ハイビスカスの花にひらりと舞い降り、カメラを向けると人の気配を察し、力強くグンと天高く舞い上がり飛び去ってしまう。呆然と見送り、残像をおのれの脳裏に焼き付けるしかない。
一度でもこの配色の妙、と妖艶な舞に囚われてしまうと目の前にいるシロオビアゲハやベニモンアゲハなど全て大勢の中の脇役でしかなりえない程の存在感を有している。—–事実、見た事がない人にはシロチョウ科の配色などたいしたことがないと思われるだろうが、是非いちど南国の空で「幸せを呼ぶチョウ」大形の力強い妖艶な舞をご覧あれ。
ツマベニチョウ(褄紅蝶、学名:Hebomoia glaucippe)チョウ目(鱗翔目)アゲハチョウ上科シロチョウ科ツマベニチョウ属。食樹はフウチョウソウ科のギョボク。
開張約9〜10cm。シロチョウ科では世界最大級の種であり、猛毒チョウでもある。
オーストラリアの研究チームはフリピン、インドネシア、マレーシアで採取したツマベニチョウの羽、幼虫の体液から海にすむ巻貝(イモガイ)と同じ成分の猛毒(神経毒)を見つけた。
生物の毒としては最強レベルの神経毒である。
生息域は宮崎以南(鵜戸神宮の境内にはギョボクが多く植えてある)鹿児島県が保護・誘引目的でギョボクを増やした結果、宮崎県に入ったのではないかと考えられているそうだ。
猛毒の記事引用
http://www.asahi.com/eco/news/TKY201210160646.html
北限の参考文献『翔べツマベニチョウ』海老原秀夫著
http://www1.ocn.ne.jp/~r-ainan/tefu.htm
この時の撮影技法「撮影難易度3星表記(☆☆☆)」
「ひたすら我慢の待ち伏せ撮影」
動きが素早く神経質。
吸蜜中もタッチ&ゴーでなかなか近づけず望遠レンズで待ち伏せ撮影する事にした。
ツマベニチョウの動きをこまかく観察し、体の動きを最小限にしつつ気配を消して待ち伏せる。その際、ハイビスカスの花付きが奇麗なものに狙いをさだめ、その方向にレンズ向けて待つ。少しでも動きを感づかれるとひらりと上空に舞い上がり飛び去ってしまうのだ。
ターゲットの動きが早いので高速シャッター(1/2000),絞り(f/9)に設定。次々と現れるツマベニチョウだが狙いの花付きに来る迄はひたすら我慢し、決してその場を動かないと肝に銘じつつ。
ハイビスカスの見頃
宮古島では、ハイビスカスの花は一年中見られるが、夏場は暑さにへたり気味になる。
美しい花付きを見るには、これから涼しくなる11〜12月頃がハイビスカスの花のベストシーズンとなる。
撮影は簡単そうだが、非常に神経質なチョウなので撮影難度(☆☆☆)とした。
運良く台風18号は宮古島をそれた。
撮影地:ツマベニチョウ♂/沖縄県宮古島「赤瓦集落かたあきの里」にて2014年10月4日撮影
カメラ設定
Nikon D810, 絞り値:F9.0、シャッタースピード:1/2000秒,ISO感度設定:800、レンズ焦点距離200mm、露出モード:マニュアル、露出補正:-1/2、ホワイトバランス:オート、ピクチャースタイル:スタンダード、Raw 14bit。
使用ソフト
PhotoshopCS6使用(Rawデータ現像、トリミングあり)
使用機材
Nikon D810, AF-S NIKKOR 70-200mm f/4G ED VR