宝石のような
美しいドレスを纏った、ハラアカマルセイボウの♀が今回のソープオペラの主役です。このハチ、身なりは美しいが、前回のナミツチスガリ♀にとっては招かざる客(寄生蜂)である。
いよいよコハナバチ類の獲物で満杯になりかけた頃、タイミングよく現れて次々に卵を産み付けていくが、全てに産み付けるような不合理は決して行わない。
観察を続けて驚く
「どこに隠れて見張ろうか?」
「あそこの小石の陰に隠れたほうが良さそうだ・・・」
「帰ってきた〜、ソレッ!」
などと、まるで人がやりそうな行動をこの個体は演じるのだ。
画像解説
1、そろそろか?と卵で膨らんだお腹でパトロール飛行。
2、巣穴入り口付近の土に触覚を差し込み、伝わってくる振動で中の様子を探っていると思われる。
3、小石の上に登り、身を隠す場所を探す。
4、小石の陰に隠れ、ナミツチスガリの帰りを待つ。キターッ!
5、すかさずダッシュ、後を追うように巣穴に飛び込む。
6、無事産卵を済ませ、顔を泥だらけにして巣穴から出てくる。
ハラアカマルセイボウ
(学名:Hedychrum japonicum、ハチ目、セイボウ科)
大きさは約5〜8mm。分布:北海道、本州、九州。金属光沢がひときわ美しことから、宝石蜂(Jewel-wasp)とも呼ばれている。ツチスガリ類の巣に入り込み寄生する。すなわち、この画では宿主のナミツチスガリの幼虫を食べて育つ捕食寄生である。
参考文献
田仲義弘著 『狩蜂生態図鑑』
(7日間通ったうち、1日だけ田仲氏の生態解説をお聞きしながらの実に贅沢な撮影でした)
この時の撮影技法「撮影難易度3星表記(☆☆)」
「主役を小さく撮る意味とは」
寄りではなく引きの画面構成で、主役は一枚を除きすべて小さく写す。すると、見た人は単純な絵柄の中から動きのある小さな一点に集中し、次はどこへ移動し何をするのか?などと想像の世界に入り込む。今回の画に限って言うと、組写真で小さく配置しているからこそ得られる効果で、実物よりも大きすぎて画面いっぱいの寄りでは想像力を掻き立てないのではないかと思うのです。
撮影難度
何日も通い続ける体力と根気を必要とするので☆☆星とした。
カメラ設定
6枚とも同じ設定:Canon EOS7DMarkII, 絞り値:F9.0、シャッタースピード:1/2000秒,ISO感度設定:1250、レンズ焦点距離(35mm換算)160mm、露出モード:マニュアル、露出補正:±0、ホワイトバランス:オート、ピクチャースタイル:スタンダード、Raw
使用ソフト
Photoshop Lightroom CC (Rawデータ現像)
Photoshop CC(最終画像処理、文字入れ、トリミング)
使用機材
Canon EOS7DMarkII, EF100mm f/2.8 Macro USM、三脚:VANGUARD VEO 265CB、Canon リモートスイッチ RS-80N3
POSTED BY:
TSUGIO NISHIMURA/西村次雄
写真家
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