ハミルトンがブリッティシュGP通算7勝目を挙げた。
ハミルトンは、決勝レースを通じて首位を独走していたが、ファイナル・ラップにタイヤがバーストし、左フロント・タイヤを引きずりながら辛くもゴールラインを横切った。
2番手を走っていたボッタスは、ゴールまであと2周というところでタイヤがバーストし、長い道のりをピットまで戻ってきた。
メルセデスチームには緊張が走り、ピットからハミルトンにできる限りタイヤをいたわってゴールまでたどり着くようにとの指令が飛んだ。
しかし、ハミルトンのタイヤはゴールまでもたず、ファイナルラップの途中でバーストしてしまった。
単独の3番手を走り続けていたフェルスタッペンは、ボッタスのタイヤがバーストしたのを見て取って、ソフトタイヤでファーステストラップを獲りに行った。
ハミルトンのタイヤもバーストしたことで、後から考えるとフェルスタッペンはタイヤ交換せずに走り続けていれば優勝できたかもしれない。
しかし自車のタイヤもバーストしていれば1ポイントも取れなかったかもしれない。
フェルスタッペンから30秒以上離されて4番手を走行していたルクレールは運良く3番手に浮上し、オーストリアGP以来の表彰台に立つことができた。
ボッタスは、何とかコースに戻ったが11位でレースを終えた。
シルバーストーンでもメルセデスは決勝のゴール2周前までは圧倒的に週末を支配していた。
唯一メルセデスに対抗できそうなのはレッドブルであったが、そのレッドブルでさえ、フェルスタッペンの予選タイムはハミルトンよりも1秒以上遅かった。
レッドブルはシルバーストーンに空力アップデートを持ち込んでいたが、メルセデスに迫るには不十分だった。
決勝レースでのメルセデスとレッドブルのタイム差は予選ほどではないが、それでも0.5秒以上はありそうだ。
決勝のラップ・タイム差が0.2秒以下にならないと真っ向勝負は挑めない。
それでも、今回のブリティッシュGPでは、勝利を得るためには多くの要素が絡んでいて、どれか一つ欠けても勝利には結びつかないというF1の面白さを象徴するようなレースだった。
1986年のF1最終戦、オーストラリアGP、当時、最高出力1500馬力と言われた無敵のホンダ・ターボを積むウイリアムスに乗るナイジェルマンセルは、予選から決勝まで圧倒的な速さを見せていて、最終戦の優勝は誰の目にも明らかだった。
ところが、そのマンセルがレース終盤にタイヤバーストに見舞われてリタイヤしてしまい、最終戦の勝利もその年のチャンピオンシップも逃してしまった。
その時、優勝してチャンピオンの座もさらっていったのがアラン・プロストだった。
プロストは、圧倒的に速いマンセルを無理に追わず、タイヤをいたわりながら、淡々と後を追っていた。ゴール直後にマシンを止め、マシンから降りるなりタイヤを見つめていたプロストが印象的だった。
シルバーストーンでルノーのピットにいたプロストは、今年のブリティシュGPの結末をどう見ていたのだろう。
今週末のF1は、先週末と同じシルバーストーンで、70周年記念グランプリとして開催される。
先週と違う要素は、タイヤがよりソフト目に設定されるということだ。
先週より路面温度が高くなり、タイヤ・コンパウンドがソフトになれば、タイヤ・トラブルが増えることも考えられるが、逆に、1セットのタイヤでこなせる周回数は短くなるから、ハードタイヤで多くの周回数をこなす必要がなくなり、ピットイン回数は増えるがタイヤ・トラブルは減るかもしれない。
どちらかといううと、タイヤを持たせる技術よりも、ソフトタイヤで速く走れるドライバーのほうが有利かもしれない。
英国特有の雨が絡めばまたストーリーは変わってくる。
ブリティッシュGPは、1位ハミルトン、2位フェルスタッペン、3位ボッタス、4位アルボン、5位ペレス、6位フェッテル、7位ガスリー、8位ルクレール、9位リチャルド、10位サインツかな。
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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉
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