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YUKICHI OTSUKA 大塚雄吉
F1 ウォッチャー
幼少期にF1に魅せられ、50年以上にわたって、日本製のF1が出ていなくても、日本人F1ドライバーがいなくても50年以上にわたってF1を見続けてきた、F1 ウォッチャー。

Formula One 2013(5)2013.05.10

バーレーンGPはフェッテルが今期2勝目をあげた。
完璧なレースだった。
タイヤの耐久性がいいとレッドブルのほうがロータスより少し有利になる。
2位にはライコネンが入り、少し離された3位には同じロータスのグロージャンが続いた。
ディレスタはもう少しのところで表彰台を逃し4位だった。
5,6,7、8位にはハミルトン、ペレス、ウエバー、アロンソが入ったが、最終的に5位から8位までは2.3秒しか離れていなかった。
ハミルトンはギヤボックス交換ペナルティのため9番手スタートだったが良く追い上げた。
同じメルセデスのロスベルグは、せっかくのポールポジションを生かせず9位に終わった。
ペレスはマクラーレン移籍後、最良の結果を出したが、その過程でバトンに追突するほどのバトルを演じてバトンを抜いた。
おかげで、バトンは10位に終わった。
ウエバーはグリッド降格ペナルティを受けた8番手スタートから一次2位まで追い上げたが、タイヤにやさしくない走りのせいか終盤は後退してしまった。
アロンソはDRSが故障で使えなくなりそのために2度もピットインするという状態から8番手まで追い上げた。
このような状況でもきっちりポイントを稼いでいくところがアロンソらしい。
フェラーリは、マッサもスタート時の接触によるフロントのダメージとタイヤのパンクによって後退したため15位フィニッシュとなり、散々な週末だった。
ピレリはチャイナGPであまりにも耐久性のないタイヤの問題があったことから、タイヤの組み合わせを当初予定より固めの組み合わせに変更して、ミディアムとハードをバーレーンに持ち込んだ。
今回は逆にこの2種類のタイヤの性能と耐久性の差があまりなかった。
そのため、チャイナほどタイヤに振り回されないレースとなったのは幸いだった。

第5戦からはヨーロッパに戻ってスペインGPだ。
2007年のスペインGPでは弱小チームだったスーパー・アグリの佐藤琢磨が前年のチャンピオンマシンであるルノーのフィジケラを抑えきって8位入賞したことが印象に残っている。
あれから6年経ったが、琢磨は2010年からインディ・シリーズに転向して、今年、第3戦ロングビーチで初優勝を飾った。
第4戦でも2位に入り、現時点でポイントリーダーとなっている。
昨年も、もう少しでインディ500優勝というところまでいったから、今シーズンは期待が膨らむ。攻撃的なドライビング・スタイルがアメリカのレースに合ってきたのかもしれない。

F1スペインGPに話を戻すと、バーレーンから3週間あったので、マシンに問題を抱えているチームは対策をする時間があった。
しかも、カタルーニァのコースは各チーム豊富なテストデータを持っている。
プルロッド・サスペンションにてこずっているマクラーレンやリヤのグリップがどうしようもないザウバーが対策を施して巻き返しを狙ってくる。
タイヤはミディアムとハードだから今回も安定しているだろう。
このサーキットはパッシングが容易ではないから予選が重要になる。アロンソにとってはホームグランプリだ。

バーレーンGPは1位アロンソ、2位フェッテル、3位ハミルトン、4位マッサ、5位ライコネン、6位バトン、7位ロスベルグ、8位ウエバー、9位リチャルド、10位ヒュルケンベルグかな。

2013 ©Yukichi Otsuka, All Rights Reserved

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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉
学会ネット株式会社 代表

Formula One 2013(4)2013.04.19

チャイナGPはアロンソが2位ライコネンを10秒以上離して優勝した。
ライコネンから僅か2秒+後方に3位ハミルトン、4位フェッテルが続いた。
フェッテルから更に20秒以上離れた5,6,7位にはバトン、マッサ、リチャルドの3人が入った。

今回のレースはチーム・オーダーによる混乱はなかった。
その代わりといってはなんだが、ピレリが持ち込んだソフトタイヤが新品でも7~8周しかもたない代物だったために妙なレースになってしまった。
チャイナGPは上海の「上」の字型のコースを56周して争われる。
ミディアムタイヤの新品は25周程度もつから新品のミディアム2本とソフト1本があればピットストップ2回でぎりぎりゴールできる計算になる。
しかし、予選でQ3まで進出してQ3をまともに戦うと決勝はQ3で3周走ったソフトタイヤでスタートしなければならなくなる。
となると、決勝のスタート後僅か5周で1回目のタイヤ交換をして更にあと2回タイヤ交換をしないとゴールにたどり着けないことになる。
そこで、バトン、フェッテル、ヒュルケンベルグの3人は、予選Q3を戦わず新品タイヤを温存してタイヤ交換2回で済ませる作戦に出た。
結果は、Q3をまともに戦ったドライバーに軍配が上がった。
なかでも、アロンソは初戦オーストラリアの練習走行から今年のタイヤにあわせたドライビングを試して練習していた成果がここで出た。
アロンソはあくまでも決勝重視で予選で無理にポールをとりに行くことはせず、決勝ではマシンとタイヤからすべてを引き出す。
56周で10秒の差だから1周あたりにすると0.2秒以下の差でしかない。
この程度の差であればドライビングとピットインのタイミングをうまくやれば56周の間に搾り出せるのだ。
バトンはヒュルケンベルグに前に出られなかったらもう少し前にいけたかもしれない。
フェッテルは結局3回ピットに入り、最後のソフトタイヤでハミルトンの背後にまで迫ったが抜くまでにはあと1周足りなかった。
トロロッソのリチャルドは予選・決勝を通じてすばらしい走りを見せた。

第4戦は中東のバーレーンGPだ。
2004年シーズンから中止の2011年を除いて、毎年シーズン序盤のアジア・オーストラリア・ラウン ドに開催されている。
一年中気候に大きな差がないからどの季節にやっても変わりがない。
放映時間も ヨーロッパに合わせた走行時間で現地も涼しくなる夕方にかかって走るトワイライトレースだ。
気温から見てタイヤに負担がかかることは明らかだ。
チャイナGPの結果を受けてピレリはバーレーンGP用のタイヤを急遽予定していたソフトとミディアムからミディアムとハードに変更した。
ハードよりになったのでタイヤの消耗はあるが速いドライバーにとっては少し有利になったかもしれない。

バーレーンGPは1位ハミルトン、2位フェッテル、3位ウエバー、4位アロンソ、5位ライコネン、6位バトン、7位ロスベルグ、8位マッサ、9位スーティル、10位ペレスかな。 

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Formula One 2013(3)2013.04.12

マレーシアGPは優勝フェッテル、2位ウエバー、3位ハミルトン、4位ロスベルグの順だった。
フェッテルは2位に留まることを求めたチーム・オーダーを無視して優勝し、ロスベルグは4位に留まるよう求めたチーム・オーダーに従ったため、ハミルトンが3位に入った。
自分の意思に従って走りぬいたフェッテルが優勝したわけだ。
チームからゴール優先(当然だが)でタイヤをセーブして走るよう命ぜられていたウエバーに対して同じ指令を受けていたフェッテルが猛然と襲い掛かったのだ。
ウエバーも抵抗して応戦したがフェッテルが前に出てしまった。
結局フェッテルはゴールまでタイヤを持たせることができ、優勝してしまった。
チーム・オーダーを破ったフェッテルが批判されているが、チーム・オーダーなしに戦わせていたらどうなっただろう。
あのままバトルを続けていれば2台ともタイヤがもたずに下位に沈んだのだろうか?
ドライバーはマシンの挙動を感じながら走っているからタイヤがもたないと思ったらセーブするだろう。
その結果、優勝できなかったとしてもリタイヤはしたくない。
メルセデスがロスベルグを先に行かせていればもう少し差が縮まったかもしれないが、フェッテルとロスベルグの間にはゴール時点で12秒以上の差があった。
チームは、ポイントをより多く取ってドライバーズとコンストラクターズのチャンピオンシップを得たいからこのようなことをするのだ。

そういえば、2012年のチャンピオンは3ポイント差で決まったのも事実だ。
しかし、ここは、タイヤをセーブしてチームプレーに徹するか、タイヤがだめになるのを承知で優勝を狙うかはドライバー判断でよいのではないだろうか。
結果を賞賛されるのも批判されるのもドライバーなのだから。
だいたい、F1はドライバーズ・チャンピオンシップだったはずだ。
観客は高い観戦料や視聴料を払ってドライバーがもてる能力のすべてをつぎ込んで戦うレースを見たいのだ。
チームの作戦を見たいわけではない。
つまらないチーム・オーダー合戦の影に隠れてしまったが、今年のマッサは予選でアロンソより速いし、タイヤとの相性もよさそうだ。
フォース・インディアの2台はホイールナットのトラブルでリタイヤするまでは良いパフォーマンスを見せていたから今後が期待できる。
ロータスの2台は、雨スタートだったためにタイヤ交換数が少なくて済むマシンのメリットを生かせなかったが安定した速さをもっていることが証明された。

第3戦は鹿児島とほぼ同緯度の中国・上海だ。
ここも、レース中に雨に見舞われることがよくある。
昨年は、メルセデスのロスベルグが予選トップから独走優勝した。
今年もメルセデス、フォースインディア、ザウバーあたりが速そうだ。
特にスーティルは1年のブランクがあったにもかかわらず初戦以来非凡な速さを見せている。
元日本F3チャンピオンで雨にめっぽう強い。
マクラーレンがこの3週間の間にどの程度改良できたか見ものだ。
昨年のフェラーリは優勝を争える状態にもっていくまで6ヶ月以上かかった。

チャイナGPは1位ハミルトン、2位マッサ、3位ウエバー、4位バトン、5位ライコネン、6位フェッテル、7位ロスベルグ、8位アロンソ、9位スーティル、10位ヒュルケンベルグかな。

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Formula One 2013(2)2013.03.22

2013年シーズン前年に負けず劣らず面白いシーズンになりそうだ。
初戦、オーストラリアGPはライコネンが優勝した。
昨年の後半にはチャンピオン時の速さを取り戻したライコネンは、激しいバトルを制したというよりは、全セッションに亘ってタイヤを温存しながら速いペースを保って2ストップで走りきってゴールしたら、ライバルを大きく離していたのだ。 
アロンソは、いつもどおりのレース強い走りで2位に入った。
5位に入るのがやっとだった昨年の初戦の絶望的な状況と比較すれば、優勝はできなかったが悪くはない結果だ。
今年は予選から好調なマッサも4位に入っている。
3位にはテレメトリーの故障を抱えたフェッテルが入った。
5位には大方の予想よりも予選・決勝ともに速かったメルセデスのハミルトンが入った。
6位にはスタートをしくじったウエバーが入った。
7位・8位にはフォースインディアのスーティルとディレスタが続いた。
新しいプルロッド・サスペンションが不調のマクラーレン・バトンは9位に入るのがやっとだった。
ひょっとしたら今年のマクラーレンは去年のフェラーリより悲惨な状況にあるのかもしれない。
10位には、誰にもぶつけなかったグロージャンが滑り込んだ。
今年のルーキーはラップ遅れながら5人ともきちんと完走した。
ピック(今年のルーキーではない前号の記述誤り)は、今年一番遅いマシンかもしれないカーターハムを16位でフィニッシュさせた。

昨シーズン前半はピレリタイヤの特性に悩まされたチーム・ドライバーも、後半にはタイヤの使い方を身につけ、終盤にはタイヤに翻弄されるチームはなくなった。
そのため、今年は昨年ほどタイヤが大きな要素となることはないと考えられていた。
しかし、蓋を開けてみると今年もタイヤが大きなファクターとなっている。
タイヤに優しいロータス・ライコネンの組み合わせは、2位を10秒以上引き離して優勝したが予選では7位だった。

オーストラリアGPで才能を見せつけてくれたのはハミルトンだった。
今年は開幕戦時点でレッドブルやフェラーリとは性能差のあるメルセデスで予選3位、決勝5位に入った。
レース中もピットイン前にクロス・ラインとレイト・ブレーキングで見事なパッシングを見せてくれた。
マシンの開発が進めば来年まで待たなくても今年の後半にはトップ争いができるようになるかもしれない。

第2戦は高温多湿のマレーシアだ。
レース中の夕方にはスコールに見舞われることが多い。
昨年はフェラーリとザウバーがトップ2を争ったことが思い出される。
去年はスタート直後にタイヤ交換をしたペレスがアロンソを追い上げるパフォーマンスを見せた。
今年は、リアウイングへより多くの空気を導くためにボディ後部を大きく絞り込んだ形状になっているマシンが多い。
そうなると、狭まったエンジンルームはオーバーヒートし易くなる。
熱はKERSの電池にも悪影響を及ぼす。
レッドブルは昨年もKERSの機能低下に悩まされていた。
急な雨に合わせたタイヤの選択と交換のタイミングは難しいギャンブルだ。

マレーシアGPは1位ハミルトン、2位アロンソ、3位ライコネン、4位ロスベルグ、5位マッサ、6位フェッテル、7位ヒュルケンベルグ、8位バトン、9位スーティル、10位ボッタスかな。       

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Formula One 2013(1)2013.03.15

2013年シーズンは今日開幕する。
2012年シーズンはシャシー・レギュレーションが厳しかったおかげでまれに見る混戦となった。
それでも、終わってみればフェッテル・レッドブルがチャンピオンとなった。
今年は昨年のレギュレーションに多少手が加えられただけだし、2014年にエンジン・ルールが大きく変わることから今年のマシンは大幅な変更がないものが多い。
今年出走するチャンピオン・ドライバーはシューマッハが引退をしたので5人となったが、今年もレベルの高いバトルになることにはかわりがない。

日本人と海外のF1通好みだった可夢偉はザウバーのシートを失い、今年は1987年以来続いてきた日本人F1ドライバーの走りを見ることができない。
可夢偉は、WECに今年一年フェラーリのファクトリー・チームから参戦して、来年のF1復帰を目指すことになる。

明るいニュースもある。シーズン開幕前になって伝えられた確度の高い情報は、ホンダが新エンジン・レギュレーション下でF1に復帰するというものだ。
少なくともマクラーレンにはエンジンを供給することになるらしい。
大自動車メーカーとしては、エンジン・サプライヤーとしてF1に参加するのが適切なF1とのかかわり方かもしれない。
しかし、願わくばもう一度オール・ホンダのマシンでチャレンジしてほしいものだ。
今の社長はシャシー屋だし。
どちらにしても、2015年には、世界のサーキットにホンダ・ミュージックが帰ってくることになりそうだ。
N・ONEもいいけどやっぱりF・ONEの方がいいでしょう。
まあ、NがあるからFができるのだけれど。

今年のルーキードライバーはグエルテレス(ザウバー)、ボッタス(ウイリアムズ)、ピック(カーターハム)、ヴァンダーガルデ(カーターハム)、ビアンキ(マルシア)チルトン(マルシア)の6人だ。
中でもボッタスは評価が高い。
マルドナルドとどちらが速いか見ものだ。
一方、トップ5チームは顔ぶれが安定している。
引退したシューマッハの変わりにハミルトンがメルセデスに入り、ハミルトンが抜けたマクラーレンのシートにペレスが座るだけで、ほかはドライバー・ラインナップに変更はない。

今年はチーム間の実力は去年よりもさらに接近していると思われる。
特にフェラーリは過去2年間の不振を繰り返すことはできない。
昨年導入したメカニズムを洗練させた上にトヨタ・ヨーロッパの風洞を使って空力をやり直しているらしい。
去年の序盤戦ようにアロンソの力だけに頼らなくてもよさそうだ。
ロータスも昨年後半からさらにパフォーマンス・アップしているように見える。
レッドブルが今年も強そうなのには変わりがないが。

開幕戦は今年もオーストラリアだ。
アルバートパークはカナダのジル・ビルヌーヴと同じで、公園内に作られた公道に近いストップ・アンド・ゴーサーキットなので、メルセデスやフェラーリは得意ではないかもしれない。
オーストラリアGPと言えば地元ヒーローのウエバーが注目株だ。
2002年のデビュー戦ではミナルディで5位に入ったのだ。
オーストラリアGPは1位ウエバー、2位フェッテル、3位ライコネン、4位アロンソ、5位マッサ、6位バトン、7位ロスベルグ、8位ハミルトン、9位ペレス、10位スーティルかな。

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