「カサカサッ」
と羽がこすれ合う乾いた羽音が頭上でしたので見上げると、幸運にもオニヤンマの連結シーンに巡り会えたのだ。
素早く600㎜のピントを合わせる。すると、オオスズメバチらしき獲物を下のオニヤンマがムシャムシャ食べているように見える。対照的に、上の♂は周りを警戒しつつ、♀のお食事が済むまで辛抱強く待っているように思えるのだが? 移動するなら今がチャンス、と前方に回り込もうと少しだけ三脚を動かした瞬間。♂に気づかれたかグンと空高く舞い上がり飛び去ってしまった。
—–オニヤンマは他のトンボと同じように、肉食系なのでオオスズメバチなどを狩って捕食するが、油断するとその逆もありえる捕食被食の関係。すなわち「食うか喰われるか」
この時の撮影技法「撮影難易度3星表記(☆)」
「被写界深度:超望遠レンズは何処にピントを合わせるか」
フルサイズのカメラと超望遠レンズの組み合わせでは、被写界深度はとても浅くなるから何処にフォーカスするかがポイントとなる。
撮影時にはハッキリと確信が持てなかったのだが、反射的に連写を開始していた。しかしながら至極冷静で、オニヤンマの頭と獲物に慎重にフォーカスする。
後でパソコン画面で詳細に確認すると、腹の二本目の極めて細い縞が写っていた。ここが重要でスズメバチの仲間ではオオスズメバチだけがこれにヒットするゆえ、オオスズメバチと判定した。
撮影地:嵐山/オオムラサキの森
カメラ設定
Nikon D810, 絞り値:F9.0、シャッタースピード:1/320秒,ISO感度設定:2500、レンズ焦点距離600mm、露出モード:マニュアル、露出補正:±0、ホワイトバランス:オート、ピクチャースタイル:スタンダード、Raw 14bit。
使用ソフト
Photoshop Lightroom CC (Rawデータ現像)
Photoshop CC(最終画像処理、トリミング)
使用機材
Nikon D810,レンズ: TAMRON SP150-600mm F/5-6.3 Di VC USD、三脚:GITZOマウンテニア2型4段GT2542, 雲台: Really Right StuffのBH-40 Mid-Size Ballhead
POSTED BY:
TSUGIO NISHIMURA/西村次雄
写真家
目の前に小さなコバエのような物体がチョコマカと高速で飛んでいる。
細目でジロリンチョと動きを観察するとお腹に小さなヒメヨコバイを抱え、巣口にピュッと飛び込んでいく。早ッ!
—-
早速、2灯のストロボを使用して、HSS(ハイスピードシンクロ)撮影と普通のシンクロ撮影を2通り試してみたのだが・・・。
フタツバギングチバチ:ハチ目(学名:Crossocerus annulipes hokkaidoensis TSUNEKI,1954)
稀な種で詳しいことはほとんど分かっていない小型のギングチ。
体長:6〜7mm。獲物:ヨコバイ、キジラミ類。朽木に営巣する。
複数の個体が巣口を共有するのを目撃。
変温動物(狩バチ類ほとんどは変温動物)狩をしなくてはならないので丸型体型やフワフワの毛が生えていたら運動性のデメリットの方が大きいからではないかと思われる。ちなみにミツバチやハナバチ類は恒温動物。
参考文献
1)田仲義弘著 『狩蜂生態図鑑』P126,フタツバギングチバチ
2)改定埼玉県レッドデータブック2002http://153.150.68.50/BDDS/redlist/data/Crossocerusannulipeshokkaidoensis.html
3)変温動物、恒温動物詳しくはコチラ
この時の撮影技法「撮影難易度3星表記(☆☆☆)」
「飛翔シーンはダントツに難しい被写体のひとつ」
小さいハチゆえに超高速の動きと羽ばたきである(まるでコバエのような飛翔)。
この日の道具はCanon EOS7DMarkIIでトライしてみたが後悔する。
小さすぎて素早い。
ならば高解像度のカメラでトリミング前提での撮影がベストと考えCanon5DsR をチョイス。
写真:上
ストロボの出力を最小の1/128(閃光時間1/20000s)に、絞りF/8,1/8000s,ISO:3200に設定。
ヒメヨコバイを狩り巣口に飛び込む場面。これが思い描いた画に近いようである。
写真:下
ストロボの出力を2段ほど下げ1/32(閃光時間1/9000s)に、絞りF/10, 1/250s, ISO:400,ストロボ光量1/32では動きが早すぎて閃光時間内でもブレてしまう。ちなみに1/64では((閃光時間1/15000s)である。
Web用の小さなサイズの画面では分かりづらいが、よ〜く見ると羽は完全にブレ、体は微妙にブレているのがわかる。
ブレにシビアなCanon5DsR 5060万画像の解像度の凄さがわかろうというものだ。
ところで、
閃光時間には2つの異なる基準があることをご存知だろうか?
フラッシュ光は常に一定ではなく、t0.1総閃光時間とt0.5有効閃光時間がある。
すなわちストロボは光り始めて徐々に消えていくので、どこからどこまでが光っている時間かというのは、ほとんどのメーカーが数値を公表していないから厄介だ。
さらに難しくしているのは、メーカー、環境、距離、発光量、アクセサリーなどもろもろが影響しあうからさらに複雑で難しいのである。また、ストロボの出力量を変えると微妙に色温度が変わってしまう。
ムム、こればっかしは経験を積むしかないのだ・・・が、デジタルは現像時に色温度は変更可能だから考慮する必要なし。
撮影地:練馬区石神井公園
カメラ設定
2枚の設定は画像の中を参照:Canon 5DsR,レンズ焦点距離100mm、露出モード:マニュアル、露出補正:±0、ホワイトバランス:オート、ピクチャースタイル:スタンダード、Raw
使用ソフト
Photoshop Lightroom CC (Rawデータ現像)
Photoshop CC(最終画像処理、トリミング)
使用機材
Canon 5DsR, EF100mm f/2.8 Macro USM、Speedlight: Godox V860 C×2灯、旧型の「Sells II C」でHSSシンクロ、カメラはローアングル用三脚Fotopro fph-53pに装着、さらにETSUMIのクリップにSpeedlightを取り付けFotopro fph-53pにかませる、バックライトに後方斜め45度付近からSpeedlight:Godox V860 C1灯を三脚:VANGUARD VEO 265CBに装着、Canon リモートスイッチ RS-80N3
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TSUGIO NISHIMURA/西村次雄
写真家