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YUKICHI OTSUKA 大塚雄吉
F1 ウォッチャー
幼少期にF1に魅せられ、50年以上にわたって、日本製のF1が出ていなくても、日本人F1ドライバーがいなくても50年以上にわたってF1を見続けてきた、F1 ウォッチャー。

Formula One 2014(15)2014.10.03

シンガポールGPは、ハミルトンが優勝しロスベルグがリタイアした。
ついに、ハミルトンがロスベルグを抜いてチャンピオンシップ・レースのトップに立った。
ロスベルグのマシンは電気配線に問題があって、ステアリングからの操作と表示が正常に働かないというもので、ドライビングではカバーのしようがないトラブルだった。
もしロスベルグがまともに走れていたら予選タイムはハミルトンと1000分の7秒しか違わなかったからチーム・メイト同士の白熱した戦いを見ることができただろう。

フェッテルは久々にフェッテルらしいパフォーマンスを見せてチーム・メイトのリチャルドより前でゴールした。
レッドブルは決勝で久々に二人そろって表彰台に登っただけでなく、予選でもメルセデスから100分の17秒しか離されていなかったから低速コースでの差は小さくなりつつあり、優勝を争えるレベルまできたと言える。
もっとも、決勝のペースにはかなり差があったからメルセデスを下すのは楽ではない。

4位のアロンソもハミルトンから15.3秒遅れでゴールしているから少しはレースらしくなってきた。
セフティカーが入っても後続とのギャップを一定に保って終始レースを支配したハミルトンは王者の走りだった。
振り出しに戻ったチャンピオンシップ争いは、残り5戦で決着をつけることになった。

第15戦はいよいよ日本GPだ。
鈴鹿ではドライバーとマシンの様々な能力が試される。
低速、中速、高速のコーナーがあり、適度なアップダウンもある。
コース中央に立体交差があるので左周り右周りのコーナーのバランスもいい。
世界一、F1の魅力を表現できるサーキットではなかろうか。
最近新設されているコースのように定規とコンパスだけで描いたようなサーキットとはちょっと違う。
ほとんどのF1ドライバーは鈴鹿が好きだと言うし、ここで優勝することを誇りにしている。
フェッテル、バトン、可夢偉、マッサは鈴鹿を得意としている。
チームでは、フェラーリ、レッドブル、マクラーレン、ザウバーが鈴鹿ではいい結果を出してきた。

可夢偉は、鈴鹿でも起用されることがチームから発表された。
いくら財政事情が逼迫しているからといって、毎レースごとにシートを売り、買い手がなかったら可夢偉を乗せるなどという行為はF1チームがやるべきことではない。
昨年後半のウイリアムズは苦境に立たされていたが、こんな品位のない行動には出なかった。
カーターハムは鈴鹿から新しいフロントウイングを投入する。
チームはこのウイングがあたればロータスを食うことも可能だといっているが、そこまで行ったらミラクルだ。
終盤戦になって、各チームのパワーユニットがくたびれてきているから意外なリタイアもありそうだ。
今年は台風が接近しているので決勝は雨のおなかで戦われることになるかもしれない。
庫そうなると高速バトルは期待できなくなるが番狂わせが起こる。
後方でも、1台づつ抜いて少しでも前に出ていれば思わぬチャンスが転がり込むだろう。

日本GPは、1位ロスベルグ、2位ハミルトン、3位バトン、4位フェッテル、5位ライコネン、6位アロンソ、7位マッサ、8位可夢偉、9位マグネッセン、10位ペレスかな。

2014 ©Yukichi Otsuka, All Rights Reserved

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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉
学会ネット株式会社 代表

Formula One 2014(14)2014.09.19

イタリアGPを制したのはハミルトンだった。
ハミルトンは予選でもロスベルグに0.27秒の差をつけてポールポジションをとった。
ところが、決勝レースのスタートで出遅れてしまった。
それでも、ハミルトンは、コース上でロスベルグとの差を詰め、勝利をもぎ取った。
ロスベルグは、前レースでの行動に対する批判とプレッシャーが影響したように見えた。
一度目のコースアウトでハミルトンに差を詰められ、二度目のコースアウトで抜かれてしまった。
これで、二人のポイント差は21に縮まった。

メルセデス2台の後に続いたのはウイリアムズの2台だった。
しかも、今回はマッサがボッタスを下して3位表彰台に登った。
フェラーリ時代からイタリアに多くのファンを持つマッサは久々の表彰台に嬉しそうだった。

5位、6位にはメルセデスから60秒以上遅れてリチャルドとフェッテルが入った。
現チャンピオンは、予選ではリチャルドより速かったが決勝ではチームメートの前に出ることができなかった。
ペレスは、終盤、バトンの猛追に耐えて7位でフィニッシュした。
フェラーリは、ホームグランプリだったのにアロンソが序盤でリタイヤし、ライコネンが9位に入るのがやっとという有様だった。
この後、権勢を誇ったルカ・モンテゼーロ会長の辞任が発表された。勝負の世界は勝てないと厳しい。
10位にはもう1台のマクラーレン、マグネッセンが入った。

FIAは、ついにマシンとピット間の無線通信内容の制限に踏み切った。
最近はテレビ放送でも、ピットとドライバー間のやり取りが放送されるようになった。
今年になってから、パワー・ユニットが複雑になったこともあって、細かな情報がドライバーに伝えられるようになった。
情報だけでなく、コーチングの様な内容まで交信されるようになった。
去年から、ライコネンがピットからの無線にI know what am I doingと言ったり、アロンソがピットからのコーチングに不快感を表したりしていた。
チャンピオンになるようなドライバーにコーチングは不要だろう。
昔は、一周に一度ピット・ウォールで出されるサイン・ボードの数文字がドライバーにとっての唯一の情報源だった。
情報を巧く利用して戦うロスベルグのようなドライバーもいるが、決勝レースになったらドライバーひとりで戦わないとドライバーズ・チャンピオンシップの意味がなくなる。

第14戦は、ストリートコースで戦うナイト・レース、シンガポールGPだ。
制限時間の2時間を使い切ることの多いスロー・コースだ。
ここは、モンツァと違ってマシンの差をドライバーの技量で埋めることができるコースだ。
メカニカル・トラクションのいいレッドブル、ウイリアムズが有利になる。
可夢偉はイタリアGPの走りが評価されてかシンガポールGPにも出場する。
こことモナコぐらいしか今のカーターハムで入賞するチャンスはめぐってこない。
可夢偉がてこずっていたシケインもなくなったし、鈴鹿よりも期待できる。

シンガポールGPは1位ハミルトン、2位フェッテル、3位マッサ、4位バトン、5位アロンソ、6位ライコネン、7位ボッタス、8位可夢偉、9位マグネッセン、10位スーティルかな。 

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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉
学会ネット株式会社 代表

Formula One 2014(13)2014.09.05

ベルギーGPでリチャルドは見事二連勝を達成した。
パワー・ユニットのハンデが大きいと思われたスパ・フランコルシャンをレッドブル・マシンで勝って見せた。
2位には、3秒差でロスベルグが入り、3位には、進境著しいボッタスが入った。
4位には久々に上位入賞のライコネンがつけた。
5位のフェッテル以下はリチャルドから50秒以上離されてしまった。

スタートでハミルトンに出し抜かれてあせったロスベルグがハミルトンに追突したためにハミルトンが脱落するというアクシデントがなければメルセデスの1・2フィニッシュになっていただろう。
何しろ、予選2番手のハミルトンと3番手のフェッテルの間には2秒近いタイム差があった。
しかし、リチャルドは、こうやって廻ってきたチャンスを確実にものにした。
予選で速くてもチャンピオン争いに加われないドライバーとは、このあたりが違う。
リチャルドはテレビ・ゲームが得意だといわれているが、連続したアナログ的操作よりも断続的なデジタル操作を要求される今年のパワー・ユニットに適した能力を持っているのかもしれない。
マシン・コントロール能力が卓越しているといわれるフェッテルよりも前でゴールできるのだから・・・。
今年から採用されたF1のパワー・ユニットには、ガソリン・エンジンのスロットル・ペタルがワイヤーで繋がっていたときとは違ったコントロールが要求される。
リフト・アンド・コーストが巧いドライバーは、同じタイムを出しながらより少ない燃料で周回できる。
序盤と中盤でこれをやっておけば終盤に燃料残量を気にせず追い上げることができる(燃料流量制限はあるが)。
市販のハイブリッド・カーでもドライバーのフット・ペタルとパワー・ユニットの間にはプログラムが介在している。
プログラム内容を理解してアクセルペタルを踏むとより多くのEV走行を引き出せる。
ブレーキペタルを巧く操ればエネルギー回生量を増やすことができる。

予選で2秒差をつけられたとは言え、レッドブル・チームの努力を見逃してはいけない。
レッドブルはベルギーGPから、ギアレシオの変更を行ってトップスピードを上げた。
ルノーPUの出力不足を補うためだ。
空力とトラクションに関しては、いまだにレッドブルの方がメルセデスより優れているように見える。
もちろん、今年のメルセデスはPUだけでなくマシン全体がパッケージとして優れているからこのような結果が出ているのだが、ライバルたちも手をこまねいているわけではない。

第13戦は、今年のF1ヨーロッパラウンド最終戦イタリアGPだ。
スパ・フランコルシャンと同じく、パワーと空力に優れたマシンが有利だ。
相変わらずメルセデス・マシンの優位性は崩れないだろう。
今後は、チームメイト間のアクシデントもなくなるだろうからますます番狂わせは起こりにくくなる。
それでも、レッドブルは空力とPUマネジメントを改良し続けるだろう。
マクラーレンは2015年マシン用のアイデアを今年のマシンでテストすることで、今年のマシンのパフォーマンスも上げてくるだろう。
表彰台の常連として戻ってきたウイリアムズの底力も侮れない。 
三強ドライバーの一人ハミルトンの巻き返しが見ものだ。
今年、話題の三人、リチャルド、ボッタス、クビアトの走りも見逃せない。

イタリアGPは1位ハミルトン、2位フェッテル、3位アロンソ、4位バトン、5位マッサ、6位リチャルド、7位ボッタス、8位ライコネン、9位ペレス、10位クビアトかな。 

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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉
学会ネット株式会社 代表

Formula One 2014(12)2014.08.22

ハンガリーGPでリチャルドは見事に2勝目を決めた。
これでリチャルドは混戦の中でもきっちりと結果を出すことのできるドライバーであり、チャンピオンシップを争うことのできるドライバーであることを証明した。
アロンソは、例によってフェラーリから引き出せる全てを引き出して2位に入った。
この日のフェラーリはアグレッシブな作戦を採り、最後のスティントを長く取ったことが効を奏した。
タイヤが最後までもたなかったら5位ぐらいまで転落するギャンブルだったが、今のフェラーリはこのぐらいのことをやらないと表彰台には立てない。

3位に入ったのは予選Q1で急なマシントラブルに見舞われたためにピットスタートとなったハミルトンだった。
ハミルトンは決勝ではノートラブルで激しく追い上げ、2位アロンソまで0.6秒差まで追い上げてゴールした。
4位にはロスベルグが入ったので二者のチャンピオンシップ・ポイント差は若干縮まった。
5位以下は前の4台からかなり離されて、5位マッサ、6位ライコネン、7位フェッテル、8位ボッタス、9位ヴェルニュ、10位バトンの順でゴールした。
このコースと猫の目のように変わる天気を得意とするバトンは予選7位につけて久々の上位フィニッシュを狙っていた。
しかし、天気の変わり目を読み間違り、最初のタイヤ交換のタイミングを遅らせたことが裏目に出て期待はずれの結果に終わった。
ハンガリーGPの予選は晴れていて、予選1位のロスベルグと予選2位のフェッテルの間には1.5秒以上の差があった。
決勝が降ったり止んだりの天気でなければ退屈なレースになっていたかも知れない。
それでも、ハミルトンの猛烈な追い上げは間違いなく見ることができただろう。
それにしても、ハミルトンとフェッテルのほうにメカニカルトラブルがよく起こる。

夏休み明けの第12戦はベルギーGPだ。
高低差のある高速コースで天候が変わりやすいコースなので、天候の読みが結果に大きく影響する。
レース直前になってカーターハム・チームは可夢偉の代わりにアンドレ・ロッテラーがベルギーGPに出場すると発表した。
ロッテラーといえば日本のレースに出場している選手でルマンに3回優勝している実績のある選手だ。
しかし、PUの制御が複雑な現在のF1で、いきなりハイ・パフォーマンスを示すのは容易ではない。
4回連続チャンピオンのフェッテルでさえ苦労している。
日本GPで可夢偉を見たい日本人から日本GPのスポット・スポンサーをたくさん集めるための策かもしれない。
20年ほど前は日本が多くのF1シートを金で買っていたから裏返しといえば裏返しだが・・・。
できれば、シンガポールと日本では可夢偉の姿を見たいものだ。

スパ・フランコルシャンではパワーと空力に優れたマシンが有利だ。
メルセデスが有利なことに変わりがない。
あとは、レッドブル、ウイリアムズ、マクラーレンあたりがどこまでメルセデスに近づけるかだ。加えて、雨が時折降ればレースは面白くなる。

ベルギーGPは1位ハミルトン、2位フェッテル、3位バトン、4位アロンソ、5位マッサ、6位リチャルド、7位ペレス、8位ボッタス、9位ライコネン、10位クビアトかな。

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Formula One 2014(11)2014.07.25

ドイツGPはロスベルグの圧勝に終わった。
ドイツGPでドイツ人がドイツのマシンに乗って優勝したのは始めてだ。
ボッタスは猛追するハミルトンを磨り減ったタイヤで応戦し、見事に押さえきって2位に入った。
これでボッタスは3戦連続表彰台だ。
ハミルトンは予選Q1中にブレーキ・トランスミッション系統のトラブルに見舞われてコースアウトしタイヤバリヤに突っ込んだ。
Q2に出走できなかったハミルトンは、予選16番手になった。それに加えて決勝レースのためにギヤボックス交換をしたため、更に5グリッド降格となり、20番グリッドからのスタートとなった。
ハミルトンは、トップグループに追いつくためにリスクをとった追い抜き抜きをせざるを得ず、その過程で接触・破損したフロントウイングのために終盤の追い上げスピードが若干不足し、ゴールまでにボッタスを抜くことができなかった。
それにしても、重いトラブルはハミルトンのほうに多く発生する。
これで、ロスベルグとハミルトンのポイント差は14に広がってしまった。
フェッテル4位、アロンソ5位、リチャルド6位が入った。フォースインディアのヒュルケンベルグは7位、ペレスは10位だった。マクラーレンは、マグネッセンが予選4位と復調の兆しガ見られたが、決勝はバトン8位、マグネッセン9位に終わった。
マグネッセンは序盤の接触がなければもう少し上位に食い込めただろう。
序盤の衝突回避も勝つための重要なテクニックだ。

ドイツGPは2014シーズン全19戦の10戦目にあたりちょうど折り返し点だ。
ここまでにメルセデスは9勝している。
マシン・トラブルが発生しない限り、1位と2位はメルセデスの指定席になっている。
シーズン後半もこの調子でメルセデスが勝ち続けるかと言うとそうとも言えない。
特に、進境著しいのはウイリアムズで、ドイツGPの予選タイムはメルセデスまであと0.29秒だった。
決勝のペースをもう少し上げることができればメルセデスと充分戦える。
今年は、新レギュレーションが始まったばかりだからシーズン後半になっても各チーム開発を続けるだろう。
どうやら、メルセデス・マシンの弱点は回生ブレーキを含んだブレーキ系統にありそうだから付け入る隙はある。

第11戦はハンガリーGPだ。
ハンガロリンクは1周4.4Kmでコーナーの多いコースだからパッシング・ポイントが少なく、予選の順位で決勝の順位が決まってしまうことが多い。
それでも、日曜日に雨が降れば、番狂わせが期待できる。バトンはハンガロリンクの天候が荒れると実力を発揮する。2006年はホンダ、2011年はマクラーレンで勝っている。
ハミルトンは2012年、2013年と連勝しているから今年は3連勝といきたいところだ。
いつもは決勝セッティング重視のアロンソ・フェラーリもここでは予選上位獲得に力を入れるだろう。
ここでは、メルセデスPUのアドバンテージが若干少なくなるからフェラーリPUとルノーPUのユーザのチームは腕の見せ所どころだ

ハンガリーGPは1位ハミルトン、2位バトン、3位フェッテル、4位アロンソ、5位マッサ、6位ライコネン、7位リチャルド、8位スーティル、9位グロージャン、10位クビアトかな。 

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