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夏川りみ #1 (敬称略)2009.06.24

そもそもシンガーってのは(※最近はなぜかアーティストと呼ばれているが)ウタのうまいヤツの職業じゃないのかい?って思いながら、いつもキー合わせをする。そこでムチウチになりそうなほどうなずいている貴兄は同業の方ですな?
「キー合わせ」とは曲のキー(音程)をシンガーの声の音域に合わせる作業だ。ほとんどの場合、シンガーの音域の一番高い音に、メロディーの最高音を合わせる。ところが、この「一番高い音」がたいして高くない事が多い。ちゃんとした声の出し方を知らないから音域が狭いのだ。で、冒頭のグチが・・・。
ある時、「夏川りみ」のプロデューサーから曲の依頼を頂いた。音域は2オクターブ。これは日本ではめったにお目にかかれないほど広い。いさんで音域2オクターブぴったりの曲を書いた。ビクター青山スタジオでキー決めの日、プロデューサーから「どの辺りがいい?」と聞かれた。
一瞬意味が分からなかった。音域が2オクターブあるにもかかわらず、上下共に余裕があるのだ(普通ならパンパンなはずなのに)。軽いショック。
「夏川りみ」と言えば、紅白で7年連続歌い続けた国民的スタンダード「涙そうそう」のヒトである。アルバムは日本中の子守歌集である。子守歌なんか歌ってる場合ぢゃないんじゃない?!聞くところによれば、セリーヌ・ディオンが歌った、タイタニックのテーマを原キー(元の高さ)で歌えるらしい。なるほど、音域だけじゃなく、歌唱力も、軽くアメリカのR&Bシンガー並みだ。。。恐れ入りました。今までお仕事させて頂いたシンガーの中では断トツでナンバー・ワン・シンガーです。
その夏川さん、レコーディングの最中に別のレコーディングでロサンジェルスに行く事になった。スタッフが持っていたロスのプロデューサーのプロフィールにはそうそうたる名前が出ている。「誰のリスト?」と聞いたら、「デビッド・フォスターのです」と。えっ?ここでもまた軽いショック。さて夏川さんは・・・。
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HIDEO SAITO/斎藤英夫
音楽プロデューサー・作曲家・編曲家・ミュージシャン

ジョン・レノン120の言葉2009.06.10

ジョン・レノン120の言葉
K. ローレンス (編集), 刈茅 由美 (翻訳)

ジョン・レノンが40年間という生涯の中で、公の場そしてプライベートで話した言葉の中から120を選んで編集したという、一風変わった書籍です。
もともと音楽を作るうえでも「言葉=歌詞」をとりわけ大切にしてきたと言われるジョン・レノンだからこそできる企画でもあり、そしてその短い一言ひと言に込められている気持ちや感情の考察に、ひとつひとつ味わいながら「楽しめる」というというところがこの書のいいところでしょうか。
1ページに30文字程度しか載っていない紙面を恵比寿駅から乗った日比谷線の中で眺めていたら、いつの間にか銀座に着いていた…こんな読み方がふさわしい本だと思います。
“今までクソみたいなラブソングばっかりだったけど、「In My Life」でやっとまともな詞が書けた”という言葉がなぜか一番印象に残っています。

Showken Hirasaka
Camelstudio Co., Ltd.