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YUKICHI OTSUKA 大塚雄吉
F1 ウォッチャー
幼少期にF1に魅せられ、50年以上にわたって、日本製のF1が出ていなくても、日本人F1ドライバーがいなくても50年以上にわたってF1を見続けてきた、F1 ウォッチャー。

Formula One 2022(15)2022.09.02

ベルギーGPで、フェルスタッペンは14番グリッドからスタートし、レース前半でトップに立ち、そのまま2番手以下を大きく引き離して優勝した。
あたかも、フェルスタッペン一人が別のレースを走っているような速さだった。
フェルスタッペンはファーステストラップも記録した。
ペレスは、スタートでもたついたが、レース中盤以降は3位のサインツを寄せ付けず、レッドブルのワン・ツー・フィニッシュに貢献した。
フェルスタッペンはチャンピオンシップ・ポイントを284まで伸ばし、ペレスには93ポイント、ルクレールには98ポイント差をつけることになった。今シーズンは残り8レースしかない。

ベルギーGPのレッドブルとフェルスタッペンは、P1開始当初から絶好調だった。
今年のレッドブルのマシンは直線に強いので、高速コースであるスパではセクター1とセクター3では速いが、コーナーの連続するセクター2ではフェラーリの方が速いだろうと予想されていた。
ところが、蓋を開けて見ると、レッドブルは全セクターで速かった。
しかもスパに持ち込んだセッティングがP1から決まっていて、あとはファイン・チューニングするだけだった。

今年は、ロシアGPがないので、これからシーズン末までにパッシングの容易なコースはスパがしかない。
各チーム4台目以降のPU使用のペナルティをここで受けて、ダメージを最小限に留めようとした。
このため、フェルスタッペンとルクレールを含む6台がPU交換ペナルティを受けることになり、予選20番手でも14番グリッドからスタートできることになった。
PU交換をする車のドライバーは、ベストタイムを出したとしても最後尾スタートなので、Q3まで進んでも仕方がない。
しかし、PUを交換したフェルスタッペンは、Q3に進み、2番手のサインツより0.632秒速いトップタイムを記録して地震の速さを証明してみせた。
しかも、フェルスタッペンが出したタイムは中古のソフトタイヤを履いて一回のアタックで出したものだった。5番手のハミルトンはフェルスタッペンから1.8秒遅れていた。

予選タイム上位でもPU交換をした車は最後尾に回るので、スターティング・グリッドはいつもと様相が違った。
メルセデスは今回PU 交換をしていないのでグリッド位置は上位に繰り上がっている。
決勝のグリッドのトップ6はサインツ、ペレス、アロンソ、ハミルトン、ラッセル、アルボンの順となった。
フェルスタッペンは14番グリッド、ルクレールは15番グリッドからのスタートだ。

決勝のスタートは、サインツが綺麗に飛び出しトップをキープし、狙い過ぎたペレスは出遅れて、アロンソ、ハミルトン、ラッセルに先行を許してしまい5番手まで落ちてしまった。
ハミルトンlはアロンソに無理に仕掛けて乗り上げ、車は一旦中に浮いて着地したためダメージを追ってリタイヤした。
アロンソはダメージがなくそのまま走り続ける。

1週目を終わった時点での順位は、サインツ、ペレス、ラッセル、アロンソ、フェッテル、リチャルド、アルボンとなった。フェルスタッペンはアルボン直後の8番手まで浮上している。
後方で接触事故があっったのでセフティカーが入り、レースは5周目に再開すされた。
フェルスタッペンは6周目を終えたところで5番手まで進出し、その後も圧倒的な速さで順位を上げ続け、7周目4番手、8週目に3番手、サインツが早めにタイヤ交換のためピットインしたため、12週目にはトップに立った。

フェルスタッペンは15周目にピットインすると、先にタイヤ交換していたサインツの後でコースに復帰して2番手となるが、18週目にはサインツを抜いてトップに返り咲いた。
トップに立ったフェススタッペンは、ぐんぐん後続を引き離して完全な独走状態となり、ゴールした時は同じレッドブルに乗るペレスに18秒もの差をつけていた。

スパはレッドブルのマシンに適したコースであるとはいえ、フェルスタッペンとレッドブルの組み合わせは夏休みの間にさらに強力になった。
ベルギーGP前に実施したタイヤ・テストのデータ大きく寄与しているだろう。
レッドブルの弱点であった中低速コーナーも、高速コース用ウイングを大きめにしてトラクションを稼ぐことによって克服した。
ホンダ製PUも、エナジー・ストアに何らかの改良が施されていたのかもしれない。

次は、オランダGPだ。
鈴鹿を顔型化したようなレイアウトのサンドフォールトは中低速コーナーに強いフェラーリ、メルセデス、マクラーレンに適したコースなので、レッドブルとの接戦を期待したい。
オランダGPは言うまでもなくフェルスタッペンのホームGPだ。
ハミルトンやフェルスタッペンはホームコースで結果を出せるドライバーだ。

オランダGPは1位フェルスタッペン、2位ルクレール、3位ハミルトン、4位ペレス、5位サインツ、6位ラッセル、7位ノリス、8位ボッタス、9位角田、10位アロンソかな。    

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Formula One 2022(14)2022.08.26

ハンガリーGPは、フェルスタッペンが10番グリッドから追い上げて優勝を攫っていった。
フェルスタッペンは今期8勝目だ。
2位にはハミルトン、3位にはラッセルが入り、メルセデスは優勝を逃したもののダブル表彰台を獲得した。
4位サインツ、5位ペレス、6位ルクレールだったので、フェルスタッペンとルクレースのチャンピオンシップ・ポイント差はさらに広がり、80となった。

予選では、メルセデスのラッセルがF1初のポールポジションを獲得した。
一方、いつもポールポジション争いを演じているフェラーリとレッドブルはサインツ2番手、ルクレール3番手、フェルスタッペン10番手、ペレス11番手という予選結果だった。
フェルスタッペンはQ3でPUのパワーを失い、タイムを出せなかったため10番手となった。
ラッセルのポールは見事だったが、ハミルトンはトラブルで7番手タイムだっったので、決勝ではフェラーリ勢が本命であることには変わりがない。
レッドブルは、この位置からどこまで挽回できるかが焦点で、良くても3位入賞が限界だろうと思われていた。

フェルスタッペンはスタート直前にハードタイヤが使えないことを見抜き、ソフトに交換した。
このレッドブル・チームのタイヤの見極めがレース結果を左右することになる。
決勝は、いつ本格的に雨が降り出すかわからない曇り空の中スタートした。
スタート直後には、ラッセル、サインツ、ルクレール、ノリス、ハミルトンの隊列が形成された。
フェルスタッペンはスタートで2つポジションを上げて8番手、なおも、6番手のオコンと7番手のアロンソを追う。
フェルスタッペンは7周目にはアルピーヌ2台の前に出て6番手にまで進出した。
フェルスタッペンは、3番手ルクレールとの差が10秒となったところで17周目にピットイン、ソフトからミディアムにタイヤ交換する。
ルクレールとハミルトンはミディアムのまま走り続けて1・2番手を形成する。22周目にはルクレールがピットインしフェルスタッペンとの差は5秒に縮まった。

31周目にトップのラッセルをルクレールがかわしてトップに立った。
39周目にフェルスタッペンは2度目のピットインをしてミディアムからミディアムにタイヤ・チェンジ。
ルクレールは即座に反応してピットインし、ハードタイヤに履き替える。
フェルスタッペンは41周目にハードタイヤが暖まらないルクレールをパスして3番手に浮上した。
フェルスタッペンはこの直後に360度スピンをしてルクレールに抜き返されるが、45周目に抜き返して3番手に復帰する。
この時点で、トップ。
ツーのサインツとハミルトンはまだピットに入っていないので、フェルスタッペンがついに実質的にのトップに立った!

ハミルトンが52周目まで引っ張ってミディアムに履き替えた。
ハードタイヤでペースの上がらないルクレールは54周目にラッセルにパスされ、たまらず55周目にソフトに変更したことにより大幅に後退した。
ハミルトンはソフトタイヤのアドバンテージを使ってサインツとラッセルを抜き、2番手にまで繰り上がったが、時すでに遅し、タイヤをマネージしながらトップを快走するフェルスタッペンには追いつけなかった。

今年のハンガリーGPはこれまでの常識と違い、向かい風のホームストレートエンドでDRSを使って抜く事ができた。
そのため、スタート位置が悪かったフェルスタッペンがトップまで上り詰める事ができた。
フェラーリは、フランスとハンガリーでルクレールが優勝しないとチャンピオンシップ争いに踏み止まれなかったのに、戦略の詰めが甘く、逆にフェルスタッペンの連勝を許してしまった。
レッドブルとメルセデスはチームとドライバーの総合力を発揮して、ベストの結果を引き出した。

次は、ベルギーGPだ。ベルギーGPの行われるスパ・フランコルシャンは、高速コースとしてその名が轟いている。
去年は、豪雨のため事実上決勝レースが行われず、予選結果どおりの順位でハーフポイントとなった。
今年は好天の下でのハイスピードレースを楽しみたいものだ。
フェラーリは、ベルギーGPから新型のエナジー・ストア(バッテリー)を投入する。
(PUのアップデートは今シーズンスタート前に締め切っているが、ESに限っては後半戦開始までは改良が許されている)。
ポーポージングによるドライバーの体への悪影響を抑えるための対策として、車体の上下動が一定の加速度の範囲に収まっているように規制される。
これに伴って、フロアの規定が一部緩和される。
フロア規定の変更によってメルセデスがベルギーでさらに進化を遂げるだろうか。
レッドブルは、車体の軽量化に着手している。
また、レッドブルはスパでタイヤテストも実施している。
ハンガリーGPを見ても解るようにコースに合わせた緻密なセッティングとタイヤ戦略が勝敗を決する。
フェルスタッペンの母の母国はベルギー人なので、今年も多くのオレンジ・アーミー(オランダ人のフェルスタッペンファン)がスパに詰めかけるだろう。

ベルギーGPは1位フェルスタッペン、2位ペレス、3位ルクレール、4位サインツ、5位ハミルトン、6位ラッセル、7位角田、8位アロンソ、9位ガスリー、10位ノリスかな。

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Formula One 2022(13)2022.07.29

フェルスタッペンは、ライバルであるルクレールがリタイヤしたことから、最後はクルージング状態で走り、フランスで今期7勝目を飾った。
ハミルトンが2位、ラッセルが3位でゴールし、メルセデス勢は久々に二人のドライバーが表彰台に立った。
フェルスタッペンは、フランスGPで優勝を果たしたことにより、チャンピオンシップ・ポイントを233まで伸ばし、今回リタイヤでノーポイントだったルクレールとの差を63に広げた。

金曜日のフリープラクティスから、フェラーリとレッドブルはほぼ互角の速さをみせていて激しいポールポジション争いが繰り広げられるであろうことが予想された。
レッドブルに関して言えば、フェルスタッペンとペレスのタイム差があるのが気にかかるところだ。
フェラーリ・サイドでは、ルクレールとサインツは同等の速さを示しているが、サインツは前戦のPU火災により新しいPUを積む必要が生じ、年間規定PU台数超過ペナルティでグリッドは最後列になる事が決まっている。
サインツと同様の理由でハースのマグネッセンも最後列スタートが決まった。

週末が始まる前は、ポールリカールのコースは長い直線があることからレッドブルが優位に立っていると見られていた。
しかし、フェラーリは、新しく投入したリアウイングが機能し、中低速コーナーだけでなく直線も速くなった。

予選が始まると、フェラーリ制覇レッドブル勢を凌ぐタイムで Q1と Q2を突破した。
最後尾グリッドのサインツは本来なら Q1だけを出走してセットアップのチェックをするだけのところを Q2にも出走してトップタイムで通過してQ3に進んだ。
これは、Q3でサインツがルクレールにトゥを与えて確実にポールポジションを獲らせるためだった。
サインツは、この役目を完璧にやってのけ、ルクレールはトップタイムをマークした。予選2番手はフェルスタッペン、3番手はペレスという結果になった。
4番手以下は、ハミルトン、ノリス、ラッセル、アロンソ、角田の順だった。
角田は、大幅なアプデートの施されたアルファタウリのセットアップを短時間で進め、久々に予選トップ10内に返り咲いた。

ルクレールは、決勝レースのスタートをクリーンに決めて、フェルスタッペンを従え1コーナーを抜けていった。
ハミルトンも好スタートを決めてペレスの前に出て3番手に進出した。
角田は2周目の2コーナーでオコンにぶつけられたことにより、フロアが大きなダメージを受け、18周目まで粘ったがリタイヤすることになった。

フェルスタッペンは、スタート直後からルクレールの1秒以内につけて、いつでも抜ける体制にあったが、なかなか前に出ることができないない。
このままで行くと前を走るルクレールの方がタイヤ温度が上がらず有利だ。
フェルスタッペンは、6周目と7周目にパッシングを試みるが成功しない。
15周目、フェルスタッペンは、まだ、ルクレールから2秒以内にいるが、ジリジリと離されている。
このままいけば手詰まりになるフェルスタッペンは、16周目を終わったところでにピットインし、ハードタイヤに交換してアンダーカットを狙う。
ルクレールは、速くピットインして呼応しないとアンダーカットされてしまう状況になった。

ルクレールは、ハイペースで迫るフェルスタッペンのプレッシャーを感じたのか18周目の11コーナーでコースアウト、クラッシュしてリタイヤとなってしまった。
ここでセフティカーが入り、タイヤ交換を済ませていない車が一斉にピットインしたことで、フェルスタッペンはトップに立った。
この時点でサインツは最後尾から9番手まで上がってきている。

21周目にセフテイカーが引っ込み、レースが再開された。
2番手に進出してフェルスタッペンとの差がなくなったたハミルトンが隙あらばとフェルスタッペンの背後から窺うが、むしろ、マシンの性能差から、少しづつ差は広がっていった。
22周めにサインツは5番手まで上がった。
30周目にはフェルスタッペンとハミルトンの差は4秒近くになった。
フェルスタペンは、他車より2周分古いタイヤを労わるため、ハミルトンとの差をこれ以上広げることよりもタイヤを最後まで持たせることに専念する。 
ハミルトンもフェルスタッペンを抜くことは諦め、むしろ3番手のペレスとの差を見ながらレースを進めるようになった。
これで、ほぼワンツーのフォーメーションは決まってしまった。

終盤になって、VSCが出た際の再スタート時に、VSC解除サインがマシン上のパネルに出なかった間隙をついてラッセルがペレスの前に出て3番手を奪った以外は、大きな波乱なくレースは終了した。
サインツは、見事な追い上げの結果、5位でゴールした。
ファーステストラップは、サインツが記録した。

ルクレールとフェラーリは勝てる可能性のあるグランプリを取りこぼしてしまった。
チャンピオンシップの行方を考えるとかなり痛い。メルセデスは、レッドブルとフェラーリにかなり近いパフォーマンスを示すようになった。
決勝のラップタイムであと0.2秒といったところだろうか。

次は、ハンガリーGPだ。
ハンガロリンクは、中速コーナーの連続で抜くことが難しいコースとして知られている。
フェラーリが有利なコースと考えられるが、レッドブルがダウンフォースのセッティングをうまくまとめてくると、互角になることも考えられる。
ハンガロリンクは今年のメルセデスにも適しているし、メルセデスはマシントラブルがないのが強みだ。
アロンソとハミルトンはハンガロリンクを得意としている。
クビサはFP1に出走するのだろうか?

ハンガリーGPは1位ルクレール、2位フェルスタッペン、3位ペレス、4位サインツ、5位ハミルトン、6位ラッセル、7位角田、8位アロンソ、9位ノリス、10位フェッテルかな。

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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉

Formula One 2022(12)2022.07.22

ルクレールが、オーストリアGPの長い週末を優勝で締め括った。
フェルスタッペンは決勝でルクレールの脅威となることはできず2番手でゴールして、チャンピオンシップのダメージをば最小限に留めた。
ハミルトン・メルセデスはレースを通じての総合力でフェラーリとレッドブルには及ばず、3位でレースを終えた。
フェルスタッペンとルクレールのチャンピオンシップ・ポイントの差は5ポイント縮まって38となった。
ルクレールは、マシントラブルやチームの作戦のせいでフェルスタッペンに引き離されていたが、ようやくすべてが噛み合って勝つ事ができた。
ここでルクレールが勝ったことによって、シーズン後半のチャンピオンシップ争いが面白くなってきた。

今年のオーストリアGPは、土曜日にスプリントレースがあるので、予選は金曜日の午後に行われる。
今回、フェラーリは好調で予選 Q1はルクレールがトップタイムを出したが Q3はフェルスタッペンがセクター1とセクター2のタイムを僅かに犠牲にしてセクター3のタイムを伸ばす頭脳的走りでポールポジションをゲットした。
とはいえ、2番手ルクレールとのタイム差は僅か0.029秒だった。
予選3番手以下はサインツ、ペレス、ラッセル、オコンが続いた。
ただし、ペレスはQ2のトラックリミット違反をQ3が終わってからとられたため、13番グリッドからのスタートとなった。

スプリントレースは、24周で争われる。
スタートで、ポールから飛び出したフェルスタッペンはフェラーリ2台を抑えて1コーナーを通過する。
フェルスタッペンは4周目までに2番手ルクレールとの差を2秒以上に拡げDRS圏外で首位を独走する。
ルクレールとサインツが2位争いをしているためににフェルスタッペンとのギャップが縮まらない。
サインツとの2位争いに決着を付けたルクレールはファーステストラップを連発してフェルスタッペンを追ったが、逃げ切られてしまった。
スプリントレースの1位はフェルスタッペン、2位ルクレール、3位サインツ、4位ラッセル、5位ペレスとなった。
ペレスは13番手スタートから5位まで追い上げたが、24周ではこれが精一杯だった。
フェルスタッペンはルクレールに勝ったが、タイヤが厳しかったのでルクレールにそれほど差つけられなかった。
フェラーリの方がタイヤには余裕があっったように見える。

決勝レースの1番グリッドからスタートしたフェルスタッペンは、スプリントレース同様、フェラーリの2台を従えて1コーナーを回るラッセルとペレスが4番手争いをして接触し、ペレスがコースアウトした。
フェルスタッペンはトップの座を守ろうと逃げるが、決勝ではフェラーリ同士の争いがなかったルクレールはフェルスタッペンから1秒以内をキープしながらいつでも抜ける状態で後につけている。
そして、ルクレールは、12周目にタイヤに苦しむフェルスタッペンを、あっさりと抜き去ってトップに立った。
フェルスタッペンは、13周を終えたところでピットインしてタイヤをミディアムからハードに交換し7番手まで後退する。
ハードタイヤに履き替えたフェルスタッペンは、8周目には3番手に復帰する。
26周目には、ルクレールとフェルスタッペンの差は14秒まで縮まった。
26周目が終わったところでルクレールがピットインフェルスタッペンの6.7秒後でコースに戻る。
2ストップしないといけないフェススタッペンはルクレールとの差を20秒以上広げないといけないが逆に差を詰められる。
ルクレールは33周目に難なくフェススタッペンを抜きトップに躍り出る。

フェルスタッペンは、37周目に2度目のピットインをして3番手に下がる。
ハミルトンはフェルスタッペンの6秒後まで迫っている。
この時点でフェルスタッペンはフェラーリの2台を追うよりハミルトンとの差を気にしなけらばならなくなった。
ルクレールは50周目を終わったところでピットインしてハードに履き替えるが、あっという間にフェルスタッペンに追い付き、53周目には難なくフェルスタッペンをオーバーテイクし、トップを独走し始める。
タイヤの劣化が激しいフェルスタッペンは、なす術がない。
57周目にフェルスタッペンまで1秒以内に狭ていたサインツのエンジンが火を噴いた。
これでフェラーリのワンツー・フィニッシュは無くなった。

60周目にはVSCが解除され、残り12周のスプリントレースとなった。
この時点でルクレールとフェルスタッペンとルクレールの差は4秒に縮まっていた。
この時点で、ルクレールの車にはスロットルペダルが戻らないというトラブルが出始めた。
スロットルにトラブルを抱えながら必死に逃げるルクレールをフェルスタッペンが使い古したハードタイヤで追う。
両者、死力を尽くした攻防の軍配はルクレールに上がった。
ルクレールはやっと勝てたが今回もマシントラブルに苦しめられた。
ハミルトンは、上位2車から大きく離されたが、予選で大破したマシンをしぶとく3位に導いた。

次は、フランスGPだ。
ポールリカールは、F1のテストにも使われるポールリカールはフラットで路面のスムースなコースだ。
空力マシンのレッドブルに適したコースだが、オール・ラウンダーのフェラーリは強いから油断はできない。
晴れならば気温が高くなりフェラーリはPUのトラブルが心配される。
アルピーヌ(特にルノースポールPUは)ホームレースとなる。ガスリーとオコンはフランス人なのでホームレースとなる。

フランスGPは1位フェルスタッペン、2位ルクレール、3位ペレス、4位ハミルトン、5位サインツ、6位ラッセル、7位オコン、8位アロンソ、9位シューマッハ、10位ガスリーかな。 

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Formula One 2022(11)2022.07.08

サインツが、ブリティシュGPで記念すべきF1初優勝を果たした。
2位には序盤の接触によって最後尾に交代してから追い上げたペレスが入った。
3位には、ホームコースで意地を見せたハミルトンが滑り込んだ。 
フロント・ウイング翼端板を損傷しながらも4位につけたルクレールは4位、序盤にデブリを拾ってフロアが壊れたフェルスタッペンは7位だったので、フェルスタッペンとルクレールのチャンピオンシップ・ポイントの差は6ポイント縮まって43となった。

カナダGPに続いてブリティシュGPの予選も雨となった。
英国は雨の多い土地柄なので雨の中レースをすることは珍しいことではない。
英国では自動車レースに限らず他のスポーツでも、雪で白いボールが見えなくなるとかいうことでもない限り、大概のことでは競技中止とはならない。
ここ数レースは結果的にレッドブルの優勝が続いていたから、予選が雨になることによって、番狂わせが出ることもあるし、予選と決勝の天気が変われば不確定要素が増えてレースとしては面白くなる。

予選開始時点でコースはウエット状態だったので全車インターミディエイト・タイヤを履いてのアタックとなった。
このような状況では、コースに留まって数周おきにアタックを繰り返すことが多い。
路面の乾き具合が刻々と変わるので、セッション中の変化する路面状態ごとにベストタイムを出しておかないといけない。
ベストな路面状態のタイムとそうでない時のタイム差が大きいからだ。
ドライの時のように一発タイムを出しておいてセッション終了間際にさらにタイムを上げれば良いという訳にはいかない。

予選Q1とQ2ではフェルスタッペンがトップタイムを出したが、 Q3は、誰かがアタックをする度に順位が目まぐるしく入れ替わる状態だっったが、サインツが最後にトップタイムをマークして、ポールポジションを獲得した。
2番手はフェルスタッペン、3番手はルクレールという結果だった。
4番手以降には、ペレス、ハミルトン、ノリス、アロンソが続いた。

決勝レースの天気は曇りとなったが、路面はドライ・コンディションだった。
シルバーストーンはサーキット舗装でタイヤに厳しいコースなのでスタート・タイヤをミディアムにするチームが多かった。
そんな中、予選でポールを取り損ったフェルスタッペンはソフトを選択した。
スタートの蹴り出しでサインツを抑えてトップに立ち、最初の10周ほどの間に引き離す戦略だ。
逆に、予選が8番手と振るわなかったラッセルは、ワンストップでアドバンテージを得るためかハード・スタートを選択した。

決勝のスタートでフェルスタッペンは作戦通り、スタート直後にサインツの鼻先を抑えてトップに立った。
ところが、後方で大事故が起こり、レースは赤旗中断となった。この事故で、ラッセル、ジョー、アルボンが走行不能となった。
特に、ジョーはマシンが上下逆さまの状態で滑っていってキャッチ・フェンス前の溝に落ちるという大クラッシュだったが、大きな怪我はなかった。

1周を終える前に赤旗となったことから、レースは当初のスターティンググリッドにもどしての再スタートとなった。
フェルスタッペンは今度はミディアムでスタートした。
再スタートはサインツがトップの座を守り、フェルスタッペン、ルクレール、ペレス、ノリス、ハミルトンが続く。
ルクレールとの接触でウイングにダメージを負ったペレスが6周目にピットインした。
ルクレールもフロントウイングの右翼端板を失っているがそのまま走り続けている。
フェルスタッペンのプレッシャーに負けたサインツが10周目にコースアウトし、トップの座を明け渡した。

11周目に7番手と8番手を走っていたガスリーと角田が接触して後退する。
ペースの遅いガスリーを抜こうとした角田にガスリーが道を開けなかったことによるものだ。
そして、トップを走っていたフェルスタッペンが12周目に突然スローダウンしたためにタイヤの問題かと思いピットインした。
(レース後、これは角田とガスリーが接触した際に出たデブリを拾いフロアの一部を損傷したことによるものだったと分かった)

これで、サインツはトップに返り咲き、続いてルクレール、ハミルトン、ノリス、アロンソという順になった。
フェルスタッペンは6番手でコースに復帰し、手負いのマシンで走り続ける。

20周目にはサインツがピットインしてハードタイヤに交換する。
サインツは3番手でコースに復帰する。
トップはルクレール、2.5秒後にはまでハミルトンが追っている。
フェルスタッペンは24周目にピットインしてハードタイヤに交換して8番手でコースに復帰する。
26周目にルクレールはハードに交換するが、ノーズ・ウイングは交換しないでピットアウトした。
ついに、ハミルトンがトップに立った。ハミルトンの後ろでは、フェラーリ同士の攻防が続き、31周目には、サインツがルクレールに2番手の座を譲った。

ハミルトンは34周目までミディアムで引っ張ってピットインし、ハードに変更したがフェラーリ勢の前に出ることはできない。
この間に、タイム差はあるもののペレスは5番手まで浮上してきた。
35周目にはノリスがタイヤ交換している間にペレスは4番手まで進出した。
39周目にオコンがコース上で車を止めたことによりセフティカーが出動しサインツ、ハミルトン、ペレスがソフトに交換した。
ルクレールはハードのまま走っている。
ペレスはセフティカーのおかげでハミルトンとの間にあった21秒のギャップが再スタート時にはほとんどなくなった。
43周目にセフティカーが引っ込むと、トップ4台による残り10周のスプリント・バトルとなった。
43周目から49周目に亘ってサインツ、ルクレール、ペレス、ハミルトン、アロンソ、ノリスによるまるでF3レースのような接近戦が繰り広げられた。
このバトルも50周目ごろまでには一段落し、サインツ、ペレス、ハミルトン、ルクレール、アロンソ、ノリスの順に落ち着き、そのまま、ゴールへなだれ込んでいった。
手負いのフェルスタッペンは、それでも迫り来るシューマッハを退けて7位でゴールした。
シューマッハはF1の初ポイントを獲得した。

メルセデスとハミルトンは自宅の庭のようなコースで見事に復活してみせた。
ハミルトンは本当にシルバーストーンで強い。メルセデスが優勝争いをするまでにはあと少しだ。
ペレスは、終盤のセフティカーに助けられた面もあるが、最後尾に落ちながら2位まで盛り返したのは見事だ。

次は、オーストリアGPだ。
オーストリアGPが開催されるレッドブルリンクは、いうまでもなくレッドブルのホームコースだ。
準高地にある一周4.3Kmのショート・コースで、コーナー数も少ないコースだ。
今年のオーストリアGPの週末は金曜日午後に予選、土曜日の午後にスプリントレース、日曜日の午後にグランプリ決勝レースが行われる。

オーストリアGPは1位フェルスタッペン、2位ペレス、3位ルクレール、4位ハミルトン、5位サインツ、6位ラッセル、7位角田、8位ノリス、9位アロンソ、10位ガスリーかな。 

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