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about

TSUGIO NISHIMURA 西村次雄
フォトグラファー
1973年、九州産業大学芸術学部写真科卒。同年渡米。1979年、「STUDIO BB」を設立。デジタルの可能性にいち早く気づき、雑誌・広告を中心に一眼レフカメラを駆使して活躍中の”IT写真家”である。建築物、料理、人物、商品、そして動物・植物・昆虫と被写体の幅も極めて広い。

木漏れ日の中のギフチョウ2016.04.18

ギフチョウが見られる石砂山(いしざれやま)へは東京都心から、車なら約90分で行ける近場である。
快晴で前日は雨、気温も上がり絶好の撮影日和で張り切って出かけた。
午前中は里山でスモモの花に止まるのを待ったが何頭かにスルーされ空振り。
午後2時半頃だっただろうか、作戦変更して前回見かけた尾根辺りまで登ってみよう、と中腹まで野鳥の囀りに耳を傾けながら登ってみたけれど、ギフチョウを目にしたのは地面にいた一頭だけ「まあこの時間帯ではしょうがないか・・・」とピークまでは登らずに途中で引き返すことにした。
トボトボと登山道口近くまで降りてくると、仄暗い樹林帯にチラチラと日が差し込みタチツボスミレ?が美しく浮かび上がっていた。
もしかして、ここにギフチョウがポンと現れたりして・・・、などと妄想列車状態でありましたが。
なんと、そこに一頭のギフチョウがヒラリと舞い降りてきたのです。
嘘みたいな展開に心中小躍りですが、不思議と俯瞰で見られる自分がいて全神経を集中してスローモーションでベストポジションへ移動し張り付きました。飛び去るまでの約10秒間、抜く手も見せず300㎜のフォーカスと木漏れ日の露出補正を合わせ、カシャカシャカシャ。

この時の撮影技法「撮影難易度3星表記(☆☆)」
「妄想から思い描くシーンを先読みする」
二輪咲いていた手前のスミレにギフチョウが飛び乗ったので、重みて花柄がたわみ地面に翅が着いてしまいました。よく見ると、後ろ側のスミレとの間隔がその分離れてしまい、予期せぬ高低差が生じています。
問題は、この予期せぬ僅かな変化に気付けるかどうか。
ギフチョウばかりに注視していたならば、スミレへの注意が散漫になり、後ろ側のスミレがフレームアウトしかねません。もし、背後のスミレの花がなかったら、華やかなスプリング・エフェメラル(春の妖精)物語をうまく伝えられなかったのではないでしょうか。

木漏れ日は以外と露出補正が難しいので、急な展開時には慌ててしまい露出補正を忘れがちです。
そこで、日陰や木漏れ日下でのテスト撮影をあらかじめ済ませ露出補正値を割り出しておく。
備えを怠ると結果は露出オーバー画像の大量生産となってしまいかねません。
チャンスは一回こっきり、予期する変化に常に備えるべし。

撮影地:神奈川県相模原市にある石砂山(いしざれやま)

カメラ設定
EOS 7D Mark II, 絞り値:F9.0、シャッタースピード:1/640秒,ISO感度設定:400、レンズ焦点距離35mm換算480mm、露出モード:絞り優先オート、露出補正:−1.67、ホワイトバランス:オート、ピクチャースタイル:ポートレート、Raw。

使用ソフト
PhotoshopCC2015使用(Rawデータ現像)

使用機材

EOS 7D Mark II, EF300mm F4L IS USM

POSTED BY:
tsugionishimura_image

TSUGIO NISHIMURA/西村次雄
写真家