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about

TSUGIO NISHIMURA 西村次雄
フォトグラファー
1973年、九州産業大学芸術学部写真科卒。同年渡米。1979年、「STUDIO BB」を設立。デジタルの可能性にいち早く気づき、雑誌・広告を中心に一眼レフカメラを駆使して活躍中の”IT写真家”である。建築物、料理、人物、商品、そして動物・植物・昆虫と被写体の幅も極めて広い。

アイスモンスター2013.02.25

シベリアの北西の季節風、日本海の対馬暖流、朝日連峰、山形盆地、蔵王連峰、雲粒が0℃以下でも凍らない過冷水滴と一定方向の強風と低温、アオモリトドマツなどの針葉樹、積雪が多すぎず少なすぎず、などなどすべての条件が揃わなければ世界的にも珍しい樹氷(アイスモンスター)はできないという。
先々週も強風で樹氷が吹き飛ばされ直前で撮影行きを断念していたのだが、念じれば叶うもので福島での仕事が入った。
仕事が終わり、ひとり反対方向の山形行きの新幹線に飛び乗った。
車窓には半分ほど雪に埋まりかけた家並みが見え、軒下に巨大なツララが下がっている。
夜の7時山形駅前のホテル着。
天気予報では、今年の東北地方は観測史上最高積雪量だとだと告げている・・・、悪い事に明日の蔵王は雪らしい。
はたして、見事に天気予報がはずれた。
体感温度−15℃の極寒の蔵王山頂に9時に立つ。
容赦なく頬と耳と指先に冷気がチクリと刺してくるけれど、不思議なものでそれが妙に心地よいのである。もはや、心穏やかならぬ状況ながら「どれどれ」と、迫力満点のアイスモンスターを品定めする歓喜の瞬間がとうとう訪れたのだ。

樹氷(アイスモンスター)
詳しくはコチラ
http://www.kankou.yamagata.yamagata.jp/zao/winter/pc_2012/juhyo/pnf_juhyo_2007.pdf#search=’樹氷(アイスモンスター)’

この時の撮影技法
D8001台、ニコンAF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED, ニコンAF-S NIKKOR 24-85mm f/3.5-4.5G ED VR, ニコンAF-S NIKKOR 70-200mm f/4G ED VRの3本のレンズ、予備バッテリー1個を小さめなカメラバックに入れ山頂に立つ。ポイント、撮影には気象が安定している早朝がオススメです。
案の定10時を回ると雲が出て来た。スケール感のある背景選びがとても重要で、慎重に場所選びをしたい。
さらに、太陽の位置や突風などアクセントや寒さを演出出来るものを画の中に入れられればベターである。

カメラ設定
上:絞り値:F14、シャッタースピード:1/400秒,ISO感度設定:100、露出モード:マニュアル、ホワイトバランス:オート(Rawデータで記録のため)、測光モード:中央部平均測光、ピクチャースタイル:スタンダード、焦点距離14mm

使用ソフト
PhotoshopCS6使用(Rawデータ現像にも使用)

使用機材

Nikon D800、AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED

POSTED BY:
tsugionishimura_image

TSUGIO NISHIMURA/西村次雄
写真家

冬を耐え忍ぶ蝶(ウラギンシジミ)2013.02.14

冬が近づくと南向きの日だまりの場所を選び、一枚の葉の裏に4本の爪を食い込ませ風雪を耐え忍ぶ蝶がいる。その蝶の名は「ウラギンシジミ」という。
雨の日も風の日も雪の日も約5ヶ月間同じ一枚の葉裏で過ごすのだ。
そんな、小さな蝶の健気な姿を一枚の画におさめたくて雪の日を待っていた。
TVは、夜半には雨から雪になるかも・・・、と曖昧な予報を告げていた。
その事が気になりiPhoneに「4時半に起こして!」とアラームをセットする。
夜中の3時静かな気配に外を見る・・・、雪が降っている。
でももうチョットだけ眠むろうと目を閉じる。
4時頃、雨音に変わり「しまった!」と飛び起き、大慌てで準備しておいたカメラバックを担ぎウラギンシジミにあいに家を飛び出す。
焦る心にむち打つように、セットしておいたアラームが鳴り響く。

—冷たい雨に今回も雪景色の画を阻まれてしまった。
ああ・・・次の雪を待とう。
それまで雪解け水で乾いた喉をうるおし、冬をたくましく生き抜いておくれ。

ウラギンシジミ(裏銀小灰蝶)

詳しくはコチラ
http://ja.wikipedia.org/wiki/ウラギンシジミ
http://homepage3.nifty.com/ueyama/shubetsu/shijimi/uragin/uragin.html

この時の撮影技法(夜雨の準備)
夜の雪や雨の日には、撮影シーンをシミュレーションして出かけよう。
現場では、照明や雨よけ寒さ対策もしなければならず、カメラやストロボ設定などに手間取ってはいられません。
なので、レンズ、絞り、スピード、ISO感度、ストロボの選択など総てセットしてシャッターが押せる状態にしておかなければなりません。
メイン光のストロボは柔らかい光が簡単にセットできるリングライトをチョイス。
EF100mm F2.8 MicroにマクロリングライトMR-14EXを取り付け、バックライトには580EXを一灯リングライトに同調させた。

カメラ設定
絞り値:F11、シャッタースピード:1/125秒,ISO感度設定:400、露出モード:マニュアル、露出補正:カメラ側を−3、ホワイトバランス:オート、測光モード:評価、ピクチャースタイル:ポートレート、焦点距離100mm

使用ソフト
Raw現像ソフト:PhotoshopCS6使用(Rawデータ現像にも使用)

使用機材

Canon 5DM2, EF100mm F2.8 Micro USM 、マクロリングライトMR-14EX、スピードライト580EX、LUNATEMIS LEDライト 56灯

POSTED BY:
tsugionishimura_image

TSUGIO NISHIMURA/西村次雄
写真家