利点がある。
昨年、F1らしくないと批判のあったシャーク・フィンは大幅に制限され、昨年のようなインダクションポッドからリアウイング直前まで続く仕切り板のような形状は許されなくなった。
シャーク・フィンとセットで使われていたTウイングも禁止された。昨年、レッドブルが考えだした、ステアリングの切り角に応じて車高が変わるトリックは今年から禁止された。
レッドブルは、毎年、空力面で有利になるユニークなアイデアを繰り出してくるが、すぐに禁止されてしまう。それならば、エンジンオイルを燃料として燃やしたりするのも即刻禁止するか、オイルの量を制限すべきだと思う。

タイヤ面では、ウルトラ・ソフトよりもさらに柔らかいコンパウンドのタイヤが、今年から一種類追加される。
これによって、タイヤ交換の回数が増え、レース作戦のバリエーションが増える。
柔らかいタイヤによってラップタイムは簡単に1秒縮まるが、PU の出力で1秒短縮するは至難の業だ。
ただし、PU はチームごとに異なるが、タイヤは全チーム同じタイヤを使う。やはり強力なPU を積んでいるマシンは有利だ。

シーズン前テストでは、フェラーリがベストタイムを叩きだしたが、レッドブルも肉薄するタイムを出していた。
メルセデスはPUが強くて安定しているので、シャシーのセッティングに多くの時間を費やしていたように見受けられる。
今年も、3強は変わらない。3強以外の7チームの実力はかなり拮抗していて、どのチームが抜け出してくるかテスト結果だけでは、予想がつかない。
ハースは今年のマシンにリソースを割いていたこともあってシーズン前テストでは速さを見せていたが、本番レースとなると未知数だ。
ホンダPUは、信頼性を確保することに成功したようだが、予選と決勝レースでのパフォーマンスは実戦を見てみないと何とも言えない。

どちらにしても、今シーズンは、メルセデス一強時代が終わりを告げ、毎レースごとに表彰台に上がるドライバーの顔ぶれが変わる面白いシーズンになることは確かだ。
今年のルーキー・ドライバーはウイリアムズのセルゲイ・シロトキンとザウバーのシャルル・クレールの二人だ。
もっとも、トロロッソのガスリーとハートレーは昨シーズン終盤の数レースを走っただけだから、ほとんど新人のようなものだ。

オーストラリアGPの注目ドライバーはホーム・レースとなるリチャルドと、隣国、ニュージーランド出身のハートレーだ。
リチャルドは、フェルスタッペンよりも速いところを、ホーム・クラウドの前で示してほしい。
ハートレーはWECドライバーではなくF1ドライバーであることを見せないといけない。

オーストラリアGPは1位リチャルド、2位フェルスタッペン、3位ハミルトン、4位フェッテル、5位ライコネン、6位ボッタス、7位グロージャン、8位サインツ、9位アロンソ、10位ハートレーかな。

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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉

Formula One 2017(21)2017.12.01

アブダビGPは、ボッタスがポール・トゥ・ウィンを飾った。
ボッタスは、レース中一度も首位の座を脅かされることなく走りきった。
2位には、3.9秒遅れでハミルトンが入り、メルセデスは久々のワン・ツー・フィニシュを果たし、申し分ない形で2017年シーズンを締めくくった。
ここでまた、ハミルトンが優勝していれば、ボッタスのパフォーマンスにクエスチョン・マークがつくところだったが、ボッタスはコースによってはハミルトンより速いことが証明してみせた。
どうやら、ボッタスは、直角コーナーが得意らしく、直角コーナーが多いアブダビでは速かった。

フェッテルは、ボッタスから19.3秒遅れの3位でゴールした。
ライコネンは、フェッテルから更に26秒遅れで4位に、フェルスタッペンは、ライコネンから0.9秒遅れの5位に終わった。
リチャルドはリタイヤしたので、トップ3チームの5人が上位を占めたことには変わりがない。
今年は、シーズン中盤からメルセデスとフェラーリの差が小さくなり、シーズン終盤にはレッドブルも上位2者に追いついてきたかに見えた。
しかし、最終戦だけをとってみればメルセデスとフェラーリ・レッドブルの差は大きかった。
耐久性も含めたパフォーマンスで考えると、メルセデスPUはフェラーリPUとルノーPUに対して、まだまだ少なからぬマージンを持っている。
2018年からは、1シーズンに、ペナルティなしで使えるパワーユニットの数が1基減って3基となるから、メルセデスの優位は続くようにも見える。

もうひとつのチャンピオンシップといわれた中盤以降のチームの順位は、今回も、ヒュルケンベルグが非凡なところを見せて、ルノーを6位に導いた。
7位と8位は、シーズンを通じてセコンド・チャンピオンシップ・グループの中では最もコンスタントに速かったフォースインディアのペレスとオコンが入った。
8位に入ったのは、マクラーレン・ホンダのアロンソだった。
アロンソは11番グリッドからスタートして粘り強く戦い、ブラジルGPではどうしても抜けなかったマッサの前に出ることに成功した。
マッサは、アロンソに抑えられ3.4秒後に10位でゴールした。

やっと長いシーズンが終了したが、来シーズンに向けた準備はもう始まっている。
ドライバーのラインアップが確定していないのは、ウイリアムズとザウバー各1名のみとなっている。
2018年シーズンは、レギュレーションの変更は少ないが、PUはマクラーレンがホンダからルノーに、トロロッソがルノーからホンダに変更となる。

アブダビGPの直後にグランプリコースでは、F1のピレリ・タイヤテストと来年オF2ドライバーのテストが行われる。2月下旬以降の2018年F1テストまで僅か80日ほどしかない。
2018年は、新レギュレーションになって、5年目の年となる。少なくとも、5チーム10人のドライバーが優勝を争うようなチャンピオンシップ展開を期待したい。

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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉

Formula One 2017(20)2017.11.24

ブラジルGPは、フェッテルが巧みにレースをコントロールして優勝した。
フェッテルは、2番グリッドから見事なスタートを切り、1コーナーの道幅が狭くなるところまでにトップに立ってからは、事実上一度もトップの座を譲ることなく、2位のボッタスに2.76秒差をつけてゴールした。
3位にはボッタスから1.84秒遅れてライコネンが入った。
ライコネンから僅か0.87秒遅れて4位でゴールしたのは、ピットスタートから驚異的な追い上げを見せたハミルトンだった。
今回、コースに巧く合わせこめなかったレッドブルはフェルスタッペンが5位、1周目のアクシデントに巻き込まれたリチャルドが6位でゴールした。

レッドブルの二人は、フェッテルから30秒以上離されていた。
母国のレースで踏ん張ったマッサは7位でゴールした。
アロンソは、6番グリッドからのスタートで1周目にはポジションをひとつ上げて5番手を走行していたが、ハミルトンやリチャルドといった速いマシンに先を越され、7番手争いをマッサと繰り広げていた。
もう少しと言うところまでいったが、結局マッサの前に出ることはできず、8位に終わった。
ペレスはアロンソに攻め落とされ9位、ヒュルケンベルグは1周遅れの10位となった。

フェラーリが信頼性を取り戻し、メルセデスを上回るほどではないが、戦い方によっては、メルセデスを打ち負かすことが可能になっている。
今回、メルセデスのハミルトンは、チャンピオンを決めた気の緩みでもないだろうが、予選Q1中にスピン、クラッシュして、予選ノータイムに終わり、ピットスタートとなった。
もし、ハミルトンが予選Q1でスピンせずにQ3まで戦っていたら、メルセデスに1番グリッドと2番グリッドを獲られていた可能性もあり、そうなれば、フェッテルもスタート直後にトップに出ることができず、違ったレース展開となっていたかもしれない。

F1レースは、ドライバー、マシン、PU 、タイヤ、レース戦略、コース特性、気候変動、アクシデントなどの要素が複雑に絡まりあって、結果が出るが、現在のレギュレーションが適用されてからの3年間は、メルセデスのマシン+PUが圧倒的に強く、市街地コースとか天候が不順であるとか、アクシデントがあってリタイヤが続出するとかことがない限りメルセデスを駆るドライバーが優勝していた。
4年目の今年になって、やっと、フェラーリとレッドブルのマシンはメルセデスに近づいたが、結局チャンピオンに輝いたのは、ハミルトンとメルセデスだった。
来シーズンは、トップ5チームぐらいの混戦が期待される。

次は、アブダビGPだ。
最終戦のアブダビGPでチャンピオンが決まったシーズンもあるが、今年はもうチャンピオンは決まっているので、アクシデントを避けて優勝を逃してもポイントを稼ぐという必要がない。
これが最後のレースなので、PUを次のレースのために温存するということもないので、目いっぱい飛ばせる。
アブダビのコースは、中速コーナーが多いので、コーナリング・マシンとなった今年のF1の速さを楽しむことができる。
ドライバーは、長時間横Gに耐えなければならないので大変だろうが・・・。

アブダビGPは1位リチャルド、2位フェッテル、3位アロンソ、4位ボッタス、5位ライコネン、6位オコン、7位ヒュルケンベルグ、8位ガスリー、9位マッサ、10位グロージャンかな。

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Formula One 2017(19)2017.11.10

メキシコGPは、フェルスタッペンが圧倒的な速さを見せて優勝した。
そして、ハミルトンは、スタート直後のアクシデントのため最後尾まで後退したが9位まで挽回し、同じくアクシデントのために後退したフェッテルが4位に終わったので、2017年のチャンピオンが確定した。
メキシコGPの2位にはフェルスタッペンから19.7秒遅れてゴールしたボッタスだった。
3位にはボッタスから更に34秒遅れてライコネンが入った。

メキシコでのレッドブルとフェルスタッペンの速さは際立っていた。
パワーユニット・サプライヤーとしてのルノーはメキシコGPに関して信頼性よりパフォーマンスを重視したPUセッティングを施していたようで、6台のマシンのうち、トラブル・フリーで決勝レースを戦うことができたのは、フェルスタッペンのレッドブル・ルノーとガスリーのトロロッソ・ルノーの2台だけだった。
ガスリーも、金曜日のプラクティスから予選を通じての二日間、PU・トラブルで殆ど走ることができなかった。
シーズン中盤まで、PUトラブルでレースを走れなかったことが多かったフェルスタッペンは、やっと運が巡ってきたというところだ。

今回のフェルスタッペン+レッドブルは、予選から速さが際立っていた。
予選Q1とQ2でトップタイムを出し、フェッテルが渾身の走りでトップタイムをたたき出すまでは、Q3でもトップタイムを維持していた。
Q3のタイムは、予選3番手のハミルトンより0.36秒速いタイムだった。
パワーに勝るメルセデスにたいして、予選で0.36秒速いとは驚異的だ。
レッドブルは、ルノーやトロロッソといった他のルノー勢よりも、空力性能が高いだけでなく、燃料組成面でもパワーアップしているので、コースによってはメルセデスと互角に戦えるのだ。
それでも、フェルスタッペンの才能なしにしてはこのタイムは出なかっただろう。

決勝レースは、スタート直後の攻防で殆どが決まってしまった。
2番グリッドのフェルスタッペンは、ポールポジションのフェッテルをアウト側からかぶせて鼻先で抑え、トップに立った。
3番グリッドのハミルトンにも先を越されそうになったフェッテルは、ハミルトンと接触した。
両者とも修復とタイヤ交換オためにピットインせざるを得なくなった。
唯一の逆転の機会であったタイヤ交換のタイミングも、32週目にバーチャル・セフティカーが入り、1周目のアクシデントで早めにピットインせざるを得なかった車は、他者が中盤でピットインするときに走り続けて前に出るという作戦が成立しなかった。
このため、フェッテルとハミルトンの下位ポイント獲得のための追い上げが、チャンピオンシップ争いとなってしまった。

次は、ブラジルGPだ。ブラジルGPの行われるインテルラゴス・サーキットは、左回りで高低差があり、特に第1コーナーは下りながら左に曲がっているので絶好のパッシング・ポイントだ。
ここでは、グランプリ・デーが雨に見舞われることも多い。ブラジル人F1ドライバーはマッサだけだが、マッサにとってはこれが最後の母国F1レースとなりそうだ。
マッサには、何位でゴールしてもメインストレートでドーナッツ・ターンを見せてほしいし、マーシャルもいちいちとがめないでほしい。

ブラジルGPは1位フェッテル、2位リチャルド、3位ハミルトン、4位マッサ、5位ボッタス、6位ライコネン、7位バンドールン、8位オコン、9位サインツ、10位アロンソかな。

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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉