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about

TSUGIO NISHIMURA 西村次雄
フォトグラファー
1973年、九州産業大学芸術学部写真科卒。同年渡米。1979年、「STUDIO BB」を設立。デジタルの可能性にいち早く気づき、雑誌・広告を中心に一眼レフカメラを駆使して活躍中の”IT写真家”である。建築物、料理、人物、商品、そして動物・植物・昆虫と被写体の幅も極めて広い。

冬を耐え忍ぶ蝶(ウラギンシジミ)2013.02.14

冬が近づくと南向きの日だまりの場所を選び、一枚の葉の裏に4本の爪を食い込ませ風雪を耐え忍ぶ蝶がいる。その蝶の名は「ウラギンシジミ」という。
雨の日も風の日も雪の日も約5ヶ月間同じ一枚の葉裏で過ごすのだ。
そんな、小さな蝶の健気な姿を一枚の画におさめたくて雪の日を待っていた。
TVは、夜半には雨から雪になるかも・・・、と曖昧な予報を告げていた。
その事が気になりiPhoneに「4時半に起こして!」とアラームをセットする。
夜中の3時静かな気配に外を見る・・・、雪が降っている。
でももうチョットだけ眠むろうと目を閉じる。
4時頃、雨音に変わり「しまった!」と飛び起き、大慌てで準備しておいたカメラバックを担ぎウラギンシジミにあいに家を飛び出す。
焦る心にむち打つように、セットしておいたアラームが鳴り響く。

—冷たい雨に今回も雪景色の画を阻まれてしまった。
ああ・・・次の雪を待とう。
それまで雪解け水で乾いた喉をうるおし、冬をたくましく生き抜いておくれ。

ウラギンシジミ(裏銀小灰蝶)

詳しくはコチラ
http://ja.wikipedia.org/wiki/ウラギンシジミ
http://homepage3.nifty.com/ueyama/shubetsu/shijimi/uragin/uragin.html

この時の撮影技法(夜雨の準備)
夜の雪や雨の日には、撮影シーンをシミュレーションして出かけよう。
現場では、照明や雨よけ寒さ対策もしなければならず、カメラやストロボ設定などに手間取ってはいられません。
なので、レンズ、絞り、スピード、ISO感度、ストロボの選択など総てセットしてシャッターが押せる状態にしておかなければなりません。
メイン光のストロボは柔らかい光が簡単にセットできるリングライトをチョイス。
EF100mm F2.8 MicroにマクロリングライトMR-14EXを取り付け、バックライトには580EXを一灯リングライトに同調させた。

カメラ設定
絞り値:F11、シャッタースピード:1/125秒,ISO感度設定:400、露出モード:マニュアル、露出補正:カメラ側を−3、ホワイトバランス:オート、測光モード:評価、ピクチャースタイル:ポートレート、焦点距離100mm

使用ソフト
Raw現像ソフト:PhotoshopCS6使用(Rawデータ現像にも使用)

使用機材

Canon 5DM2, EF100mm F2.8 Micro USM 、マクロリングライトMR-14EX、スピードライト580EX、LUNATEMIS LEDライト 56灯

POSTED BY:
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TSUGIO NISHIMURA/西村次雄
写真家

氷の花2013.01.18

底冷えの夜が明けると、美しい氷の花を咲かせる植物がいる。
数日前に都心の公園でシモバシラの植物は見たのだが、時は昼すでに跡形も無く消え去っていた。
見たいと思ったらトコトン探さずにはいられない性格。
ならば、都心が2〜3℃でも高尾山へ登れば昼間でも見られるはずと出かけてみた。
高尾山ビジターセンターで情報を仕入れ北斜面を目指す。
ほどなく日陰の湿っぽい場所にひっそりと氷の花が咲いているのを見つけた。
それは、落ち葉の中にひっそりと咲いていて、近づくと体温と息で溶けてしましそうで、息を止め霜が降りるようにシャッターを切る。

シモバシラ(シソ科の多年草)

詳しくはコチラ(高尾山総合インフォメーション)
http://www.takaosan.info/topics66.htm

この時の撮影技法
(動かない被写体の露出補正はシャッター速度で行う)
周りが暗いので、氷は露出オーバー(白く飛んでいる)になりがちだ。
そこで、露出補正という知識が必要になってくる。
表現したいポイントは氷の花であるから、氷の質感がキーポイントである。
とりあえずマニュアルに設定して一枚撮影する。
そして、モニターでヒストグラムを確認。
氷の花が露出オーバーになっていないかチェックする。
もしヒストグラムの山が右端へ沢山かたよっていたら露出オーバーなのでシャッタースピードを早くする。
決して絞りで調整してはだめです。
理由は、以前のべた(秋を告げるクロナガアリ)被写界深度が大きく関わってきます。
絞りが変わるとピントの合う範囲が変化して作画意図が台無しになってしまうからです。

カメラ設定
上:絞り値:F11、シャッタースピード:1/80秒,ISO感度設定:800、露出モード:マニュアル、露出補正:-0.3(ニコンはRGB対応)、ホワイトバランス:オート(Rawデータで記録のため)、測光モード:中央部重点測光、ピクチャースタイル:スタンダード、焦点距離60mm

使用ソフト
PhotoshopCS6使用(Rawデータ現像にも使用)

使用機材

Nikon D800、AF-S VR Micro-Nikkor 60mm f/2.8G

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TSUGIO NISHIMURA/西村次雄
写真家

極楽極楽2012.12.17

何年も風邪をひいていない事が自慢のひとつでもあったが、とうとう風邪をひいてしまった。
そして、これには嬉しくないオマケまでついていた。
ゴホゴホと咳をしたさい、「ギクッ!」と腰まで痛めてしまったのだ。
それなのに、翌日は3本のタイトな撮影が控えていたのだが、さいわいノロウイルスではなく事なきをえた。
こんな時には、地獄谷のスノーモンキーさまのようにゆっくりと湯につかり「極楽極楽」などとつぶやいてみたいものである。

地獄谷のスノーモンキー
詳しくはコチラ
http://www.jigokudani-yaenkoen.co.jp/japanese/html/snowmonkey_outline.htm

この時の撮影技法(湯煙の中の極楽を捉える)
湯煙の中の「極楽極楽」の表情を捉えたかったので、低温と湯煙でレンズが曇るのであえてそれを利用する。
すると、ソフトフォーカスがかかりスノーモンキー至福の一瞬を捉える事ができました。
クリアな画像も良いけれど、臨機応変に撮影環境の作用をうまく使う事も大事な撮影技法ではないでしょうか。

カメラ設定
絞り値:F/8.0、シャッタースピード:1/180秒,ISO感度設定:400、露出モード:マニュアル、露出補正:なし、ホワイトバランス:オート、測光モード:部分測光、ピクチャースタイル:スタンダード、レンズ焦点距離:200mm

使用ソフト
PhotoshopCS6 Raw現像にも使用
(新しいCS6は処理速度もパワフルに進歩しています)

使用機材

Canon EOS-1Ds Mark II、EF70-200mm F2.8L IS USM

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TSUGIO NISHIMURA/西村次雄
写真家

京の紅葉狩り2012.11.27

今月4回(香、新撰組の足跡、インテリア、紅葉)取材で京都へ出かけた。
紅葉の時期はできれば避けたいけれど、リクエストが多いので京都の紅葉は外せない。
夕刻、清水寺の夕景を狙い「ネネの道」の入り口に立つ。はやくも人で溢れている、覚悟を決め「二年坂から産寧坂」へ向かう。
まるで正月の初詣状態でなかなか前に進めないので、少しばかりあせる。
はたして日の入り迄、目的のポイントまでたどり着けるか・・・。
まさに間一髪。祈るようにシャッターを押した。

清水寺
コチラをどうぞ
http://ja.wikipedia.org/wiki/清水寺
http://kiyomizuderara.com/lightup-yakan/

この時の撮影技法(人混みでの道具立て)
人で溢れている場所では他の人の迷惑にもなるので、道具もシンプルにまとめたい。
移動は混雑で動けないのでタクシーを止め、電車と徒歩で目的地まで移動する。
若ければフル装備で出かけるけれど、何回も通った場所でもあるし、撮るイメージが固まっているので必要最低限に押さえる。
道具は紅葉の一枚一枚を解像できるニコンD800にレンズは2本持参。
AF-S NIKKOR 24-85mm f/3.5-4.5G ED VR,70-200mmF2.8の2本のみの軽装で出かけた。
使ったレンズは24-85mmのみ。本当は14-24mm f/2.8も持って行きたかったけれど重いので断念、若ければ・・・。
それにしても、今回使用したズームレンズ写りも良く、軽くてとても重宝した。

カメラ設定
絞り値:F/9.0、シャッタースピード:1/40秒,ISO感度設定:400、露出プログラム:マニュアル、露出補正:-1/2、ホワイトバランス:オート、測光方式:評価測光、ピクチャースタイル:風景、レンズ焦点距離:24mm

使用ソフト
Raw現像ソフト:Lightroom3、最終調整PhotoshopCS5使用

使用機材

NIKON D800、AF-S NIKKOR 24-85mm f/3.5-4.5G ED VR

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TSUGIO NISHIMURA/西村次雄
写真家

ハラビロカマキリとドジョウ2012.10.30

田んぼの脇を流れる小さな小川で、平泳ぎのアマガエルを撮影していたら、横からハラビロカマキリがフラフラと犬かきで入水してきた。まるで酔っぱらいのおじさんみたいに、視線が定まっていないように見えなんだか気持ち悪い。と、そこへ泥の中から♪ドジョウが出て来てこんにちは♪なんて、言ったか言わなかったか、泥の中から現れるなり、いきなりカマキリのお尻あたりをさかんにつつくではないか。(写真のシーン)それは、もしかしてハリガネムシがハラビロカマキリのお尻から出て来ているところであろうか?

ハラビロカマキリは自分の意志で入水したのではなく、寄生虫のハリガネムシに操られて水辺にやって来たと思われる。これはラッキー、とカメラを構えていたがドジョウにつつかれてもカマキリは気持ち良さそうに身を任せているだけで反応があまりない。それから1分位経っただろうか、私の期待は木っ端みじんに裏切られドジョウ君は何事も無かったように何処へとス〜ッと消えてしまった。お〜い!野田君チョットでもいから解散時期を、じゃなくて・・・ハリガネムシ君のお顔が出てきていたかどうか教えて頂戴、と聞けるものなら聞きたいのだがドジョウだけにドジョウにもならない。

ハリガネムシ
勇気のあるお方はコチラをどうぞ。
http://ja.wikipedia.org/wiki/ハリガネムシ
http://image.search.yahoo.co.jp/search?p=ハラビロカマキリ%E3%80%80ハリガネムシ&aq=-1&oq=&ei=UTF-8

この時の撮影技法(動きを表現する)
水に浮いているカマキリが動いているように見せるにはどうするか?
それは、カマキリが泳ぐ動作で水が波打ち光の波紋が出来る、そこでパチリ。
露出プログラムは、レンズが300mmという事で高速シャッターが切れるように絞り優先で1/500秒に設定。これでカマキリとドジョウの動きを止め、光の波紋が出た瞬間にシャッターを押せば動きが表現出来るという塩梅です。それと、300mmの望遠レンズなら被写体との距離間がとれるのでカマキリにもドジョウにも警戒される事無く密かに撮影出来るのです。

この日のカメラシステム
300mm望遠レンズと60mmマクロレンズを付けたカメラ2台態勢でどんなシーンでも素早く対処出来るように、リュックには24〜85mmスームレンズを付けたボデーとストロボが3台入っています。いざという時に、レンズ交換などしている余裕はありませんから。

カメラ設定
絞り値:F/4、シャッタースピード:1/500秒,ISO感度設定:400、露出プログラム:絞り優先、露出補正:-1/2、ホワイトバランス:オート、測光方式:評価測光、ピクチャースタイル:スタンダード、レンズ焦点距離:300mm

使用ソフト
Raw現像ソフト:Lightroom3、最終調整PhotoshopCS5使用

使用機材

Canon EOS 5D Mark II、EF300mm f/4L IS USM

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TSUGIO NISHIMURA/西村次雄
写真家