「今度のアルバムのヴォーカルは今までで一番生々しく聴こえますね。」
「そう、それこそが今回目指したことなんだよ!」
今年の7月に矢沢さんにインタビューした時に最初に話したのが上の会話。
思えば今年60歳。他にも類をみないロック男矢沢永吉が8月に発表した久しぶりのオリジナルアルバムのタイトルは「ROCK’N’ ROLL」。シンプルなアレンジ、目の前で歌っているようなミックス、重心がしっかりとしたマスタリング。古くはドゥービーブラザーズのメンバーとの競演、数年前はオーケストラとのコラボレーション。そうした様々なチャレンジをしたからこそ言える「みんなやっぱり”歌”を聴いているんだよね」彼が言ったその言葉に大きくうなずいた。。
なるほど。。。スタートからシンプルであろうとするアーティストと色々な体験を経てシンプルということにたどり着いたアーティストでは、シンプルさの色合いはきっと違うものだ、と予感していたことはこのインタビューで確信になった。
心に染みるメロディーとそこにからみついてくる骨太な歌詞達。
ここに歌われる主人公は、矢沢自身の投影かも知れない。
まさに人生を感じさせるような世界観を持った歌詞。
過去を歌うことに向き合える時が来た、ということかも知れない。
常にドライブ感とともに疾走し、前を向き、且つ「今」を歌うことを身上としてきた彼の口から、人生を道にたとえながら歌いあげるM12「ひとりぼっちのハイウェイ」。そこには今の自分の生き方を投影しながらも、歩いてきた道を少し振り返り、明日に向かって強く生きる男の姿を見ることができる。これも走り続けてきた人間だから、そして戦い続けてきた男だからこそ振り返ることができるということでもある。
9月19日には東京ドームで彼のライブを見た。
空中に踊る夥しいタオルの隙間から、矢沢永吉が目に涙をうっすら浮かべていたように見えた。。
POSTED BY:
HIDESHI OKI/沖秀史
株式会社USEN 音楽番組制作部長
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