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YUKICHI OTSUKA 大塚雄吉
F1 ウォッチャー
幼少期にF1に魅せられ、50年以上にわたって、日本製のF1が出ていなくても、日本人F1ドライバーがいなくても50年以上にわたってF1を見続けてきた、F1 ウォッチャー。

Formula One 2017(3)2017.04.14

ハミルトンはチャイナGPを優勝して、オーストラリアGPの借りを返した。
フェラーリのフェッテルが6秒遅れの2位に入ったので、ハミルトンとフェッテルはチャンピオンシップポイントで並んだ。
シーズンが始まって、まだ2戦を終えただけだが、異なるチームのドライバーがチャンピオンシップポイントで並ぶのは何年ぶりだろう。

フェルスタッペンは、予選時のトラブルによって17番手スタートとなったが、見事に挽回して3位でゴールした。
フェルスタッペンはドライでも速いが、ウエット・コンディションではさらに速さが際立つ。
4位リチャルド、5位ライコネン、6位ボッタスはフェルスタッペンから3秒以内の僅差でゴールした。
上位3チームの6人が1位から6位でゴールしたことになる。7位-10位はサインツ、マグネッセン、ペレス、オコンが1周遅れでゴールした。

レースは、スタート時、雨の上がったセミ・ウエット路面で、サインツとパーマー以外はインターミディエイトを履いてスタートした。
ポールポジションのハミルトンはクリーンなスタートを決め、1コーナーを一番で抜けて行ってからゴールするまで、トップの座を譲ることはなかった。
フェッテルはタイヤを早めにスーパーソフトに交換してハミルトンを追ったが、中盤以降のハミルトンはフェッテルとのタイム差を一定に保つ余裕を見せ、完璧にレースを支配した。
それでも、レース後、フェッテルは嬉しそうな顔でハミルトンンに駆け寄って健闘を称えあっていた。
フェッテルには、久々にレースらしいレースができた喜びが溢れていた。
3位から6位までの戦いは、路面がウエット状態の序盤の間にスターティンググリッドのハンデを解消したフェルスタッペンが制したと言っていいだろう。
いずれにしても、異なる3チームのマシンとパワーユニットが6人のトップドライバーによって争われたレースらしいレースで、観客もドライバーも存分にレースを楽しむことができた。

アロンソは、メルボルンに続いて上海でも驚異的なドライビングを見せ、12番グリッドでスタートして、スタート直後にうまく前者の間をすり抜けて7番手まで浮上した。
一時は6番手を走っていたが、ドライブシャフトの破損でリタイアしてしまった。
そのまま走っていればポイント・フィニッシュは確実だっただろう。
マクラーレン・ホンダは、PU(ICU)のパワー不足と信頼性やシャシー・トラブルによって、シーズン前に競争力のあるマシンに仕立てることができなかった。
ホンダは、今年からPUの開発制限がなくなったのだから言い訳はできない。
マクラーレンも、常勝だったころの鉄壁さを取り戻す必要がある。

第2期のホンダF1時代に1.5リッター・ターボでホンダが勝ちすぎて自然吸気エンジンにレギュレーションが変更されることになった、
当時、ホンダF1監督の桜井が本田宗一郎にF1を続けるかどうか相談に行ったところ、宗一郎はそのルールはホンダだけに適用されるのかと問い、桜井が全メーカーに適用されると答えると、宗一郎は、「だったら、どこよりも早くいいエンジンを作れるのはうちだから考えることはないだろう。」と答えたとされる。
武士道に帰依するアロンソの走りに応えるためにも、ホンダのエンジニアには奮起してもらいたい。
第2期の時も数々のヨーロッパ・エンジンを打ち負かすことができたのだから。

次は、バーレーンGPだ。
ヨーロッパ時間に合わせて当地はトワイライト・タイムに行われるので暑さはさほど問題にならない。
雨は降らないから、メルセデスのパワー・アドバンテージが出やすいレースになるかもしれない。
予選ではメルセデスとフェラーリのタイム差はこれまでの2戦以上に開くかもしれないが、フェラーリは決勝レースに強いし、タイヤにも優しいから今回も互角の戦いが期待できる。

バーレーンGPは1位ハミルトン、2位フェッテル、3位ライコネン、4位ボッタス、5位リチャルド、6位フェルスタッペン、7位マッサ、8位サインツ、9位ペレス、10位グロージャンかな。

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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉

Formula One 2017(2)2017.04.04

開幕戦のオーストラリアGPでフェラーリとフェッテルは見事な優勝を飾った。
現行のパワーユニット・レギュレーションになってから3年を経過して、やっと、メルセデスと互角に渡り合えるチームが出現したのだ。
2位と3位には相変わらず強いメルセデスのハミルトンとボッタスが入ったが、今年はメルセデス・レースではなくF1レースを見ることができそうだ。

フェラーリとメルセデスの拮抗した戦いはすでに予選から始まっていた。
ハミルトンは一発の速さを見せてポールポジションを獲ったが、フェッテルはハミルトンから僅か0.268秒差のタイムを出して、2番手に着けた。
予選3番手にはフェッテルに僅差で負けたボッタスが着け、ライコネンはハミルトンから0.915秒離された4番手だった。
予選5番手はレッドブルのフェルスタッペン、そして、6番手には、好調な2017フェラーリPUに後押しされたハースのグロージャンが入った。
メルセデスはPU、レッドブルはギヤボックスの信頼性を確保するために開幕戦を前に予定していたものよりも重いパーツに変更したのがタイムに影響している可能性が高い。
理由はともかく、少なくともフェラーリが天候やアクシデントに頼らなくてもメルセデスと互角に渡り合えるだけのマシンを仕上げてきてくれたおかげで、2017年シーズンが俄然面白くなったことは確かだ。

決勝レースは、ハミルトンがポールポジションからクリーンでミスのないスタートを決めた。
フェッテルはスタートでハミルトンを出し抜くことはできなかったが、常にハミルトンの背後につけ、ハミルトンから離されることはなかった。
フェラーリよりはタイヤに負担をかけるメルセデスに乗るハミルトンは、フェッテルより先にタイヤ交換をせざるを得なかった。
タイヤ交換を終えてコース上に戻ったハミルトンは、まだピットインしていないフェルスタッペンの背後につかざるを得ず、ラップタイムが若干遅くなってしまった。
この数周の間に好タイムを連発したフェッテルがタイヤ交換のためにピットインし、フェルスタッペンとハミルトンの前でコースに戻ることができた。
その後も、フェッテルのフェラーリは好ペースを維持し、ハミルトンはフェッテルから約10秒後方でゴールするしかなかった。
4位にはライコネン、5位にはフェルスタッペンが入った。トップと同一周回でゴールしたのは6位のマッサまでだった。

2017年シーズンはトップ3チーム・6台がマシンの特性とコースの組み合わせによって順位を入れ替える展開になると予想される。
タイヤもグリップの安定したものが用意されているから、タイヤによる不確定要素は少なくなる。
ただし、タイヤ交換回数は減るから、今回のレースのようにたった1度のタイヤ交換のタイミングでレースが決まってしまうことも多くなるだろう。

2016年シーズン終了時点から開発のトークン制が廃止されたおかげで、パワーユニットを自由に再設計して新シーズンに備えることが可能になった。
メルセデスは依然として先行しているが、フェラーリも遜色のないところまでPUを仕上げてきた。
ルノーもこれまでの3年間とは違い、メルセデスとの差を縮めることに成功したように見受けられる(信頼性に疑問は残るが)。
残念ながらホンダPUはいまだに低迷している。
今のところ、マクラーレンホンダの下にいるのは2016年型フェラーリPUを積むザウバーだけだ。
開発は自由に行えるのでパフォーマンスで追いつくことは可能だが、年間4基しか使えないので頻繁に新型に交換するとグリッド・ダウン・ペナルティを食らう。上位チームはアップデートを3回以内にとどめようとするだろう。

次はチャイナGPだ、上海は、ストリートコースのような特性のメルボルンとは違い、論理的に設計された専用コースなのでマシンの優劣がはっきりと出るだろう。
シーズン初戦を落としたメルセデスの巻き返しが見ものだ。

チャイナGPは1位ハミルトン、2位フェッテル、3位ボッタス、4位ライコネン、5位リチャルド、6位フェルスタッペン、7位マッサ、8位ヒュルケンベルグ、9位サインツ、10位ペレスかな。

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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉

Formula One 2017(1)2017.03.24

今年もメルボルンでF1シーズンが開幕する。
今年は昨年より1戦減って全20戦でチャンピオンシップが争われることになった。
今年は大幅なレギュレーション変更が行われ、タイヤとマシンの幅が広くなりリヤウイングの高さは低く制限される。

シーズン中のパワーユニット(PU)開発はトークン制が廃止され自由になった。
ただし、ペナルティなしで使用できるPUの数は年間4基に制限される。
過去にメーカー間の開発競争が激しくなり、膨大な開発費が使われるようになったため始まったレギュレーションだった。
しかし、2014年の開幕時にメルセデスが用意したPU が強すぎたために、他のPUメーカーがトークン制の開発制限に阻まれて追いつくことができなかった。
このために、2014-2016の3シーズンはメルセデス一辺倒のレースになってしまった。
このような状態が続くと興行としてのF1は危機に陥るので、開発競争が緩和された。
2014年当時と違いコスワースのような独立系のF1エンジンメーカーは供給元として手を挙げておらず、自動車メーカー同士なら資金は潤沢にあるし、存分に開発競争をしてこそF1参加する意味があるからだ。

フェラーリは、かつて独立したレーシングカー・スポーツカー・メーカーだったが、今はフィアット・クライスラー・グループの一員とみてよい。
しかし、今年もメルセデスの優位性は保たれるだろう。
現在のF1のPUはICE(いわゆるエンジン)、ターボチャージャー、エネルギー回生装置とモーターの制御が複雑に絡んでいる。
コースやレース状況に応じたベストの関連制御をレースを通して行うためには、データ量がものをいう。
メルセデスPU が優秀なのはこれまでシーズン中は4チームにPUを供給し、シーズン前テストでも2台のマシンを走らせているからだ。
わかりやすく言えば、メルセデスPUはビッグデータによって強くなっているのだ。
複数のシャシーメーカーに供給していれば、トラブルもシャシー由来かPU 由来かを判定するのが容易でアドバンテージは大きい。

今年は、タイヤ幅とシャシー幅が広くなったので、コーナーリング時のグリップは大幅に向上し、同じコースでラップタイムが3秒以上速くなる。
今年のタイヤは耐久性を向上させていて急激にグリップを失うこともなさそうだから、タイヤ交換頻度は少なくなるだろう。
となると、レース戦略面でタイヤ交換が占める要素が若干減ることになる。

シャシー面(主に空力)面ではレッドブルが創造的技術力の高さで常に君臨している。
昨シーズンもPUの差を補って余りあるマシン・パフォーマンスを示した。
レッドブルは2チーム持っていて若手ドライバーの育成・登用も見事だ。今や全盛時のマクラーレンと立場は逆転してしまった。

今年の純粋なルーキー・ドライバーはウイリアムズのランス・ストロール一人だ。
マクラーレン・ホンダのストフェル・バンドーンも、昨シーズンはアロンソの代わりに1レース走っただけだからフルタイムドライバーとしては新人といって良い。
シーズン前テストではフェラーリが好タイムをマークしていたがフェラーリはシーズン前テストでは燃料を少なく積んで好タイムを出しておくのが通例だからあてにはならない。
むしろ、最終仕様でない空力でいいタイムを出していたレッドブルが不気味だ。

オーストラリアGPでの注目ドライバーは何といってもリチャルドだ。リチャルドは、どこのサーキットへ行っても速いが、特にメルボルンでは速い。
オーストラリアGPは1位リチャルド、2位フェルスタッペン、3位ハミルトン、4位ライコネン、5位フェッテル、6位ボッタス、7位ペレス、8位サインツ、9位アロンソ、10位グロージャンかな。

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Formula One 2016(22)2016.12.02

最終戦アブダビGPはハミルトンが勝利した。
ロスベルグは2位でゴールして2016年のチャンピオンに輝いた。
ハミルトンはシーズン最多勝の10勝で終盤戦4連勝したがチャンピオンの座を手放すしかなかった。
ロスベルグはポイント累計のアドバンテージを持っていたので決勝ではクラッシュの危険を避けて2位でゴールすることに徹した。

3位にはフェッテルが入った。
最終戦に入る前の時点でロスベルグとハミルトンのポイント差は12あり、ハミルトンが優勝してもロスベルグが4位以下でない限り、ロスベルグがチャンピオンとなることはわかっていた。
ハミルトンは予選でポールポジションをとって決勝を独走で優勝したとしても、ロスベルグが2位になればチャンピオンのタイトルを失う。
ハミルトンとロスベルグの間に他のチームの車が2台入らない限り、ポイントは逆転しないのだ。
最近の数レースの実力からすると、間に入ってくれる可能性のあるのはレッドブルの2台だった。
ところが、予選が始まってみると、レッドブルで3番手タイムを出したリチャルドは2番手のロスベルグに0.53秒も離されていた。
今回、少し調子を取り戻したフェラーリのライコネンもロスベルグから0.54秒遅れだった。
レッドブルはQ2にスーパーソフトでタイムを出しておいて決勝をスーパーソフトでスタートする作戦を立てた。
(ルール上、予選トップ10の車はQ2でベストタイムを出したタイヤで決勝をスタートしなければならないことになっている、レッドブルは決勝を寿命の短いウルトラソフトでスタートしないことによってレース中の作戦に幅を持たせることができる)
このままでは、決勝でハミルトンとロスベルグの間に他チームの車が2台入る可能性は低い。

決勝のスタートでは、ハミルトンとロスベルグはクリーンなスタートを決めたが、追うべきレッドブルの2台が焦ってスタートをしくじってしまった。
リチャルドは後退し、フェルスタッペンに至ってはハーフスピンしてマシンに小さなダメージを負ってしまった。
ハミルトンは予選でロスベルグより0.3秒早かったので易々とリードを広げて独走状態に入る。
ロスベルグも2位が安泰な状態に入り、このままいけば、メルセデスのワンツーでゴールとなりそうだった。
そこで、ハミルトンは中盤からわざとラップタイムを落として、ロスベルグとフェラーリ、レッドブルの間を詰める作戦をとった。
フェルスタッペンはタイヤ交換を1回にする作戦で一時ロスベルグの前に出たが、ロスベルグは勇気をもってフェルスタッペンを抜き、2番手に返り咲いた。
終盤、フェッテルは、ロスベルグがハミルトンのスローペースに付き合わされているのを利用してロスベルグに追いついたが、追い抜くまでには至らなかった。

こうして、ロスベルグのチャンピオンが決まった。
ロスベルグは優勝回数ではハミルトンに負けたがシーズン序盤から着実にポイントを積み重ねた結果、初のチャンピオンシップを獲得に至った。
ハミルトンは、シーズン中に何回かあった不運なパワーユニットのトラブルがなければロスベルグを上回るポイントを上げることができただろう。
しかし、ハミルトンのほうにPUトラブルが多かったのは運だけでない可能性もある。
ハミルトンは速く走るためにロスベルグより少しだけ多くPUに負担をかけているのかもしれない。
今回のハミルトンの行為を批判する向きもあるが、チャンピオンを最終戦で争うドライバーとして許容される範囲だろう。
おかげで、観客は最終戦の最終コーナーまで退屈しないで済んだ。

2017年シーズンは1戦減って20戦で戦われることが決まった。
来シーズンのマシンは車幅、タイヤ幅がワイドになり、リヤウイングの位置は今年より低くなる。
PUと空力の開発規制も緩められる。
2017シーズンは大きく勢力図が変わり、チーム内でなくチーム間の接戦が繰り広げられることを期待したい。
初戦、オーストラリアGPまであと114日。
トップチームは、すでに2017マシンの仕上げに取り掛かっている。

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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉

Formula One 2016(21)2016.11.25

ハミルトンがブラジルGPに勝って3連勝となった。
ロスベルグは、雨のレース中に不慮のアクシデントでノーポイントに終わるリスクを避けるため、2位をキープする走りをした。
フェルスタッペンは、一時、15番手まで後退した後、追い上げて3位表彰台をゲットした。
4位・5位にはペレスとフェッテルが入り、続いて6位・7位・8位にはサインツ、ヒュルケンベルグ、リチャルドが入った。
4位から7位までのドライバーはいずれも雨を得意とするドライバー達だ。

地元ブラジルのナスレは9位でゴールして、ザウバーに貴重な2ポイントをもたらした。
アロンソは10位に滑り込んだ。
フェリッペ・マッサは、雨に足をすくわれて、最後の母国グランプリを上位入賞で飾ることができなかった。
ブラジルのファンたちは、ブラジル国旗を羽織ってピットロードを歩くマッサを大歓声で迎えた。
マッサは、もう少し運が良ければ1度か2度はチャンピオンになれたドライバーだ。

ブラジルGPは、いつも天候が不安定で、終始快晴のレースになることのほうが珍しいほどだ。
今年のレースも、スタート前からの雨でスタートを10分後にずらしたが、止む気配がないので、セフティカー先導でのスタートとなってしまった。
途中2度の赤旗でレースが中断されただけでなく、レース中のセフティカー出動もあったのでレースらしいレースにはならなかったが、どうにか制限時間内に71周を消化した。
ひどい土砂降りがずっと続いたわけではなかったので、1/2レースにし辛いところもあったのだろうか?けが人が出なかったのは幸いだった。

そんな、今年のブラジルGPを面白くしてくれたのは、レッドブルとフェルスタッペンだった。
予選でメルセデスとの差が0.75秒もあったレッドブル勢は普通にやっていたのでは決勝でメルセデスに勝つことはできない。
そこで、レッドブルは、雨の決勝レースで路面状態を先読みして水たまりが浅くなりそうだと見るや、インターミディエイト・タイヤに交換するという作戦をとった。
雨のレースでこれがはまれば優勝することも可能だからだ。
対するメルセデスは、クラッシュによるノーポイントを恐れてレインタイヤで通した。
チャンピオンをとらなければいけないチームとチャレンジャーチームの立場の違いが作戦に反映されている。
結果、レッドブルのギャンブルは外れて、フェルスタッペンは、せっかく2番手をうかがうところまで行っていたのに最後のレインタイヤへの交換で15番手まで後退してしまう。
フェルスタッペンが並みのF1ドライバーと違うところはここからだった。
フェルスタッペンは、セフティカー先導中にコースのいろんな位置のウエットグリップを試していて、セフティカーが引っ込むや否や、独自のウエットグリップ情報をフルに活用して怒涛の追い上げを見せ、表彰台に乗れるポジションまで返り咲いたのだ。

次は、いよいよ最終戦アブダビGPだ。
ロスベルグとハミルトンのポイント差は12ある。
ハミルトンがアブダビGPに優勝してもロスベルグが3位に入ればロスベルグがチャンピオンになる。
ロスベルグは、ここ3戦のように2位キープに徹すれば、易々とチャンピオンの座を手に入れることができる。
鍵となるのは、予選でのレッドブルとメルセデスのタイム差だろう。
タイム差が0.3秒以内ならばレッドブルが最終戦をかき回すことになる。
ロスベルグはパワーユニットの疲労も心配要因だ。
最終戦・アブダビGPといえば、2010年シーズン、2位に入ればチャンピオンになれるはずだったアロンソが、タイヤ交換のタイミングによって不運にも7位に終わり、フェッテルにチャンピオンを持っていかれた時のことを思いだす。
ロスベルグが初のタイトルを獲得するにはちょっとした運が必要だ。

アブダビGPは、1位ハミルトン、2位リチャルド、3位フェルスタッペン、4位ロスベルグ、5位フェッテル、6位ライコネン、7位バトン、8位アロンソ、9位ペレス、10位マッサかな、

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