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YUKICHI OTSUKA 大塚雄吉
F1 ウォッチャー
幼少期にF1に魅せられ、50年以上にわたって、日本製のF1が出ていなくても、日本人F1ドライバーがいなくても50年以上にわたってF1を見続けてきた、F1 ウォッチャー。

Formula One 2011(7)2011.07.22

イギリスGPでついにフェラーリのアロンソが今シーズン初優勝を決めた。
シーズン当初、レッドブルとフェラーリのパフォーマンスの差は大きかった。
そんな中で、アロンソは自身の力と経験のすべてをつぎ込んでスペインGPの前半、モナコGP、ヨーロッパGPなどでさすがと思わせる走りを見せていた。
シーズン中にもかかわらずレッドブルの独走を止めるために実施されたレギュレーション変更によって空力的に劣っていたフェラーリが最もパフォーマンス低下が少なく、イギリスGPは拮抗したレースになった。
しかし、アロンソでなければフェラーリの優勝はなかっただろう。
フェッテルはピットのトラブルにもめげずしっかり2位にはいり、最後になってやっとチームオーダーに従ったウエバーが3位に入った。
4位にはラストコーナーでまマッサをはじき出したハミルトンが入った。

ところが、面白いことに今回の急なレギュレーション変更の影響を受けたのはレッドブルだけではなくマクラーレンもかなりパフォーマンスが低下してしまったためにホームグランプリで表彰台にさえ上れない有様だった。
それで今回のレギュレーション変更はイギリスGPのみに適用されることになり次のドイツGPからは予選と決勝のエンジンマッピングを変更してはならないというルールだけが適用される。
ここに、今のF1GPの運営が象徴されている。
誰かが一人勝ちしそうになると、シーズン途中にレギュレーションを変えてでも興行的面白さを保とうとするのだ。

今年のドイツGPはニュルブルクリングで開催される。
メルセデスはホームグランプリだしコースにマシンが適していそうだから上位に進出する可能性がある。
気温が低そうなのでKERSの冷却問題を抱えるレッドブルにとっても有利に働く。
フェラーリは空力性能の差をどの程度つめることができているかが見ものだ。
予選からセットアップに苦しみ、決勝では粘り強く戦っていたがツーストップ作戦がうまく働かず、逆にワンストップでがんばったチーム・メイト-ペレスの後塵を拝してしまった。

今年のドイツ人F1ドライバーは、フェッテル、ロスベルグ、ハイドフェルド、シューマッハ、グロック、スーティルの6人だ。
全員母国グランプリなので気合が入る。ドイツ人以外では曇りから雨も予想される天気の中では、バトン、スーティル、可夢偉の走りも見ものだ。

イギリスGPでは予選8番手につけながら、シューマッハの追突とピットのミスで残念な結果となった可夢偉。
今回はシューマッハと絡まなければ良いが上へ行ったら行ったでハミルトンがいる。
日本人F1ドライバー初優勝への道は険しいががんばってもらいたい。

ドイツGPは、1位フェッテル、2位バトン、3位ロスベルク、4位アロンソ、5位ウエバー、6位ハミルトン、7位可夢偉、8位シューマッハ、9位マッサ、10位ハイドフェルドかな。

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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉
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Formula One 2011(6)2011.07.08

ヨーロッパGPはカナダとはうって変わって完璧なドライコンディションのなかで戦われた。
近年では久々のリタイヤなし全車完走レースだった。
結果だけを見れば予選も決勝もレッドブルの圧勝であったが1位フェッテルの速さと2位アロンソの強さが目立ったレースでもあった。
ウエバーマイナートラブルを抱えながら3位に入りなんとか面目を保った。
中盤チームの中では、今回兄貴チームのレッドブルと同じ空力パッケージを一部に導入したトロロッソのアルグエルスアリが8位に、フォースインディアのスーティルが9位に入った。
可夢偉は予選からセットアップに苦しみ、決勝では粘り強く戦っていたがツーストップ作戦がうまく働かず、逆にワンストップでがんばったチーム・メイト-ペレスの後塵を拝してしまった。

ヨーロッパGP終了時点でフェッテルは2位のバトンとウエバーにチャンピオンシップポイントで77点の差をつけた。
これは残り11戦でバトンかウエバーのどちらかがすべてのレースに優勝しフェッテルが2位になって最終戦で初めて同ポイントになるという差だ。
ところがどっこい、F1の世界はなにが起こるかわからない。
2010年を振り返ってみてもヨーロッパGP終了時点で速いがまだ弱さのあったフェッテルが最終戦でチャンピオンを決めるとは誰も想像できなかったしフェッテルが韓国GPでトップを独走中に突如エンジンブローでリタイヤしノーポイントに終った。
FIAは前代未聞のシーズン途中のテクニカル・レギュレーション変更をしてまでレッドブルの優位性を削ろうとしている。
アロンソやハミルトンがもうシーズンは終わったなどといっているが、真に受けてはいけない。
これは相手を油断させるために良くやる場外心理戦なのだ。

さて、イギリスGPだが、ブローディフューザにアクセルオフでもエアを吹き付けるエンジンマッピングが禁止されることがレッドブルのパフォーマンスにどれほど影響するかだ。
おそらく、予選でのアドバンテージが少なくなるといわれているが、これが本当ならば予選でフロントローを独占して逃げ切りという手が使えなくなる。
レッドブルが本番で相変わらずKERSの冷却問題を抱えているとすればレース終盤が見物だ。
ハミルトンは得意とするコースだからここは一番がんばるだろう。
シューマッハも少し復調の兆しを見せている。
可夢偉もここで結果輪出さないと?がつき始める。厳しい世界だ。

イギリスGPは、1位フェッテル、2位ハミルトン、3位アロンソ、4位ウエバー、5位バトン、6位マッサ、7位可夢偉、8位シューマッハ、9位ロスベルク、10位ペトロフかな。

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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉
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Formula One 2011(5)2011.06.24

カナダGPは予選がドライ、決勝がウエット-セミ・ウエット-ドライのコンディションで戦われた。
目まぐるしく変わるコンディションを最も得意とするバトンが6回のピットストップと1回のドライブスルー・ペナルティの末にファイナルラップでフェッテルを追い詰め、抜き去って見事な優勝を決めた。
可夢偉は雨の中で13位から7位まで上がりタイヤ交換をしなかったため前半赤旗中断時にはなんと2位につけていた。
赤旗再スタートとはいえ日本人ドライバーがフロントローに並ぶのを見るのは2004年ヨーロッパGP以来の光景だ。
その後、路面が乾くにつれドライではトップと5秒近く遅いマシンでよく頑張ったが7位フィニッシュとなった。最終ラップシケインの立ち上がりからフィニッシュラインまでの間でマッサにDRSを使って抜かれた時可夢偉はとても冷静なドライビングをしていた。
あれがシューマッハだったらもっと寄せて抜かせまいとしただろう。
可夢偉はクラッシュを避けて7位を取り、クラッシュした場合にペナルティを受ける可能性を回避したのだ。

モナコあたりから顕著になった傾向だが、シーズンが始まったころは2番手以下のチームに対して大きな性能差を持っていたレッドブルが決勝を見る限りマクラーレンと比べて明らかに違うというほどの差を持っていないことだ。
レッドブルのマシンは他のチームのマシンより空力性能が優れているが、KARSの冷却問題を抱えておりKARSをレース通じて有効に使うことができない。
このため、レッドブルは予選でフロントローを独占し、決勝ではライバルを早々と引き離してそのまま逃げ切るという作戦をとることが多い。
ところがレッドブルが予選で速い理由のひとつとなっていた排気ガスをリアタイヤに吹き付けるシステムはドライバーがアクセルを踏んでいないときでも一定の排気ガスが出るようになっているがイギリスGPから禁止される予定になっている。
これで予選でのアドバンテージが狭まり、予選・決勝とも伯仲したレースが望めると言われている。

ヨーロッパGPは、バレンシアのストリートコースで争われる。
今回、ピレリはモナコのときのようなスーパー・ソフトとソフトという組み合わせでなくソフトとミディアムというタイヤの組み合わせを提供するらしい。
ピレリタイヤはモナコとカナダを見る限り路面のミューが低いストリート舗装のコースでは結構もつようだ。
タイヤに優しくないドライバーでもそれほど不利ではないかもしれない。
となれば、来年のシートが危うくなってきているウエバーやマッサも巻き返すことができるかもしれないし、ハミルトンはここでクラッシュすることがあればマクラーレンも体制を考え直す可能性が出てくる。
アロンソはストリートコースが得意だし事実上の第2スペインGPなので光るものを見せるだろう。

ヨーロッパGPは、1位フェッテル、2位アロンソ、3位ハミルトン、4位ウエバー、5位バトン、6位ロスベルク、7位可夢偉、8位マッサ、9位シューマッハ、10位ハイドフェルドかな。

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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉
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Formula One 2011(4)2011.06.10

モナコGP予選ではフェッテルがポールポジションを獲り、バトンが2番手に、ウエバーが3番手につけた。アロンソは2列目4番手につけ優勝を狙える位置を確保した。
ザウバーのペレスは活きのいい走りでQ3に進出したが、Q3終盤トンネル内をオバースピードぎみで通過し若干アウト側にはらんでトンネルを出たとところで、おそらくは左後車輪がバンプで跳ねてグリップを失ったマシンは、突如右を向いてクラッシュした。
そのまま滑ってシケインの分離帯に側面から激突した。
モナコを得意とするロスベルグも練習走行中に同じ場所で同じようなクラッシュをした。
ロスベルクの場合は分離帯にぶつからなくて済んだが・・・。

モナコの決勝は、ミシュランが用意したソフトタイヤとスーパーソフトタイヤが意外と長持ちしたのでタイヤ交換の作戦がチームによって分かれ、モナコにしては面白いレース展開であった。
69週目までは。69週目に発生した中盤グループの多重クラッシュまでは。
この後レースは面白くなくなってしまった。
多重クラッシュとタイヤ交換・再スタートが無ければ、ワンストップで走り続けていたフェッテルのタイヤは限界に来ていたし、追うアロンソ、バトンが首位に入れ替わる可能性も充分あった。
結果は赤旗によって救われたフェッテルの優勝となった。

可夢偉は得意のワンストップ作戦で4位まで浮上していたが再スタートでスーパーソフトに履き替えたウエバーに抜かれ5位でフィニッシュした。
ウエバーがトンネルの出口で可夢偉を抜いたシーンが興味深い。
ウエバーは可夢偉を抜く為にトンネルの出口でバンプのある外側のラインを取った。
そう、ペレスとロスベルクがクラッシュしたあのラインだ。
しかしウエバーには同じことは起こらず、そのまま可夢偉に並びかけシケインの入り口に一瞬早く滑り込むことができた。
レッドブルのマシンはエアロ・ダイナミックスが優れているだけでなくメカニカル・グリップも良いといわれているがまさにそのとおりだ。
ちなみにザウバーもメルセデスもサスペンションは硬めで跳ねやすいマシンだといわれている。

今週は大西洋を渡ってカナダGPだ。
カナダGPのコースは常設といいながら1年に1回F1の時にだけ使われるサーキットで舗装が一般公道の舗装に近い。
コースレイアウトは長い直線とタイトコーナーをつないだようなコースなのでとてもブレーキとタイヤに厳しい。
寒い国カナダの割にはグランプリ・デーは暑くなることが多くタイヤ選択が重要になる。
決勝が晴れならば、レッドブルと戦えるマシンになってきたマクラーレンに乗りこのコースを得意とするハミルトンが優勝候補だ。
アロンソはこのコースがあまり得意ではない。
しかし、雨となると話は違ってくる。
コースコンディションが悪いとフェッテル、バトン、スーティルあたりが上がってくる。
可夢偉は今年は1周目でリタイヤせず連続入賞記録を伸ばしてもらいたい。

カナダGPは予報どおりの雨なら、1位フェッテル、2位バトン、3位ハミルトン、4位アロンソ、5位ロスベルク、6位ウエバー、7位可夢偉、8位スーティル、9位ディレスタ、10位シューマッハかな。

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Formula One 2011(3)2011.05.27

スペインGP予選ではウエバーがついにポールポジションを獲り、フェッテルは今シーズン初めて予選2位に甘んじた。
決勝ではアロンソがスーパー・スタートを決めて20周にわたってトップを走り、母国スペインのファンを熱狂させた。
アロンソだから出来る芸当だ。

決勝では、KERSに問題を抱えたレッドブルよりもマクラーレンの方が速かったのだが、フェッテルはハミルトンの追撃を巧みに退け続けて優勝した。
フェッテルは偉大なチャンピオンへの道を歩き始めたようだ。
フェッテルは多少マシンに不利な点を抱えていても勝てるのだ。

スペインGPでは、ピレリが硬すぎるハードタイヤを持ち込んだお陰でハードタイヤとソフトタイヤとのタイム差が2秒以上出てしまった。
なるべくハードタイヤを長く使わないほうが有利なため、4回ピットストップを選択したドライバーが多かった。
これではハードタイヤの意味がない。
今年のレースはピレリタイヤに振り回されている。
予選と決勝を通じて使えるタイヤ本数が限られているから予選10番手近辺のドライバー・マシンの場合、Q3で新品ソフトタイヤを装置して1周も走らず予選10位で予選を終え新品ソフトタイヤで決勝を走った方が有利になる可能性が高いのだ。
ピレリタイヤの登場で不確定要素が増えて面白くなったというむきもあるが予選の意味がなくなるのはちょっと行き過ぎではないだろうか。

今週はモナコGPだ。
ここはマシンの不利をドライバーの腕でカバーできるコースだ。
雨でも降れば下位のマシンでも充分トップ3に入ることが出来る。
1984年アイルトン・セナが雨のモナコで当時の弱小チームのトールマンでアラン・プロストがドライブするマクラーレンを追い上げもう少しで抜いてしまうというところで競技長がレースを1/2で中断してしまったためにプロストは抜かれないで済み、優勝扱いになったというエピソードがある。

現役ドライバーの中ではモナコで速いのはアロンソだ。
昨年は予選でクラッシュしてしまい最後尾スタートだったが1周目にタイヤ交換して抜きの難しいモナコで決勝は6位まで追い上げた。
毎年、予選でマシンの実力以上にいいタイムを出すのはロスベルグだがなかなか決勝の結果に繋がらない。
可夢偉は昨年の予選と決勝を見る限りあまりモナコが得意ではないようにみえる。
可夢偉が冷静でレース上手、パッシングが巧いのは既に定評となっているから、
ファンからの次の要求としてモナコで目の覚めるような速さをみせてほしいということになる。
モナコで強いチームは、フェラーリ、マクラーレン、ウイリアムス(今年はちょっとしんどい)だ。
経験とデータの蓄積がものをいう。

モナコGPは1位アロンソ、2位フェッテル、3位ロスベルク、4位バトン、5位ハミルトン、6位ウエバー、7位マッサ、8位ペトロフ、9位シューマッハ、10位スーティルかな。

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