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Q+PR=これはこれであり2009.10.28

「むぅ、これもある意味クイーンと言えるなぁ。。」
「これがクイーンの新ヴォーカリストですか?」
「何言うとうんねん、ポール・ロージャースやんけ」

一行目と三行目は同一人物(私)です。二行目は業界の若者A君。

さて、11月24日はフレディ・マーキュリーの命日。
毎年この日は、クイーンを聴きながらお酒を頂くのが私の習慣。

ポール・ロジャースはご存知、フリー、バッド・カンパニー、等を
歴任したヴォーカリストですが、以降はさっぱりバンドに恵まれて
いない(と私が思っている)人ではなかろうか?

レッド・ツェッペリンのジミー・ペイジと組んだザ・ファームの結成
も話題になった割りには商業的成功もないまま消滅するし。。。

しかしそんな彼のヴォーカリストとしての魅力を私自身再認識するに
至らせたアルバムがトリビュート作品である「マディ・ウォーター・ブルース」。
元々クイーンが好きだった私はこのアルバムにブライアン・メイが参加している
、ということが購入動機だった。このアルバムは一曲毎に様々なギタリストを
フィーチャーしているが、このようなアルバムを成立させるのにはヴォーカリスト
として芯が揺るがないことが一番大事なことではなかろうか?言うなれば単語帳
のリングがポール・ロジャース、単語帳一枚一枚がギタリスト。。。

で、本論のQ+PR(PCのキーボード操作のことではありません)。

2008年のQ+PRの「ライヴ・イン・ウクライナ」を見た。
もちろんクイーンのヴォーカルはフレディ・マーキュリーであり永久欠番のような
ものである。しかし、今年60歳になるポール・ロジャースの奮闘が意外にも私の
心を揺さぶるのです。このクイーンおたくの私の心を。

決してフレディを再現するわけでもなく、自分を主張するわけでもない。。

アーティストを目指し、スターダムをのし上がり、チャートの頂点を登ると
同時に人生にピリオドを打ってしまう男が描かれる「シューティング・スター」
(バッドカンパニーの曲)。70年代の曲だが、まるでフレディーのような人生
を歌うこの曲がステージで歌われるのが興味深い。。

で、結論。

「これはこれであり。」

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HIDESHI OKI/沖秀史
株式会社USEN 音楽番組制作部長

シャイン・ア・ライト2009.10.21

「え!?ここでこの人の写真が出るのか〜(号泣)」
「どうしてこのおじさんのポートレートで泣けるんですか?」
「あほぅ、アーメット・アーティガンやんけ。。。」

一行目と三行目は同一人物(私)です。二行目は業界の若者A君。

やっと買った。。ローリング・ストーンズの映画「シャイン・ア・ライト」

映画公開当時は、仕事で忙殺されてお、気がつけば上映が終わっていた。
酒の席でその話が出ようものなら、耳をふさぎしのいできましたが、それも
この間までの話。今は手元にDVDが。。。

映画の内容は、ここで細かく触れることはあまりいたしませんが、
歳をとりながら若返っているなぁ〜、という奇妙な印象が頭を独占する今世紀
最高のライヴ映画だと思う。実際にライブが始まるまでのミックと監督
マーティン・スコセッシのやりとりが最高に面白い。

さて、冒頭の会話ですが、A君と酒を飲みながらとある場所でDVDを鑑賞しおりました。
エンディングロールの時に、突如として現れた一枚のポートレート。。。

よく見ると、アトランティック・レコードを創設したアーメット・アーティガンの写真では
ありませんか。。。ワーナーミュージックのサイトで83歳の生涯を閉じた、という記事を
見ましたが、彼は撮影の行われた10月29日の公演のバックステージで転倒し頭部を負傷して
入院したまま帰らぬ人となってしまったのです。

このR&Bの歴史を作ってきたアトランティックレコードの偉人が生涯で最後に見たシーンが
ストーンズだったんだ、という事実を確認した瞬間、涙が溢れてきたのです。。

思えばストーンズがデッカ・レコードの次に契約したのがアトランティックでしたよね。
「スティッキー・フィンガーズ」あたりがそうです。ビートルズに比べてブルース、ソウル
などの黒人音楽をベースに曲作りをしてきた彼らがR&Bの名門アトランティックと契約する
のは今にして思えば当然の選択だったんでしょうねぇ。

アーメット・アーティガンは当日の「光」を見ることが出来てきっと幸せだったと思う。

それにしても、マーティン・スコセッシのテロップを入れるタイミングって大好きです。
ザ・バンドの「ラスト・ワルツ」でもいいタイミングでテロップが入っていたなぁ。

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HIDESHI OKI/沖秀史
株式会社USEN 音楽番組制作部長

シンプルである、ということ2009.10.07

「今度のアルバムのヴォーカルは今までで一番生々しく聴こえますね。」
「そう、それこそが今回目指したことなんだよ!」

今年の7月に矢沢さんにインタビューした時に最初に話したのが上の会話。

思えば今年60歳。他にも類をみないロック男矢沢永吉が8月に発表した久しぶりのオリジナルアルバムのタイトルは「ROCK’N’ ROLL」。シンプルなアレンジ、目の前で歌っているようなミックス、重心がしっかりとしたマスタリング。古くはドゥービーブラザーズのメンバーとの競演、数年前はオーケストラとのコラボレーション。そうした様々なチャレンジをしたからこそ言える「みんなやっぱり”歌”を聴いているんだよね」彼が言ったその言葉に大きくうなずいた。。

なるほど。。。スタートからシンプルであろうとするアーティストと色々な体験を経てシンプルということにたどり着いたアーティストでは、シンプルさの色合いはきっと違うものだ、と予感していたことはこのインタビューで確信になった。

心に染みるメロディーとそこにからみついてくる骨太な歌詞達。
ここに歌われる主人公は、矢沢自身の投影かも知れない。
まさに人生を感じさせるような世界観を持った歌詞。
過去を歌うことに向き合える時が来た、ということかも知れない。

常にドライブ感とともに疾走し、前を向き、且つ「今」を歌うことを身上としてきた彼の口から、人生を道にたとえながら歌いあげるM12「ひとりぼっちのハイウェイ」。そこには今の自分の生き方を投影しながらも、歩いてきた道を少し振り返り、明日に向かって強く生きる男の姿を見ることができる。これも走り続けてきた人間だから、そして戦い続けてきた男だからこそ振り返ることができるということでもある。

9月19日には東京ドームで彼のライブを見た。

空中に踊る夥しいタオルの隙間から、矢沢永吉が目に涙をうっすら浮かべていたように見えた。。

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HIDESHI OKI/沖秀史
株式会社USEN 音楽番組制作部長