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about

TSUGIO NISHIMURA 西村次雄
フォトグラファー
1973年、九州産業大学芸術学部写真科卒。同年渡米。1979年、「STUDIO BB」を設立。デジタルの可能性にいち早く気づき、雑誌・広告を中心に一眼レフカメラを駆使して活躍中の”IT写真家”である。建築物、料理、人物、商品、そして動物・植物・昆虫と被写体の幅も極めて広い。

配色の妙2009.08.14

きっと3色が重なる瞬間があるはずだ!と、飛び交うトンボの種類にある確信を抱き行動を起こした。その思い描いた場面とは・・・。

上からショウジョウトンボ(赤)、オオシオカラトンボ♂(青)、オオシオカラトンボ♀(黄)、まるで信号機の様な「赤、青、黄」の配色。

それは、昆虫4億年の命のリレーが作り上げた必然の形と色彩なのだが、飛び交うトンボを見て、それを交差点、信号機、と連想してしまう安易さを嘆きながらも配色の妙に魅せられて具現化するための方策を練った。

夏のタンポポは春のもの(ロゼット型で地面に這うように葉を低く広げる)よりも背が高く、産卵のために水辺にやってくるトンボたちの縄張り拠点には好都合なのか、条件の良い場所は縄張争いの場と変わる。近づくよそ者には果敢に攻撃をしかけ、好みの雌には求愛行動をとる。

写真のオオシオカラトンボ♂は腹端にある器官から福生器に精子移し替え♀に精子を渡し終えた直後にこのタンポポに飛来。

♀の首根っこをはさみ他の♂に♀が浮気をしないように監視をかねた休息タイム?なのか暫く微風にまかせて休んでいました。そこへショウジョウトンボが止まった瞬間です。

これこそ、一枚の絵に収まる瞬間があるのではないかと密かに狙っていた構図です。吹き出す汗に耐え諦めかけたその時に我がレンズの先に思い描いた世界が展開されました。

この時の撮影技法
観察した結果、トンボの縄張りに都合がいいタンポポの一本に絞り込む。トンボと同じ目線の地上20センチにローアングル用三脚とカメラをセット。

かつトンボに刺激を与えない距離(約3メートル)が保てる望遠レンズ300ミリ(35ミリ換算480ミリ)を選択。

ローアングルの為、ファインダーを上から覗けるアングルファインダーを取り付ける。あとは、思い描くドラマまでのなが~ぃ待ちに対応するため、「ワイヤレスコントローラー」でシャッターチャンスをじっくりと待つ。太陽光は半逆光をチョイスして主役のトンボの立体感と透明感引き出す。

カメラ設定:シャッタースピード1/640,絞りF8、ISO 400、露出補正-1/3

使用機材
一眼レフデジタルカメラ、レンズ:300ミリ、アングルファインダー、ローアングル用三脚、ワイヤレスコントローラー。

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TSUGIO NISHIMURA/西村次雄
写真家

木陰の宝石「マルタンヤンマ」2009.08.04

35℃前後の猛暑日になると涼しい水辺の木陰に涼を求め、低い枝にマルタンヤンマ(ヤンマ科,大きさ70~75mm)が昼寝?にやって来ます。♂は、まるで深い湖の様に澄み切ったコバルトブルーの複眼。数いるトンボの中でもこの美しさは群を抜いています。都内某所の公園では茹だるような猛暑日に限り、手に取れる近さで出会える数少ないシャッターチャンス。この時も、燃えるような暑さをやり過ごしたマルタンヤンマは、かすかな翅音と涼風を残し飛び去った。ちなみにマルタンヤンマの名前の由来は、フランスのトンボ学者「R. Martin」にちなんでいるとのこと。

この時の撮影技法
美しいコバルトブルーに輝く「透明感のある複眼の色」の再現が撮影のポイントです。(肉食のトンボであるマルタンヤンマの美しいコバルトブルーは、生きている時にしか見られません)この時は薄暗い場所にいるので色を出すためにストロボを使用。カメラ横からストロボ発光部にディフィーザーで柔らかな光を作り、なおかつ不自然な光にならないようにごく弱く発光量をセット。もう一灯はマルタンヤンマの斜め後方から翅の透明感と、立体感を表現するために一絞り分ほど明るめに光量をセット。この二つのストロボを赤外線リモコンで同調させて撮影。この昼寝中の?マルタンヤンマは少々の事では驚かないので、ライティングは思いのまま。

使用機材
デジタル一眼レフカメラに300ミリ望遠レンズ、グリップタイプストロボ2灯、赤外線リモコン、ライティング用スタンド2脚、透過光ディフィーザー1枚、三脚、レリーズ使用。

これから、
季節感溢れるネイチャーフォトとそれにまつわる写真技法を展開していきたいと思っています。

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TSUGIO NISHIMURA/西村次雄
写真家

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