YOUCHOOSE

about

TSUGIO NISHIMURA 西村次雄
フォトグラファー
1973年、九州産業大学芸術学部写真科卒。同年渡米。1979年、「STUDIO BB」を設立。デジタルの可能性にいち早く気づき、雑誌・広告を中心に一眼レフカメラを駆使して活躍中の”IT写真家”である。建築物、料理、人物、商品、そして動物・植物・昆虫と被写体の幅も極めて広い。

平凡な日常2014.09.01

「サギソウ」見頃です! の情報を得。
さて、今年の花付きはどんなもんだろうか?と「昭和記念公園」へ。
毎年の積み重ねが、狙いの視点を一新しくしてくれるから、猛暑日にも怯まずに出掛ける事になる。

平凡な日常に新たな視点を見つける・・・、そこにも写真の醍醐味のひとつが潜んでいるように思われるのだ。

この時の撮影技法「撮影難易度3星表記(☆)」
「自然の摂理を捉える」
トンボ池へ到着したらシオカラトンボがサギソウの周りで産卵を繰り返していた。
ごく平凡ではあるが、水辺に生えるサギソウの環境が撮りたいと願って来たのだからシメシメである。
水面20㎝程をランデブー飛翔していたので、日陰の黒バックの中をシオカラトンボが陽を浴びる瞬間があるのでは、と考えそのポイントに入る瞬間を待ち受けシャッターを切った。
結果、脇役として強調でき、かつ環境も捉える事が出来たのではないだろうか?

♂は♀を守る為に、天敵の標的になり易い傾向にある。
帰りがけ沢山のモンキチョウがムラサキツメクサで吸蜜と求愛を繰り返していた。
見慣れた風景ながらレンズを向けていると、一頭のモンキチョウ♂がシオカラトンボ♀に捕まってしまった。♂は♀を求めて探しまわり、♀は卵を生まなくてはならないので食欲旺盛、それもこれも抗がなえない自然の摂理である。

こぼれ話(雲台)
長年使用していた雲台を「マンフロット」からアルカスイス互換タイプの「Really Right StuffのBH-40 Mid-Size Ballhead 」へ一新した。
きっかけは今一番気に入っているレンズ(AF-S NIKKOR 70-200mm f/4G ED VR)のリング式三脚座を「KIRK Enterprise Solutions」購入したことから一新したのである。
この三脚座、2点でレンズを支える構造になっておりNikon純正のものよりはるかに出来が良い、値段は20400円程。
コンパクトながら、キュッと締めるとカメラクルクルが全くない、これは使えるという事でアメリカの「Really Right Stuff」から個人輸入した。
関税などを含め5万円程で購入出来る。
関心のある方は下記のタブをたぐって見て欲しい。

雲台「Really Right Stuff」
http://www.reallyrightstuff.com/s.nl/sc.26/category.568/it.C/.f
リング式三脚座「KIRK」
http://item.rakuten.co.jp/studio-jin/nc70_200/

カメラ設定
上)Nikon D810, 絞り値:F8.0、シャッタースピード:1/640秒,ISO感度設定:800、レンズ焦点距離170mm、露出モード:マニュアル、露出補正:-1/2、ホワイトバランス:オート、ピクチャースタイル:スタンダード、Raw 14bit。

中)Nikon D810, 絞り値:F8.0、シャッタースピード:1/1600秒,ISO感度設定:800、レンズ焦点距離105mm、露出モード:マニュアル、露出補正:±0、ホワイトバランス:オート、ピクチャースタイル:スタンダード、Raw 14bit。

下)Nikon D810, 絞り値:F8.0、シャッタースピード:1/1250秒,ISO感度設定:800、レンズ焦点距離105mm、露出モード:マニュアル、露出補正:±0、ホワイトバランス:オート、ピクチャースタイル:スタンダード、Raw 14bit。

使用ソフト
PhotoshopCS6使用(Rawデータ現像、トリミングあり)

使用機材

上)Nikon D810, AF-S NIKKOR 70-200mm f/4G ED VR 、三脚:GITZOマウンテニア2型4段GT2542、雲台:Really Right StuffのBH-40 Mid-Size Ballhead 、リング式三脚座:KIRK NC-70-200

中・下)Nikon D810, AF-S VR Micro-NIKKOR 105mm f/2.8G IF-ED

POSTED BY:
tsugionishimura_image

TSUGIO NISHIMURA/西村次雄
写真家

ゴイシシジミ2014.08.11

昨日から腰の調子がどうも良くないけれど、いま撮りたい蝶(オオムラサキ)がいて天気が気になっていた。予報では、明日から3日程天気が悪いらしい。その原因は自転車並みのノロノロ台風11号のようだ。これ以上遅れたら、また来年まで一年も待たねばならないと考え無理して今日出掛ける事にした。

埼玉県嵐山へは高速を使うと約1時間だが、オオムラサキの撮影方法などをあれこれ想いを巡らせハンドルを握っていたら、腰の事などすっかり忘れさっていた。—–後に思い知らされるのだが・・・。

予定時刻に到着。

急ぎ、オオムラサキのポイントへ。数分後♂が一頭ヒラリと現れたがそれっきり。どうやらクヌギの樹液が3箇所とも枯れてしまったようで撮りたい絵柄はジエンド、しかたがない来年まで楽しみに待つことにしょう。ならば、とゴイシシジミにターゲットを変えるが、その撮影ポイントは坂の上にある。三脚を担ぎ坂を登り始めると、・・・腰にズドーンと痛みが奔った。トホホと三脚を杖代わりに坂をゆっくりと登る。

よりによってうだるような猛暑日!

腰痛の冷や汗、と猛暑のダブルパンチで長袖シャツは汗でグッショリ。気力と根性でゴイシシジミのポイントに到着するがヘロヘロ状態で撮影の準備を始める・・・そこへ、ブ~ンとヤブ蚊襲来である・・・。

「うひゃ~!」

クーラーの効いた家でジットしておれば良いものを、好きとは言えホントお馬鹿です!

ゴイシシジミ(碁石小灰蝶、学名:Taraka hamada)
成虫の大きさはシジミチョウの中では小さい方で前翅長約14mm。
名前の由来は分けて考えると分かり易い、ゴイシは裏面が碁石のごとく白黒、シジミは翅を閉じているときの形がシジミ貝の内側に似ているから。
学名:Taraka =ターラカは、サンスクリット語=「梵語」から「目」「星」の意。
hamada:島根県浜田市に因んで付けられた地名だそうです。

ところで、
どちらが♀かお分かりになりますか? そうなんです、前翅外縁が丸みをおびている左側の方が肉食系女子♀です。人間もチョウも美しいアート曲線は♀と言い切っていいかもしれませんね?笑い

食性も変わっている。

ほかのチョウの幼虫は草木の葉っぱを食べて育つが、ゴイシシジミの幼虫は日本で唯一の純肉食性のチョウなのです。成虫も、この画のように笹の裏側についた「タケノアブラムシ」「ササコナフキツノアブラムシ」などの分泌物を吸いに集まる。また、そのアブラムシの群れの近くに産卵します。そして、孵化した幼虫は上記のアブラムシを補食し、羽化へと命のサイクルが今日まで続いてきているのです。まさに種の生存には上記のアブラムシが必要不可欠なのです。

出現時期

日本では、春から秋まで(5月~10月)、北海道西部~九州の亜高山帯で見られる。探すには山地から平地の笹薮で「タケノアブラムシ」「ササコナフキツノアブラムシ」などが発生している所を探すと見つけ易い。ただし、年々開発が進み、都市部では生息数が減少している。

この時の撮影技法「撮影難易度3星表記(☆☆)」
「被写界深度を生かし食性が分かるアングル」

ゴイシシジミの食性が分かる事がこの画のキーポイントと考える。その事を踏まえ、笹の葉裏で食事中のゴイシシジミをローアングルで狙った。キーポイントのゴイシシジミとササコナフキツノアブラムシが一枚の画に収まらなければ失敗と考える。
ゴシシシジミは笹の葉裏にいるのでチョット暗い、それに被写界深度をかせぎたいので絞をf/9に設定。さらにカメラぶれを防ぐ為にストロボを使用。
照明機材はニコンクローズアップスピードライトリモートキットR1、を60mmレンズにセット。立体感を出す為に、バックライトにSPEEDOLIHT SB-700一灯+バウンスアダプター SW-14Hを使用。


撮影自体は易しそうに思えるが、被写界深度を理解していないと手強いので、撮影難度(☆☆)とした。

撮影技法ではないけれど、猛暑日に必須の物品をリストアップ。

①長袖シャツの着替え(クールビズタイプ)、②タオル(数枚)、③虫除けスプレー(吹き出す汗に流されるので、こまめにスプレーする事。虫の種類によっては蚊取り線香でもOK)、④水(できれば生理食塩水やミネラル入り麦茶がオススメ)、⑤帽子(首筋を守るクールビットがオススメ)など、それと怖~いマムシに要注意。

カメラ設定
Nikon D810, 絞り値:F9.0、シャッタースピード:1/125秒,ISO感度設定:100、レンズ焦点距離60mm、露出モード:マニュアル、露出補正:-1/2、ホワイトバランス:オート、ピクチャースタイル:風景、Raw。

使用ソフト
PhotoshopCS6使用(Rawデータ現像、トリミングあり)

使用機材

Nikon D810, AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED、ニコンクローズアップスピードライトリモートキットR1、SPEEDOLIHT SB-700一灯+バウンスアダプター SW-14Hをバックライトとして使用、三脚:GITZOマウンテニア2型4段GT2542

POSTED BY:
tsugionishimura_image

TSUGIO NISHIMURA/西村次雄
写真家

落雷2014.08.05

梅雨と夏の狭間では急にガラゴロと空が騒がしくなる。
先日、おとなりの調布市では初夏では珍しい多量の雹が降り雪国状態、などとニュースに新しい。
そして、この画のような落雷も数回ほどあったので、パソコン作業しながらの「ならがスマホ」ならぬ「ながらデジカメ」を行った。ながらは、いずれも危険行為だけれど、パソコンの電源は「雷から守る」タップを使っているので近くにドカンときても心配無用である。

小学生の頃、
同級生の女の子の家に雷が落ちたと聞き、恐いもの見たさプラスαで駆けつけた。
同級生曰く「あんね、ダンプカーがね、空から100台も落っこちてくっようなおっぜ大きな音がしてね〜、ほんなこひったまげたよ〜」。
話を聞きながら、その焼け焦げた天井穴を見上げる。なんとそこには奇麗な青空が見えていて、不思議だがその対比の美しさに見とれてしまった。
ヘ〜ッ、この穴からダンプカーが100台も落ちて来たのか、と想像してしまった私は、大きな口を開けてポカンと天井を見上げておりました。

この時の撮影技法「撮影難易度3星表記(☆)」
「道具に仕事をさせる」
落雷の瞬間を、新製品のNikonD810の試し撮りを兼ねた撮影を行った。
ピカッと光ってからシャッターを押しても遅いので、6秒間隔でシャッターを押し続ける便利な道具を使う事にした。
そこで、Nikon用の「無線GPSユニット&タイマーリモートコントローラー ZGR-2a」登場である。
D810は低感度ISO64が使え拡張もOK。残照が残る時間帯でも、拡張ISO感度31が使えるのでタイマーを6秒、絞はf/20、シャッター回数を30回に設定する。そう、6秒ごとの露光中に運良く雷がピカッと光ってくれればしめたものである。スマホのシャッターを「ホールド」にすれば、6秒ごとに自動撮影を行ってくれるお手軽撮影というわけだ。

NikonD810のこぼれ話
発売日から約18日間ほど人物、料理、昆虫、植物などに使用した。感想を一言でいうと「使える道具」である。下記に、D800から良くなった点を良い順に列挙する。

1、 シャッター音がソフトで静かになった。
(取材中、静かなシャッター音がライターさんの邪魔をしない=カメラぶれ原因のひとつが解消○)
2、 モニターが見たままの色味(現物と同じ色味=ホワイトバランスが的確○)
3、 低感度と高感度が良くなった(低感度=人物撮影などで開放絞をよく使う○。高感度、舞台などで高速シャッターが切れる=表現方法が広がる○)
4、 JPG画像データをそのまま印刷用に回せる。
(雑誌等の急ぎの入稿時に助かる=シャープネス、解像度、ホワイトバランスが○)
5、 バッテリー、縦位置グリップ、「通信ユニット UT-1」と「ワイヤレストランスミッター WT-5」(D800とD810が共有○)
まだまだ、いっぱい褒めたいところはあるけれど、Nikonのヨイショ宣伝していると思われてもなあ・・・。

カメラ設定
Nikon D810, 絞り値:F20、シャッタースピード:6秒,ISO感度設定:31、レンズ焦点距離32mm、露出モード:マニュアル、露出補正:-1.67、ホワイトバランス:オート、ピクチャースタイル:風景、Raw。

使用ソフト
PhotoshopCS6使用(Rawデータ現像)
AdobeはNikonD810用のCameraRawに素早く対応
色温度6550°K,カメラプロファイルをCamera Flatにして追い込んで仕上げる。トリミングあり。

使用機材

Nikon D810, AF-S NIKKOR 24-85mm f/3.5-4.5G ED VR、無線GPSユニット&タイマーリモートコントローラーZGR-2a、三脚:GITZOマウンテニア2型4段GT2542

POSTED BY:
tsugionishimura_image

TSUGIO NISHIMURA/西村次雄
写真家

ゲンジボタル2014.07.14

お昼どき、三脚担いで群馬県富岡市の「丹生川」の沢にジャブジャブと分け入っていく。
妄想・・・、眼前でゲンジボタルの灯りが飛び交っている。
良さそうなポイントを見つけ目を閉じる。そう、先ほどの映像をビデオのように再生し、撮影ポイントと映像がマッチングするかを見極めているのだ。
「ここならよさそうだ・・・」と三脚を据え付けた。
太陽が沈むまで、まだ時間はたっぷりとある・・・。

三日月さまが出て来た。
♪ ほーほーほたる来い こっちのみ〜ずは甘いぞ そっちの・・・

ゲンジボタル(源氏螢・学名Luciola cruciata)は、コウウチュウ目ホタル科
蛍の種類は、日本で40数種、世界では約2000種が記録されている。
螢と言えば、「沢:ゲンジボタル、田んぼ:ヘイケボタル、森:ヒメボタル(金ボタル)」を指す。
日本の原風景を彩る螢たちは、桜前線のごとく6月の声を聞くと螢前線が北上する。

ホタルの名の由来は「ホは火なり、タルは垂ルなり」などと諸説あり。
螢が登場するもっとも古い文献は「日本書紀」「源氏物語」。
なんと、その頃は腐った草が螢になると思われていたそうだ。
「古事記」の「人は草である」からの発想か。

平安中期にはこんな歌が詠まれています
「和泉式部」から螢の歌を一首
もの思へば沢の螢も わが身よりあくがれ出づる魂かとぞ見る

「蛍の光」唱歌(スコッランド民謡)
ドレミの4、7抜きの哀愁漂う旋律で、まるで灯りが消えていくような物悲しさが漂う。

この時の撮影技法「撮影難易度3星表記(☆)」
「先ずターゲットの露出を決める」
ターゲットのゲンジボタルの光跡が適正露光になるようにISO感度を400、絞f2.8、露光時間30秒に設定した。漆黒の闇ならば光跡は適正露光なので何秒でも構わないが、ゲンジボタルの「曲線的な光跡」を撮るのが主題なのだから30秒に設定したのである。
かつ、環境も同時に一発撮りで表現したいので、30秒で沢の表情が撮れる時間帯まで待って撮影した。
夜空にはまだ残照と三日月さまが出ておられたので、かなり明るく映っている。

沢の真ん中で、下流に向けて三脚を立てる。
螢撮影の定石
暗くなる前にフォーカスを合わせる。暗くなってからでは、ファーカスは困難であるから明るいうちにファーカス合わせをしておく。合わせ終えたら、フォーカスリングが動かないようにテープ止めをする。そして、全てをマニュアルに設定する。

撮影難易度
ゲンジボタルの灯りは、ヘイケボタルやヒメボタルよりも明るく、撮影自体はけっして難しくないので「☆」とした。

広角スームレンズに寄ってくる螢
ズームレンズにおのれの姿が映り込んでいたのか、レンズすれすれに繰り返し飛翔してきて、一頭がレンズに止まった。
邪魔してすまん・・・

カメラ設定
絞り値:F2.8、シャッタースピード:30秒,ISO感度設定:400、露出モード:マニュアル、焦点距離:20㎜、ホワイトバランス:オート、ピクチャースタイル:風景、Raw。

使用ソフト
PhotoshopCS6使用(Rawデータ現像)

使用機材

CANON 1Ds MarkeⅡ, キャノン用アダプター使用:AIAF-Sズームニッコール ED17mm-35mm F2.8D(IF)、レリーズ、三脚、水準器

POSTED BY:
tsugionishimura_image

TSUGIO NISHIMURA/西村次雄
写真家

ヘイケボタル2014.07.09

秩父の横瀬町寺坂棚田に早めに着いたので、下見を済ませ温泉で時間を潰した。
ゆでダコになって戻ったのは、カジカが鳴きツバメが飛翔していた薄暮の時刻であった。ワイフとゆっくりと昏れる情景を楽しみつつその時を待っ。

いつの間にかツバメの姿もなく、コウモリとカエルの合唱が始まった、いよいよである。

「あっ!」と連れが発した。

ヘイケボタル(平家蛍、学名: Luciola lateralis)は、コウウチュウ目ホタル科
ヘイケとゲンジの生態はかなり違う。大きさはゲンジ♀2㎝、♂1.5㎝、ヘイケ♀1㎝で♀がやや大きい。飛び方、ゲンジ曲線的、ヘイケ直線的。生活環境も違いゲンジの幼虫は里山の小川や山間部の渓流域に棲むが、ヘイケは里山の流れが穏やかな止水域に棲み、渓流域には棲まない。

幼虫の食べ物
ヘイケはゲンジと違い何でも食べる雑食性の庶民派ある。落ち葉や藻類、弱ったオタマジャクシやヤゴなどを食べ、また泥や砂の中に含まれる有機物などを食べて育つ。ホタルは清流に棲むと思われがちだが、ホタルの餌であるカワニナやタニシ、モノアラガイ(物洗貝)などは適度な家庭排水が流れ込む場所を好む。いわゆる川や沼を奇麗にしてくれる掃除屋さんでもある。

成虫の発光パターン
ゲンジは全てが同調して一斉に明減するが、ヘイケはてんでバラバラに点滅する。ちなみにゲンジの明減間隔は地域によって違うのです。それは、まるで方言で喋っているような差異が見られるのだ。東日本は4秒間隔、西日本は2秒間隔。その中間あたりは両方が見られる。ヘイケは北海道で約1秒間隔、本州以南では約0.5秒間隔で点滅、それは気温に影響されていると言われている。また雌雄でも点滅間隔は違う、飛翔中の♂は急いているのか早く、♀は焦らし気味に少し遅い。発生期間も長くゲンジのように短期間に大量発生とはならず、ヘイケは長期間ゆえ密度は決して高くはない。

この時の撮影技法「撮影難易度3星表記(☆☆☆)」
「露出の塩梅が難しい」
ヘイケはゲンジのように乱舞するのではないので、素朴さこそがこの画の命と考え、田んぼが分かるように一発撮りした。(ゲンジボタルは次回公開予定)

前回のヒメボタルはこちら
http://www.sci-museum.jp/files/pdf/study/universe/2014/07/201407_16-17.pdf

ヘイケはゲンジと違い光り方が弱く、なおかつ刻々と変わる残照の影響で、明暗の兼ね合いが難しく、露出設定がきわめて難しい被写体ゆえ撮影難易度(☆☆☆)。こればかりは経験がものを言う被写体でもある。事実アマチュアカメラマンが4組ほどいたが撮影に失敗してそうそうに退散した。原因はピントが合わない、シャッターが押せないなどなど・・・。
そこで?
オートでは暗くてピントなどが使い物にならないので、総ての設定をマニュアルする。
かなり暗いが残照下では当然長時間露光は無理と考え、絞開放f/1.4でシャッタースピードをギリギリ6秒と決めた。当然この露光タイムでは飛翔跡はあまり美しくないと思えたので、素朴さに重きをおいて、
「灯り初め」の幽玄の世界を狙ったのである。

レンズは最新のシグマのArtライン50mm F1.4 DG HSMをセレクト。明るくて見やすいが、大きくて重たい代物である。しかしながら切れ味が素晴らしく、ボケも率直で二線ボケも見られず、いまお気に入りの標準レンズである。そう、良いレンズは大きくて重たい傾向がある。

風雅な俳句を一発
馬の屁に 吹き飛ばされし 蛍かな   小林一茶

カメラ設定
Nikon D800, 絞り値:F1.4、シャッタースピード:6秒,ISO感度設定:400、レンズ焦点距離50mm、露出モード:マニュアル、露出補正:-1/2、ホワイトバランス:オート、ピクチャースタイル:風景、Raw。

使用ソフト
PhotoshopCS6使用(Rawデータ現像)

使用機材

Nikon D800, シグマArt50mm F1.4 DG HSM、レリーズ、三脚:GITZOマウンテニア2型4段GT2542

POSTED BY:
tsugionishimura_image

TSUGIO NISHIMURA/西村次雄
写真家