ブリティッシュGPは、ハミルトンが6度目の優勝を飾った。
ボッタスが2位でゴールしたので、メルセデスは今シーズン7回目のワンツー・フィニッシュを決めたことになる。
3位にはルクレールが入った。
結果だけを見るとハミルトンがいつものように地元GPで快勝したように見えるが、決して、メルセデスの圧勝と言えるレースではなかった。
今シーズン第10戦にして、ようやく、トップ3チームの実力が接近してきたのは、予選の段階から明らかにだった。
昨年までなら、パワー・サーキットであるシルバーストーンでは、メルセデスが予選から他を圧倒していた。
特に、ハミルトンは、ホームコースのシルバーストーンでは、予選から決勝まで常に最速だった。
ところが、今年、ポールポジションを獲ったのはチームメイトのボッタスであり、ハミルトンは予選2番手に甘んじた。
それよりも驚いたのは、ポールポジションのボッタスから予選4番手のフェルスタッペンまでのタイム差が僅か0.183秒しかなかったことだ。
予選結果から見ても、メルセデス・ハミルトンの独走とはなりそうにないのは明らかだった。
決勝のスタートで、ハミルトンはボッタスの前に出ようとしたが、ボッタスは譲らずトップの座をキープすることに成功した。
ボッタスのあとには、ハミルトン、ルクレール、フェルスタッペンが続いた。
ハミルトンはしばらくボッタスとトップを争ったあと、ボッタスに近づき過ぎるとPUとタイヤのクーリングに問題が生じるから少し下がって、PUトタイヤに無理をかけないようにしていた。
この動きが勝敗に影響をもたらすことになる。
スタート時点で、メルセデス勢とレッドブル勢はミディアムタイヤを履いていたが、ソフト・タイヤでスタートしたルクレールが13周目にピットインしてミディアム・タイヤに交換したのを見て、ボッタスは16周目にピットインしてミディアム・タイヤに交換した。
(レース中に必ず2種類のタイヤを使用しなければいけないから、ボッタスはレース中にもう一度ピットインをして、ミディアム以外のタイヤに交換する必要がある)
ここで、ハミルトンはピットインせず、ミディアム・タイヤで走り続けた。
ところが、ボッタスのタイヤ交換ら僅か4周後、ジョビナッツィが単独スピンしたのを受けてセフティカーが出動した。
ハミルトンは、この間にピットインして、新品ハード・タイヤとトップの座を手に入れてしまった。
そこからは、ハミルトンがゴールに向かってクルージングするだけだった。
ボッタスが16周目にタイヤ交換をせずに、あと4周走っていれば、ボッタスが勝っていたかもしれない。
レースの結果はともかく、今回のブリティッシュGPはシルバーストーンの各所で接近戦が見られて面白いレースだった。
中でも、ボッタスとハミルトンの序盤のトップ争いとルクレールとフェルスタッペンの3番手争いは見ごたえがあった。
前回のオーストリアGPからレース・スチュワートがコース上のバトルに寛容になったことによって、ドライバーたちが積極的にコース上でポジション争いをするようになった。
ルクレールは、今回、許容範囲ぎりぎりのところでフェルスタッペンを合法的ににブロックして、オーストリアの借りを返した。レース後、ルクレールは、フェルスタッペンとのバトルはとても楽しかったと話している。なんと、健全なモーターレーシングだろう。
次は、F1GP全21戦の折り返し点、第11戦ドイツGPだ。
ホッケンハイムは、かつて、直線主体の高速コースだったが、近代F1的コースに改修されてからは高速セクションとテクニカル・セクションからなるバランスの取れたコースになった。
パッシング・ポイントのコース幅が広いことも特徴の一つだ。
シーズン後半を迎えて、トップチーム間の開発競争がますますヒートアップしている。
メルセデスは、ホームGPに大幅な空力アップデートを持ち込んで、直線でのスピード不足とPUの冷却問題を改善しようとしている。
フェラーリは、直線では速いがコーナーでは遅いことと、ソフト・タイヤの劣化が早いという問題を解決しなければならない。
レッドブル・ホンダは、予選の速さが足りないところをPUチューニングによって克服する必要がある。
後半のグランプリは、チーム間の開発競争の結果としてレースの方程式が変わり、思わぬ結果を演出してくれることを期待する。
フェッテルとヒュルケンベルグにとってはホーム・グランプリとなる。
ドイツGPは1位フェルスタッペン、2位ガスリー、3位フェッテル、4位ハミルトン、5位ボッタス、6位ルクレール、7位ヒュルケンベルグ、8位リチャルド、9位ノリス、10位ライコネンかな。
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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉
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