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YUKICHI OTSUKA 大塚雄吉
F1 ウォッチャー
幼少期にF1に魅せられ、50年以上にわたって、日本製のF1が出ていなくても、日本人F1ドライバーがいなくても50年以上にわたってF1を見続けてきた、F1 ウォッチャー。

Formula One 2019(10)2019 / 07 / 12

オーストリアGPは、フェルスタッペンが劇的な優勝を飾った。
メルセデスの連勝を止めたのはレッドブルとフェルスタッペンだった。
2位には、ゴール2周前までトップを走り続けたルクレールが入った。
我慢のレースを強いられたボッタスは、トップから19秒遅れの3位でゴールした。

今年のオーストリアGPは、F1が現行のターボ・ハイブリッド規定になってからのベストレースだったのは間違いない。
フェラーリのルクレールの速さはフリープラクティスから際立っていて、予選でも難なくポールポジションを獲った。
メルセデス勢は、以外にもフランスGPのような圧倒的な速さがなかったが、ハミルトンが一発の速さを見せて、予選2番手のタイムを出した。
フェルスタッペンはFP2の走行中に後ろからの風の影響でスピンし、マシンが壊れたため、予選までに充分な走り込みができなかったが、予選3番手のタイムをたたき出した。
ボッタスは、4番手タイムだった。
ただし、ルクレールの決勝タイヤはソフト、フェルスタッペンとメルセデス勢はミディアムとなっていた。

決勝レースのグリッドには、ハミルトンがペナルティで3グリッド降格となったため、ルクレール、フェルスタッペン、ボッタス、マグネッセンの順にならんだ。
決勝レースは、ポールのルクレールがうまくスタートを決めて先行したが、フェルスタッペンは、クラッチをアグレッシブに繋ごうとしたのか、アンチストールが作動してしまい、大きく出遅れて8番手まで後退してしまった。
フェルスタッペンのレースはこれで終わったかと誰もが思った。
しかし、フェルスタッペンが主役のドラマはここから始まった。
すぐさま追い上げを開始したフェルスタッペンは、5周目までにはガスリーを抜いて7番手、8周目にはノリスを抜いて6番手、9周目にはライコネンを抜いて5番手まで浮上した。
ソフト・タイヤでスタートしたフェッテルとルクレールはそれぞれ21周目と22周目にハード・タイヤに交換する。

ミディアム・タイヤでスタートしたフェルスタッペンは31周目まで引っ張った結果、35周目には4番手まで浮上する。
フェルスタッペンは、追撃の手を緩めず50周目にはフェッテルを下し、56周目にはついにボッタスを抜き去って2番手に浮上する。
この時点で、ルクレールとフェルスタッペンの差は約5秒あった。
フェルスタッペンは、1周につき0.5秒づつ追い上げないと、トップを走るルクレールを捕えることができない。
しかし、ルクレールもペースを上げたため、1周当たり0.2秒しか差が縮まらなくなった。
59周目、レッドブルのピットからフェルスタッペンに対して、エンジンのモード11、ポジション5に変更して、フル・パフォーマンスでゴールまで走れとの無線が入る。
ここからの、フェルスタッペンは1周0.5秒以上のペースでルクレールとの差を詰め、67周目には、背後まで迫った。
フェルスタッペンは、69周目にルクレールを仕留め、そのまま2.7秒差をつけてゴールラインを横切った。

では、フェルスタッペンは、スタート直後に8番手に落ちながら、開幕以来の8連勝のメルセデスをなぜ破ることができたのか?

第1に、フェルスタッペンは予選の一発の速さに加えて、決勝でも常に速いラップを刻むことができる上に、鋭いパッシングという武器を持っている。
しかし、フェルスタッペンの持つだれよりも強いスキルは、レースに勝つことを決してあきらめないことだ。

第2に、メルセデスは、コースによっては、オーバーヒートするぎりぎりのところまで追い込んでマシンを作っていること。メルセデスは、トップを快走していない限り、バーレーン、オーストリア、ハンガリー、メキシコ、ブラジルなどのコースではオーバーヒートに陥りやすく、フル・パフォーマンスで走ることができない。

第3に、レッドブルの空力が改善されたこと。レッドブルは、フランスGPから僅か1週間で新しいフロントウイングとノーズを用意してきた。
(1台分しか間に合わなかったが)これが、レッドブルリンクのターン1〜ターン4の圧倒的な速さを実現し、フェルスタッペンのパッシングを容易にした。
そして、第4に、ホンダのエンジニア達がフェルスタッペンと同じ気持ちを持って、レースを戦っていたこと。
フェルスタッペンがルクレールに追いつき追い越すために、どうしても必要だったPUの出力アップを、レース終盤にパフォーマンス・モードを解禁して勝ちに行ったことだ。

この4つの要素うちどれが欠けても、メルセデスとフェラーリを実力で下した、今回の、フェルスタッペンの大逆転勝利はなかった。

次は、第10戦ブリティッシュGPだ。
F1が最もF1らしく高速で自由に走り回れるシルバーストーンでのレースは今年限りになる公算が高い。
ここでは、メルセデス・ハミルトンが絶対本命だが、マクラーレンでレッドブル陣営に迫るタイムを出せるノリスとウイリアムスで頑張っているラッセルにとってもホーム・レースだ。
今年のブリティシュGPは、直線の速いフェラーリと空力がはまり出したレッドブルがどこまでメルセデスに迫れるかが見ものだ。

ブリティッシュGPは1位ハミルトン、2位ルクレール、3位フェッテル、4位フェルスタッペン、5位ボッタス、6位ガスリー、7位ノリス、8位リチャルド、9位グロージャン、10位ライコネンかな。 

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