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about

TSUGIO NISHIMURA 西村次雄
フォトグラファー
1973年、九州産業大学芸術学部写真科卒。同年渡米。1979年、「STUDIO BB」を設立。デジタルの可能性にいち早く気づき、雑誌・広告を中心に一眼レフカメラを駆使して活躍中の”IT写真家”である。建築物、料理、人物、商品、そして動物・植物・昆虫と被写体の幅も極めて広い。

ゴイシシジミ2014.08.11

昨日から腰の調子がどうも良くないけれど、いま撮りたい蝶(オオムラサキ)がいて天気が気になっていた。予報では、明日から3日程天気が悪いらしい。その原因は自転車並みのノロノロ台風11号のようだ。これ以上遅れたら、また来年まで一年も待たねばならないと考え無理して今日出掛ける事にした。

埼玉県嵐山へは高速を使うと約1時間だが、オオムラサキの撮影方法などをあれこれ想いを巡らせハンドルを握っていたら、腰の事などすっかり忘れさっていた。—–後に思い知らされるのだが・・・。

予定時刻に到着。

急ぎ、オオムラサキのポイントへ。数分後♂が一頭ヒラリと現れたがそれっきり。どうやらクヌギの樹液が3箇所とも枯れてしまったようで撮りたい絵柄はジエンド、しかたがない来年まで楽しみに待つことにしょう。ならば、とゴイシシジミにターゲットを変えるが、その撮影ポイントは坂の上にある。三脚を担ぎ坂を登り始めると、・・・腰にズドーンと痛みが奔った。トホホと三脚を杖代わりに坂をゆっくりと登る。

よりによってうだるような猛暑日!

腰痛の冷や汗、と猛暑のダブルパンチで長袖シャツは汗でグッショリ。気力と根性でゴイシシジミのポイントに到着するがヘロヘロ状態で撮影の準備を始める・・・そこへ、ブ~ンとヤブ蚊襲来である・・・。

「うひゃ~!」

クーラーの効いた家でジットしておれば良いものを、好きとは言えホントお馬鹿です!

ゴイシシジミ(碁石小灰蝶、学名:Taraka hamada)
成虫の大きさはシジミチョウの中では小さい方で前翅長約14mm。
名前の由来は分けて考えると分かり易い、ゴイシは裏面が碁石のごとく白黒、シジミは翅を閉じているときの形がシジミ貝の内側に似ているから。
学名:Taraka =ターラカは、サンスクリット語=「梵語」から「目」「星」の意。
hamada:島根県浜田市に因んで付けられた地名だそうです。

ところで、
どちらが♀かお分かりになりますか? そうなんです、前翅外縁が丸みをおびている左側の方が肉食系女子♀です。人間もチョウも美しいアート曲線は♀と言い切っていいかもしれませんね?笑い

食性も変わっている。

ほかのチョウの幼虫は草木の葉っぱを食べて育つが、ゴイシシジミの幼虫は日本で唯一の純肉食性のチョウなのです。成虫も、この画のように笹の裏側についた「タケノアブラムシ」「ササコナフキツノアブラムシ」などの分泌物を吸いに集まる。また、そのアブラムシの群れの近くに産卵します。そして、孵化した幼虫は上記のアブラムシを補食し、羽化へと命のサイクルが今日まで続いてきているのです。まさに種の生存には上記のアブラムシが必要不可欠なのです。

出現時期

日本では、春から秋まで(5月~10月)、北海道西部~九州の亜高山帯で見られる。探すには山地から平地の笹薮で「タケノアブラムシ」「ササコナフキツノアブラムシ」などが発生している所を探すと見つけ易い。ただし、年々開発が進み、都市部では生息数が減少している。

この時の撮影技法「撮影難易度3星表記(☆☆)」
「被写界深度を生かし食性が分かるアングル」

ゴイシシジミの食性が分かる事がこの画のキーポイントと考える。その事を踏まえ、笹の葉裏で食事中のゴイシシジミをローアングルで狙った。キーポイントのゴイシシジミとササコナフキツノアブラムシが一枚の画に収まらなければ失敗と考える。
ゴシシシジミは笹の葉裏にいるのでチョット暗い、それに被写界深度をかせぎたいので絞をf/9に設定。さらにカメラぶれを防ぐ為にストロボを使用。
照明機材はニコンクローズアップスピードライトリモートキットR1、を60mmレンズにセット。立体感を出す為に、バックライトにSPEEDOLIHT SB-700一灯+バウンスアダプター SW-14Hを使用。


撮影自体は易しそうに思えるが、被写界深度を理解していないと手強いので、撮影難度(☆☆)とした。

撮影技法ではないけれど、猛暑日に必須の物品をリストアップ。

①長袖シャツの着替え(クールビズタイプ)、②タオル(数枚)、③虫除けスプレー(吹き出す汗に流されるので、こまめにスプレーする事。虫の種類によっては蚊取り線香でもOK)、④水(できれば生理食塩水やミネラル入り麦茶がオススメ)、⑤帽子(首筋を守るクールビットがオススメ)など、それと怖~いマムシに要注意。

カメラ設定
Nikon D810, 絞り値:F9.0、シャッタースピード:1/125秒,ISO感度設定:100、レンズ焦点距離60mm、露出モード:マニュアル、露出補正:-1/2、ホワイトバランス:オート、ピクチャースタイル:風景、Raw。

使用ソフト
PhotoshopCS6使用(Rawデータ現像、トリミングあり)

使用機材

Nikon D810, AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED、ニコンクローズアップスピードライトリモートキットR1、SPEEDOLIHT SB-700一灯+バウンスアダプター SW-14Hをバックライトとして使用、三脚:GITZOマウンテニア2型4段GT2542

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TSUGIO NISHIMURA/西村次雄
写真家

落雷2014.08.05

梅雨と夏の狭間では急にガラゴロと空が騒がしくなる。
先日、おとなりの調布市では初夏では珍しい多量の雹が降り雪国状態、などとニュースに新しい。
そして、この画のような落雷も数回ほどあったので、パソコン作業しながらの「ならがスマホ」ならぬ「ながらデジカメ」を行った。ながらは、いずれも危険行為だけれど、パソコンの電源は「雷から守る」タップを使っているので近くにドカンときても心配無用である。

小学生の頃、
同級生の女の子の家に雷が落ちたと聞き、恐いもの見たさプラスαで駆けつけた。
同級生曰く「あんね、ダンプカーがね、空から100台も落っこちてくっようなおっぜ大きな音がしてね〜、ほんなこひったまげたよ〜」。
話を聞きながら、その焼け焦げた天井穴を見上げる。なんとそこには奇麗な青空が見えていて、不思議だがその対比の美しさに見とれてしまった。
ヘ〜ッ、この穴からダンプカーが100台も落ちて来たのか、と想像してしまった私は、大きな口を開けてポカンと天井を見上げておりました。

この時の撮影技法「撮影難易度3星表記(☆)」
「道具に仕事をさせる」
落雷の瞬間を、新製品のNikonD810の試し撮りを兼ねた撮影を行った。
ピカッと光ってからシャッターを押しても遅いので、6秒間隔でシャッターを押し続ける便利な道具を使う事にした。
そこで、Nikon用の「無線GPSユニット&タイマーリモートコントローラー ZGR-2a」登場である。
D810は低感度ISO64が使え拡張もOK。残照が残る時間帯でも、拡張ISO感度31が使えるのでタイマーを6秒、絞はf/20、シャッター回数を30回に設定する。そう、6秒ごとの露光中に運良く雷がピカッと光ってくれればしめたものである。スマホのシャッターを「ホールド」にすれば、6秒ごとに自動撮影を行ってくれるお手軽撮影というわけだ。

NikonD810のこぼれ話
発売日から約18日間ほど人物、料理、昆虫、植物などに使用した。感想を一言でいうと「使える道具」である。下記に、D800から良くなった点を良い順に列挙する。

1、 シャッター音がソフトで静かになった。
(取材中、静かなシャッター音がライターさんの邪魔をしない=カメラぶれ原因のひとつが解消○)
2、 モニターが見たままの色味(現物と同じ色味=ホワイトバランスが的確○)
3、 低感度と高感度が良くなった(低感度=人物撮影などで開放絞をよく使う○。高感度、舞台などで高速シャッターが切れる=表現方法が広がる○)
4、 JPG画像データをそのまま印刷用に回せる。
(雑誌等の急ぎの入稿時に助かる=シャープネス、解像度、ホワイトバランスが○)
5、 バッテリー、縦位置グリップ、「通信ユニット UT-1」と「ワイヤレストランスミッター WT-5」(D800とD810が共有○)
まだまだ、いっぱい褒めたいところはあるけれど、Nikonのヨイショ宣伝していると思われてもなあ・・・。

カメラ設定
Nikon D810, 絞り値:F20、シャッタースピード:6秒,ISO感度設定:31、レンズ焦点距離32mm、露出モード:マニュアル、露出補正:-1.67、ホワイトバランス:オート、ピクチャースタイル:風景、Raw。

使用ソフト
PhotoshopCS6使用(Rawデータ現像)
AdobeはNikonD810用のCameraRawに素早く対応
色温度6550°K,カメラプロファイルをCamera Flatにして追い込んで仕上げる。トリミングあり。

使用機材

Nikon D810, AF-S NIKKOR 24-85mm f/3.5-4.5G ED VR、無線GPSユニット&タイマーリモートコントローラーZGR-2a、三脚:GITZOマウンテニア2型4段GT2542

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TSUGIO NISHIMURA/西村次雄
写真家