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YUKICHI OTSUKA 大塚雄吉
F1 ウォッチャー
幼少期にF1に魅せられ、50年以上にわたって、日本製のF1が出ていなくても、日本人F1ドライバーがいなくても50年以上にわたってF1を見続けてきた、F1 ウォッチャー。

Formula One 2013(15)2013.10.10

フェッテルはベルギーGPに始まってコリアGPで4連勝となった。
後半戦はドイツ以降6戦5勝でほとんど無敵状態だ。
フェッテルは例によって予選から圧倒的に速かった。
Q3では念のため2回目の計測ラップに出たが、他のドライバーがフェッテルの1回目に出したタイムを上回れないと見るやアタックを止めてピットに戻った。
これで決勝のスーパー・ソフトは1周足らずのストレスをかけただけ一度の熱を入れたタイヤとなり、決勝の第1スティントを走るタイヤとしては理想的なものとなった。
最近のレーシングタイヤはおろしたての新品より一度熱を入れたタイヤのほうが長持ちするらしい。
おかげで、決勝の第1スティントを長く引っ張ることができ、スタートを決めた後はセフティカーによるギャップ縮小をものともせずゴールまでレース支配し続けた。

2位、3位にはライコネンとグロージャンのロータス勢がフェッテルから4秒+遅れでゴールした。
最近グロージャンは予選ではライコネンより速いことが多く、コリアGPでも予選3番手からのスタートだった。
しかし、終盤で予選11番手のライコネンに抜かれるようではまだまだだ。
それでも、グロージャンはチーム代表のお気に入りなので来年のシートが危うくなることはないだろう。

4位には大健闘のヒュルケンベルグが入った。
ザウバーのマシンはベルギーGP以降エンジン排気を積極的にダウンフォースに利用する改造が施されて速くなった。
コリアGPのコースではリアのトラクションが良く、直線の最高速も速かった。
ある程度戦えるマシンを得てヒュルケンベルグは速さを証明し始めた。
終盤に追いついたハミルトン、アロンソを退けて4位とはたいしたものだ。
来シーズン、ヒュルケンベルグはロータス入りが濃厚だ。

ハミルトンは予選で一発の速さを発揮して2番手につけたが、決勝では、マシンのトラクションが足りず、最高速もさほど速くなかった。
ヒュルケンベルグを抜くためにKERSの放出場所を変えたりして何度もトライしたが結局抜くことができなかった。
ロスベルグはアロンソに続いて7位。
フェラーリは予選・決勝とも戦闘力が足りず、アロンソ6位、マッサ9位に終わった。
マクラーレンはまだまだ表彰台に手が届くほど速くはなく、バトン8位、ペレス10位だった。
フェッテルはチャンピオンシップ・ポイント2位のアロンソに対して、コリアGP終了時点で77ポイントもの差をつけている。

いよいよ今週は日本GPである。
昨年の可夢偉の感動的な3位表彰台から一年、今年は日本GP直前になって佐藤公哉がザウバーのリザーブ・ドライバーとしての起用されることが発表された。
日本GPは、フェッテルがコリアGPの表彰台で世界最高のサーキットといって憚らなかった鈴鹿サーキットが舞台だ。
鈴鹿は高速でありながらテクニカルでもあるのでF1を走らせるのには絶好のコースだ。
前半にあるS字コーナーを早く走れるようにマシンを仕上げると1周のタイムも良いと言われている。
レッドブル、マクラーレン、フェラーリは鈴鹿に強い。
フェラーリは何年も低迷していた時期でも、鈴鹿での初F1レースであった1987年の鈴鹿では勝っている。
鈴鹿のデータ量が豊富なマクラーレンは鈴鹿で今年の初表彰台を狙ってくるだろう。
今年は高速コースでも速いレッドブル・フェッテルに死角はない。
ウエバーは鈴鹿でシーズン初勝利を挙げたいだろうがスタートが課題だ。

日本GPは、1位フェッテル、2位アロンソ、3位バトン、4位マッサ、5位ライコネン、6位ハミルトン、7位ウエバー、8位ロスベルグ、9位スーティル、10位グロージャンかな。  

2013 ©Yukichi Otsuka, All Rights Reserved

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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉
学会ネット株式会社 代表

Formula One 2013(14)2013.10.03

シンガポールGPもフェッテルの圧勝に終わった。
予選開始時点から2位以下に圧倒的な差をつけていたフェッテルは、Q3でも早々と1分42秒台を叩き出し、2回目のアタックを行わなかった。
予選終盤、フェッテルに一泡吹かせるべくロスベルグが渾身のスーパーラップを決めたが、それでもフェッテルには及ばなかった。
おかげで、フェッテルはこのコースで勝つために必要なポールポジションを手に入れただけでなく、Q3―2回目のアタックを行わなかったことにより、新品のスーパーソフト・タイヤを決勝に向けて温存することができた。
シンガポールGP恒例のセフティカー出動によって、前半に後続との間に築いたギャップがなくなったが、再スタート直後からあっという間にギャップを広げて行った。
その後、フェッテルは誰にも首位を脅かされることなく2位に大差をつけてゴールした。

アロンソはシンガポールGPでも2位につけて、チャンピオンシップを争う上でのダメージを最小限に留めた。
予選7番手だったアロンソはスタート直後にポジションをジャンプ・アップさせない限りこのコースで上位フィニッシュすることは難しいことが分かっていて、それを見事に実行した。
アロンソは予選終了後、決勝に向けて、「明日はスタートでいつもよりリスクをとってでも前に出ないといけないだろう」とコメントしていた。
これは、決勝のスタート時に他のドライバーが自分と接触しないようにするための牽制ではないだろうか。
他のドライバーは、「今回、アロンソはアグレッシブに来そうだから当てないようにしよう」と潜在意識にあると、競ったときに接触してしまわないよう、ほんの少しブロックが甘くなる。
今の状況では、アロンソは決勝レースの早い段階で2位につけて、フェッテルがマシントラブルでリタイヤするのを待つしか勝つ方法がない。
アロンソは、チャンピオンシップを勝ち取るために必要なことは全てやる。

今年のシンガポールGPでもう一人忘れてはならないのはライコネンだ。
フリー走行時点から激しい腰痛のせいでまともに走れなかった。
このため、予選は13番手と振るわなかった。
決勝では、痛み止めを打ってスターティンググリッドに並んだものの、完走できるかどうか危ぶまれていた。
ところが、レースが始まってしまえば13番手から追い上げ、終わってみれば3位表彰台だった。
2013年F1の3強ドライバーといえばシンガポールGP表彰台の3人といって間違いないだろう。

次はコリアGPだ。
ヨンアムサーキットは長短3本の直線とタイトコーナーの連続からなるコースだ。
初回の2010年は完成が遅れて開催が危ぶまれた。
一部コーナーの舗装がはがれ、決勝は雨に見舞われ、ゴール時には日没を迎えるというレースだった。
このレースではフェッテルが独走していたが、突然のエンジンブローのため戦列を去り、アロンソが優勝した。
ヨンアムはレッドブル、ロータス勢が有利だろうが、日曜日には台風がこの地域を襲う可能性が高い。
そうなれば雨に強いドライバーたちの出番となる。

コリアGPは、1位フェッテル、2位ライコネン、3位アロンソ、4位ロスベルグ、5位ハミルトン、6位ウエバー、7位バトン、8位スーティル、9位ヴェルニュ、10位ディレスタかな。 

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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉
学会ネット株式会社 代表

Formula One 2013(13)2013.09.20

イタリアGPはまたもやフェッテルの優勝で幕を閉じた。
フェッテルは後半ギヤボックスの不具合に見舞われていたのだがその分のタイムロスをコーナーで取り戻すドライビングでフェラーリのホームグランプリである2位アロンソを5.4秒差に退けた。
かつて、ブラジルGPで終盤6速ギアだけで走って優勝したセナほどではないが、たいしたものだ。3位には同じくギヤボックスを労わった走りを強いられたウエバーが入った。
ギヤボックスのトラブルがなければレッドブルとフェラーリの差はもっと大きなものになっただろう。
マッサは予選でアロンソを上回り、決勝でもスタートとともにフェッテルの背後につけてアロンソが上位に進出するのをサポートした結果、自身は4位だった。

ザウバーのヒュルケンベルグはザウバーを見事なドライビングで5位に持ち込んだ。
モンツァでは全く精細を欠いたメルセデスはロスベルグ6位、ハミルトン9位がやっとだった。
トロロッソのリチャルドは健闘して7位に入ったが、ヴェルニュもギヤボックストラブルでリタイヤするまでは変わらない速さで走っていた。
ロータスは高速コースにてこずり、グロージャンが8位に入ったがライコネンはフロントウイング交換のためポイント圏外フィニシュとなった。
ワンストップ作戦がツーストップになってしまったバトンは10位だった。

イタリアGPで高速コースでも今年のレッドブル・フェッテルには勝てないことが証明されてしまった。
予選からレッドブルの2台は完璧な仕上がりで他のチームはなすすべがなかった。
そんな状況で予選・決勝とも一人気を吐いたのがザウバーのヒュルケンベルグだ。
予選ではレッドブルとフェラーリの間に割って入り3番手。
決勝でもレッドブルとフェラーリの4台に次ぐ5位、メルセデスの前でゴールした。
2014年シーズンはマッサがフェラーリを去り、ライコネンがフェラーリに移籍することで空いたロータスのシートに座る最有力候補と目されている。

次はシンガポールGPだ。
モンツァから打って変わって市街地コースのナイト・レースとなる。
イタリアGPでフェッテルはチャンピオンシップ2位のアロンソに53ポイントのリードを手にしている。
残り7レースあるから何が起こるかわからないが、マシン・ドライバーの実力から言ってかなり優位に立っている。
シンガポールの市街地コースは昨年、可夢偉がジャンプしてしまったりして評判の悪かったターン10は、シケインから緩やかなコーナーに変更された。
これでラップタイムは短縮されるだろうし、硬いサスペンションのマシンは少し楽になる。
パッシング・ポイントが少ないので予選上位は圧倒的に有利だ。
ここではセッティングが決まればメルセデスが予選で速い可能性がある。
市街地コースが得意なロスベルグの走りが見ものだ。
いつものようにフリー走行でアロンソがコーナーの突っ込みとトラクションの限界を試す様が観られるだろう。
もし、ここでもレッドブルが強いとなると今年のチャンピオンシップは決着したも同然になってしまう。

シンガポールGPは、1位ロスベルグ、2位アロンソ、3位ハミルトン、4位フェッテル、5位ライコネン、6位グロージャン、7位ウエバー、8位バトン、9位ヒュルケンベルグ、10位マルドナドかな。  

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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉
学会ネット株式会社 代表

Formula One 2013(12)2013.09.05

ベルギーGPではフェッテルが2位アロンソに16.8秒差をつけて圧勝した。
3位にはハミルトンが入った。
ハミルトンは予選Q3でウエット・コンディションの中、2番手フェッテルに0.5秒近い差をつけて4戦連続のポールポジションを獲得した。
しかし、スパ・フランコルシャンはハンガロリンクとは違ってパッシング・ポイントが多い高速コースだ。
予選でポールポジションを取っても、後ろから速いマシンが来れば防ぎきれない。

これまで、レッドブルは中高速コーナリングマシンで高速コースのストレートはあまり速くないという印象が強かった。
ところが今年のベルギーGPではギヤ・セッティングとウイングの変更によりメルセデスより最高速が高かったのだ。
フェッテルの勝利は1周目のドライビングによって決まった。
スタート直後からハミルトンの背後に迫ったフェッテルはオールージュの上り坂でKERSを使って一気に抜き去った。
スタート前からこうすると決めていてイメージどおりに走ったように見えた。
スパはパッシング・ポイントが多いとはいえレース中盤以降に抜こうとすると前のマシンとのギャップを縮めなくてはならなくなる。そ
うなれば、タイヤに余計な負担をかけることになる。
先行・逃切りの展開に持ち込んだほうがはるかに有利だ。フェッテルは1周目のパッシングによって勝負をつけたのだ。

フェッテルに大差をつけられたとは言え、フェラーリはハンガリーからの4週間でマシンのパフォーマンスを向上させ、アロンソがいつもどおりマシンからできる限りの結果を引き出して見せた。
予選9番手からの結果が5位ではなく2位だったので少し希望が持てる。

バトンはウエットとは言え予選で5番手につけて、決勝でもワンストップで走りきるか小雨でも降っていれば表彰台もあっただろう。
とはいえ、今マクラーレンが採っている作戦は中盤チームがよくやるような作戦だ。
今回も上位入賞が期待されたライコネンはブレーキトラブルでリタイアを余儀なくされた。

ノーポイントに終わったライコネンはチャンピオンシップポイントでも2位から4位に下がってしまった。
チャンピオンシップポイントでフェッテルは2位アロンソに46ポイントの差をつけている。
アロンソとフェラーリがチャンピオンシップ争いに生き残るには高速のモンツァと鈴鹿で勝たないといけない。

今週はフェラーリのホーム、イタリアGPだ。モンツァは昔バンクを使って走っていたほどの高速コースで、現在のコースもアイルトン・セナの事故などの後、シケインが設けられてラップタイムは落ちたが基本的には直線を基調とした高速コースだ。
フェッテルはここで優勝すると4度目のチャンピオンシップが見えてくる。
逆に、アロン祖はここで優勝しないとチャンピオンシップは遠のいてしまう。
マッサは得意の高速コースであわよくば優勝して2014年もフェラーリに乗りたいだろう。
ウエバーも高速コースではフェッテルより速いところを見せたいだろう。
ハミルトンとロスベルグはメルセデスの決勝パフォーマンス向上がない限り高速コースでは苦しい戦いが予想される。
イタリアGPはトロロッソのホームレースでもある。ヴェルニュにはリチャルドより速いところをみせてほしい。

イタリアGPは、1位アロンソ、2位フェッテル、3位マッサ、4位ハミルトン、5位ライコネン、6位ロスベルグ、7位ウエバー、8位バトン、9位グロージャン、10位ヴェルニュかな。

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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉
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Formula One 2013(11)2013.08.23

ハミルトンは、ハンガリーGPにおいてフェッテルとF1最速を争う存在であることを証明して見せた。
予選では誰も届かないと思われたフェッテルのタイムをひっくり返してポールをとり、決勝でも2位以下を10秒以上離して今期初優勝を決めた。
メルセデスは低速コースが不得意だと思われているがモナコも低速コースだ。
メルセデスは予選が速いから予選でポールを取って決勝で逃げ切るにはパッシングできなくタイヤの負担が少ない低速コースのほうが優勝しやすい。
そういう意味でも、予選でポールをとって決勝のスタートで1番手をキープしたハミルトンのドライバー力の勝利だった。

ライコネンは、またもや2位に入り、連続入賞記録を伸ばしただけでなくチャンピオンシップポイントでも2位に上がった。
フェッテルは予選・決勝ともハミルトンに完敗して3位に終わった。
それでもフェッテルは172ポイントとなり、ライコネンに38ポイント差をつけている。
アロンソはハンガリーでも5位に入るのがやっとの状態でチャンピオンシップポイント2位のライコネンとは僅か1ポイント差だが、フェラーリの劇的なパフォーマンスアップがないと苦しい状態は続く。

代わって浮上してきたのが今回優勝のハミルトンで、予選の速さから見ても、フェッテルが後半戦に最も注意すべき相手はハミルトンだろう。
フェッテルとハミルトンの間には38「ポイント差があるがブリティッシュGPのようなリタイアがあるとポイント差は一挙に縮まる。
メルセデス・チームは決勝でのタイヤのもちを良くする為に予選中に決勝で使うタイヤに熱を入れておいたりして細大漏らさず手を打っているし、タイヤの構造も昨年型に戻ったから前半戦ほどはタイヤに苦しめられないですむかもしれない。

まだまだ不十分だがマクラーレンにも復調の兆しは見えてきた。
ハンガリーでは2ストップ作戦を成功させて7位と9位に食い込んだ。
もっとも、マクラーレンの場合、すでに開発の主力は2015年のマシンに移っていると考えられる。
勝てるF1マシンを仕上げるには1年半はかかるからだ。

4週間の夏休みが終わって、今週はベルギーGPだ。
スパ・フランコルシャンはハンガロリンクとは逆のハイスピード・コースな上にレース中に突然天気が変わるスパ・ウェザーで有名だ。
土曜日と日曜日の天気は雨の予想となっているから、番狂わせが起こる可能性がある。
ずっと雨ならまだいいが、途中で少し雨が止んだりするとチームの作戦力とドライバーの判断力・適応能力の勝負になる。

先日、日本の菅生で行われたスーパーGTのGT300でARTA-CRZをドライブする小林崇志がレース終盤ピットからのウエット・タイヤの交換のためのピットイン指示に対してドライタイヤのままでいけるか判断するためにあと1周ドライで走らせてほしいとピットに伝えピットも了承した結果、タイヤ交換せずに走りきって優勝したのはドライバーの判断力・適応能力を示すものだった。
雨が降ったり止んだりになればバトンが力を発揮するだろうし、高速コースに強いフォースインディアに乗るスーティルも上位に食い込んでくるだろう。フェッテルとライコネンも雨には強い。

ベルギーGPは、1位ライコネン、2位フェッテル、3位バトン、4位ハミルトン、5位アロンソ、6位スーティル、7位ロスベルグ、8位ペレス、9位ウエバー、10位マッサかな。 

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