シランには花蜜がない(ランの花の多くは花蜜がない)。
本当に、花蜜というお駄賃を貰えない事に気づかずに今日までポリネーターとして来てしまったのか、あるいは定花性を何かの手違いでDNAに刷り込んでしまいボランティアを続けているのか?
その事が気になり、数えきれない程のシランの花の形状と香りを嗅いでみる。
やはり花蜜は見つからないけれど、薔薇のような甘い香りの中に腐ったような微香がある。
この香がヒゲナガハナバチの♀のホルモンと似ていたとするとならば、四六時中パトロールを繰り返す♂達の行動のひとつが理解できるのだが・・・。
しかし定花性で行動を説明するには不可解である。
謎解きの仮説をたてる。
シランの受粉もヒゲナガハナバチノの交尾も、開花のタイミングに合わせて速やかに達成しなければ、次世代へ強い遺伝子の命のバトンは渡せない事になる。
そこでシランは膨大なエネルギーを必要とする花密作らないことにして、
花の香りを送粉シンドロームとして進化させてきた。
唇弁もまたヒゲナガハナバチの着地に都合のいい形に整え、交尾中も滑り落ちないように柔らかな表情のギャザー状に仕立てヒゲナガハナバチを誘惑し共進化してきたのではなかろうか?と仮説をたててみる。
無論、
ポリネーターの指名に失敗した場合に備え、シランはバルブという保険もしっかりかけて抜かりは無い。
いっぽうヒゲナガハナバチは花蜜を貰えない事は重々承知しており、香りに刺激されたお仲間達に容易く出会える社交場のひとつとしてシランを利用してきた、と仮説をたててみる。
とすると無駄にアチコチ相手を探しまわらなくても良いし、最大の使命である子孫繁栄の行為に効率よくエネルギーを集中する事が出来る。
結果、巡り巡ってシランのポリネーターとして共進化してきたことで、子供達の未来を支える事となる。
ポリネーターの定花性はとりあえず様々な花から花蜜を得るとして、出会いの場所と花蜜場所を「区別できるように高等進化した」、と仮定したならばヒゲナガハナバチの謎のボランティア行動のひとつが氷解するのだが・・・。(ランとハナバチはもっとも進化したと言われている)
もしかしたら、
もっと古い時代の化石が新たに発見され、高等進化したランの花とハナバチを恐竜も見ていた・・・。などとたわいない仮説遊びに戯れるのである。
シランとヒゲナガハナバチの起源について、詳しくはコチラ
http://www.kosjp.com/reikai/r0907_t.html
https://www.fukuoka-edu.ac.jp/~fukuhara/keitai/6-8.html
https://www.fukuoka-edu.ac.jp/~fukuhara/keitai/shiran.html
写真解説
1:粘着性の高いシランの花粉。納豆みたいに良く伸びる。
2:花の中に潜り込み、中で回転出来ないため後ずさりで出てくる時にペタンと背中に花粉を背負わされた瞬間。
3:ムラサキツメクサで一晩過ごしたヒゲナガハナバチ。背負わされた花粉と朝露がついている。早朝5時撮影。
4:お尻を突き出すように後ずさりで出て来た♀に、♂達(2頭)が素早く飛び乗り交尾をとげる瞬間。
この時の撮影技法「撮影難易度3星表記(☆☆☆)」
「インテリジェンス」
ポリネーターの定花性を仮説に沿って色々な場所を渡り歩き、時間帯や光の状態などによる変化をつぶさに観察する。シランの花の構造や、粘着性の高い花粉を背負わされてそのまま眠りにつく姿や、様々なシーンを目に焼き付けその先を自分の考えでインテリジェンスする。
カメラ設定
1:絞り値:F10、シャッタースピード:1/200秒,ISO感度設定:800、
2:絞り値:F11、シャッタースピード:1/640秒,ISO感度設定:800
3:絞り値:F16、シャッタースピード:1/20秒,ISO感度設定:800
4:絞り値:F11、シャッタースピード:1/1000秒,ISO感度設定:800
使用ソフト
PhotoshopCS6使用(Rawデータ現像にも使用)
使用機材
Nikon D800、①③④AF-S NIKKOR AF-S Micro Nikkor 60mm f/2.8G ED、②AF-S VR Micro-Nikkor 105mm f/2.8G IF-ED,
②④ニコンクローズアップスピードライトリモートキットR1使用