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YUKICHI OTSUKA 大塚雄吉
F1 ウォッチャー
幼少期にF1に魅せられ、50年以上にわたって、日本製のF1が出ていなくても、日本人F1ドライバーがいなくても50年以上にわたってF1を見続けてきた、F1 ウォッチャー。

Formula One 2012(16)2012.10.12

日本GPの1種目1・2コーナーでチャンピオンシップが一瞬にして振り出しに戻った。
フェッテルがシンガポールGPに続く今期3勝目を上げ、アロンソはまさかのもらい事故でノーポイントに終わったため、ポイント差は4となった。
2位にはマッサ、3位には可夢偉が入った。
表彰台の3人が乗っていたマシン、レッドブル、フェラーリ、ザウバーは金曜日のフリー走行ではセッティングが決まらず格闘していたマシンばかりだ。
それが土曜日の朝には3台ともまるで違うマシンであるかのようなパフォーマンスを見せた。
逆に4・5位に入ったマクラーレンは金曜日の圧倒的なアドバンテージを土曜日に維持することができなかった。
しかも、予選10位以内に入ったために決勝を予選セッティングで戦わざるを得なくなった。

可夢偉は、鈴鹿で表彰台にあがるために必要なピースをひとつずつ集め一歩ずつ駒を前に進めることによって見事に目標を達成した。
まず、予選で4番手タイムを出して決勝で3番グリッドについた。
この予選4番手もイエローフラッグの出たスプーンでの冷静さがなかったら確保できなかった。
チームは、スタート時のクラッチミート・マッピングを慎重に調整しスタートに備えていた。
スタートではグリップのいい奇数列スタートの優位を生かしてよいスタートを切った後、右に振ってウエバーの出鼻を押さえ、すぐに左に振り替えしてグリップのいいアウト側から2位で1コーナーに侵入した。
このスタートから1コーナーまでの動きがなかったら、今回もベルギーのような結果になっていたかもしれない。
可夢偉に抜かれたウエバーはグロージャンに追突され上位でフィニッシュするチャンスを失ってしまった。
決勝レースでもよく3位に踏みとどまったものだ。
予選Q1でのザウバーがハードタイヤハードを履いたときのパフォーマンスを見ていると予選上位に入ったとしても決勝は苦しくなることは予想された。
予選Q3までいくと決勝ではQ3で使ったソフト+ハード+ハードで走らない限り2ストップで走りきれないからだ。
鈴鹿ではハードタイヤでのパフォーマンスがソフトタイヤほど良くなかったザウバーで決勝の大半を戦うのはきつかったはずだ。

バトンは中盤でギヤボックスセンサーの不調があったのによく追い上げた。
フェラーリはもともと決勝に強いセッティングだが、マッサのタイヤが予想外に長持ちしたのは鈴鹿の路面を知り尽くす元ブリジストン現フェラーリ浜島氏のタイヤ・セッティング・マジックがあったのかもしれない。

コリアGPのタイヤはスーパーソフトとソフトの組み合わせになる。
コースは一般道舗装でツイステイなのでグリップのいいマシンにとって有利だ。
近年、空力的ダウン・フォースだけでなくメカニカル・グリップもいいレッドブルはこのコースで速いはずだ。 
ザウバーはシンガポールGPの内容から見るとコリアGPではポイント獲得が目標だろう。

コリアGPは1位フェッテル、2位ウエバー、3位ハミルトン、4位アロンソ、5位バトン、6位ライコネン、7位可夢偉、8位マルドナド、9位ペレス、10位ロスベルグかな。

2012 ©Yukichi Otsuka, All Rights Reserved

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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉
学会ネット株式会社 代表

Formula One 2012(15)2012.10.05

シンガポールGPではフェッテルが今期2勝目をあげた。
2位にはバトン、3位にはアロンソが入った。

本来ならばハミルトンが優勝していたところだが、ギヤボックス・トラブルでリタイヤしてしまったためノーポイントに終わった。
ヨーロッパGPではフェッテルにも同じようなことが起こったからハミルトンだけがアン・ラッキーなわけではない。
これでチャンピオンシップはアロンソとフェッテルの一騎打ちになったといってよいだろう。
アロンソとフェッテルのポイント差は残り6戦で29だ。
フェラーリもレッドブルも今年はコース上最速のマシンではない。

マクラーレンの二人はチャンピオンシップレースから遠ざかってしまったし、ロータスはダブル・DRSへのアップデートに失敗し開発の方向を見失っている。
ポイント圏内完走率の高さ、圧倒的に不利な状況を覆して優勝する力、6戦残してのポイント差から見てアロンソが優位に立っていることは間違いない。
フェッテルがアロンソを逆転するためにはレッドブル・マシンの大幅パフォーマンス・アップが必要だ。
フェッテルは、残り6戦中3戦に優勝してその他の3戦には必ずアロンソの前でゴールするぐらいでないとチャンピオンの座を守れない。
アロンソ相手に今年のレッドブル・マシンでこれを達成するのはなかなか難しい仕事ではある。

日本GPを前にして重要な移籍のニュースが舞い込んだ。
マクラーレンの秘蔵っ子ハミルトンが来シーズンからメルセデスに乗ることが発表されたのだ。
ロスベルクは残留するのでシューマッハはメルセデスのシートを失うことになる。
ドイツ人としてメルセデスをチャンピオンチームにするためにカムバックしたシューマッハは、メルセデス以外のF1に乗ることに意味はなく二度目のF1引退を決断した。
ハミルトンの移籍の理由は2014年から導入される予定の新エンジン規定下でメルセデス・エンジンによる優位性を得るためといわれている。
しかし、今になって現行エンジン規定のままで行こうという話が最高権威あたりから持ちあがっている。
ハミルトンが去って空くことになったマクラーレンのプレミアム・シートにはザウバーで中盤からスタートして今年3回も表彰台に上ったペレスが座ることになった。

もうひとつのプレミアム・シートであるフェラーリのセコンド・シートの主はまだ決まっていない。
可夢偉は、来年F1ドライバーとして飛躍するかシートを失うかの瀬戸際にいる。可夢偉の来年は鈴鹿の結果次第といっても過言ではない。
日本GPのタイヤはソフトとハードの組み合わせになる。
鈴鹿はサーキット舗装なのでグリップはいいがタイヤの減りは早いのでタイヤ戦略はとても重要だ。
今年の鈴鹿はドライ・コンディションが予想されている。
西コースは新舗装になので新しいライン取りが見られるかもしれない。
昨年の覇者バトンはシンガポールでハミルトンをリタイヤに追い込んだギヤボックスを交換して鈴鹿に挑むため決勝は5グリッド・ダウンのスタートとなる。
ハミルトンは残りレース全勝を狙ってくる。 
可夢偉はここ鈴鹿で優勝するしかない。

日本GPは1位可夢偉、2位ハミルトン、3位フェッテル、4位バトン、5位シューマッハ、6位アロンソ、7位ライコネン、8位ロスベルグ、9位マッサ、10位ディレスタかな。

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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉
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Formula One 2012(14)2012.09.21

イタリアGPではハミルトンが3勝目を飾った。
ペレスは予選12番手からタイヤを見事にマネージしながら追い上げ、コース外に押しやられてマシン・パフォーマンスの落ちたアロンソをかわして2位に入った。
フェラーリにとっては残念な結果のホームGPだった。
これでチャンピオンシップはがぜん面白くなってきた。
アロンソとハミルトンの差は37ポイントしかない。ド
イツGP以来、明らかにマクラーレンがマシン性能とセットアップ力で他のチームより頭ひとつ出ていることが証明された。
フェラーリはまだまだパフォーマンス・アップが足りない。
シーズン中にエンジンの基本仕様を変更できないルールのためにエンジン・パフォーマンスでメルセデスを逆転するのは難しい。
そうなると、空力とシャシー面の向上を図るしかない。

レッドブルはエンジン・オルタネタ関係の対策にルノーがてこずっているために勝てるレースを落としている。
レース中にKERSが使えなくなってパフォーマンスダウンしたりもしている。
今年のレッドブルは昨年までのような明確な空力アドバンテージを持っていない。
レッドブルと同じルノー・エンジンを積むロータスもレッドブルと同じエンジン関係の問題を抱えている。

各チームともコースによるぶれはあるがシーズン当初と比べるとタイヤの使い方がだいぶ分かってきた感じだ。
このままいくとマクラーレン・ハミルトンのチャンピオンは十分ありうる。
ただし今年はまだ7戦も残っている。
現在ランキング6位のバトンまではまだあきらめるのは早いだろう。

可夢偉は、イタリアGPでも予選Q3を見事に決めて予選9位で予選13位のペレスよりも速いところを見せていた。
しかし、決勝は新品のハード・タイヤでスタートしたペレスがハードでもミディアムでも見事にハイペースを維持したのに対して、中古のミディアムでスタートした可夢偉はハイペースを維持することができなかった。

これまでのペレスの2回の表彰台は、天候やタイヤ交換のタイミングなど運が良かったことによるものもあるが今回の表彰台は文句なしに見事なものだった。
これで、可夢偉はポールをとって優勝するしか挽回のチャンスはなくなった。
今のザウバーで鈴鹿あたりなら不可能でもないか。

シンガポールGPのタイヤはソフトとスーパーソフトの組み合わせになる。
ナイトレースなので気温はともかく路面温度はそれほど高くないだろうからタイヤ・トラブルはなさそうだ。赤道直下の人工都市、シンガポールのレースなのでナイトレースがふさわしい感じもするが3日間とはいえエネルギーの無駄使いではある。
ストリート・サーキットと常設コースの違いはあるが似たような天候のマレーシアGPは昼間にやっている。
シンガポールでは暑い昼間を避けて夜遊ぶので(夜専門の動物園があるくらいだ)シンガポール人にとっては普通のことなのだろう。
ビルの屋上をつなぐコースを作るわけにもいかないし。
ここはストリートコースなのでアロンソもやりようがある。
ストリートコースが得意なマルドナルドやロスベルクにも上位に食い込むチャンスはある。

シンガポールGPは1位ライコネン、2位アロンソ、3位ハミルトン、4位マルドナルド、5位バトン、6位フェッテル、7位可夢偉、8位ロスベルグ、9位マッサ、10位ペレスかな。                

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Formula One 2012(13)2012.09.07

ベルギーGPではバトンが優勝した。
バトンはバレーンGP以来不調が続いていたがドイツGPあたりから調子を取り戻して今期2勝目をあげた。
予選で苦しんだフェッテルは決勝では強さを見せて2位に入った。
ロータスのライコネンはギアボックス・トラブルを抱えながらの走行だったため3位に入るのがやっとだった。
チャンピオンシップを争っているアロンソとハミルトンはグロージャンが引き起こした事故のためにノーポイントに終わった。
レース前は2番手に40ポイントの差をつけていたアロンソにとっては痛い結果だった。
もらい事故がなければアロンソのことだからポイントはとっていたはずで、フェッテルに一気に18ポイントも差を縮められるということはなかったはずだ。
これで、アロンソが有利かと思われていたチャンピオンシップの行方が全くわからなくなった。

それにしても、今シーズンは全く予想がつかない。バトンにしても初戦のオーストラリアGPに優勝したあと中国GPまでは今年はタイヤにやさしいバトンの年かと思わせたが、その後のマクラーレンの開発の方向とバトンのドライビングスタイルが合わなかったのかドイツGPまでは絶不調に陥っていた。
しかし、マシンのアップデートによって復活した。
ハンガリーで優勝したハミルトンもベルギーでは予選からあまり速くなかった。
本人によると予選はウイングのせいだということだがもらい事故のせいで決勝でのパフォーマンスが見られなかったので判断できない。
マクラーレンのアップデートがうまくいっていることは確かだが必ず勝てるとは限らない。

可夢偉は予選Q3を見事に決めてフロントローからのスタートで期待されたがスタートをしくじり4番手ぐらいまで後退したのでグロージャン発の事故をもらってしまった。
スタートさえ決めていれば事故に巻き込まれずに先に行けて表彰台は確実だっただろう。
どうも可夢偉はいいグリッドのときにスタートがうまくいかない。
マシンに原因があるとすると相当運が悪い。
今年のF1は金曜日からの3日間すべてがうまくはマラにと勝てない。
たった一つのミスが命取りになる。
アロンソもフロントローにいればリタイヤすることはなかったはずだ。

話は変わるが、元F1ドライバーアレックス・ザナルディがロンドン・パラリンピックで金メダルを獲った。
しかも、会場は往年のF1コースブランズハッチだ。
イタリアGPでもピレリはミディアム・タイヤとハード・タイヤを供給する。

ベルギーGPでは両方とも耐久性があったのでバトンやフェッテルはワン・ストップで走りきった。
モンザはスパよりも単純なコースだ。
各車空気抵抗を減らすためにできる限り小さなウイングに替えてくる。
ただしそこからはウイングを立ててダウンフォースを確保してラップタイムを速くするドライバーとダウンフォースの少ないマシンで直線でタイムを稼ぐドライバーに分かれる。
ダウンフォース派のバトン、フェッテルと直線スピード派のハミルトンウエバーの対決になる。
フェラーリ・ホームグランプリのアロンソも忘れてはいけない。
可夢偉はもう一度いい予選をして今度こそスーパースタートを決めて独走してほしい。

イタリアGPは1位可夢偉、2位アロンソ、3位ハミルトン、4位ライコネン、5位フェッテル、6位バトン、7位ロスベルグ、8位マッサ、9位ウエバー、10位シューマッハかな。                

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Formula One 2012(12)2012.08.31

ハンガリーGPでハミルトンが今期2勝目をあげ、ロータスのライコネンとグロージャンが2位、3位に入ってから5週間がたった。
ハンガリーGPまでで全20戦中11戦を消化したから今シーズンは残すところあと9戦となる。
これまでに3勝し全レースでポイントを獲得しているアロンソはチャンピオンシップポイント164を積み上げて優位に立っている。
現時点でランキング上位の各ドライバーとの差は、ウエバー40ポイント、フェッテル42ポイント、ハミルトン47ポイント、ライコネン48ポイントとなっている。
このうち一人のドライバーがアロンソに毎レース10ポイントの差(1位と3位、4位と9位の差)をつけ続けたとして逆転するまで5レースかかる。
アロンソがリタイアしたレースで2回優勝すれば逆転できる。
しかし、信頼性の高くなった近年のF1ではマシントラブルによるリタイアはかなり少なくなっている。
アロンソは23戦連続ポイント圏内でフィ二シュしている。
4度ワールドチャンピオンになったアラン・プロストを髣髴とさせるしぶとさだ。
しかもアロンソはプロストと違って雨にも強い。

アロンソ追撃の旗印として現時点で最も注目されているのはロータスのライコネンだ。
ロータスはシーズン前のテストで強度不足が発覚して序盤の開発でつまずいたが徐々にマシンの信頼性を増して中低速サーキットではめっぽう速くなった。
今回もダブルDRSを装備してDRS動作時のスピードを向上させてくる。
元チャンピオンのライコネンも安定した速さを示すようになった。
近いうちに優勝するに違いない。
マクラーレンもようやくマシンのアップデートがはまりハンガリーGPでハミルトンが予選から決勝まで速さを見せた。
夏休みの間にもアップデートは用意されているだろう。
レッドブルは過去2年間ほど圧倒的なマシン性能のアドバンテージを築くことができないでいる。
チャンピオン・ドライバーであるフェッテルの真価が試される年だ。

ベルギーGPにピレリはミディアム・タイヤとハード・タイヤを供給する。
両方ともソフト・タイヤに比べると扱いにくそうだ。
もっとも、ベルギーGPの行われるスパ・フランコルシャン・サーキットはスパ・ウェザーといわれるぐらいレース中の天候が変化することが多いからインターミディエイトとレインもかかわってくるかもしれないので不確定要素が多くなるだけだ。
プラクティス、予選、決勝の中で4種類のタイヤをタイミングよく使いこなしたチームが勝つことになる。

ベルギーGPの行われるスパ・フランコルシャンは1周7Kmと長く高低差のあるコースだからドライバーの度胸が試される。
鈴鹿同様、自然地形に沿って作られているので、最近の幾何学的でどこも同じようなレイアウトのサーキットと違って個性がある。
スパ好きなドライバーは多いが、なんと言ってもこのサーキットで鮮烈なデビューを果たし、7回ワールドチャンピオンを獲得し今回300戦目のGPになるシューマッハが筆頭だろう。

ハンガリーGPは1位ライコネン、2位ハミルトン、3位フェッテル、4位アロンソ、5位可夢偉、6位シューマッハ、7位ロスベルグ、8位バトン、9位ウエバー、10位マッサかな。                
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