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about

TSUGIO NISHIMURA 西村次雄
フォトグラファー
1973年、九州産業大学芸術学部写真科卒。同年渡米。1979年、「STUDIO BB」を設立。デジタルの可能性にいち早く気づき、雑誌・広告を中心に一眼レフカメラを駆使して活躍中の”IT写真家”である。建築物、料理、人物、商品、そして動物・植物・昆虫と被写体の幅も極めて広い。

梅雨葵の花の中で雨宿り(シロオビキホリハナバチ)2015.07.09

雨の土曜日、
出かけようか・・・迷っていた。
絵柄はすでにシミュレーション出来ていたけれど。

—–そんな時には、
迷ったら出かける、あとあと後悔しないために。

シロオビキホリハナバチ(学名:Lithurge collaris)ハチ目、ハキリバチ科。
日本ではハキリバチ科は約54種。シロオビキホリアナバチ、シロスジキホリアナバチと混在するが、今回はシロオビハキリバチとする。大きさは約14mm。植物の葉を切り取り単房の壁や間仕切りなどの材料とする。巣房の中に花粉や蜜を集め幼虫の餌にする。大顎が発達していて、体色は黒い。

この時の撮影技法「撮影難易度3星表記(☆☆)」
「季節感を写し込む」花はシットリとした雨の日ががよく似合う。
梅雨に入ると、立葵(別名:梅雨葵)、芙蓉、ムクゲが咲き出す。花期にリンクするように現れるシロオビキホリハナバチの季節感を一枚の画にしたかったので、雨のこの日に殊更こだわる。オシベにしっかり摑まり雨宿りをしている主役(シロオビキホリハナバチ)とふたつのアクセントの脇役(立葵の色と水滴のシズル感)バランスを考えハチは左斜め上に配置した。花と水滴を写し込む為にはある程度の引きが必要となり、主役はますます小さくなってしまうから精密なピント合わせを求められる。

花の見分けかた。
立葵、芙蓉、ムクゲは、いずれもフヨウの仲間。
「立葵」は草本、つまり草。オシベだけが目立ち、遅れてヒゲのようなメシベが出てくる。

「ムクゲとフヨウ」は木本、つまり樹木。ふたつの違いは、葉っぱを見れば分かりやすいです。芙蓉の葉っぱは5角形でムクゲは葉が小さく尖がっています。その他にもメシベを見れば分かります、5本に分かれて先端が曲がっていればフヨウ、曲がっていなければムクゲです。

撮影は簡単そうだが、
雨と風に揺れて、ピント合わせがとてもデリケートであるから撮影難度(☆☆)とした。
撮影地:シロオビキホリハナバチの♂/練馬区石神井公園B球場

カメラ設定
Nikon D810, 絞り値:F8.0、シャッタースピード:1/160秒,ISO感度設定:800、レンズ焦点距離105mm、露出モード:マニュアル、露出補正:+1/3、ホワイトバランス:オート、ピクチャースタイル:スタンダード、Raw 14bit。

使用ソフト
Photoshop Lightroom CC (Rawデータ現像)
Photoshop CC(最終画像処理、トリミング)

使用機材

Nikon D810,レンズ: AF-S VR Micro-Nikkor 105mm f/2.8G IF-ED、ワイヤレスレリーズ:Velbon TWINI R4N、三脚:VANGUARD VEO 265CB、

POSTED BY:
tsugionishimura_image

TSUGIO NISHIMURA/西村次雄
写真家

招かざるハラアカマルセイボウ2015.07.06

宝石のような
美しいドレスを纏った、ハラアカマルセイボウの♀が今回のソープオペラの主役です。このハチ、身なりは美しいが、前回のナミツチスガリ♀にとっては招かざる客(寄生蜂)である。
いよいよコハナバチ類の獲物で満杯になりかけた頃、タイミングよく現れて次々に卵を産み付けていくが、全てに産み付けるような不合理は決して行わない。
観察を続けて驚く
「どこに隠れて見張ろうか?」
「あそこの小石の陰に隠れたほうが良さそうだ・・・」
「帰ってきた〜、ソレッ!」
などと、まるで人がやりそうな行動をこの個体は演じるのだ。

画像解説
1、そろそろか?と卵で膨らんだお腹でパトロール飛行。
2、巣穴入り口付近の土に触覚を差し込み、伝わってくる振動で中の様子を探っていると思われる。
3、小石の上に登り、身を隠す場所を探す。
4、小石の陰に隠れ、ナミツチスガリの帰りを待つ。キターッ!
5、すかさずダッシュ、後を追うように巣穴に飛び込む。
6、無事産卵を済ませ、顔を泥だらけにして巣穴から出てくる。

ハラアカマルセイボウ
(学名:Hedychrum japonicum、ハチ目、セイボウ科)

大きさは約5〜8mm。分布:北海道、本州、九州。金属光沢がひときわ美しことから、宝石蜂(Jewel-wasp)とも呼ばれている。ツチスガリ類の巣に入り込み寄生する。すなわち、この画では宿主のナミツチスガリの幼虫を食べて育つ捕食寄生である。

参考文献
田仲義弘著 『狩蜂生態図鑑』
(7日間通ったうち、1日だけ田仲氏の生態解説をお聞きしながらの実に贅沢な撮影でした)

この時の撮影技法「撮影難易度3星表記(☆☆)」
「主役を小さく撮る意味とは」
寄りではなく引きの画面構成で、主役は一枚を除きすべて小さく写す。すると、見た人は単純な絵柄の中から動きのある小さな一点に集中し、次はどこへ移動し何をするのか?などと想像の世界に入り込む。今回の画に限って言うと、組写真で小さく配置しているからこそ得られる効果で、実物よりも大きすぎて画面いっぱいの寄りでは想像力を掻き立てないのではないかと思うのです。
撮影難度
何日も通い続ける体力と根気を必要とするので☆☆星とした。

カメラ設定
6枚とも同じ設定:Canon EOS7DMarkII, 絞り値:F9.0、シャッタースピード:1/2000秒,ISO感度設定:1250、レンズ焦点距離(35mm換算)160mm、露出モード:マニュアル、露出補正:±0、ホワイトバランス:オート、ピクチャースタイル:スタンダード、Raw

使用ソフト
Photoshop Lightroom CC (Rawデータ現像)
Photoshop CC(最終画像処理、文字入れ、トリミング)

使用機材

Canon EOS7DMarkII, EF100mm f/2.8 Macro USM、三脚:VANGUARD VEO 265CB、Canon リモートスイッチ RS-80N3

POSTED BY:
tsugionishimura_image

TSUGIO NISHIMURA/西村次雄
写真家