- TSUGIO NISHIMURA 西村次雄
フォトグラファー
- 1973年、九州産業大学芸術学部写真科卒。同年渡米。1979年、「STUDIO BB」を設立。デジタルの可能性にいち早く気づき、雑誌・広告を中心に一眼レフカメラを駆使して活躍中の”IT写真家”である。建築物、料理、人物、商品、そして動物・植物・昆虫と被写体の幅も極めて広い。
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金沢の楊貴妃2017.05.01
嬉しいことに、兼六園で仕事が終わり、その場で解散となった。
速攻で帰るほど野暮ではない、のんびりと桜を愛でることにした。入り口で頂いたガイドには、日本で一番花弁の多い、とても珍しい「兼六園菊桜」があると記してある・・・。
まだ見ぬ、お菊さんにやっとたどり着けたのだが、残念ながら未だ固い蕾の状態であった。口おしいが仕方ない、またの楽しみとす。次に、花名に惹かれてサトザクラの一種「楊貴妃」に会いに行く。名前に違わず、麗しく美しい。茶屋の女将の話では「咲きましたね〜、朝方はまだ咲いていなかったのですよ」まさに最高のタイミングに来た事になる。恥じらうかのように咲き始めた「楊貴妃」を見つめてていると・・・。
「ん!」
この時の撮影技法「撮影難易度3星表記(☆)」
「視点をかえて見る」
妖艶な八重咲きの桜「楊貴妃」である。ただ、美しいと思う反面、何か他にポイントはないものかと思考を巡らせる。すると、チョットだけ視点を変えて見ると、閃き!「おっ!ハート形のブーケ」。あとは流れに任せてトライするだけ。ふと隣に目をやるとスマホかざす若い女性達。「これハート形ですよ」と指差すと「キャー、カワイイ!」。羨ましい、男の感情の振り子はそこまでは大きく振れてくれないのだ・・・。これは、脳科学で言うところの、男性は「目的脳」、女性は「共感脳」の違いから来ているのだろうか?
そこで、爺いも「キャー、カワイイ!」と呟きつつ・・・カシャリ。
撮影地:石川県金沢市 兼六園
カメラ設定
OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II, 絞り値:F4.0、シャッタースピード:1/320秒,ISO感度設定: 200、レンズ焦点距離172mm、露出モード:マニュアル、露出補正:±0、ホワイトバランス:オート、ピクチャースタイル:Natural,Raw
使用ソフト
PhotoshopCC2017.0.0使用(Rawデータ現像)
使用機材
OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II, OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO
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写真家
青紫色が美しいツマムラサキマダラ2017.03.12
孫(1歳4ヶ月)の喜ぶ顔が見たくて、多摩動物公園へ出かけたのだが・・・。
気がついたら昆虫館に入っていました。携帯が鳴り「パパ今どこ・・・?やっぱり!」気の利く娘です、もう制御不能と悟った娘は「じゃ、後でね」と私を放し飼いにしてくれました。
この時の撮影技法「撮影難易度3星表記(☆☆)」
「高感度ISO:3200と高速シャッター1/3200sの世界」
この画の命は前翅の鮮やかな青紫色がポイントと決め、木漏れ日の中に浮かび上がるシーンを狙う。
前回に続き、レンズはパナソニックのLUMIX G VARIO 100-300mm/F4.0-5.6/MEGA O.I.S。この蝶ぐらいの大きさならば1/1000sで充分だけれどISO感度も3200の高感度に設定して600mmのカメラブレと被写体ブレを極力抑えることにした。これも高感度に強くなった OM-D E-M1 Mark IIだからできる芸当。
これだけ沢山の蝶が舞っていれば機材テストには申し分ありません。そんな訳で、フォーカスブラケット、プロキャプチャー、電子シャッターなどの様々なモードを持参した30mmMacro、12-100mm、100-300mmでテスト。短時間で、どのレンズがどのモードに対応しているのか成否を検証できるのですから、こんな美味しい事はありません。ここはその意味においてオススメの場所ではないでしょうか。
撮影地:東京都日野市 多摩動物公園の昆虫館
カメラ設定
OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II, 絞り値:F5.4、シャッタースピード:1/3200秒,ISO感度設定:3200、レンズ焦点距離600mm、露出モード:オート、露出補正:−0.7、ホワイトバランス:オート、ピクチャースタイル:Natural,Raw
使用ソフト
PhotoshopCC2017.0.0使用((2017.3.7OM-D E-M1 Mark II Camera Raw対応、 Rawデータ現像)
使用機材
OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II, LUMIX G VARIO 100-300/F4.0-5.6
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写真家
梅は咲いたか、桜はまだか2017.02.26
今年はシベリアからの渡り鳥「アトリ」の当たり年だとほうぼうで耳にする。
ならば、「梅とアトリの春らしいシーン」を求めて、OM-D E-M1 MarkⅡ での試し撮りに出かけた。
眼前の宮崎県寄贈の「湯の宮座論梅」をじっくり眺めていると、30分おきにアトリが飛来し蕾を啄んでいる。そんな時に限りタイミング悪く梅の花を撮ろうとスマホかざし近づく花見客多数。当然のごとく人影に怯え飛び去るアトリ。これも公園、想定範囲内である。
こんな撮影環境にこそ、新しいOM-D E-M1 MarkⅡ はもってこいの機材であると確信。
まず、大砲のような威圧感が全くなく、軽くて機動力抜群。まさか、私がアトリを撮影している事など誰も気づかないのです。
静音連写・・・・・・・・・・・・・・・・・・
この時の撮影技法「撮影難易度3星表記(☆)」
「めちゃ手軽になった600mmの世界」
4年ほど前に購入したパナソニックのLUMIX G VARIO 100-300mm/F4.0-5.6/MEGA O.I.S.は重量:たったの520g。写りはそれなりだけれど、ちっちゃなカメラバックに放り込んで置いても、忘れてしまうほどの重さである。ちょこまかと動くアトリ、この画のシーンを捉えるには、枝や影などの枝被りなどに注意しなければなりません。当然、撮影ポイントの移動が多くなりがちです。移動が増えれば三脚が邪魔になる(神代植物公園は基本的に三脚使用禁止)ので、今回はこのレンズで遠くからアトリを怖がらせない距離から静音連写でさらりとトライした。
カメラのこぼれ話
衝動買いしたエポックメーキングなデジカメ、オリンパスのマクロフォーサーズカメラの特徴を少し。
OLYMPUSのOM-D E-M1 Mark II すごい進化、高感度6400もOK、撮影技術不要は言い過ぎか?
弱点だった動体へも瞬時。ファイダーの見え方も素晴らしい。
M.ZUIKO DIGITAL ED7-14mm F2.8 PRO トホホある条件での逆光に弱い。
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO これはすごすぎ!これ一本で事足りる万能レンズ
ただし、てんこ盛りの高機能設定「メニューのUI(ユーザーインターフェース)」は奥深く、容易に使いこなせるかといえばNoである。例えば、持ち運びの際などに、知らない間に触れて設定が変わってしまう。結果、肝心な場面で慌てふためくことになりがちです。でもね、設定であれもこれも出来ちゃうんだから仕方がないよね。それともう一つ、熱でフリーズしがちなのが玉に瑕。
LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm / F4.0-6.3 ASPH. / POWER O.I.S.のような、早くオリンパス純正の100-400mm IS PRO ズームが発売されないかな〜と、首を長〜くして待っている。なぜなら純正のレンズでないとプロキャプチャーモードなどが使えないのだ。もし発売されると35mm換算14mm~800mmを、小ちゃなカメラバッグに3本入れてスタンバイ出来るのです。
さて、ミラーレスを分かりやすく一言で言えば、
時代はガラケー(一眼レフ)からスマホ(ミラーレス)へでしょうか?
フイルムカメラからデジタルカメラへの時もそうでした。FinePix S1 Proが発売されると、これなら仕事で使えるとすぐさま導入。しかし周りの理解が得られず当時は導入が大変でした。ある年、30社での合同取材が欧州でありましたが、その中でデジタルカメラは私だけ、取り囲まれて質問ぜめでした。そして、次の年のタイ取材では半数の社がデジタルカメラを手にしていました。さらにさらに、その次の年のアメリカ取材ではフイルムカメラはとうとう、ある一社だけとなってしまいました。エポックメーキングなデジタルカメラが発売されると、わずか3年程で切り替わってしまったのです。
しかしながら、
フルサイズのニコンとキャノンは画素数、信頼性、リスク回避を兼ねるので当分手放せそうもありません。
撮影地:東京都調布市 東京都神代植物公園
カメラ設定
OLYMPUSのOM-D E-M1 Mark II, 絞り値:F5.6、シャッタースピード:1/1000秒,ISO感度設定:400、レンズ焦点距離(35mm換算)600mm、露出モード:マニュアル、露出補正:−0.3、ホワイトバランス:オート、ピクチャースタイル:Natural,Raw
使用ソフト
PhotoshopCC2017.0.0使用(Rawデータ現像)
使用機材
OLYMPUSのOM-D E-M1 Mark II, LUMIX G VARIO 100-300/F4.0-5.6
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TSUGIO NISHIMURA/西村次雄
写真家
氷筍「羅臼のマッカウス洞窟」2017.02.07
2008年2月の「FIELD NOTES」をめくり、
当時の記録を時系列で眺めると、一瞬でその日の出来事が再現されるのだ。
その日の早朝、宿の主人から
「猛吹雪ですから、残念ながら今朝は船を出せません。退屈しのぎに、近くのマッカウス洞窟に行かれてはいかがですか?」と勧められ、パパッと朝食を済ませ車に乗り込む。ゴーッと吠える地吹雪にハンドルを持って行かれそうになりながらも、すれ違う車もいないので余裕の鼻歌混じりで向かった。
マッカウス洞窟に到着。
ポタリポタリ・・・と天井から滴り落ちる一滴一滴、この雫が見事な氷筍を作り上げていた。
それほど期待はしていなかっただけに、口あんぐりの一驚あり。
この時の撮影技法「撮影難易度3星表記(☆)」
「氷筍をコントラスト強調で表現する」
Canon EOS 5Dはひと昔前のデジカメではあるが、当時はこぞってプロカメラマン達が愛用していた名機である。現像ソフト、PhotoshopCC2017.0.0で試してみると、最新のデジカメなど必要ないのではないかと思えるくらい素晴らしい再現性を秘めている。なのに、目新しい最新機種が発売されると真っ先に飛びつくのである。先日もプロキャプチャーと、ED 12-100mm F4.0 IS PRO、そして18コマ/秒、AF/AE固定最高60コマ/秒の高速連写に魅了されOLYMPUSのOM-D E-M1 Mark IIを衝動買いしてしまった・・・。
さて、話を本題に戻そう。
色味の少ない氷の冷たさを表現するには、明暗を強調すべきであると考え露出はアンダーに設定。これで洞窟の岩肌は黒く、氷は白くコントラストが強調されたことになる。
最後に、現像ソフトPhotoshopCC2017.0.0で色温度を低く設定して微調整現像。
撮影地:北海道目梨郡羅臼町共栄 マッカウス洞窟
カメラ設定
Canon EOS 5D, 絞り値:F11.0、シャッタースピード:1.3秒,ISO感度設定:100、レンズ焦点距離23mm、露出モード:マニュアル、露出補正:−1、ホワイトバランス:オート、ピクチャースタイル:スタンダード、Raw
使用ソフト
PhotoshopCC2017.0.0使用(Rawデータ現像)
使用機材
Canon EOS 5D, EF17-40mm f/4L USM (焦点距離23mm)、三脚使用
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TSUGIO NISHIMURA/西村次雄
写真家
ホワイトクリスマス2016.12.25
早朝から、雪の降りがピークになって来た・・・。
私は、かねてよりホワイトクリスマスの花名にふさわしい画を具現化できないものかとトライを重ねていたので、この初雪に躊躇なく東京都神代植物公園へ向かった。11月に東京で初雪が観測されたのは1962年以来54年ぶりの事になるとカーラジオから流れている。
誰もいない、バラ園で作業員とひとことふたこと言葉を交わす。
私「今日は、贅沢にも雪のバラ園を独り占め状態です!」
作業員「こんな日にはプロしか来ませんよ」
私がプロとは知らないはずの作業員の方から、意外な言葉がかえってきた。
この時の撮影技法「撮影難易度3星表記(☆)」
「やわらかい光とアクセントでバラを撮る」
ホワイトクリスマスをじっと眺めると、雪空のソフトな光が優しく包み込むように回り込んでいます。毎年のように撮影しているホワイトクリスマスですが、簡単そうに見えてこれがとても手強い被写体なのです。なぜだか、他のバラに比べて綺麗な花弁が少ないのです。原因は、雨などの些細な刺激ですぐに汚れたように痛んでしまうのがほとんど。それに、淡いオフホワイトの花色も単調な画になりがちです。このような事から、何かしら変化をもたらすアクセントがないかと模索していました。幸いな事に、初雪に見舞われながらも、この一輪だけがかろうじて理想に近い美しさを保っていた。
—–ふわっと積もり始めた初雪のアクセントが加わり、写真の物語性はガラリと一変。
撮影地:東京都神代植物園
カメラ設定
Nikon D810, 絞り値:F8.0、シャッタースピード:1/640秒,ISO感度設定:800、レンズ焦点距離105mm、露出モード:マニュアル、露出補正:−0.67、ホワイトバランス:オート、ピクチャースタイル:スタンダード、Raw
使用ソフト
PhotoshopCC2017.0.0使用(Rawデータ現像)
使用機材
Nikon D810, AF-S VR Micro-Nikkor 105mm f/2.8G IF-ED
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TSUGIO NISHIMURA/西村次雄
写真家