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about

TSUGIO NISHIMURA 西村次雄
フォトグラファー
1973年、九州産業大学芸術学部写真科卒。同年渡米。1979年、「STUDIO BB」を設立。デジタルの可能性にいち早く気づき、雑誌・広告を中心に一眼レフカメラを駆使して活躍中の”IT写真家”である。建築物、料理、人物、商品、そして動物・植物・昆虫と被写体の幅も極めて広い。

ニワゼキショウ2011.06.10

15mm程の可憐な花が初夏の風に揺れていた。花の名はニワゼキショウという。
レンズのボケ味を生かす為にLEICA 100mm f/2.8 APO-Macro-Elmarit-R、をCanon5D MarkⅡにマウントアダプターを介して装着した。
花の背は低く、うつ伏せでしっかりとカメラを保持しつつ、ゆっくりとピントリングを回す。指先にドイツ工作技術の確かさの一端を感じられる、心地よいなめらかな動きが伝わってくる。
花被の繊毛がしっかりと捉えられた、その時一匹のモミジニタイケアブラムシがふわりと花被に止まった。

ニワゼキショウ(庭石菖 Sisyrinchium rosulatum)
アヤメ科の地下茎を持つ多年草。高さは10〜20cmほど。花期は5月〜6月頃、直径15mm程の小さな6弁の花をつける。明治時代中期に北アメリカより観賞用として輸入された種が野生化した帰化植物である。日当りのよい芝生や草地に生え、名はサトイモ科ショウブ属のセキショウに似ている事、庭などに良く生える事から庭石菖。花被には外面に繊毛が生え花被片は薄紫色や赤紫色などがあり筋が入る。
仲間にはアイイロニワゼキショウ、オオニワゼキショウがある。

この時の撮影技法(開放のボケ味を楽しむ)
ボケとは、主要被写体の前後のピントが明確に合っていない部分のことをさす。
前後をぼかすことにより、主要被写体をより誇張し主題をより明確にする作画手法でもある。
レンズの焦点距離、撮像素子に深い関係がある。ボケには、前ボケ、後ろボケ、2線ボケなどがある。
そこには美しいボケ、汚いボケがレンズ性能により明確に現れる。
したがって、被写体によりレンズを選ぶといっても過言ではない。フィルム時代には、機械などをシャープに写すにはニコンレンズ(新聞社)、柔らかい写りにはキャノン(雑誌グラビア)、ドイツ製のレンズはポートレートなどに向いているなどと昔から言われていたが、果たして印刷物でレンズ名をピタリと言い当てられる方はどれだけいらっしゃるだろうか?それだけレンズの隠し味は微妙で奥深いのである。
今回の画はボケ味で評価の高いLEICA 100mm f/2.8 APO-Macro-Elmarit-R、1988年製造の古いレンズを引っ張りだして撮影を試みた。

別名AMEとも呼ばれ35mm用マクロレンズとしては現在においても1、2と云われる名玉である。
しかしマクロレンズでありながらレンズ先端に装着する専用の ELPRO 1:2-1:1.1 Attachment が無ければ、等倍撮影が出来ない不便なレンズでもある。AFもオートファーカスではない、ピントリングはクルクルと沢山回さなければならない使用になっているのだが、使うと「なるほど!」とうなってしまうほどデリケートなピント合わせがとても容易く行えるのだ。一般的に美しいボケ味とは、芯を意識させない光が、なだらかににじんでいく、まさにとろけるようなボケ味が美しいボケ味ともいわれる所以でもある。
美しいボケの中にピントの合ったところはゾクットする程シャープで立体感あるのが良い。
いっぽう汚いボケとは二線ボケやパープルフリンジの事を言う。二線ボケは球面収差などによって起きる現象で、後ろボケが二重に重なり背景がゴチャゴチャで汚いボケになってしまい、作画意図を台無しにしてしまうボケ。でも、それは個人によって好き嫌いの範疇なのだけれど・・・。前ボケにはあまり出ないが後ろボケには顕著に現れる。パープルフリンジは開放で起きやすい、輝度差の大きな被写体を逆行時に撮影したおりハイライト部の周りに青紫色などの偽色が出る目障りな現象。この現象はレンズと撮像素子に起因する。この画のRow現像は、Adobe Lightoroom3で行い、コントラストを最高値近くの88まであげてもまだハイライト部はしっかりとねばって飛ばないのだ。Row現像を楽しめるレンズを選び出すことこそ、デジタル写真の究極の楽しみ方のひとつかもしれませんね。

こぼれ話
記憶は曖昧だけれど、今から30年程前(1980年代初め)『海からの手紙』を連載中の岩合光昭氏の四谷駅近く(多分)の事務所で取材した。来年から家族でアフリカへ移住するという。
「どんな道具を使われるのか、持って行かれるカメラで構えてもらえませんか?」とお願いすると快く、岩合氏愛用のカメラを構えてくれた。
お互いがカメラを構えて撮影している光景に同行の記者が笑っていた。
その時のカメラはライカRであった。一眼レフでライカ?「なぜアフリカの地でライカを使われるのか?」と伺ったところ「信頼性と、トラブル時にセレンゲティ辺りから修理に出すにはライカが一番都合がよいので・・・それと、レンズの写りがとても気に入っている・・・」

カメラ設定
絞り値:F/2.8、シャッタースピード:1/500秒,露出モード:マニュアル、露出補正:0段、ホワイトバランス:オート、測光モード:部分測光、ISO感度設定:400、ピクチャースタイル:スタンダード
使用機材

Canon 5D MarkⅡ、LEICA 100mm f/2.8 APO-Macro-Elmarit-R、LR-EOSマウントアダプターにて取り付け

使用ソフト
Raw現像ソフト:Lightroom3、最終調整PhotoshopCS5使用

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TSUGIO NISHIMURA/西村次雄
写真家

昆虫酒場にて(オオスズメバチの女王)2011.05.02

ビールが美味しくなってきた季節。
ある確かな筋から「昼間から女王様がパブに入り浸っている」という情報を仕入れた。
パパラッチの私はビール腹を揺らし密かに張り込むことにした。
狙いは、お口の周りに「泡のお髭」をたくわえた無防備の女王様のスクープ写真である。
昼下がり望遠レンズを装着したカメラを携え、パブ近くのコナラの葉陰に潜む。
果たして、女王様は羽音を轟かせて、イソイソとパブへ入っていく・・・。
溢れ出た芳醇なビール(コナラの樹液)の泡「う〜んたまらん!」と言っているかのように、実に美味そうにゴクゴクとお腹をふるわせ・・・。「プファー」「お髭だ!」「カシャ!!」

オオスズメバチ(大雀蜂)
ハチ目スズメバチ科スズメバチ亜科 スズメバチ類では世界最大種。
11月ごろ交尾を終えた新生女王バチのみ(晩秋には働き蜂、♂とも死滅)が越冬。
東京では4月中頃、越冬から目覚める。
まだ終齢幼虫がいないこの時期は、幼虫が出す分泌物が飲めないので、糖質を多く含む花蜜、樹液などをなめる。
けっして蜜を持ち帰る事はない。
なみに、ある有名マラソン選手が使用しているスポーツ飲料「VAAM」幼虫が出す分泌物に近い栄養成分でつくられていて、脂肪燃焼、持久力にすぐれているそうです。
体長:女王バチ40~45mm,働きバチ27~40mm,オスバチ35~40mm、
攻撃力、毒性もきわめて強いが、この時期(4月〜5頃)の女王バチはこれから働き蜂を産み育てしなければならない重要な使命をおびているので、秋口の働き蜂に比べ性格はとてもおとなしく、私の経験則では無益な攻撃は行わないようにおもえます。
「逃げるが勝ち」の桂小五郎みたいな、生き残り術で命をつないできたのでしょうか。ただし、おとなしいと言っても、攻撃性は非常に強いので決して刺激を与えてはならないと心得るべし。

この時の撮影技法(ストロボで背景を暗くしない設定テクニック)
今回は、ストロボを使用する事により、背景が夜のように暗く写り、昼間の雰囲気を台無しにしてしまう事を防ぐテクニックです。
(大伸ばしプリント用写真を、ブログの小さなサイズで見やすいように大胆に部分トリミングしました)今回使用した、キャノンのスピードライト580EXは、ハイスピードシンクロ(FP発光)細かな発光を連続して行なうことで、シャッタースピード全域でフラッシュ撮影を可能にする機能があります。
フイルム時代のファーカルプレーンシャッター式の一眼レフカメラでは、同調速度1/250sが限界だったけれど、レンスシャッターのように、デジカメの5DMarkIIではどの速度でも同調可能です。
今回のように望遠レンズ300mmで動きの激しい被写体の場合とても重宝します。
立体感を表現するために2灯の外部ストロボを使いました。
カメラのホットシューに一台(撮影ポジションを自由にするため)そして、もう一台は三脚に取り付けて、オオスズメバチの斜め後ろに置き赤外線シンクロさせます。ここで重要ポイント「背景の緑と露出を合わせる」こと、決して昼間の雰囲気を壊さないようにする事です。
その為に感度設定をISO 1600まで上げました。
このように高感度にする事により、背景の露出をストロボ光露出と合わせる事が可能になり、背景の緑も写し込む事が可能となります。

カメラ設定
絞り値:F/9、シャッタースピード:1/800秒,ISO感度設定:1600、露出モード:マニュアル、露出補正:なし、ホワイトバランス:オート、測光モード:部分測光、ピクチャースタイル:スタンダード、焦点距離300mm,カメラ側ストロボ調光補正:−1/3, 三脚のスピードライト580EX調光補正:+1/3、Raw現像ソフト:Lightroom3、最終調整PhotoshopCS5使用

使用機材

Canon EOS 5DMarkII、CANON EF300mm F4L IS USM、スピードライト580EXを2台、ストロボディフューザー G6(Canon 580EX専用)E-6189、三脚ベンロカーボンネオフレックスC-298m8(580EXのスタンドとして使用) 

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TSUGIO NISHIMURA/西村次雄
写真家

虫界のマツコ・デラックス(マルトビムシ)2011.04.25

まるで椰子の樹の高さを彷彿させる花糸(オシベを支える部分)をドスドスとよじ登り、「ハ〜ハ〜」と鼻息荒く、自分の体ほどの巨大アンパンのような(オシベの葯)上に仁王立ちだ。
「ヤッパリサー、ココマデノボッテクルト、オナカガスクノヨネ〜」と、足下に目をやる。
めざとく巨大アンパンの裂け目からアンコ(花粉)がはみ出しているのを見つけ「アグアグ」と、しやもじで平らげていく。
その様子を眺めていたカメラマン「流石に、それだけ食べちゃうとホッペも、お腹もプックリだね〜。
おまけに、背中や触覚にもアンコがいっぱいくっ付いているけど……、もしかして、お名前はマツコ・デラックスだったりして……これから数軒はしごするの?」
ムッとした顔で「オジサン!ゼンゼンワカッチャイナイノネッ!ツイチャッタアンコ、メシベサンガトッテクレルヤクソクゴトニナッテイルノ!」
「そっか、ヘビイチゴさんもその辺は心得ていて、マツコに食べきれない程の御馳走を振る舞っているのだね」
「ソンナコト、ミンナシッテルチュウノ!」
「いいね〜、その怒った顔、頂きました……カシャッ!」

マルトビムシ
トビムシ目(粘管目)に分類されるマルトビムシの一種。大きさは1mmほど。世界では3,000種以上、日本では360種ほどいるといわれる。名前の由来は、跳躍器でよく飛び跳ねることからトビムシ。この個体は、ヘビイゴのオシベの割れた葯(やく)からはみ出た花粉を盛んに食べていた。

この時の撮影技法(地面の上に置いたカメラを前後に静かに動かすコツ)
想像できますか?
1mmほどのマルトビムシが、1mm弱のオシベの葯の上で花粉を食べている状況を。
それも、葯が割れて花粉が飛び出しているところ舐めるように食べています。こんな世界があったのかと、まさに感動ものです。さて、この世界を如何に撮影するか?
まずは、レジャーシートを敷いて、うつ伏せで長時間の観察に入ります。
観察といっても、裸眼では不可能なので倍率10Xの虫眼鏡で覗き込みます。
好みの個体が見つかったら、カメラと被写体の間合いが素早く前後に行えるように、カメラと地面の間に滑りやすいツルツルした素材(今回は携帯電話を代用)を敷きます。
これで、素早くカメラを前後に静かに動かせるという塩梅です。

〜お知らせ〜
私が写真を担当した。『新国立劇場』(ONLINE TOURオペラができるまで)が新しくUPされました。オペラファンならずとも、おおいに楽しめる企画です。興味のある方は、下記のアドレスへアクセスをお願い致します。是非!

http://www.nntt.jac.go.jp/library/onlinetour/index.html

カメラ設定
絞り値
F/11、シャッタースピード:1/200秒,露出モード:マニュアル、露出補正:−1/2段、ホワイトバランス:オート、測光モード:部分測光、ISO感度設定:400、ピクチャースタイル:ポートレート、焦点距離65mm, マクロリングライトMR-14EXストロボ調光補正:−1/3, スピードライト580EX調光補正:+1/3、Raw現像ソフト:Lightroom3、最終調整PhotoshopCS5使用

使用機材

Canon EOS 5D Mark II、CANON MP-E65mm f/2.8 1-5x Macro Photo、マクロリングライトMR-14EX,  スピードライト580EX, ESCHENBACHの1510-104 LEDワイドライトルーペ10X、滑らせるために携帯電話のツルツル面使用

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TSUGIO NISHIMURA/西村次雄
写真家

赤いホッペ(ソメイヨシノの蕾)2011.03.28

三寒四温に揺さぶられ、一片の花びらが目覚めたようだ。
ソメイヨシノの蕾の大きさは約1センチ、ちょっぴり覗いた花びらは北国の子供のホッペのように赤い。
サクラは散り際が美しいともいわれるが・・・。
春の目覚めのホッペもまたすてがたい趣がある。
さて、ここから季節は一気に蕾を開かせ、赤いホッペから薄紅色、そして白色に近づき桜吹雪へと駆け抜けて行く。
以前、公開した福島の「三春の滝桜」目立った被害もなく、元気とのこと。
こんな時だからこそ今年も出かけてみようかとも思っている。

ソメイヨシノ「染井吉野」
エゾヒガン系とオオヤマザクラとの交配で生まれたサクラの園芸品種。
「吉野桜」と表記することもある。
花弁は5枚。
エゾヒガン系と同様に、葉より早く花が咲く性質と、オオシマザクラの大きな花びらを併せ持った品種で、満開時には大きな花で樹全体を彩る。
名の由来は、江戸末期から明治初期、江戸の染井村「現在の東京都豊島区駒込」の植木屋が品種改良した園芸品種。
当初、奈良県の桜の名所「吉野山」にちなんで「吉野桜(ヤマザクラの意)」として売り出していたが、「吉野桜」では誤解を招くとして、明治33年、東京帝室博物館天産部の職員であった藤野寄命博士が上野公園のサクラを調査し「染井吉野(ソメイヨシノ)」として『日本園芸雑誌』において命名。
ちなみに、全国のソメイヨシノは一本のマザー木から接ぎ木されたクローンであり同じ遺伝子をもつ。

この時の撮影技法(手持ち撮影にてマクロ接写するコツ)
被写体がここまで小さいと、手持ち撮影時には「カメラブレ」や「被写体ブレ」でフォーカスがとても難しくなります。
そこで、チョットしたコツをご覧の写真で説明します。
方法は実にカンタン。
まず、蕾の下5センチ程を左指でつまみ、レンズの先端部分と一緒にホールドします。
すると、揺れていた蕾がレンズの揺れと同調し、ピタリと揺れが収まるという塩梅です。
あとは、ゆっくりとカメラ本体を前後してフォーカスします。
その時、シャッターは霜が降りるように優しく押します。
決して勢い余って強くシャッターを押すのはブレの量産に繋がりますから御法度です。
さて、今回の道具立ては、1センチ程の蕾から覗く花びらを撮影するために、キヤノンの倍率5倍まで撮影できる「65ミリマクロレンズ」をチョイスしました。
このレンズは少し特殊です。
なんとフォーカスは、カメラを前後して行います。最初はまごつきますが、慣れてしまえば小さな被写体には重宝この上なしです。
撮影地:いこいの森公園、西東京市(田無市)「以前は原子核研究所址。東京大学原子核研究所、通称核研(INS)、1955年7月から1997年3月までの43年間にわたり原子核、素粒子、宇宙線の研究所として創設された。
ここで育った研究者は現在、世界各地で活躍している」と刻まれている(要約)。

カメラ設定
絞り値:F/11、シャッタースピード:1/200秒,露出モード:マニュアル、露出補正:−1/2段、ホワイトバランス:オート、測光モード:部分測光、ISO感度設定:200、ピクチャースタイル:ポートレート、焦点距離65mm, マクロリングライトMR-14EXストロボ調光補正:-1, スピードライト580EX調光補正:0

使用機材
Canon 5D MarkⅡ、CANON MP65mmF2.8 !-5x マクロフォト、マクロリングライトMR-14EX(黒色のテープで発行部を覆い縮小して使用),  スピードライト580EX, エツミストロボディフューザーG6、三脚ベンロカーボンネオフレックスC-298m8(580EXのスタンドとして使用)

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TSUGIO NISHIMURA/西村次雄
写真家

木枯らし2010.12.28

年の瀬。誰もいなくなった公園で、めっきり少なくなった虫を未練がましく探していたけれど「♪夕焼け小焼け」が流れてきたので、カラスと一緒に帰り支度を始めた。
すると、突然風が吹き出し、落ち葉がザワザワと舞い上がりはじめた。
それからはもう、まるで堰を切ったようにみるみる葉っぱ増水し、荒れ狂う川の濁流のように木々に激しくぶち当たり砕け散り舞い上がった。
こりゃ~凄い!と、バッグに仕舞いかけたカメラを取り出し撮影ポイントを探るが、ふと、舞い踊る落ち葉を見て、♪をつけるとしたら何が良かろうか?と、よけいな事を考え始めたのである・・・。
「う~む、♪コンチネンタルタンゴ?いやいやアフリカ系のビートが効いた♪アルゼンチンタンゴが良いかな?いやいや・・・♪だんご三兄弟、それとも♪木枯らし紋次郎。おいおい、音楽に疎いのがバレバレだねぇ」
などと、誰もいなくなった薄暗い公園でひとりブツブツニヤニヤ。
・・・・・
「カシャ!カシャ!」

木枯らしとは
太平洋側地域に晩秋から初冬にかけて、冷たい北からの強風(風速8m/s以上)が吹く季節風のことをいう。
強い風で木の葉を落とし枯れ木にするので「木枯らし」の説や「木嵐」が転じたとの説もあるようだ。
初冬に吹き荒れた木枯らしの気圧配置は長続きせず、翌日には穏やかな小春日和になりやすいともいわれる。

この時の撮影技法(ブレについて)
ブレの原理が理解できると、「瞬間をキッチリ止めたい」「動きのある写真を撮りたい」などの、思い描く完成画を容易に具現化できるようになります。
ご存知のように、ブレには大きく分けて「被写体ブレ」と「カメラブレ(手ブレ)」があります。ブレを押さえ込むには「高速シャッター」「三脚」「カメラブレ補正レンズまたはカメラ内補正機構」「パン=流し撮り」などがあります。

1)ブレはレンズの焦点距離で異なる。
広角レンズと望遠レンズではカメラブレは異なります。例えば広角レンズ20mmでは1/20s以上、望遠レンズ300mmでは1/300s以上がカメラブレを防ぐ限界シャッタースピードと一般的には言われています。
すなわち、焦点距離と同じ値がシャッタースピードの下限値という訳です。
(勿論、経験を積むことによりその数値以下でも止められるようになります)

2)ブレ表現にはシャッタースピードの加減が重要
例えば、プロ野球の投手が投げたボールを、バッターが打ち返した瞬間を捕らえるには最低1/250s以上でなければバットに当たった様にみえる瞬間は撮れません。
完全に止めるには約1/1500s以上が必要です(条件によって異なる)。
もし、1/60sならばボールとバットは消えてしまうことになります。
また、人通りの激しい繁華街で三脚を使いシャッタースピード30秒以上で撮影を行うと、30秒間じっとして動かない物以外は総て消えてしまい、無人の不思議な街として撮影出来てしまうのです。
この様に、シャッタースピードの加減ひとつで表現方法が飛躍的に広がります。

3)動きを表現する二つの方法(フォロー・パンとフィックス)
A、フォロー・パン(Pan=流し撮りのこと:被写体の動きに合わせ同一方向へカメラを振る)
例えば、1/30sでカメラを疾走する車と同じ方向へパンして撮影を行うと、車の車輪は回りかつ背景は流れている。
しかし車体はブレてないような写真が撮れます。
B、フィックス(カメラ固定)
カメラを三脚などで固定して撮影。
ご存知のとおり、静止したもの以外は被写体の動きの速さでブレ幅が異なります。
例えば、風景写真の場合。木々の葉っぱが風で揺れていると
低速シャッター(ブレは風の強さで異なる)では葉っぱが揺れて写り、その場の情景をドラマチックに仕上げるスパイスの役割を持たせることもあります。

今回の写真は、あえて被写体ブレとカメラブレの両方とを持ち合わせたカットをセレクトしました。
本来ならば破棄してしまうカットですが現場の雰囲気を一番表していたので、あえてこのカットをセレクトしたというわけです。

カメラ設定
絞り値:F/16、シャッタースピード:1/30秒,露出モード:マニュアル、露出補正:-2段、ホワイトバランス:晴天、測光モード:マルチパターン測光、ISO感度設定:ISO 400、焦点距離100mm

使用機材
Nikon D300、AF-S NIKKOR VR 70-300mm F/4.5-5.6G

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TSUGIO NISHIMURA/西村次雄
写真家