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about

TSUGIO NISHIMURA 西村次雄
フォトグラファー
1973年、九州産業大学芸術学部写真科卒。同年渡米。1979年、「STUDIO BB」を設立。デジタルの可能性にいち早く気づき、雑誌・広告を中心に一眼レフカメラを駆使して活躍中の”IT写真家”である。建築物、料理、人物、商品、そして動物・植物・昆虫と被写体の幅も極めて広い。

山桜の幹から椿がニョキリ!?2014.03.31

絶妙なバランスの山桜と椿が存在する。
やるか、やられるか、それとも共生か、その事が気になって2年程この山桜と椿を見続けている。
会いに行くたびに空想遊びに迷い込む。
「どうしてこうなったのか?」たぶん山桜の株立ちの幹の間に椿の種が落ち発芽。
椿の根っこは素早く株立ちの間に滑り込ませ土まで到達せしめるが、山桜が大きく成長するとともに幹どうしがくっ付き合い幹からニョキリ状態になった。
椿の根はすでに菌根菌の菌糸ネットワークが築かれていて、情報や物質のやりとりでを行うことで病気や栄養不足を補う事ができた・・・。これから先、幹の固さは椿の方が固いだろうから山桜に絞め殺される事はまずないだろう・・・、などと至福の空想遊びに迷い込むのだ。(今のところ、どの椿とどの椿が交配したか分からず、残念ながら椿の名前は専門家でもわかっていません。昆虫か鳥のみぞ知るでしょうか?)

株立ちとはコチラ
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1024904175
図解の3で椿の種が株立ちの間に落ち発芽。素早く根を地中に届かせ、菌根菌の菌糸ネットワークが完成する。(写真のニョキリ状態は図解の4あたりに当たると思われる)

この時の撮影技法「撮影難易度3星表記(☆☆)」
「ストロボで主題を強調」
昼間の明るい光線状態で撮影すると、肝心な椿の幹の出所が分かりにくいのでストロボ3灯で主題がより強調されるようにライティングした。
カメラは三脚にセット。
ストロボは左右からと桜のバックに1灯セットして、総てのストロボにTOKISTAR 2.4Gワイヤレスセット:TS-824-M を付け同調した。
このワイヤレスセットは昼間の明るい場所でも少しぐらい隠れても離れてもすこぶる反応がよい。
また、マシンガンストロボは熱対策が施されており連続発光にとても強いので、車を使用出来ない時には今お気に入りの組み合わせとなっている。
狙い通り、このライティングで山桜の幹の凹凸と椿のニョキリ箇所を強調できたのではないだろうか。

カメラ設定
絞り値:F9、シャッタースピード:1/200秒,ISO感度設定:200、露出モード:マニュアル
焦点距離28.0 mm

使用ソフト
Raw現像ソフト:最終調整PhotoshopCS6使用

使用機材

NIKON D800、AF-S NIKKOR 24-85mm f/3.5-4.5G ED VR、スピードライト:NISSINマシンガンストロボ「MG8000」3灯使用、TOKISTAR 2.4Gワイヤレスセット:TS-824-M 3台使用、アンブレラ使用、ハニカムグリッド、ライトスタンド、三脚

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TSUGIO NISHIMURA/西村次雄
写真家

藪椿(Camellia japonica)2014.02.19

「美しいサンセットが見たい!」と、同行のプロデュー サーの何気ない一言で千葉県のとある岬の坂道を急いでいた。足下に注意しながら視線を太陽に向けると、チラリと藪の中に赤色をとらえた。

「すみません!先に行って下さい・・・」

日没前の逆光の中、暗がりのカメリアを救うにはどうして もストロボが必要である。
こんな願ってもないシチュエーションが今私の目の前に現れているのにストロボは車の中。
太陽の動きは予想以 上に速いのである。
「走れメロス」とばかりに大慌てで結婚式場じゃなくて、 駐 車場へ駆け下る。
まさに約束の日没直前、カメリアのもとに息も絶え絶えに到着。

藪椿とその語源はコチラ
http://www2.odn.ne.jp/had26900/topics_&_items2/on-tsubaki.htm
藪椿は日本原産の花。椿といえば藪椿(Camellia japonica)の事をさす。
因に、花言葉にまつわる話を2つ程
ココ・シャネルが愛した花が薮椿(カメリア)。その花をモチーフに多くのデザインをしている。
花言葉は「贅沢、おしゃれ、誇り、完璧な魅力」

『椿姫』から、
以前紹介した新国立劇場からオンラインツアー
http://www.nntt.jac.go.jp/library/onlinetour/index.html
月の25日間は白い椿を身に付けて、あとの5日の生理期間中には赤い椿を付けた事から、人々に『椿姫』
純朴な青年アルフレードの愛情を表した。
「理想の愛、気取らない美しさ、控えめな愛」

この時の撮影技法「撮影難易度3星表記(☆)」
「美しさの中に気配を感じさせる写真」
花の写真はとても手強い、得てして「奇麗な花だね」で終わってしまうだけの写真になりがちだ。
プロとして要望の多い画を撮るのも一つの選択肢ではあるが、ただ美しいだけの写真に釈然としないというのが本音でもある。
そこで、麗しい風景の奥底にある気配を画に出来ないかと願ってやまないのである。
例えば、この画に込めたのは、藪椿の背景にある海に栄養源を注ぎ込む豊かな森があり、麗しい風景をもたらす自然のサイクルが備わっている事を、この一枚の画に語らせたいのである・・・。
無論、ひとりよがりな思い込みの激しい写真になりがちなのは承知のうえである。

カメラ設定
絞り値:F13、シャッタースピード:1/200秒,ISO感度設定:200、露出モード:マニュアル
焦点距離32.0 mm

使用ソフト
Raw現像ソフト:最終調整PhotoshopCS6使用

使用機材

Canon EOS 5D Mark II、EF24-105mm f/4L IS USM、スピードライト 580EX II、
ストロボディフューザー G

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TSUGIO NISHIMURA/西村次雄
写真家

Photograph(光の描くもの)2014.01.26

この画を撮る前に菊冬至(椿)の紅地に白斑の美しさに見入っていた。
菊冬至とは良いネーミングをつけたものだとプラリプラリと散策していると、落ち葉の絨毯に射している影が妙に写欲とコネクトした意である。

冬至は少しばかり過ぎ去ってしまったが、光が一番弱い日(陰の気が極まる日)で影が長くなる道理はご存知の通りである。
この画では、光が私とカエデを回り込み影として結像している事にお気づきだろう、そこにこそPhotoの原点が潜んでいるのである。
PhotographとはPhoto(光の)graph(描くもの)という意味である。
光は、キンと冷えた空気のレンズを貫き落ち葉に影を結像させていた、これも写楽の一考でもあろうかとセルフポートレートなる戯言遊びに押始める。

菊冬至と語源はコチラ
http://tsubakikan.city.nanto.toyama.jp/cgi-bin/tsubaki/tsubaki.cgi?page=45

この時の撮影技法「撮影難易度3星表記(☆)」
「ヒストグラム」
光と影はヒストグラム(輝度RGB)の256段階(8bit表記)の両極地にあるとします。
デジタルカメラのヒストグラムでは白を0とすると黒は255。そこでコントラストを強調したければ、アンダーの黒255付近とハイキーの白0付近にヒストグラムの山が高くそびえ中間は谷型が望ましいと言う事になる。
よって、モード設定に迷ったら、影のイメージをより強調できる風景モード(コントラスト強めの設定となっている)がオススメなのだ。

カメラ設定
絞り値:F11、シャッタースピード:1/320秒,ISO感度設定:400、露出モード:マニュアル
-0.67補正、モード設定:風景

使用ソフト
Raw現像ソフト:最終調整PhotoshopCS6使用

使用機材

NIKON D800、Micro NIKKOR 60.0 mm f/2.8G ED

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TSUGIO NISHIMURA/西村次雄
写真家

ガガイモ(北風に未来を託す)2013.12.26

ピュ〜と北風が吹くころガガイモの実が割れ、未来への旅の準備が整う。
ガガイモの実は写真のように巧妙な種髪(しゅはつ)の作りになっていて、動けない植物が風を利用してより遠い処へ種子を飛ばす術をあみ出したのだ。
こんな事実を目の当たりにして私は夢中でシャッターを押し続けた。

日本神話に話を移すと、ガガイモの種は2つに割ると小さな船の形をしている事からスクナビコの神が天之蘿摩船(あまのかがみのふね)に乗ってきたと云われている。
そんな神話から、古人もガガイモの姿形に見入ったのだと思うと、なんだか時空を超えて一緒に見入っている気がしてじつに愉快な年の瀬であった。

この時の撮影技法「撮影難易度3星表記(☆☆)」
「認識で風を捉える」
映りっこない風をいかに画にするか。
その為のアプローチはいろいろあるが今回は風の勢いを画にするにはどうしたら良いか考えた。
ひとつの技法としてブレも考えたが、肝心要の種子の存在が犠牲になる。
そこで人間の持つ認識を利用する事を考えた。
ニュートンの引力である。
種髪を今にも引き離す風の勢いを表現するには、引力に逆らって真横になった瞬間を狙えば良いのではないかと考えたのである・・・。
果たしてうまく風を捉える事ができただろうか?

カメラ設定
絞り値:F3.2、シャッタースピード:1/500秒,ISO感度設定:400、露出モード:マニュアル

使用ソフト
Raw現像ソフト:最終調整PhotoshopCS6使用

使用機材

OLYMPUS OM-D E-M5、OLYMPUS M.60mm F2.8 Macro

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TSUGIO NISHIMURA/西村次雄
写真家

キノカワガ(擬態の名手)2013.12.19

見っけ!
お昼の太陽光下では、チョット目立つけど色盲の外敵達にはこれで十分保護色として機能しているのかな?
もし、保護色で巧みに体を消すことが出来なければ、捕食者に見つかり無事に冬をこせない事を意味しているからとても大事な事だよね。
擬態上手なご先祖様の血統を綿綿と磨き上げてきたものだけが生き延びて来た(自然淘汰)のだから、なんら驚く事でもないか。くやしいけれど、実は私も知り合いのガ好きの阿部氏に君の居所を教わったんだ。
凄いよな!君の保護色は僕には立派に機能していたことになるね。
貴方は、きっと自分の模様が分かっていて「コケの緑色、白灰褐色、暗褐色」のクヌギを見つけて、あえて「人通りの多い通路脇」のここを選んだのだね。ここなら鳥達が近づかないし安全と言う事を知ってここを選んだことになるから凄いよな。
これから寒い冬をクヌギの樹皮に溶け込んで無事に生き抜いておくれ。

この時の撮影技法「撮影難易度3星表記(☆)」
「レンズのセレクト」
一眼レフカメラで思い描く写真を撮るにはレンズセレクトが肝であると言っても過言ではない。
そこで今回は、通路脇で人通りが多い環境を表現したかったので、被写界深度の深いフィツシュアイレンズをチョイスした。
ギョロ目レンズも捨てがたいが、解像度がイマイチ。マクロフォーサーズ初の魚眼レンズは解像度もほどほどあり、すこぶる使い勝手が良い。
撮影距離はキノカワガに触れてしまいそうな超近距離、神経質な昆虫には向かないが擬態名手達にはなんら問題がない。そればかりか、この小さなフィツシュアイレンズをカメラバックに放り込んでおいても重さで苦痛を感じる事がないのが一番の利点でもある。

カメラ設定
絞り値:F9、シャッタースピード:1/250秒,ISO感度設定:400、露出モード:マニュアル

使用ソフト
Raw現像ソフト:最終調整PhotoshopCS6使用

使用機材

OLYMPUS OM-D E-M5、パナソニックLUMIX G FISHEYE 8mm/F3.5

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TSUGIO NISHIMURA/西村次雄
写真家