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YUKICHI OTSUKA 大塚雄吉
F1 ウォッチャー
幼少期にF1に魅せられ、50年以上にわたって、日本製のF1が出ていなくても、日本人F1ドライバーがいなくても50年以上にわたってF1を見続けてきた、F1 ウォッチャー。

Formula One 2014(5)2014.05.09

チャイナGPは、メルセデスのワンツー・フィニッシュで幕が下りた。
ここ上海でもハミルトンは2位ロスベルグに18秒も差をつけてゴールした。
これでメルセデスは4連勝、3戦連続1・2フィニッシュとなった。
予選でもハミルトンのタイムのほうが良かったからロスベルグはこのあたりで真剣に巻き返さないといけなくなってきた。
ハミルトンは速いが強いとは限らないという感じだったのが、今シーズンは速くて強いドライバーになった。
マシンが良いから可能なことではあるが中盤から後半にかけて巧くレースをコントロールしていた。

ロスベルグはがんばらないといけない。
たとえ、今シーズンこのままメルセデス・チームの独走が続いたとしても、ハミルトンとロスベルグが拮抗した走りを見せてくれればレースは面白い。

アロンソは3位に入り、今期初めて表彰台に立った。
チーム代表が辞任した直後のレースで初表彰台とは皮肉な結果だ。
フェラーリのマシンは少しずつ良くなっているのだろうが、決勝に強いアロンソをもってしても2位には届かないのが今の実力だ。
フェラーリは本気でロス・ブラウンを呼び戻すことを考えているのかもしれない。
ブラウンの開発力もさることながら、彼は去年まではメルセデスの中心にいたわけだから今ダントツに速いメルセデスのPU以外の情報も持っているはずだ。
ブラウンがフェラーリに復帰することになっても来年からだろうが、・・表面的には。

レッドブルはアロンソに続いて4位と5位に入った。
しかし、ゴール順はリチャルド4位、フェッテル5位というものだった。
チャンピオンはどうしてしまったのだろう。
マシン・パフォーマンスが現時点でメルセデスに劣るのは仕方がないとしても、新入りチームメイトの後塵を拝しているのはいただけない。
レッドブルのことだからリヤのトラクションを向上させてフェッテルのドライビングスタイルを生かせるようにしてくるだろう。
しかし、アイルトン・セナはチームが変わっても、マシンのパフォーマンスが劣っていても、不具合があってもドライビングでカバーすることができた。
フェッテルにはここ一番がんばってほしい。
ここまでの4戦で、ヒュルケンベルグが5位に2回、6位に2回入っているのと、新人のクビアトが10位以内3回と11位でフィニッシュしているのは特筆に価する。

第5戦はスペインGPだ。
カタルーニャ・サーキットはコーナーのレイアウトが少し鈴鹿に似ているところがあって日本人には親しみがもてる。
チャイナGPから3週間あったのでルノーのPUの改良が進んでいれば、レッドブルをはじめとするルノーPU勢が少しはメルセデスにチャレンジできるようになるかもしれない。
チャイナでは振るわなかった老舗チームであるマクラ―レンとウイリアムズはカタルーニャのデータをたくさん持っているので巻き返してくるだろう。
スペインGPはアロンソのホームGPであることを忘れてはいけない。
アロンソが持てウ力と技術を駆使して観客の期待に応えようとする姿が見られるだろう。

スペインGPは1位ハミルトン、2位ロスベルグ、3位フェッテル、4位アロンソ、5位ライコネン、6位リチャルド、7位ハイドフェルド、8位バトン、9位マッサ、10位マグネッセンかな。

2014 ©Yukichi Otsuka, All Rights Reserved

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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉
学会ネット株式会社 代表

Formula One 2014(4)2014.04.18

バーレーンGPは、またもやメルセデスが圧勝した。
ハミルトンとロスベルグは異なるタイヤ戦略をとっていたが、勝ったのはハミルトンで、ロスベルグはハミルトンの1秒後にゴールした。
これでメルセデスは3連勝、しかも、2戦連続1・2フィニッシュとなった。
3位のペレスはロスベルグから23秒も離されていた。
ペレスは久々にペレスらしい走りを見せてくれた。
ペレスはF1デビュー戦のころからタイヤをもたせることの巧さが際立っていたが、久々にその能力を充分に発揮したレースを見せて表彰台に立った。

結果だけを見るとつまらないレースだったように見えるが、実は3位から10位まではめまぐるしく順位の入れ替わる激しい戦いが演じられ、これぞレーシングと言うようなシーンが各所で見られた。
結果も3位ペレスから6位フェッテルまでが6秒足らず、フェッテルから10位ライコネンまでが4秒足らずしか離れていない。
この8人のドライバーは誰が3位でも10位でもおかしくないほどのバトルを演じていたのだ。
特にメルセデスPUを搭載する昨年の中位、下位チームであるフォースインディアとウイリアムズの進境は著しく、フェラーリに乗る元ワールドチャンピオンのアロンソとライコネンを9位と10位に退けるほどの速さだ。
おかげで、レースは異次元の速さを見せるメルセデスよりも3位以下のバトルが注目されることとなった。

このままメルセデスが今シーズンを圧勝し続けたとしてもこのようなバトルがある限りF1は面白い。
可夢偉は、やっとまともに土曜日と日曜日を走れたが、今のカーターハムは発展途上マシンなので、まだまだやることはいっぱいある。
中盤まではマシンの性能以上のタイムを出してトップ10を覗う位置につけていたが、終盤は燃料が足りなくなりスローダウンしたために15位に入るのが精一杯だった。
今回の新人たちは、クビアト11位、マグネッセンとエリクソンはリタイアという結果に終わった。

今年も不振のスタートを切ったフェラーリF1チーム代表のドメニカリが辞任を発表した。
フェラーリは2008年以来6年間チャンピオンシップから遠ざかっている。
このままだと7年連続になる。とはいっても、フェラーリは1984年から1998年の間、15年間もチャンピオンの座に着けないでいた。
ドメニカリを追い出しただけでは事態は好転しないだろう。
1999年から2004年にわたったフェラーリ黄金時代を作り、最近メルセデスを去ったばかりのロス・ブラウンを呼び戻すなら話は別だが・・・。

第4戦はチャイナGPだ。
上海サーキットでもメルセデスの優位は揺るがないだろう。
長いストレートが2本あるのでメルセデスPU勢にとっては有利だ。
上位チームはアップデートを投入してくると思われるが、パワーユニットとギア比は変えられないから、空力面とPU制御の改良が主体になる。
バーレーンではクラッチ・トラブルで2台ともリタイアしたマクラーレンがどう巻き返してくるか楽しみだ。
5人のチャンピオンたちとロスベルグはここでの優勝経験がある。
土曜日と日曜日の天気は曇りの予報となっているが、ここでは急に雨が降ることもある。
雨がメルセデスの独走を阻んでくれると面白いレースになるだろう。

バーレーンGPは1位ロスベルグ、2位ハミルトン、3位バトン、4位フェッテル、5位ライコネン、6位アロンソ、7位ペレス、8位マグネッセン、9位ボッタス、10位ハイドフェルドかな。

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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉
学会ネット株式会社 代表

Formula One 2014(3)2014.04.03

マレーシアGPはテスト走行と予選こそ雨に見舞われたものの決勝はほぼドライコンディションの中で戦われた。
初戦のオーストラリアGPでポールを獲りながらリタイアに終わったハミルトンが今期1勝目を上げ、予選3番手のロスベルグが17秒遅れの2位に入った。
これでメルセデスは開幕戦から2連勝となった。
昨年までのレッドブルにメルセデスが取って代わった。

フェッテルはドライコンディションならメルセデスとのラップタイム差が1秒はあるレッドブルを雨の中で見事に操って予選2番手につけた。
しかし、決勝のスタートが悪く(おそらくマシンのせいで)3番手に落ちロスベルグから2位の座を奪い返すべく必死に食い下がったが、最終的には3位に甘んじた。

アロンソは今のフェラーリでやれることはすべてやったが、結果はマレーシアと同じ4位。
ヒュルケンベルグは2ストップで走り切って5位に入った。
以下、バトン6位、マッサ7位、ボッタス8位、マグネッセン9位、クビアト10位の順でゴールした。

可夢偉は、フリー走行時間帯にマシントラブルでほとんど走れなかったために、まともにセッティングのできていないマシンで決勝を走った。
しかし、力強い走りで13位に食い込んでみせた。
マシンの実力を大きく上回る成果だ。
とはいえ、トップ10フィニッシュまでにはまだまだ遠い道のりが待っているだろう。
2010年にザウバーに乗り始めたころよりも厳しい状態のように思える。
昨年の最下位チームだから仕方はないが・・・。

新人二人は2戦続けて好成績を残した。
クビアトは新人らしいアグレッシブな走りを見せている。
マグネッセンは上位チームからの出走というプレッシャーに負けず、マシンの性能にふさわしい結果を出した。

開幕2戦を見ると、今シーズンはメルセデスPUユーザの老舗チーム、マクラーレンとウイリアムズが復活した。
特にウイリアムズは昨年もう少しでシーズン・ノーポイントに終わるところだったとは思えない躍進ぶりだ。
ウイリアムズは、元来メカニカル・トラクションの良いマシンを作るノウハウがあるから、空力のウエイトが低くなった今年はこのノウハウが生きる。
ルノーPUユーザの中ではやはりレッドブルの開発力はすごい。
メルセデスにパワーで大幅に差をつけられているにもかかわらずセパンのセクター2では速かった。
やはり、レッドブルは、空力・コーナリングマシンだ。トロロッソもルノーPUながら良い結果を出している。
フェラーリは相変わらず3番手マシンしか作れない。
アロンソのフラストレーションは続く。ヒュルケンベルグはトップチームにいれば優勝できるだけの実力がある。
今年はタイヤに振り回されることがないかわりにパワーユニットに振り回される一年になりそうだ。

第3戦はバーレーンGPだ。
今年で10回目になる。
フェッテル、アロンソ、マッサ、バトンは優勝経験がある。
中でも、アロンソは3勝している。
フェラーリはここでは強いので、これまでの2戦のようにメルセデスの独走とはならないかもしれない。
フェッテルがトロロッソ時代以来の劣勢マシンでどのように戦うかが見ものだ。
直線とコーナーが程よく組み合わさったコースで夕暮れ時に走行するバーレーンGPが混戦になればいいが。

バーレーンGPは1位ロスベルグ、2位フェッテル、3位アロンソ、4位ハミルトン、5位ライコネン、6位バトン、7位マッサ、8位マグネッセン、9位リチャルド、10位クビアトかな。

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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉
学会ネット株式会社 代表

Formula One 2014(2)2014.03.27

2014年の初戦オーストラリアGPは予想されたとおり、波乱の幕開けとなった。 
トップでゴールしたのはシーズン前テストの時から優勢が伝えられたメルセデスのロスベルグだった。
27秒近く離されて2番手でゴールしたのはレッドブルのリチャルド、3番手は予選から好調のマクラーレンの新人マグネッセンだった。
4番手は予選で不運にも後方に沈んだが、しっかり追い上げたバトンが入った。
ところが、ゴール後、リチャルドが規定より多い燃料流量で走っていたとされ失格となった。
このため、2位マグネッセン、3位バトンということになった。
以下の順位も繰り上がり、4位アロンソ、5位ボッタス、6位ヒュルケンベルグ、7位ライコネン、8位ヴェルニュ、9位クビアト、10位ペレスが公式結果となった。

今シーズン、ルノー・パワーユニットのパフォーマンス不足と信頼性不足はかなり深刻で、一説にはメルセデス・パワーユニットに比べて数10KWは低いのではないかといわれている。
フェッテルは予選・決勝ともパワーユニット系(制御系?)のトラブルを抱えていたため振るわなかった。
しかし、メルセデスも磐石かといえばまだそうでもなさそうで、予選は両ドライバーのマシンとも調子がよく、ハミルトンは最後の最後でポールを奪ったが、決勝ではパワーユニットのトラブルのため早々に戦列を離れざるを得なかった。
昨年までと比べてウエイトが低くなったといわれる空力面では相変わらずレッドブルが優れているようだが、昨年までのようにエンジンの力を補って余りあるほどというわけにはいかない。

そんな中で、リチャルドの予選2位、決勝2番手フィニッシュは、ドライバーのホームGPであったことを差し引いても驚くべき結果だった。
ところがレース後の裁定では、レッドブルは何度も規定より多い燃料を使用して走行していたことが指摘され、リチャルドのレース結果は取り消されて失格となった。
要するに、パワーを上げて対抗するために燃料を多く使って走行したというのだ。
燃料流量センサーはFIAから供給され1%程度の誤差があるという。
5KWぐらいに相当するだろうからかなりの誤差だ。
前のターボF1時代もFIAから供給されるターボ気圧を規制するバルブが余りに不正確であったため、ホンダはFIAのバルブの内側に自社製の高精度バルブをつけていたほどだ。
メルセデスPUユーザは現時点ではでぎりぎりを狙わなくても充分なパワーを得ているのだろう。

今年のルーキー・ドライバーはなかなか粒ぞろいのようだ。
マグネッセンとクビアトは初戦でポイント・フィニッシュをした。エリクソンはカーターハムがまともに走らないとなんともいえないが・・・。
可夢偉はマシンがルノーPUである上に、練習走行1・2を走ることができず、セッティングが充分でないマシンで予選15番手まで持っていった。
それでも決勝で回生ブレーキが働かないのではやりようがない。少し時間がかかりそうだ。

第2戦マレーシアGPは、高温多湿の気候と突然やってくるスコールの中で戦われる。
メルセデスPUユーザが有利なことに変わりはないが、フェラーリ、レッドブル、トロロッソがこの2週間でどれだけ対策を施してくるかが楽しみだ。

マレーシアGPは1位ハミルトン、2位バトン、3位フェッテル、4位アロンソ、5位マッサ、6位ライコネン、7位リチャルド、8位マグネッセン、9位ヴェルニュ、10位ペレスかな。 

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Formula One 2014(1)2014.03.14

忙しかった冬が終わり、2014年シーズンは今日開幕だ。 
2014年シーズンからマシンのレギュレーションが大きく変わり、全チームがゼロ・リセットからのスタートとなる。
最も大きく変わったのはエンジンで、1.6LV6・ターボ+電気モーター+エネルギー回生システムとなり、もはやエンジンではなくパワーユニットと呼ばれる。
エンジン特性、ターボ過給圧制御、エンジンからの充電、ブレーキからの回生、電気モーターによる160馬力のブースとなど複数の変数があり、パワーユニット・メーカとチームはベスト・コンビネーションを見つけるのに苦労するだろう。
おそらく、1シーズンだけではベター・ミックスは見つかってもベスト・ミックスまでは到達しないだろう。

その代わりといっては何だが、ギヤボックスは8速となりギア比はシーズン初めに登録したもので固定となる。
ひとつ変数が減り、レースウィークのメカニックの負担も軽減されるが、モナコでもシルバーストーンでも同じギアで走らなければならなくなる。
ここ数年、F1エンジンは厳しいレギュレーションの縛りで新技術をトライができないばかりか、燃焼しないで排気の噴きつけに利用するなどという空力の補助役までさせられるようになり、将来の社会や自動車技術に貢献することがなかった。
そうゆう意味で今回のレギュレーション変更は、低資源と低炭素という地球社会的要請に応え、市販車にも応用できる技術であるダウンサイジングターボ、エネルギー回生、バッテリー制御、多速ギア自動変速と総合制御などパワー・駆動系の技術向上に貢献することができる。

シャシー面と言うより空力面のレギュレーションも変更された。
ドライバーの目線とほぼ同じ高さになってしまったF1マシンのノーズは低くせざるを得なくなった。
このレギュレーションを満たしつつできるだけ多くの空気をノーズの後ろに通したい多くのチームは通称、アリクイノーズと呼ばれる極端に先端の幅が小さいノーズを採用した。
リアウイング幅の規定も狭くなった。
細かな点ではリアのパワープラント周りで空力的工夫をする余地がかなり狭まった。
規制しても規制してもうまい抜け道を考えて優位に立ってきたチームにとっては厳しい変更だ。

今年のルーキードライバーはマグネッセン(マクラーレン)、クビアト(トロロッソ)、エリクソン(カーターハム)の3人だ。
中でも、注目はケビン・マグネッセン。
父も在籍した有力チーム、ハミルトン以来のマクラーレンからデビューするルーキードライバーだ。

シーズン前テストの結果(あまり当てにならないことが多いが)から見るとメルセデス・パワーユニットユーザが優位に立っていること確かだろう。
今年の前半戦はメルセデス、マクラーレン、フェラーリ、ウイリアムズ、フォースインディアの5チームが上位でゴールする可能性が高い。
リチャルドはホームレースになるが、今年のレッドブル・ルノーで開幕戦の上位に食い込むのは困難だろう。
ウイリアムズとマクラーレンが表彰台フィニッシュすれば、レギュレーション変更は興行的にも効果があったことになる。

オーストラリアGPは1位バトン、2位ハミルトン、3位ライコネン、4位アロンソ、5位マッサ、6位ロスベルグ、7位ヒュルケンベルグ、8位マグネッセン、9位ペレス、10位フェッテルかな。

2014 ©Yukichi Otsuka, All Rights Reserved

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