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about

TSUGIO NISHIMURA 西村次雄
フォトグラファー
1973年、九州産業大学芸術学部写真科卒。同年渡米。1979年、「STUDIO BB」を設立。デジタルの可能性にいち早く気づき、雑誌・広告を中心に一眼レフカメラを駆使して活躍中の”IT写真家”である。建築物、料理、人物、商品、そして動物・植物・昆虫と被写体の幅も極めて広い。

ガガイモ(北風に未来を託す)2013.12.26

ピュ〜と北風が吹くころガガイモの実が割れ、未来への旅の準備が整う。
ガガイモの実は写真のように巧妙な種髪(しゅはつ)の作りになっていて、動けない植物が風を利用してより遠い処へ種子を飛ばす術をあみ出したのだ。
こんな事実を目の当たりにして私は夢中でシャッターを押し続けた。

日本神話に話を移すと、ガガイモの種は2つに割ると小さな船の形をしている事からスクナビコの神が天之蘿摩船(あまのかがみのふね)に乗ってきたと云われている。
そんな神話から、古人もガガイモの姿形に見入ったのだと思うと、なんだか時空を超えて一緒に見入っている気がしてじつに愉快な年の瀬であった。

この時の撮影技法「撮影難易度3星表記(☆☆)」
「認識で風を捉える」
映りっこない風をいかに画にするか。
その為のアプローチはいろいろあるが今回は風の勢いを画にするにはどうしたら良いか考えた。
ひとつの技法としてブレも考えたが、肝心要の種子の存在が犠牲になる。
そこで人間の持つ認識を利用する事を考えた。
ニュートンの引力である。
種髪を今にも引き離す風の勢いを表現するには、引力に逆らって真横になった瞬間を狙えば良いのではないかと考えたのである・・・。
果たしてうまく風を捉える事ができただろうか?

カメラ設定
絞り値:F3.2、シャッタースピード:1/500秒,ISO感度設定:400、露出モード:マニュアル

使用ソフト
Raw現像ソフト:最終調整PhotoshopCS6使用

使用機材

OLYMPUS OM-D E-M5、OLYMPUS M.60mm F2.8 Macro

POSTED BY:
tsugionishimura_image

TSUGIO NISHIMURA/西村次雄
写真家

キノカワガ(擬態の名手)2013.12.19

見っけ!
お昼の太陽光下では、チョット目立つけど色盲の外敵達にはこれで十分保護色として機能しているのかな?
もし、保護色で巧みに体を消すことが出来なければ、捕食者に見つかり無事に冬をこせない事を意味しているからとても大事な事だよね。
擬態上手なご先祖様の血統を綿綿と磨き上げてきたものだけが生き延びて来た(自然淘汰)のだから、なんら驚く事でもないか。くやしいけれど、実は私も知り合いのガ好きの阿部氏に君の居所を教わったんだ。
凄いよな!君の保護色は僕には立派に機能していたことになるね。
貴方は、きっと自分の模様が分かっていて「コケの緑色、白灰褐色、暗褐色」のクヌギを見つけて、あえて「人通りの多い通路脇」のここを選んだのだね。ここなら鳥達が近づかないし安全と言う事を知ってここを選んだことになるから凄いよな。
これから寒い冬をクヌギの樹皮に溶け込んで無事に生き抜いておくれ。

この時の撮影技法「撮影難易度3星表記(☆)」
「レンズのセレクト」
一眼レフカメラで思い描く写真を撮るにはレンズセレクトが肝であると言っても過言ではない。
そこで今回は、通路脇で人通りが多い環境を表現したかったので、被写界深度の深いフィツシュアイレンズをチョイスした。
ギョロ目レンズも捨てがたいが、解像度がイマイチ。マクロフォーサーズ初の魚眼レンズは解像度もほどほどあり、すこぶる使い勝手が良い。
撮影距離はキノカワガに触れてしまいそうな超近距離、神経質な昆虫には向かないが擬態名手達にはなんら問題がない。そればかりか、この小さなフィツシュアイレンズをカメラバックに放り込んでおいても重さで苦痛を感じる事がないのが一番の利点でもある。

カメラ設定
絞り値:F9、シャッタースピード:1/250秒,ISO感度設定:400、露出モード:マニュアル

使用ソフト
Raw現像ソフト:最終調整PhotoshopCS6使用

使用機材

OLYMPUS OM-D E-M5、パナソニックLUMIX G FISHEYE 8mm/F3.5

POSTED BY:
tsugionishimura_image

TSUGIO NISHIMURA/西村次雄
写真家