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鬼のパンツをはいたオニヤンマ2009.09.28

「水と米」の取材で南魚沼の「龍言」に投宿している。

昨夜はしこたま旨い酒「八海山」を呷ったはずだが、
この日も目覚め良く浴衣姿のまま、
いそいそと2台のカメラをぶら下げて仄暗い部屋を抜けだした。

朝焼けの中庭に出ると、
まだ人影はなく予定の撮影も順調に進んでいたが・・・、
何かしら足下で蠢いている。

目を懲らすと蠢く正体は日本最大のトンボ「オニヤンマ」。
約4~5頭程が産卵の真最中である。
幸い当初の目的であったカットは撮り終えていたので急遽、
鬼のパンツをはいたオニヤンマに変更。

オニヤンマ(鬼蜻蜓、馬大頭)
日本最大種、トンボ目オニヤンマ科、
頭部から腹の先端まで♀は♂より大きく95~110mmほど。
名前の由来は、
黒と黄の段だら模様から虎の皮の褌を締めた鬼を連想させる事から、
オニヤンマという名前がついたとのこと。
ちなみに日本最小トンボは一円玉(20mm)に収まるハッチョウトンボ(18mm)です。

★8月吉日、成美堂出版から『一冊でわかる楽器ガイド』が出版されました。
この本は「楽器へのいざない」をメインテーマに
オーケストラに使われる楽器の音の出る仕組み、歴史、音域にまつわるエピソードなどが満載です。
私は表紙や楽器などの写真を担当。
音楽に興味のあるか方は書店にてご覧頂けると幸いです。

この時の撮影技法
産卵時の臨場感の表現がポイントです。
暗がりの中での産卵シーンはストロボが必須。
幸いニコンデジタルカメラD300は内蔵ストロボがマニユアル設定可能なので、
緊急手段として内蔵ストロボをマニュアルに設定(ストロボオートでは光のコントロールが難しい)。
もともとトンボは動く物には敏感に反応しますが、
そ~っと距離を詰めればかなり近くまで寄れます。
せせらぎの中に入り大股開きで撮影していたら、
なんと浴衣の中まで入って来ました。

あっけにとられつつもノーファインダーでカメラボディーが水に触れるほど水面ギリギリまで低くセット。
オニヤンマの産卵管が川底に触れた瞬間に産卵が行われるので、
その瞬間がしっかりと裸眼で確認できる約50㎝まで近づき、
リズミカルな産卵のタイミング合わせて撮影しました。

手の届く位置まで近づいてオニヤンマと同じ目線ならば、
離れて撮る場合よりも臨場感がより表現出来るように感じますが如何でしょうか?

カメラ設定
露出設定マニュアル、シャッタースピード1/45秒,絞りF8、ISO400、内蔵ストロボ使用マニュアル設定

使用機材
Nikon D300、18~55mmズームレンズ。

POSTED BY:
tsugionishimura_image

TSUGIO NISHIMURA/西村次雄
写真家

息絶えるバルタン星人2009.09.14

ムモンホソアシナガバチのコロニーを目指して急ぎ足で歩いていると、
ポトリと目の前に何か落ちてきました。

近づいて覗き込むと
アブラゼミが樹の表皮の一片を抱えて今にも息絶えようとしています。
「!?・・・、夏もそろそろ終わりかな・・・」などと思いつつも、
ふと何気ない日常の一コマに
夏の終わりの哀愁を感じカメラを構える事にしました。

アブラゼミは世界でも珍しい翅全体が不透明のセミで、
日本の夏を象徴するセミの一種です。

成虫の寿命は約1~2週間、
名前の由来は油で揚げ物をするときの音が
アブラゼミの鳴き声に似ている事からアブラゼミと呼ばれています。

天敵は鳥、ハチなどの昆虫、前回の冬虫夏草などの菌類、
さらには天敵と言えるか解りませんが、
写真に小さく赤く写り込んでいるタカラダニ
(セミに赤いダニがくっついていると宝物を抱えているように見えるということから、
タカラダニと言う説がある)
など。

それにしても、このバルタン星人、無事に命のバトンは出来たのだろうか?
と、・・・夏の終わりに独り想う。

笑えない話
種類は違うがクマゼミの産卵で笑えないニュースがありました。
西日本ではクマゼミが大量発生して
「光ファイバーケーブルを枯れ枝と間違えて産卵したために断線被害が多発」
の報道。
インターネットにも思わぬ天敵がいたものです。

この時の撮影技法
息絶えるバルタン星人の存在感を如何に表現出来るかがポイント。
イメージ表現の一例としてデフォルメされたセミと、
かつ多少なりとも背景も解るような深い被写界深度が欲しくて、
ドアスコープの様な形をした虫の目レンズの「魚露目」を使用。
セミの前約2㎝にカメラを地面にセット。
接写リングやテレコンをかませるとレンズはかなり暗くなるので、
セルフタイマーを2秒にセットしてカメラブレを軽減。最後に静かにシャッターを押した。

カメラ設定
露出設定マニュアル、シャッタースピード1/4秒,絞りF18、ISO 200

使用機材
Nikon D300、接写リング12ミリ+1.5Xテレコン+ニッコール28~85ミリズームレンズ(45ミリで使用)+魚露目レンズ。

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tsugionishimura_image

TSUGIO NISHIMURA/西村次雄
写真家