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YUKICHI OTSUKA 大塚雄吉
F1 ウォッチャー
幼少期にF1に魅せられ、50年以上にわたって、日本製のF1が出ていなくても、日本人F1ドライバーがいなくても50年以上にわたってF1を見続けてきた、F1 ウォッチャー。

Formula One 2012(1)2012.03.16

いよいよ2012年シーズン開幕である。 
今年はチャンピオンシップをとったことのあるドライバーが6人も参戦する。
24人中6人だから4人に1人がチャンピオン経験者だ。

中でも注目株は、今年からF1に復帰するライコネンだ。
北欧のドライバーは氷と雪の上をドライビングするのが日常なおかげかどうかわからないが限界時のトラクションに対する感覚が優れているのではないだろうか。
北欧出身のドライバーはF1チーム、エンジンメーカー、ビッグ・スポンサーなどの後ろ盾なしに純粋に個人のドライビング・スキルだけでF1シートを得ている。
ライコネンはマシン・ディベロップメントがうまいというよりは感覚で乗れてしまうドライバーだから、シーズン最初から実力を発揮するかもしれない。

もう1人のカムバック・チャンピオンシューマッハは、今年チャンピオン争いができなかったら来年は2度目の引退となるだろう。

可夢偉は今年がF1フル参戦3年目だ。
今年かなりの結果を出さないと優勝を狙えるチームにいけず、定評はあるがチャンピオンにはなれないドライバーとして定着してしまうだろう。
バトンのように長年続けているうちにチャンスがめぐってくることもあるが。

チーム・マシンに目を移すとレッドブルとマクラーレンは昨年からの正常進化、フェラーリは、昨年手堅い設計のためパフォーマンス不足だった反省から今年は思い切った設計にしたという。
しかし、テスト後の様子を見るとどうもうまくいっていないようだ。

一方、今年のメルセデスはかなりパフォーマンスアップしておりレッドブルとマクラーレンに近い実力があるといわれている。
エンジンもメルセデスは最もパワフルだ。
F1の名門ブランド、ロータス(去年までのルノー、もっと前はベネトン、トールマン)が復活した。
今年のパフォーマンスは未知数だ。
中盤チームの中ではトロロッソとフォースインディアは昨年後半の好調を維持しているようだ。

ザウバーは今年からブロウン・ディフューザーが禁止されたのでブロウン・ディフューザーなしの空力ノウハウが他のチームよりあると信じたい。

名門ウイリアムスは体制を一新して巻き返しを図っている。
テールエンダー3チームの中ではカーターハムが中盤チームの仲間入りをしそうな勢いだ。
 
オーストラリアGPは年間20戦もある中の初戦だ。
ドライバーもマシンも最初の5戦程度の実力を占うことはできるだろうが状況はどんどん変わるだろう。
2010年からレギュレーションが厳しくなったおかげで、チーム間の実力はますます拮抗している。
一人勝ちは難しくなり最終戦までチャンピオン争いがもつれることは充分あるだろう。

アルバートパーク・サーキットは常用サーキットではないので路面のグリップができるまで時間がかかる。
今年のピレリタイヤに最も早く適応できるのは誰だろうか。
フェラーリはマシン劣勢が伝えられるがタイヤのスペシャリスト、元ブリジストンの浜島氏がついている。
レースが終わるまで目が離せない。

オーストラリアGPは1位バトン、2位ハミルトン、3位フェッテル、4位シューマッハ、5位アロンソ、6位ロスベルグ、7位可夢偉、8位ウエバー、9位ペレス、10位ライコネンかな。                2012 ©Yukichi Otsuka, All Rights Reserved

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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉
学会ネット株式会社 代表

Formula One 2011(16)2011.11.25

アブダビGPはいつものようにポール・ポジションからスタートしたフェッテル・レッドブルが1週目の第2コーナーで右リヤタイヤ突然パンクしてリタイヤした。
いかにフェッテルでもパンクには勝てない。
このチャンスをしっかり掴み取って優勝したのはハミルトンだった。
もっとも、フェラーリに乗るアロンソに対してはマシンアドバンテージがあるし、同じマシンに乗るバトンはKARSのトラブルを抱えていたので脅威にはならなかった。
そして、ここアブダビでも元チャンピオン3人が表彰台に登った。
どうしてもタイヤを早目に消耗してしまうウエバーがもう少しうまくやってくれたらレースは面白くなったのだが、タイヤ交換が1回多いウエバーはマッサと争って4位を奪うのが精一杯だった。
6位、7位にはメルセデスのロスベルグとシューマッハが入った。
ここまでは充当にトップ4チームが占めたがポイント圏内残り3スポットを得るための争いは熾烈だった。
結局、フォースインディアの2台とザウバーの可夢偉がポイントを得た。
可夢偉は後3周あれば9位に滑り込めたかもしれない。
シーズン前半速かったルノー(ロータス)・ザウバーと後半速くなったフォースインディア・トロロッソは立場が逆転してしまった。
フォース・インディアはマクラーレンから駆動系システムの供給を受けている。
トロ・ロッソはレッドブルからエアロ・ダイナミックスのノウハウを得ている。
そのおかげで両チームはより狭い領域の技術課題に専念できるのだ。
これは供給側のチームにもメリットをもたらしている。
シーズン中の実車テストが禁止されている近年のF1ではレース・ウィークの3日間のデータは貴重である。
供給元のチームは供給先のチームのデータも手に入れて分析することが可能になる。
いくらルールで縛っても情報化の発達した現代ではいくらでも見えない抜け道がある。
いっそのこと、1950-60年代のようにマシンを自作しなくても他のチームからF1マシンを買えるようにしてもいいのではないだろうか。
英国のチームでロブ・ウォーカー・レーシングというチームがあった。
当時、クーパー、ブラバム、ロータスなどからF1マシンを買って走らせていた。
何度も優勝している強力なプライベートチームだった。

ようやく、最終戦ブラジルGPだ。
年間19戦もあると本当に長く感じる。
ホセ・カルロス・パーチェのコースは左回りでホームストレートが一番高い位置にあり最終コーナーを左回りで駆け上り、ホームストレート・エンドは下り坂で1コーナーの後がS字になっている。
ストレート・エンドではブレーキング競争によるパッシングが見られる。
ただし、あまり無理をして1コーナーで抜くとS字ではらんだところをクロスで抜き返される。
今年はバック・ストレートがDRSゾーンになっているからここでもパッシングが見られるだろう。
サンパウロの天気は不安定だ。
予報は曇りだがレース中に雨が降ってくれると面白くなる。

ブラジルGPは1位バトン、2位フェッテル、3位アロンソ、4位可夢偉、5位マッサ、6位シューマッハ、7位ロスベルグ、8位スーティル、9位ブエミ、10位バリチェロかな。

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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉
学会ネット株式会社 代表

Formula One 2011(15)2011.11.11

インドGPはフェッテル・レッドブルの圧勝に終わった。
今シーズンを象徴するようなレースだった。
フェッテルは、ポールポジション、全周回1位、ファーステストラップのパーフェクトウィンだ。
2位のバトンと3位のアロンソはまったく歯が立たなかった。

初めてのコースと未知のコンディションでは本当に強いドライバーが実力を発揮する。
チャンピオン経験者のフェッテル、バトン、アロンソ、シューマッハがチャンピオン・ドライバーの力をみせてくれた。
ハミルトンはマッサにここ数レースの仕返しをされてレースを棒に振ったが。

アロンソはさすがというべきで、普通なら5位が順当というマシンできっちり3位に食い込んだ。
シューマッハは初コースということもあり練習走行からいろんなコーナリング・ラインを試していた。
チャンピオン7回の経験もフルに使ったシューマッハはロスベルグより前でゴールした。
シューマッハはかつての圧倒的な速さが印象に残っているだけに復帰してからのパフォーマンスについて色々言われていたが、メルセデスが来年速くなればまたもやシューマッハがチャンピオン争いに加わるということがあるかもしれない。

さて、次は年初の政情不安から中止になったバレーンGPと同じ中東にありながら、予定通り開催されるアブダビGPだ。
去年は最終戦でチャンピオンシップがかかったレースだったが、今年はそのような緊迫した雰囲気はない。
ホーム・チームもホーム・ドライバーもいないから、ドライバーたちは与えられたマシンからベスト・パフォーマンスを引き出せるようセットアップし、レース中はコンディションの変化に合わせて最高のドライビングをするだけだ。
ドライバーズ・レースを楽しむためにピットとの通信禁止、サインボードのみというレースが年1回ぐらいあってもいいのではないか?
チャンピオンもチャンピオン・チームも決まっていることだし。

アブダビGPは1位フェッテル、2位ハミルトン、3位アロンソ、4位バトン、5位ウエバー、6位アルグエルスアリ、7位シューマッハ、8位ロスベルグ、9位マッサ、10位ディレスタかな。

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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉
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Formula One 2011(14)2011.10.28

日本GPでチャンピオンが決まったので、コリアGPでは各チームの戦い方が変わってしまった。
上位チームでいまだに手綱を緩めていないのはマクラーレンぐらいのものだ。
マクラーレンはまだ、残りのGPをひとつでも多く勝とうとしている。
日本GPでのマシン・パフォーマンスを考えれば十分可能ではある。
案の定、コリアGP予選では今シーズン初めてマクラーレンのハミルトンが0.222秒差でポールポジションをとった。
これで、マクラーレンの連続優勝かと思った人も多かっただろうが、終わってみるとチャンピオン=フェッテルの強さが目立ったレースとなった。
予選でポールこそ逃したが、レースではチャンピオンの速さと強さを見せ付けてフェッテルが優勝してしまった。
フェッテルはジュニア・チームのトロロッソのマシンで上位に食い込んで実力を認められてからレッドブルに乗れるようになった。
ハミルトンは最初からマクラーレンで育てられ、ルーキーなのにトップチームのマクラーレンからデビューした。

フェッテルやアロンソはマシンの不利をある程度までならドライバーの腕で跳ね返すだけの実力を持っている。
そのアロンソはレース終盤に5位で4位のバトンを追い上げていたが「アイ・ギブ・アップ」といって追撃をやめてしまった。
一瞬、バトンを油断させるためのアロンソの策略かとも思わせたがそのまま5位でゴールした。
フェラーリは、イタリアGP終了後は来シーズン準備モードに入っており、コリアGPにも2012年仕様のフロントウイングを持ち込んでレースでテストしていた。
フェラーリは2012年マシンをチャンピオンの取れるマシンに仕立て上げることを今年の残りのレースで上位に入ることよりも優先している。
王者レッドブルも、チーフのエイドリアン・ニューイはコリアGPには姿を見せず2012年マシンの開発に没頭している。
2012年シーズンはもう始まっているのだ。

2011年のGPを見たいなら、中盤の3チームに注目するしかない。シーズン前半、調子の良かったザウバーはブロウン・ディフューザ禁止を真に受けて開発をとめてしまってから苦しくなった。
代わりに絶好調となったのがトロロッソとフォースインディアだ。
ザウバーはおろかルノー(ロータス)やメルセデスの一部を食ってしまうほど速くなった。

次は、今年が初開催のインドGPだ。
コース建設の遅れ、関税、入国審査の件などでもめていたが何とか開催されることになった。
フォースインディアはコリアGPのあと資本増強を発表したりして、並々ならぬ意気込みが感じられる。
そういえば、ホンダも全盛期には日本GP専用の鈴鹿スペシャルなどというエンジンを作ったりしていたなあ。
ニューデリー・サーキットは長い直線をコーナーでつないだ部分とコーナーが連続する部分からなるコースだ。
全チーム初めてだが、シミュレーション能力に優れるマクラーレンは有利だろう。
ハミルトンは今度こそ優勝したい。フェッテルはコリアGP同様、自力で優勝を狙うだろう。
予報は晴れだが、可夢偉は何とかマシンの不利を跳ね返してほしい。

インドGPは1位ハミルトン、2位フェッテル、3位バトン、4位ウエバー、5位アロンソ、6位マッサ、7位デレスタ、8位ロスベルグ、9位アルグエルスアリ、10位可夢偉かな。
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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉
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Formula One 2011(13)2011.10.14

日本GPは、優勝のバトンから3位のフェッテルまでわずか2.0秒という接戦だった。
アロンソはレース強さを見せて予選結果からは望外の2位に入った。
上位3人がワールドチャンピオンというのも今年のF1シーズンを象徴しているようで面白い。
バトンは金曜日の練習走行から週末を通じて今年の鈴鹿では最速であることを見せつけていた。
天候の変化が激しいレースでバトンは強いとの印象があるが、正確に言えばバトンのドライビングは非常に繊細でジェントルなので、マシン、タイヤ、路面、天候の変化に柔軟に対応できて、その時々のコンディションの組み合わせに最も適したドライビングができるということだ。
パッシング・シーンを見ても強引に抜くということはなく自分が有利なコーナーで条件が整ったときにきれいに抜いていく。
バトンが晴れのレースでも速いことは今年のモナコを見てもわかる。カナダやハンガリーのような気候でなくても速いのだ。
そして、久々にここ鈴鹿でチャンピオンが決まった。
フェッテルはF1の最年少記録をすべて塗り替えているが、今年は去年のようなナイーブさは感じられない。
鈴鹿で優勝してチャンピオンが決められなかったのがとっても悔しかったように見えた。

予選のインプレッシブ3をあげるなら、フェッテル、可夢偉、マッサだろうか。
フェッテルは明らかに最速であるバトンに対してパフォーマンスの劣る(イギリスGP時点ではレッドブルに対してこのような言葉が使えると誰が想像しただろうか!)レッドブルでスーパーラップを決め1000分の9秒差でポールポジションをもぎ取った。
可夢偉はマクラーレンでさえDRSを閉じて回る130RをQ2でDRS開けっ放しで周り専門家の予想タイムを1秒近く上回るラップタイムをたたき出して見せた。
今年は、アロンソのサポート役をさせられているためにレースで結果の残せないマッサは高速コースでは速いところを見せて予選でアロンソの前に出た。

日本GPからわずか一週間置いてコリアGPだ。
昨年はコースが出来上がったのが予選直前で舗装がはがれていたり、スタート時間と雨のせいでゴール時には日没が迫っていた。
今年は路面も仕上がっているだろうし、天気予報も晴れなのでまともなレースが期待できる。
昨年はトップを走っていたフェッテルが終盤突然エンジンブローでリタイアしたためアロンソが勝ちを拾い、チャンピオンシップに望みをつないだ。
今年は、道具がいいと速いハミルトンが冷静さを保てれば強いかもしれない。
絶好調のバトンとアロンソも侮れない。チャンピオンの決まったフェッテルはモチベーションを維持できるだろうか?
可夢偉はイギリスGP以来不運が続いているが、逆にモナコの時は運が良かった部分もある。

コリアGPは1位ハミルトン、2位バトン、3位アロンソ、4位フェッテル、5位ウエバー、6位マッサ、7位シューマッハ、8位ロスベルグ、9位可夢偉、10位ペレスかな。

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