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about

TSUGIO NISHIMURA 西村次雄
フォトグラファー
1973年、九州産業大学芸術学部写真科卒。同年渡米。1979年、「STUDIO BB」を設立。デジタルの可能性にいち早く気づき、雑誌・広告を中心に一眼レフカメラを駆使して活躍中の”IT写真家”である。建築物、料理、人物、商品、そして動物・植物・昆虫と被写体の幅も極めて広い。

1月28日に出会った虫達2012.01.30

「ずいぶん変わったカメラですね!何を撮っているんですか?」
「虫を撮っています」
「こんなに寒いのに虫なんか居るんですか?」
「ほら、そこの枝にイラガの繭とその隣にはモズのハヤニエがありますよ」
「何処ですか?えっ!こんな処に居たんですね!これは面白い!」

この日は自宅から車で30分程の処にある「野山北公園」へ来ていた。
2時間程の撮影中に3人に声をかけられ、交わした言葉である。

1月28日に出会った虫達(右上から時計回りに)
モズのハヤニエ(ツチイナゴ)、ジャコウアゲハ蛹、オオムラサキの幼虫、ウラゴマダラシジミの卵(イボタノキ)、ジャコ ウアゲハ蛹、イラガの繭

イラガの繭
別名、「雀の小便ダコ」。
天秤棒で担ぐ桶(おけ)のことで、「たご」がなまって「ダコ」。
この写真ではまだガが出ていないので桶に見えない。幼虫は前回の(なめたらあかんぜよ!イラガ)では触ると感電したような痛みがあるので、「電気虫」とも呼ばれる。

モズのハヤニエ
モズは捕らえた獲物を樹の枝などに突き刺したりする行動を「モズのハヤニエ(早贄)」と呼ぶ。
写真の犠牲者はツチイナゴである。

ジャコウアゲハの蛹
別名「お菊虫」と呼ばれる。
怪談「皿屋敷」のお菊の後ろ手に縛られた姿に似ているので「お菊虫」。
ウマノスズクサの毒で武装して鳥などの外敵から身を守っている、ベーツ擬態である。
よく見るとオレンジ色の所が濡れた唇のようにも見えて「1枚〜2枚〜・・・」と数えているような。ゾクッ

オオムラサキの幼虫
残雪をかき分け、葉っぱを一枚一枚めくって行くと角が4対のオオムラサキの幼虫が見つかった(角が3対ならばゴマダラチョウ)。
無事にこの冬を乗り越えられるか。
2010年1月15日の「落ち葉の中の妖精」についで2階目の登場。
葉っぱの布団を丁寧にかけてここを後にする。

ウラゴマダラシジミの卵
ウラゴマダラシジミを探すには(イボタノキ)を探す。
落葉低木で高さは2mほど(写真は1mほど)。
黒い果実がこの時期でも残っているので探し易い。
卵の大きさは約1㎜、小枝の分岐部などに1〜10個ほど産みつけられる。
卵で越冬するミドリシジミ科の仲間。
蝶の愛好家の間ではゼフィルス、略してゼフと呼んでいる。
ゼフィルス (zephyrus)とは、ギリシャ語のzephyros西風の意味である。

この時の撮影技法(冬の虫を探す)
食樹を丹念に観察。樹の皮を剥ぐ(テントウ虫、コバチ、ゾウムシなど)。倒木をひっくり返す(スズメバチの女王、カブトムシの幼虫、アリなど)葉裏(グンバイ、コバチ、キジラミなど)、木柵:手すり磨き(フユシャク、アリ、コミミズクなど)

使用ソフト
Raw現像ソフト:Lightroom3、最終調整PhotoshopCS5使用

使用機材

Nikon D300、AF Micro NIKKOR 60mm 1:2.8、AF Micro NIKKOR 28-100mm 1:3.5-5.6G前玉ハズシ改造(ウラゴマダラシジミ)。ニコンクローズアップスピードライトリモートキットR1, SB-R200用配光アダプター SW-11、SPEEDOLIHT SB-600(ウラゴマダラシジミ)

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TSUGIO NISHIMURA/西村次雄
写真家