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TSUGIO NISHIMURA 西村次雄
フォトグラファー
1973年、九州産業大学芸術学部写真科卒。同年渡米。1979年、「STUDIO BB」を設立。デジタルの可能性にいち早く気づき、雑誌・広告を中心に一眼レフカメラを駆使して活躍中の”IT写真家”である。建築物、料理、人物、商品、そして動物・植物・昆虫と被写体の幅も極めて広い。

ツクツクボウシとアブラゼミのオシッコ比べ2011.09.20

抜き足、差し足、忍び足。「エィツ!」と網を振り下ろす。
セミもさるもので、悪ガキをあざけるように「ピュッ!」と顔にシロップのオシッコをかけられて逃げられちゃった。
そんな、ほろ苦い遠い夏の日の思い出。
そういえば、都心でもセミの鳴き声がめっきり少なくなって来た今日近頃である。

そんな事を耳で感じつつ、カメラ片手に虫探しである。すると♪「ツクツクツクボーシ!ツクツクボーシ!」と、初秋の主役のひとつツクツクボウシが盛んに歌っている。
♪歌声のする方に目をやると盛んにオシッコを飛ばしているのを発見。
それも、♂犬のマーキング時とそっくりで、横の方角へ勢い良く飛ばしている。
「へ〜っ!?」アブラゼミの個体はどれも真下に「ピュッ!」なのに、このツクツクボウシは横である。
という事は、それぞれの個体または雌雄で違うのであろうか?それとも種で違うというのか?

※セミの歌声に脳みそを引っ掻きまわされ、執筆に集中できなかったファーブル先生は「セミが音に敏感か?」と、村役場の砲手に火薬を一杯つめた大砲をぶっ放してもらったが、セミは大砲の音にもちっとも驚かず歌い続けた。
このオーケストラのしつっこさはどうにもならなかった。
『おまえのシンバルに清音器をつけて、おまえのアルペジオをゆるめてはくれないか』と悩まされたけれど、さすがに、オシッコの方角までは調べておられないようだ。

※引用『ファーブル昆虫記』平岡昇訳

ツクツクボウシ(カメムシ目、ヨコバイ亜科、セミ科)
晩夏から初秋に多く見られるセミ。
体長30㎜ほど。頭部と全胸部は緑色。鳴き声は特徴的で「ジ〜、ツクツクツクボーシ、ツクツクボーシ」と十数回繰り返し「ウイヨー」最後に「ジー」と鳴き終える。警戒心が強い。

アブラゼミ(カメムシ目、ヨコバイ亜科、セミ科)
成虫は7〜9月上旬くらいまで多く見られる。
アブラゼミは世界でも珍しい翅全体が不透明のセミで、
日本の夏を象徴するセミの一種。体長は56〜60mm。
名前の由来は、油で揚げるような鳴き声から。

この時の撮影技法(タイムラグ)
オシッコの瞬間に今だ!とシャッターを押しても、タイムラグがありなかなかその瞬間は写し止められない。
そこで、何秒間隔でオシッコをするのか数えてみる。
ツクツクボウシは約20秒間隔、アブラゼミは約12秒間隔であった。
そこで、画質設定を普段のROW設定から,より連写が可能なJPGに設定変更。
それぞれのセミのオシッコの間隔をカウントしながらツクツクボウシは19秒で連写開始。
アブラゼミは11秒から連写開始を行ってタイムラグを埋める事に成功したのが上の写真である。
このように、人間の力では埋めきれないタイムラグ克服には連写が特におすすめです。

カメラ設定
「ツクツクボウシ」画質モード:JPG、色空間Adobe RGB,絞り値:F/5.6、シャッタースピード:1/125秒,ISO感度設定:400、露出モード:マニュアル、露出補正:±0、ホワイトバランス:太陽光、測光モード:部分測光、ピクチャースタイル:スタンダード、焦点距離105mm 35mm換算レンズ焦点距離157mm,ビット数8
「アブラゼミ」画質モード:JPG、色空間Adobe RGB,絞り値:F/13、シャッタースピード:1/250秒,ISO感度設定:400、露出モード:マニュアル、露出補正:−0.5、ホワイトバランス:太陽光、測光モード:部分測光、ピクチャースタイル:スタンダード、内蔵スロトボON,焦点距離220mm ,35mm換算レンズ焦点距離330mm,ビット数8

使用ソフト
Raw現像ソフト:Lightroom3、最終調整PhotoshopCS5使用

使用機材

「ツクツクボウシ」Nikon D300、AF-S Micro NIKKOR 105mm 1:2.8 ED、三脚使用
「アブラゼミ」Nikon D90、 AF-S NIKKOR VR 70〜300 1:4.5-5.6G ED

POSTED BY:
tsugionishimura_image

TSUGIO NISHIMURA/西村次雄
写真家

オオセイボウ(招かざる客)2011.09.09

9月の上旬、メタリックブルーに輝くオオセイボウが産卵を始めた。
これは自分の卵をスズバチの巣に産みつけて、スズバチに寄生するためである。
オオセイボウに見つかってしまっては万事休。
それは、自分の子供とその子供の為の餌(アオムシなど)もオオセイボウの幼虫にすべて食べられて、自分の子孫を残せなくなってしまう事を意味します。
その事を、スズバチのお母さんは知っているのか産卵後も巣の近くにいて定期的にパトロールを行います。
でも、敵もさるもの、チョットしたスキに素早く巣に穴をあけ、おしりを差し込みさっさと産卵をすませてしまいます(写真のシーン)。
それに気づいたお母さんは猛然と体当たりをして、この招かざる客を追っ払います。
悲しいかな、すでに産卵されてしまったとも知らずに?スズバチは開けられた穴を直ぐさま埋め戻して修復しますが、オオセイボウはとても執念深く、追い払われてもすぐ近くで巣の様子をうかがっているようで、観察の間4回程産卵に成功したようです。
けれどこの4回とも同じ個体かは不明である。

オオセイボウ(大青蜂)
Stibum cyanurum pacificum.セイボウ科。
体長12〜20㎜の大型のセイボウ。6〜10月に見られる。
分布は本州・四国・九勝・沖縄。光沢があり、頭部と胸部は緑色、胸部背面と腹部第2節背面は藍色。
体の表面は無数の凹凸があり、この事が光学現象で奇麗な輝きを見せるのである(構造色)。
エントツドロバチやスズバチなどに寄生する。

この時の撮影技法(撮影ポジションを考察する)
物事を第三者に解りやすく説明するには、撮影ポジションが重要と言うお話です。
今回は産卵が主要テーマなので産卵を行っているシーンを誰にでも解る画でなければ、それは失敗写真といえるでしょう。
そのような考えから、お腹が巣の中に差し込まれている場面が良く解るアングルでなければいけません。
そこで、今回はオオセイボウの動きに合わせてベストポジションを頻繁に変えて撮影しました。
被写界深度が必要な為F16まで絞り込み、シャッタースピードは比較的遅いS1/60、その訳は背景のグリーンとブルー(オオセイボウと同系色)を出す為に背景に合わせて設定しました。

カメラ設定
画質モード:ROW+F、色空間Adobe RGB,絞り値:F/16、シャッタースピード:1/60秒,ISO感度設定:400、露出モード:マニュアル、露出補正:-0.5、ホワイトバランス:オート、測光モード:部分測光、ピクチャースタイル:スタンダード、焦点距離85mm 35mm換算レンズ焦点距離127mm,ビット数16

使用ソフト
Raw現像ソフト:Lightroom3、最終調整PhotoshopCS5使用

使用機材

Nikon D300、AF-S Micro NIKKOR 85mm 1:3.5G ED、 ニコンクローズアップスピードライトリモートキットR1, SB-R200用配光アダプター SW-11使用

POSTED BY:
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TSUGIO NISHIMURA/西村次雄
写真家