- TSUGIO NISHIMURA 西村次雄
フォトグラファー
- 1973年、九州産業大学芸術学部写真科卒。同年渡米。1979年、「STUDIO BB」を設立。デジタルの可能性にいち早く気づき、雑誌・広告を中心に一眼レフカメラを駆使して活躍中の”IT写真家”である。建築物、料理、人物、商品、そして動物・植物・昆虫と被写体の幅も極めて広い。

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花の惑星2013.04.22
花には全く関心がなかったけれど、虫や鳥を観察しているといつの間にか花に取りつかれていた。
そして、あらゆる花に関する本を読みあさってきた。
その中に、植物の花は虫や動物にたとえると「生殖器」であるとある本に書いてあった。ハッ!とその言葉の裏にある「進化と戦略」に強く惹かれ、生物学と昆虫学『ジャレド・ダイアモンド、ハワード・エンサイン・エバンス』など読みあさっている。
人間の歴史は虫や植物に比べ遥かに短いけれど、生き物はどれも似たような選択による自然淘汰を繰り返し進化している事に気づかされるのである。
4月には入るとまさに百花撩乱。
花好きには園芸品種を嫌う方もおられるが、日々の暮らしの中にある花も人々の暮らしを彩っているのだから・・・。
さて、花の惑星でもあり虫の惑星でもあるけれ、そんな花達の原種をたどる花紀行もまた興味が尽きないのである。
この時の撮影技法「撮影難易度3星表記(☆)」
「花を美しく撮るコツ」
あらゆる場面で花のある暮らしがある。
書店を覗くと「花の写真撮影のコツ」の題字が今まさに花盛りでデジタルカメラが身近になった証でもある。
花はシャッターを押せば写るのだけれど、その時の感動が写せていない事にガッカリ、何故上手く写せないのだろうか?と思われた事はありませんか。
花を美しく撮るコツ
1) 一番美しい花盛りを撮る。
花盛りのタイミングはまさに一瞬。
ただし、美しいなと感じる感性は人それぞれ違う訳で、咲き始めが良いとか、散り際が美しいなどと、その感性の趣くままにシャッターを押す。
2) 主役を生かす背景を選ぶ
主役にスポットライトを当てる意味合いから、背景を考慮する。環境を生かし、うるさくなりがちな背景を絞りでコントロールする。
3) チャームポイントを生かすライティングを選ぶ
花びらを透かした方が美しいのか、斜光で立体的に見せた方が良いのか見極めよう。晴れた日のふさわしい花、曇り空の柔らかい光がベストの花など、花ごとに太陽光を考慮する。迷ったら、花色は得てして日陰の方が美しく撮れますから日陰がオススメです。
使用ソフト
PhotoshopCS6使用(Rawデータ現像にも使用)
使用機材
OLYMPUS OM-D E-M5、14-42mm F3.5-5.6 ,Micro60mm
Nikon D800, 14-24mm,VR16-35mm,24-70mm,VR24-85mm,Micro60mm,VR70-200mm
Canon EOS 5D Mark II, 17-40mm,IS24-105mm ,Micro100mm
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写真家
東京夜桜2013.03.29
妻の甥が、第一志望高に「桜咲く」であったゆえ、お祝いに鹿児島から桜咲く東京へ招待した。
鎌倉、横浜、秋葉原、美術館など家族が交代で嬉々と案内に奔走。
そして、いよいよ明日帰る日の晩に「竜ちゃん、まだ何処か行きたい所ない?」と、聞くと「スカイツリーに行き、友達への土産が買いたい」と言う。
そうか、今ではスカイツリーが東京名所であるらしい。
当日、怪しい空模様ながら東京スカイツリーに到着。
この天気ならば、少しは空いているだろうと思ったのだが、考える事は皆一緒で当日券での入場は2時間半待ちらしい・・・。
「あのね〜、おじちゃんは高所恐怖症だからさ、一人で登ってね・・・」と、送り出す。
ヘヘ、私は3時間程放し飼い状態にされたカメラ親父である。
OLYMPUS OM-D E-M5にレンズ3本とストロボFL-300Rを小さなカメラバックに詰めていたのである。
このカメラ、とにかく軽いので歩き回るにはすこぶる都合が良い。
ブラリブラリとスカイツリーと桜の撮影ポイントを探して徘徊していると、紅枝垂桜と染井吉野の咲き誇るポイント見つけた。スカイツリーとのバランスもそう悪くない。
すると、タイトルが浮かんだ。
「東京夜桜」うん!これがいいなとストロボをチョイと撫で「さあ、出番ですよ」と囁いてみた。
東京スカイツリー
詳しくはコチラ
http://www.tokyo-skytree.jp/
この時の撮影技法(春雨を味方に)
さて、今回は春雨を見方にして、ストロボで浮かび上がらせる技法です。
私は、昼間でも雨や雪を強調するためにストロボをよく使う。
今回は、桜がライトアップされていなかったので、ストロボで明るく起こしてあげなければならなかった。
いささか小光量のストロボでは、10m程先の桜までは遠すぎて心細かったけれど、思い切りISO感度を1250まで上げて光量不足を補った。
この画は、小さなカメラとストロボを使用して手持ちで撮影した。シャッタースピード:1/13秒ながら、5軸対応メカニカル手ぶれ補正は見事でピタリと止まる。
さらに高感度でも解像感はおおむね良好で、頼もしい道具である。
それにしても、桜色にライトアップされた東京スカイツリーは華やかで素敵だ。
カメラ設定
絞り値:F8、シャッタースピード:1/13秒,ISO感度設定:1250、露出モード:マニュアル、ホワイトバランス:オート(Rawデータで記録のため)、測光モード:中央部平均測光、ピクチャースタイル:スタンダード、焦点距離22mm(35㎜換算44㎜)、外部スロトボ:強制フル発光
使用ソフト<_strong>
PhotoshopCS6使用(Rawデータ現像にも使用)
使用機材
OLYMPUS OM-D E-M5、M.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6 II R、ストロボFL-300R、1灯使用
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写真家
♀現れる!(シロヤヨイヒメハナバチ♂)2013.03.15
弥生3月に現れるシロヤヨイヒメハナバチ、♀よりも早く出現して他の♂よりもいち早く♀を射止めようとせわしなくあたりを飛び回っていた。
面構えは白髭をはやしたおじさん風であるがピカピカの若さまである。
そこへ、若いお嬢さま方が大勢現れて「キャーカワイ〜」と、ピースサイン。
思わず「デヘヘ」と、にやけたお顔でピース返しである。
白弥生姫花蜂(シロヤヨイヒメハナバチ)詳しくはコチラ
http://horror.g.hatena.ne.jp/COCO/
この時の撮影技法(とっさのカメラの備え)
私は、移動中あらゆる事象に素早く対応出来るレンズは、今は何ミリかベストかといつも考えている。
たとえば、今回の熊本ではスケール感のある花を撮るのが第2のテーマでもあったので、レンタカーの助手席にD800にAF-S NIKKOR 12-24mm f/2.8G EDでスタンバイ。
「あっ!ヒゴツバキ」と、言っては車を止めてパチリ。
3月11日、熊本県阿蘇山にて後ろ向きでピースサイン。
よく見ると、車のボンネットに乗せセルフタイマーで記念撮影していた。
そのポーズに新鮮な驚きと面白さを感じ急遽車を止め、素早く彼女達に撮影許可を得て撮らせてもらった。
何げない旅スナップもまた面白く、異なった2枚の写真を並べてみるのも軽妙である。
カメラ設定
上:絞り値:F9、シャッタースピード:1/125秒,ISO感度設定:200、露出モード:マニュアル、ホワイトバランス:オート(Rawデータで記録のため)、測光モード:中央部平均測光、ピクチャースタイル:スタンダード、焦点距離60mm(35㎜換算120㎜)
下:絞り値:F14、シャッタースピード:1/640秒,ISO感度設定:400、露出モード:マニュアル、ホワイトバランス:オート(Rawデータで記録のため)、測光モード:中央部平均測光、ピクチャースタイル:スタンダード、焦点距離22mm
使用ソフト
PhotoshopCS6使用(Rawデータ現像にも使用)
使用機材
上:OLYMPUS OM-D E-M5、M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro
下:Nikon D800、AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED
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写真家
お水送り2013.03.04
春を告げる伝統的行事、奈良東大寺二月堂の「お水取り」に先がけて、毎年3月2日に福井県小浜市の鵜の瀬で「お水送り」が行われる。
ホラ貝が鳴り響くなか、松明の灯りに照らされた白装束の住職が「お香水」を遠敷川の川面に注ぐ神事である。
「お香水(こうずい)」は遠敷川(おにゅうがわ)へ注がれ、地下を通り10日かけて奈良東大寺二月堂の若狭井にとどくといわれており、よって3月12日に奈良東大寺の「お水取り」が行われる。
20時55分、奈良に向かう「お香水」に全神経を集中して、ホラ貝の音、松明のはじける音、流れる水の音、静かにシャッター音を調和させ和音となす。
お水送り
詳しくはコチラ(http://www.fukui-c.ed.jp/~cdb/gyouji/omizuokuri/)
この時の撮影技法(陰影とスローシャッターの味付け)
陰影に映える「お香水」。これから10日かけ、奈良東大寺二月堂の若狭井まで地下水となり流れて行く。
その事を示唆させるために、対局にある白装束と煌めく「お香水」を、より豊かに語らせてくれる深みのある陰影はとても重要なファクターひとつである。
さらに、スローシャッター1/5秒にて川の流れ、松明の火の粉、煙、そしてこの写真の命である、「お香水」の流れを、かすかなブレで厳かな時間の観念を味付けした。
こぼれ話
寒空の下で長時間の撮影するプロゴルフ専門カメラマンのお話し。
ゴルフのトーナメントは女子3日、男子4日間で行われる。その期間、決定的瞬間を撮り逃す事が出来ないので一瞬たりとも現場を離れられないのでトイレに行きたくてもほとんど行けない緊迫の状況下におかれている。
「地下鉄に乗っていたらさ、急につり革を握っていた左手がバタッと落ちてさ、あれっ!と思いながら右手でもう一度左手をつり革に掴ませるのだけれど、やっぱりバタッと落ちる、すると周りの乗客が驚いて逃げるんだよ。やっとのおもいで駅を出てさ、目の前の交番にヨロヨロと入ったのだけれど、こいつが気の利かない若い警官でさ、はやく救急車を呼んでくれればよいものを、お名前は。アウアウ、じゃあご住所を書いて下さい、と。
口も手も動かせない状況だというのにさ。困り果てていると、奇跡が起きたんだ。なんと息子が偶然にも交番の前を通りかかってさ〜。幸い、直ぐに息子は事の重大さに気づいてくれ、妻の勤める病院へ直行・・・」と、笑い話のように話してくれた。
そして、今では脳梗塞の再発が怖いので「コレステロール値」と「水分補給」もしっかりととり、紙おむつを履いて撮影に臨んでいるとのことである。
前置きが長くなったが、寒空の下での長時間撮影。トイレが気になっては撮影に集中出来るはずが無いので、今回は私もPaper diaperを履いて臨んだのだ。
カメラ設定
絞り値:F6.3、シャッタースピード:1/5秒,ISO感度設定:1250、露出モード:マニュアル、露出補正:±0、ホワイトバランス:オート、測光モード:中央重点(平均)、ピクチャースタイル:ノーマル、焦点距離45mm
使用ソフト
Raw現像ソフト:PhotoshopCS6使用(Rawデータ現像にも使用)
使用機材
Canon EOS 5D Mark II, EF24-105mm f/4L IS USM、三脚:ベンロカーボンネオフレックス使用
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TSUGIO NISHIMURA/西村次雄
写真家
アイスモンスター2013.02.25
シベリアの北西の季節風、日本海の対馬暖流、朝日連峰、山形盆地、蔵王連峰、雲粒が0℃以下でも凍らない過冷水滴と一定方向の強風と低温、アオモリトドマツなどの針葉樹、積雪が多すぎず少なすぎず、などなどすべての条件が揃わなければ世界的にも珍しい樹氷(アイスモンスター)はできないという。
先々週も強風で樹氷が吹き飛ばされ直前で撮影行きを断念していたのだが、念じれば叶うもので福島での仕事が入った。
仕事が終わり、ひとり反対方向の山形行きの新幹線に飛び乗った。
車窓には半分ほど雪に埋まりかけた家並みが見え、軒下に巨大なツララが下がっている。
夜の7時山形駅前のホテル着。
天気予報では、今年の東北地方は観測史上最高積雪量だとだと告げている・・・、悪い事に明日の蔵王は雪らしい。
はたして、見事に天気予報がはずれた。
体感温度−15℃の極寒の蔵王山頂に9時に立つ。
容赦なく頬と耳と指先に冷気がチクリと刺してくるけれど、不思議なものでそれが妙に心地よいのである。もはや、心穏やかならぬ状況ながら「どれどれ」と、迫力満点のアイスモンスターを品定めする歓喜の瞬間がとうとう訪れたのだ。
樹氷(アイスモンスター)
詳しくはコチラ
http://www.kankou.yamagata.yamagata.jp/zao/winter/pc_2012/juhyo/pnf_juhyo_2007.pdf#search=’樹氷(アイスモンスター)’
この時の撮影技法
D8001台、ニコンAF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED, ニコンAF-S NIKKOR 24-85mm f/3.5-4.5G ED VR, ニコンAF-S NIKKOR 70-200mm f/4G ED VRの3本のレンズ、予備バッテリー1個を小さめなカメラバックに入れ山頂に立つ。ポイント、撮影には気象が安定している早朝がオススメです。
案の定10時を回ると雲が出て来た。スケール感のある背景選びがとても重要で、慎重に場所選びをしたい。
さらに、太陽の位置や突風などアクセントや寒さを演出出来るものを画の中に入れられればベターである。
カメラ設定
上:絞り値:F14、シャッタースピード:1/400秒,ISO感度設定:100、露出モード:マニュアル、ホワイトバランス:オート(Rawデータで記録のため)、測光モード:中央部平均測光、ピクチャースタイル:スタンダード、焦点距離14mm
使用ソフト
PhotoshopCS6使用(Rawデータ現像にも使用)
使用機材
Nikon D800、AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED
POSTED BY:

TSUGIO NISHIMURA/西村次雄
写真家