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YUKICHI OTSUKA 大塚雄吉
F1 ウォッチャー
幼少期にF1に魅せられ、50年以上にわたって、日本製のF1が出ていなくても、日本人F1ドライバーがいなくても50年以上にわたってF1を見続けてきた、F1 ウォッチャー。

Formula One 2013(10)2013.07.24

フェッテルは見事な走りでホームGP(ドイツGP)初優勝を決めた。
2位に続いたライコネンは、終盤ソフトタイヤに履き替えてフェッテルを猛追したが抜くことはできなかった。
3位にはロータス・ペアのもう一台に乗るグロージャンが入った。
アロンソは予選から精彩を欠いていたフェラーリを何とか4位まで持ち込んだ。
5位以下は優勝したフェッテルから25秒以上離されてしまった。
ハミルトンは予選でポールをとったにもかかわらず、決勝レースのペースが悪いメルセデスのせいで5位につけるのが精一杯だった。
同じメルセデスのロスベルグは9位に甘んじた。
6位と8位には2ストップ作戦を成功させたマクラーレンのバトンとペレスが入った。
マクラーレンは調子を取り戻し始めたように見える。
ブリティッシュGPの結果を受けてドイツGPのために急遽昨年型の構造に戻されたリヤ・タイヤとマクラーレンのマッチングが良いのかもしれない。
ウエバーはピットでのタイヤ装着トラブルのために2番手から最後尾まで後退し、そこから追い上げて7位に入った。
ヒュルケンベルグはリヤの挙動が定まらないザウバーを巧みに操って10位に持ち込んだ。
ザウバーは財政面でも厳しく、マシンの改良が遅々として進まない。
可夢偉はザウバーに残留しなくて正解だったかもしれない。
とはいっても、来年のF1シートが確保できているわけでもないが。

ブリティッシュGPから僅か数日で用意されたリヤ・タイヤはドイツGPをレースらしいレースにしてくれた。
中でも、スタート直後にトップに立った後、見事にタイヤを使いこなしてペースを保ったフェッテルの走りはチャンピオンにふさわしいものだった。

ドイツGPとハンガリーGPの間の3週間を利用してタイヤテストが行われる。
昨年型の構造に戻した前後輪タイヤをテストするのだ。
当初はヤング・ドライバーだけでテストすることになっていたが、レギュラー・ドライバーもテストできることになった。
抜け駆けテストのペナルティで参加できないメルセデスにもタイヤテストのデータが与えられる。
とは言っても、ドイツGPでリヤ・タイヤの耐久性は証明されているし、もともとフロント・タイヤは大きな問題がないから、このタイヤテストはシーズン中のボーナス・テストのようなものだ。
メリットが大きいと思われるのはマクラーレンとレッドブルだろう。
もともとタイヤに優しいロータスはメリットが少ないかもしれない。
もっとも、タイヤテスト中にほかの部分のデータも集められるだろうから、どのチームにとってもテスト・データが大いにこしたことはない。

今週は、ハンガリーGPだ。
ハンガロリンクはロースピード・コースだから、夏で「路面温度が高いことによる影響があること以外はタイヤの耐久性に問題はないだろう。
抜ける場所がほとんどないから、メルセデスは予選でワン・ツーが取れて1回目のタイヤ交換までほかのチームを抑えきれば、以外に有利な展開ができるかもしれない。
それでも、ライコネンやアロンソが終盤に隙を見て襲い掛かるだろう。雨が降れば名手バトンもいる。

ドイツGPは1位ライコネン、2位フェッテル、3位アロンソ、4位ハミルトン、5位バトン、6位ウエバー、7位ロスベルグ、8位スーティル、9位ペレス、10位ボッタスかな。 

2013 ©Yukichi Otsuka, All Rights Reserved

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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉
学会ネット株式会社 代表

Formula One 2013(9)2013.07.04

ブリティシュGPでロスベルグは他の有力ドライバーがタイヤやマシンのトラブルで脱落する中、幸運な優勝を遂げた。
予選はメルセデスが速くフロントローを独占した。
中でもシルバーストーンが好きなハミルトンは、母国グランプリの予選でチームメイトに0.45秒差をつけて文句なしのポールポジションを勝ち取った。
フェッテルは予選3番手を獲得するのがやっとだったし、昨年優勝しているウエバーも予選4番手に終わった。
ロータスの2台とアロンソは予選7,8,9番手となり、苦しいレースを予感させた。

決勝レースはハミルトンがスタートをうまく決め、フェッテルが2番手について抜こうとしたが、ハミルトンは速いペースで走り、フェッテルとの間に1秒以上の差を保ったまま序盤を支配した。
ところが左リヤタイヤが突如バーストしたため脱落してしまう。
ロスベルグ以下のドライバーは、代わってレースリーダーとなったフェッテルのペースについていけず終盤になるまで誰もフェッテルの勝利を疑わなかった。
ところが、今度はそのフェッテルが突然のギヤボックス・トラブルに襲われてあっけなくリタイヤしてしまう。
労せずしてトップを手に入れたロスベルグは、残り周回タイヤを労わってそのままゴールした。
今回メルセデスは決勝である程度のペースを維持することができた。
抜け駆けテストから得るものはあったようだ。
もっとも、ロスベルグの背後には序盤のフロントウイング破損による遅れを速いペースで挽回したウエバーが0.7秒差まで迫っていた。
ゴールまであと3周あればウエバーが優勝していただろう。
マシンの能力以上のものを引き出したアロンソが3位に滑り込んだ。
4位には序盤のタイヤバーストの後、驚異的な速さで追い上げたハミルトンが入った。
こちらもアロンソと0.6秒差だったのであと3周あったら抜いていただろう。
5位、6位にはライコネン、マッサがつけた。
7位から10位には中位チームのスーティル、リチャルド、ディレスタ、ヒュルケンベルグが食い込み健闘した。

ブリティシュGPは、決勝で6台ものマシンのリヤタイヤがバーストしたせいで混乱したレースとなってしまった。
対策を施すにも次のドイツGPのフリー走行開始まで丸5日しかない。
ピレリによると、安定性と路面グリップを重視して、ドイツGP用のリヤタイヤは今年から採用したスティールベルトを去年のケブラーベルトに変更するということだ。
ハンガリーGP以降は去年のタイヤ構造に今年のコンパウンドを組み合わせる予定だ。
7月17-19日にはこのタイヤのテストが行われる。

タイヤ・トラブルといえば、思い出すのは2005年アメリカGPだ。
性能重視のミシュランタイヤによる事故が練習走行中に起こった。
このため、決勝はブリジストン・タイヤを装着する6台のみで行われた。

今週は、ドイツGPだ。
資金難から一時開催が危ぶまれたがバーニー(ドイツで係争中)に支払いを先延ばしにしてもらい開催にこぎつけた。
タイヤはミディアムとソフトだが、決勝で雨が降ってくれたほうがタイヤに左右されないレースを見ることができる。

ドイツGPは1位フェッテル、2位アロンソ、3位ハミルトン、4位ライコネン、5位バトン、6位スーティル、7位ロスベルグ、8位ヴェルニュ、9位マッサ、10位ボッタスかな。 

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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉
学会ネット株式会社 代表

Formula One 2013(8)2013.06.28

カナダGPは、フェッテルが優勝した。
予選は変化するコースコンディションの中、ハミルトンを押さえてポールをとった。
決勝では先行逃げ切りの典型的なフェッテルの勝ちパターンとなった。
2位のアロンソを14秒以上離しただけでなく、6位以下を全て周回遅れにする完勝だ。
予選6番手だったアロンソは重要なスタート直後の争いできっちり順位を上げた。
それからも、最終シケイン前の長いストレートでは他のドライバーとは違う作戦を取った。
最終ストレート・エンドでKERSを温存し、ホーム・ストレート・エンドではDRSとKERSのエネルギーを一気に使って他のドライバーを抜き去っていた。
スペインGPの時の第3コーナー大外狩りと同様、アロンソならではの工夫だ。
マシンの速さが足りなくてもドライバーの力でカバーするアロンソの真骨頂だ。

4位には終盤ファーステストラップをたたき出したウエバーが入り、3位と5位にはハミルトンとロスベルグのメルセデス勢が入った。
大健闘のヴェルニュが6位に入った。
ヴェルニュは、このまま良い結果を出し続けることができれば来年はレッドブルに乗れるようになるかもしれない。
最近コンスタントに良い成績を出しているフォースインディアは2台とも入賞し、マッサもポイント圏内でフィニッシュした。
ライコネンはカナダでは速さのなかったロータスながら連続入賞記録を伸ばした。
深刻なのはマクラーレンでペレス、バトンが11位12位のポイント圏外だった。
今年のマクラーレンは去年のフェラーリよりも深刻な状態に陥っているのかもしれない。

カナダGPから第8戦ブリティシュGPまで3週間空いているがその間にスポーツ・プロトタイプ・レースの最高峰ルマン24時間レースが開催された。
今年もアウディが優勝し、トヨタは残念ながら2位に甘んじた。
アウディは去年トヨタのハイブリッド・カーに対抗してウイリアムズ製のフライホイールを導入してレーシング・ハイブリッドを仕立て上げ、勝った。
今年もそれが続いている。
ルマンは自動車メーカー同士の争いだから、市販車でハイブリッド車トップメーカー(総販売台数でもトップだが)であるトヨタは、ハイブリッドの方式を見直してでも、来年はアウディに圧倒的な差をつけて優勝してもらいたい。

話をF1に戻すと、メルセデスの抜け駆けタイヤテスト問題はFIAがきわめて軽い処分を下した。
他のチームは不満だろうが結局このまま押し切られる公算が強い。

そして、ブリティシュGPだ。ブリティシュGPはかつて英国特有の街と街を繋ぐ自然なワインディングロードをサーキットにしたようなブランズハッチとシルバーストーンで隔年に行われていたが、1987年以降はシルバーストーンのみで開催されている。
シルバーストーンは飛行場に作られた高速コースなので、高速コーナーが多いコースなのでタイヤにはかなり負担が伴う。
本来なら、マクラーレンが得意そうなコースだが、近年はレッドブルとフェラーリが好成績を収めている。
メルセデスが決勝で速ければ抜け駆けタイヤテストから得るものがあったということになるだろう。

ブリティシュGPは1位ウエバー、2位マッサ、3位フェッテル、4位ハミルトン、5位アロンソ、6位ライコネン、7位ロスベルグ、8位バトン、9位ディレスタ、10位ボッタスかな。   

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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉
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Formula One 2013(7)2013.06.06

モナコGPは、週末を通じて完全に支配したロスベルグが優勝した。
ロスベルグは2006年にF1ドライバーとなってから8年目にしてついにモナコGPの勝者となった。
ロスベルグはウイリアムズのときからモナコを得意としていて、与えられたマシンの実力以上のグリッド・ポジションに着くことが多かった。
それが今年は、P1から予選・決勝を通じて、常に一番だった(決勝のファーステスト・ラップは終盤フェッテルが意地でたたき出したが)。

2位、3位にはレッドブルのフェッテルとウエバーがハミルトンの前に割って入った(チームのちょっとしたピット・タイミングミスから少し後退した)。
大健闘のスーティルは5位に入り、バトンはいまだ戦闘力の不足しているマクラーレンを6位持ち込んだ。
スペインから一転、アロンソ+フェラーリはモナコでは7位と精細を欠いていた。
8位にはこれも大健闘のベルニュが入り、9位にはディレスタが入った。
ペレスに追突されて連続ポイント獲得記録がとまりそうになったライコネンは驚異的な追い上げで10位になった。

モナコは特別なレースでモナコGPの1勝は他のGPの3勝に値すると言われてきたが、もはやレースといい辛い状況に陥っている。
今年も予選と決勝のトップ10メンバーはほぼ同じだ。
無理なドライビングをして結局自滅したペレスとグリッド後方からうまく上がってきたディレスタが入れ替わったぐらいだ。
レース自体もペースの遅いロスベルグを狭いコースのせいで誰も抜くことができない。
F1マシンのパレードランのようだった。
どうせレースにならないのなら、土曜日と日曜日に5周ずつ全ドライバーが単独で走り、2日間で最もタイムの良かったドライバーを優勝者にするほうがよっぽど面白い。
レースをするならコースに手を入れてまともなパッシングが可能なコーナーを作るべきだ。

F1界ではまたタイヤ騒動が持ち上がっている。
メルセデスが今年のマシンでタイヤテストを行っていたというのだ。
フェラーリも旧型のマシンでタイヤテストをやっていたらしい。
レッドブルがルールブック記述の隙間をついて新しい空力処理でアドバンテージを得るとすぐに禁止するわりに、特定の上位チームはタイヤテストをやる。
メルセデスとフェラーリにはイギリスGPあたりから効果が現れるだろう。
ヨーロッパではよくある話だ。
一人勝ちが続くのを防止するために常に行われている(フェアかどうかは別として)。

第7戦は、カナダGPだ。
カナダの夏は短いので8月が休みのF1をカナダでやろうとすると6月か7月しかない。
ジル・ビルヌーブサーキットはストリート舗装で直線とタイトコーナーを結んだだけのようなサーキットなのでタイヤのサイドウォールに負担がからない。
モナコに続きメルセデスに有利だ。
しかし、決勝ではブレーキの耐久性が意外と鍵を握る。
モナコと違ってパッシングポイントもいくつかある。
ホームストレート前のシケインの立ち上がり外側はコンクリートウォールなのでミスをして壁にぶつかるドライバーが毎年何人かいる。
ヘアピン進入のブレーキングもハードだ。

カナダGPは1位ハミルトン、2位ライコネン、3位バトン、4位フェッテル、5位ウエバー、6位マッサ、7位アロンソ、8位スーティル、9位ロスベルグ、10位ボッタスかな。  

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Formula One 2013(6)2013.05.25

スペインGPはアロンソが見事な勝利を飾った。
ライコネンはアロンソを追いきれず2位、マッサは3グリッド降格の9番手スタートから3位に入った。
3回の予定が4回ピットインしたフェッテルとウエバーのレッドブル勢は4位と5位にはいるのがやっとだった。
6位には2戦連続ポールスタートながら、決勝では全くペースのなかったロスベルグが入り、7位には0.9秒差でディレスタが入った。
8位、9位はマクラーレンのバトン、ペレス、10位にはトロロッソのリチャルドが入った。
ディレスタはホイルナットトラブルでリタイアしたマレーシア以外の4戦で入賞、リチャルドは今回で2回目の入賞となった。

それにしてもホーム・グランプリで、アロンソは勝つべくして勝った。
もともとフェラーリは予選よりレース向けのセッティングを重視しているが、アロンソは予選5番手だった。
抜き場所の少ない(と思われていた)カタルーニャのコースではスタートでできるだけ前に出たほうが有利だ。
しかも、決勝のペースが悪いメルセデスの2台がフロントローを固めている。
序盤にメルセデス2台の前に出てしまわないと優勝を狙うのは厳しくなることは明らかだ。
アロンソは、レース巧者なだけではない。
どうすれば少しでも前のポジションでゴールできるかあらゆることにを配って可能性を高めようとしているのだ。
スペイングランプリのスタート直後の第3コーナーで2台を抜いて3番手まで進出した。
これは、前座のGP2レース見ていて第3コーナーでアウト側から抜いているところを見て取ってこれは使えると考えて決勝で実行したのだ。
フェラーリ・チームは当初からを4回タイヤ交換作戦を立てて、これが見事にはまった。
レッドブル・フェッテルとは好対照だ。ピレリには批判が集中し、カナダGPからタイヤのコンパウンドを保守的にするようだ。
4回もタイヤ交換があると、マシンごとにタイヤ交換のタイミングが違うから、本当はいったい誰が前を走っているのか分からなくなって、レース観戦の楽しみは半減だ。

第6戦は、グランプリの中のグランプリ、モナコGPだ。
F1は1950年に始まった当初と比べてあまりにも速くなってしまった。
もはや、予選でポールを取って逃げ切るしかモナコで勝つ方法はなくなってしまった。
ピレリは、モナコは一般公道なので路面のミューが低いからタイヤ交換が2回で済むだろうと言っている。
今シーズンはフランス人ドライバーが4人もいるのにフランスGPがないから南フランスの中にあるモナコでのグランプリはホーム・グランプリのようなものだ。
昨年はスタート直後にぶっ飛んで他のドライバーたちに迷惑をかけたグロージャンは、今年はどんな走りを見せるか楽しみだ。
今シーズン、これまで苦しい戦いをしているマクラーレン、ウイリアムズなどの歴史あるチームはたくさんデータを持っていてモナコでは強い。
予選は速いが決勝は遅いメルセデスも予選でポールさえとってしまえばそのまま抑えきれるかもしれない。
ロスベルグはモナコ予選上位の常連だ。ウエバーはタイヤに負担がかからないためかモナコを得意としている。

モナコGPは1位ロスベルグ、2位アロンソ、3位グロージャン、4位マッサ、5位フェッテル、6位バトン、7位ウエバー、8位ペレス、9位マルドナド、10位ヴェルニュかな。

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