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YUKICHI OTSUKA 大塚雄吉
F1 ウォッチャー
幼少期にF1に魅せられ、50年以上にわたって、日本製のF1が出ていなくても、日本人F1ドライバーがいなくても50年以上にわたってF1を見続けてきた、F1 ウォッチャー。

Formula One 2011(12)2011.10.07

シンガポールGPのマリーナ・ベイ・サーキットはストリート・コースなのでマシンの差があってもある程度ドライバーの腕でカバーできる部分があるし、事故も起こりやすいのでセフティーカーが入れば差が縮まって再スタートのときに仕掛けることができる。
練習走行からアロンソはここでなんとかしようと力の限りを尽くしていた。
しかし、アロンソがベストラップだったと自賛したタイムをもってしてもフェッテルから0.5秒近く離され予選5位に終わった。
決勝でレッドブルのマシンにトラブルでも起こらない限りひっくり返すのは難しい状況だった。
決勝のスタートでは、バトンが2番手、アロンソが3番手にジャンプ・アップしてすこし期待を持たせたが、フェッテルは序盤1周に1秒のペースでリードを広げ、レース中盤にセフティカーが入っても関係なく、終わってみればフェッテルとレッドブルはいつものように優勝していた。
バトンが終盤追い上げたものの2位、ウエバー3位、アロンソは4位に入るのがやっとだった。

いよいよ、鈴鹿・日本GPだ。
高速コースでありながらテクニカルなコースでもある鈴鹿は最も好きなコースだというF1ドライバーも多い。
昨年は土曜日が大雨で予選は日曜の午前に行われた。
昨年、決勝のヘアピンで可夢偉が5回もパッシングしたのには興奮した。

鈴鹿は低速コーナーと高速部分のバランスを取るのが難しいコースだといわれている。
今年は、テクニカルゾーンでのトラクションを得るために例年よりウイングを立て気味にしてDRSを使って直線スピードを稼ぐことも出来る。
(決勝では前の車の1秒以内でないと使えないが)。
鈴鹿のDRSゾーンはホームストレートに設定されたが、前車との差を検知するのが130R直後だから300Kmの高速で回る場所で前車から1秒以内に詰めていないといけない。
130Rの突っ込みで無理をするドライバーが出てきそうだ。
特にルーキードライバーは要注意だ。
また、DRSゾーン終わるストレートエンドで外側から抜きを賭けるシーン(かつて中嶋が得意としたパッシング)が今年は多く見られるかもしれない。今や優勝して評価を取り戻すしか無いハミルトンあたりは好んでやりそうだ。

今年の鈴鹿は晴れそうだからマシンの性能が結果に直結するが、マクラーレンの調子が良さそうなのでレッドブル一辺倒にはならないかもしれない。
可夢偉にはホームレースなので頑張って欲しいが別に鈴鹿でなくてもいいから不確定要素の多くなったレースで早く1勝して欲しい。
そうすればスポンサーも増えるし、いいマシンにも乗れるようになる。

日本GPは1位バトン、2位フェッテル、3位ハミルトン、4位アロンソ、5位ウエバー、6位マッサ、7位シューマッハ、8位ロスベルグ、9位可夢偉、10位アルグエルスアリかな。

2011 ©Yukichi Otsuka, All Rights Reserved

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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉
学会ネット株式会社 代表

Formula One 2011(11)2011.09.22

イタリアGPでのフェッテルとレッドブルはベルギーGPよりもさらに進化した戦い方を見せてくれた。
レッドブルにとってボギー・サーキットといわれる最も不得意なモンツァで直線の最高速を犠牲にしてもコーナーからの立ち上がり加速を重視したセッティングを採用し、最高速は最も遅い部類に入るのにラップタイムは最も速いという意表を突く作戦に出たのだ。
もっともこの作戦はレッドブルのマシンとフェッテルの腕があって初めて可能な作戦なのだが。
この作戦を成功させるためには予選でポールポジションを取る必要がある。
フェッテルはそれをきっちりとやってのけた。

これで、決勝のスタートを決めて逃げ切れればいいのだが、非力なKERSを持つレッドブルではそうはうまくはいかず、スペインGPの時と同じように見事なスタートを決めたアロンソに先を越された。
しかし、スペインの時ほどアロンソのリードは長くは持たなかった。
1周目の多重クラッシュでセフティカーが出たために、リスタートでタイヤの温まりのよいレッドブルに置いていかれたのだ。
この後は、輝きを取り戻しつつあるシューマッハを抜くのにてこずったハミルトンと見事なシューマッハ抜きを見せたバトンがフェッテルを追ったが、フェッテルはすでにはるか先を行っており終盤にはクルージングする余裕を見せて圧勝してしまった。
最も不利だといわれたコースで圧勝したフェッテルのチャンピオンはここで決まったも同然だ。
フェラーリは今シーズンのマシンの開発はこれで終了らしい。
それでも、F1は進んでいく、レッドブルもマクラーレンも決して手は緩めない。

次は、シンガポールGP、トラクションの低いストリート・コースでのナイト・レースだ。
夜の観光はシンガポールの売り物だ。
F1の前から夜の動物園(ナイト・サファリ)があるぐらいだし、今一番の名所になっているサンズ(3本の高層ビルの上に船の形をしたプールと展望デッキが乗っかっている)も夜見たほうが美しい。
実はサンズからF1コースの一部が見下ろせる。
シンガポールよりも日本のほうがはるかに見所が多いと思うのだが、観光客数はシンガポールのほうが多い。
俗物的なエンターテイメントに引かれる人のほうが多いのだろうか?
もっとも、関心のない人たちにとってはF1もその部類に入るかもしれない。

ところで、シンガポールのマリーナベイ・サーキットはアロンソが得意とするコースだ。
アロンソは去年の練習走行でもエスケープゾーンにオーバーランして限界をチェックしていた。
トラクションの低い直角コーナーではとても重要な確認事項だ。
ストリート・コースではこのちょっとした違いが決勝で競ることになったときに効いてくるし、マシンの不利を補うことができるのだ。

シンガポールGPは1位アロンソ、2位フェッテル、3位バトン、4位ハミルトン、5位ウエバー、6位マッサ、7位ロスベルグ、8位可夢偉、9位シューマッハ、10位ブエミかな。

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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉
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Formula One 2011(10)2011.09.09

毎年、気まぐれに動くスパ・ウエザーが今年は決勝よりも予選を翻弄した。
特にバトンはピットの判断ミスのおかげで最後の1週を走らなかったためタイムが出せず13番グリッドからのスタートになってしまった。
これがなかったらバトンは決勝で優勝争いができていたかもしれない。
フェッテルは見事なドライビングでポールを取った。

決勝もフェッテルの完勝というべきレースとなった。
イギリス2位、ドイツ4位、ハンガリー2位と、ここ3レース優勝のなかったフェッテルが自分の力で表彰台の中央に戻ってきた。
マクラーレンに追いつかれ若干先をいかれた感の出ていたレッドブルのマシンも対策を施していた。
なんと極端なネガティブ・キャンバー(ネガ・キャン)をタイヤにつけていたのだ。
(前から見るとタイヤが地面に直角でなくハの時に傾いている)
レッドブルのことだから車体下に導く空気の量を増やすためにやっているのだろうか。
同様に車体後部をかなり持ち上げ尻上がりのセッティングにしている。
これも車体下部から後部に抜ける空気の量を増やそうとしているのだろう。
おかげでレッドブルのリヤ・ウイングは他車に比べてかなり小さくて寝ている。
十分なダウン・フォースを車体で確保しているのだ。
レッドブルは極端なネガ・キャンのためにタイヤの内側にブリスターが発生していた。
フェッテルはブリスターがすぐに発生するネガ・キャン・セッティングのマシンとタイヤをうまくマネジメントして優勝したのだ。
チームとドライバーが一体となって勝ったのだ。
もっとも、レッドブルが新しいことをやってアドバンテージを得ると間髪をいれずに規制する今年のFIAは、早速、次のイタリアグランプリからネガ・キャンの角度規制をやるらしい。
さあ、レッドブルの次の一手はなんだろうか?

F1ヨーロッパラウンド最終戦イタリアGPは伝統の高速コース、モンツァで戦われる。
ベルギーGPで、抜いた可夢偉が背後にいるとは思わずクラッシュ・リタイヤしてチャンピオンシップでは絶望的になったハミルトンは、これからひとつひとつのGPレースを勝ちにくるだろう。
アロンソはフェラーリの地元で勝ちたいだろう。
去年、高速コースのモンツァでリア・ウイングを立てて速く走ったバトンは今年どんな手を使うだろう。
チャンピオンシップの行方が見えても、F1は一戦一戦が面白い。

イタリアGPは、1位ハミルトン、2位バトン、3位フェッテル、4位アロンソ、5位ウエバー、6位マッサ、7位シューマッハ、8位ロスベルク、9位デ・レスタ、10位ペレスかな。

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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉
学会ネット株式会社 代表

Formula One 2011(9)2011.08.26

ハンガリーGPはバトンの200レース目優勝という劇的な結果となった。
バトンがホンダで初優勝したのもここハンガリーでその時も猫の目天気であった。
バトンのドライビングは指先でハンドルを握っているとたとえられるぐらい繊細なので路面状況とタイヤ・コンディションの変化にきめ細かに対応できるのだ。
ここまでの3レース続いて不運だったが、見事に吹き飛ばした感じだ。

フェッテルは2位にアロンソは3位に入った。
4位ハミルトンと5位ウエバーは終盤少し路面が濡れたときにインターミディエイトに履き替えるギャンブルをしたために表彰台を逃した。

それにしても、ドイツGP以来のマクラーレンの速さには目を見張るものがある。
前半のレースでは予選で圧倒的に速いレッドブルが決勝で逃げ切るというパターンが定着していた。
しかし、ドイツGPあたりからマシン・ドライバーともに決勝でのパフォーマンスはマクラーレンに負けている印象がある。
一説によるとマクラーレンにいる元ブリジストンのタイヤ・エンジニアがピレリタイヤの特性をつかみうまい使い方を考え出したからだとも言われている。
ロータス(ルノー)にも日本人エンジニアがいる。日本人にも個人としてF1の中で通用する人材がいてF1界で定着している。

ハンガリーGPから4週間の夏休みを経てベルギーGPだ。
シューマッハは20年前のベルギーでジョーダンからF1デビューを果たした。
そしてシューマッハのF1初優勝も92年のベルギーGPだった。
今年のベルギーGPのもうひとつの話題はルノーがついにハイドフェルドの代わりにブルーノ・セナを出場させることだ。
ブルーノは昨年あまりに遅いマシンに乗っていたのでドライバーとしての真価はわからない。
偉大なる叔父、故アイルトン・セナに匹敵する才能を持っているのだろうか?? 

スパで速いと予想されるマシンはマクラーレン、フェラーリ、レッドブル、メルセデス、フォースインディアだ。
高速コースが得意なドライバーというとハミルトン、マッサ、フェッテル、シューマッハ、デ・レスタ、可夢偉あたりだろう。
ベルギーGPの行われるスパ・フランコルシャンは高速サーキットでエンジンと空力の良いマシンに有利なサーキットだが、スパ・ウエザーといわれる変化の激しい天候が不確定要素となり多くのドラマを生んできた。

ベルギーGPは晴れなら、1位ハミルトン、2位マッサ、3位フェッテル、4位アロンソ、5位シューマッハ、6位ウエバー、7位バトン、8位ロスベルク、9位デ・レスタ、10位可夢偉かな。晴れたり降ったりなら、バトン、フェッテル、スーティル、可夢偉画もう少し上に来るだろう。

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Formula One 2011(8)2011.07.29

ドイツGPはレースごとにドライバーとマシンのパフォーマンスの組み合わせで何が起こるかわからないということをみせてくれた。
イギリスGP限りとなった厳しいブロウン・ディフューザ規制が緩和されたので誰もがレッドブルの優位は揺るがないと考えていた。
母国GPで散々な結果だったマクラーレンは、ここドイツでも難しいだろうと思われていた。
ドライバーもハミルトンはモナコGPあたりから無理をして前へ出る悪い面ばかりが目立っていた。
ところが、ドイツGPではマクラーレン・ハミルトンともにはまっていた。
ハミルトンは見事なドライビングで予選2位・フロントローをとり、スタートでもたつくウエバーのレッドブルの前に立ってからはベストラップを更新し続け見事な優勝を飾った。
今回は、とにかく前へ出る、誰よりも速く走りたいというハミルトンのいい面が全て出たレースだった。
トップドライバーでもマシンの調子が変わるとこうも変わるのかと思わされる。対照的だったのはフェッテルだ。前半戦ではポールポジションは指定席、優勝さえ指定席かと思わせる勢いだったが、ここドイツGPでは精彩を欠いていた。
ホーム・グランプリなのに今年初めて表彰台を逃した。
アロンソはイギリスGPほどのアドバンテージが無いフェラーリでしぶとく2位に入った。
母国グランプリのスーティルは見事6位に入った。

可夢偉はオープニングラップで5台抜いて12位まで上がった。
その後、序盤でウイリアムズ2台を抜きシューマッハを抜こうと何度もトライしたが、メルセデスとザウバーの直線スピードに差がありすぎてDRSを使っても抜くことが出来ず9位でフィニッシュした。
イギリスGPのパフォーマンスからすればザウバーと可夢偉はここドイツでもいけると思っていたはずである。
ところが、走ってみると直線は遅いしコーナーでも挙動が安定せず予選Q1通過も危うい状態だった。
事実、ペレスは何とかQ2に進んだが可夢偉はQ1落ちしてしまった。
そのマシンを決勝9位フィニッシュまで持ってくるのは至難の技だ。
絶妙なタイヤ交換のタイミングとドライバーの技量があっての結果だ。

4日置いて、ハンガリーGPだ。ここは抜き場所の無いサーキットで予選順位がとても重要だといわれている。
とはいえ、去年、可夢偉は23番手スタートで9位に入っているからあながちそうではないのかもしれない。
今年はDRSもあるしこれまでとはすこし違ったレースが見られそうだ。
ここ3レースマシン・トラブル続きのバトン、このままだと来年のシートがないハイドフェルド、今年まだ優勝が無いウエバー、サポート役に定着しつつあるマッサ、そして、ポールから出ないと勝てない?を消さないといけないフェッテルはハンガリーGPでがんばるだろうから注目だ。
レッドブルのニューウィもマシンのパフォーマンスをこのままにはしておかないだろうし。

ハンガリーGPは晴れなら、1位フェッテル、2位アロンソ、3位ウエバー、4位バトン、5位ハミルトン、6位マッサ、7位ロスベルク、8位可夢偉、9位シューマッハ、10位ハイドフェルドかな。

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