ロイ・オービソンへのオマージュたっぷりの「You’re Only Lonely」の大ヒットから5年。
最近J.D.Souther(以下J.D.)の1984年作「Home by Dawn」をよく聴いている。
世の中のこのアルバムに対する評価がどのようなものかは知らないが気にせず言ってしまおう。
僕はこのアルバムが大好きです。
しかしなぜゆえこのアルバムが好きなんだろうか。。
ちょっとその検証をしてみようと思う。
まず、当時すぐ気づいた事柄としてはコロンビアからワーナーへ移籍していた、ということ。
普通大ヒットが出るとその次回作へのプレッシャーは相当なものだ。で、ここからは邪推だが。。。
「You’re Only Lonely」の大ヒットに気をよくしたコロンビアが彼に次回作を急かし、その対応にほとほと疲れたJ.D.はワーナーに移籍をしたのではないか、という仮説が成り立つ。
あと見た目で明らかに前作と違うのがジャケット。
前作ではワイシャツにネクタイ姿のJ.D.Southerが下を向いている哀愁ただようジャケットだったが、この「Home by Dawn」では得体の知れない女性とのツーショットであった。
この女性は当時私が所蔵していたLPのブックレットにも登場するのでジャケット写真のために呼ばれたモデルではなさそうである。ということは肩書は別としてが当時J.D.が心から愛した女性であり安らぎの求め先であったことは間違いない。
サウンド面ではどうか?
全編に聴かれるドラムサウンドは彼自身の手になるものである。
経費がなかったのか、アットホームなスタジオワークが狙いだったのかは不明だが、このドラミングも味があって非常によい。
一方でイーグルスのドン・ヘンリーやティモシー・B・シュミットがコーラスをしている曲があったり、リンダ・ロンシュタットとデュエットしている曲があったりとゴージャスな部分もある。
楽曲もほとんどがラブ・ソングであり彼の幸せ感を感じることが出来る。
結局このアルバムは非常にパーソナルなものではないか?ということにたどり着く。
アーティストのその時の精神状態(それがいい時であれ、悪いときであれ)がストレートに表されるアルバムを好きになることが多い僕です。
さて、こんな仮説を楽しんでいたら彼の来日公演を見る機会に恵まれた。
優しそうに一曲、一曲をリラックスした雰囲気で演奏する彼の顔を見て、あのジャケットの女性とは今でも一緒にいるのだろうか?とふと考えを巡らせしてしまった。
「You’re Only Lonely」は当然ながらが、彼が作詞作曲者に名を連ねるイーグルスの「Heartache Tonight」が聴けるなど楽しく、聴きごたえのある非常にいいライヴであった。
が、気がつくとライヴは「Home by Dawn」からの曲が全く演奏されないまま終わってしまった…
「Home by Dawn」で一緒に写っていた彼女にJ.D.は振られたのか?
幸せに満ちたプライベートな作品故、その幸せが終わると演奏すらもしない、という分り易いことなのか?
「別れた女が憎いから、彼女のために書いた歌なんて歌えるかいっ!」ってことか?
これは日本で言うところの「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」ってことかなぁ〜?
以上、自分勝手な推測で書いておりますのであしからず。。。
でも僕がこのアルバムが好きなことには変わりはありません。
POSTED BY:
HIDESHI OKI/沖秀史
株式会社USEN 放送企画統括部長
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