- HIDEO SAITO 斎藤英夫
音楽プロデューサー・作曲家・編曲家・ミュージシャン
- 森高千里や夏川りみなどの作品やプロデュースで知られる。
発表楽曲数は約190曲、代表曲はレコード大賞最優秀編曲賞ノミネート曲「渡良瀬橋」森高千里(’92)、レコード大賞新人賞獲得曲「今度私どこか連れていって下さいよ」加藤紀子(’93)など。日本テレビ「歌スタ!!」出演中。
-
牛島隆太(10)2010.03.10
長々と「牛島隆太デビュー」にまつわる話にお付き合い頂き、ありがとうございました。
また、異例の連日掲載にご協力いただいた、当サイト・マスター平坂氏にも感謝。
牛島隆太オフィシャル・サイトに寄せられている、皆さんからのメッセージを出来ればこの場で引用したいのだが、一部がサイト内で紹介されているので、是非ご覧頂きたい。
http://tearbridge.com/ushijima/message.html
これは数百件いただいているメッセージのほんの一部だ。
ここではあまり掲載されていないが、実は同世代、中学生からのメッセージが非常に多い。
隆太が同世代であるがゆえの共感が、曲のテーマと相まって、あふれる「中学生世代の感性」を湧き出させている。
受験や進路、卒業、友人関係や親子関係など、この世代ならではの悩みを持っている彼らに、非常にポジティブなコミュニティーを作ってあげられたようだ。
しかも大人とも共有できるコミュニティーが。
世代を超えたメッセージもたくさん頂いている。
大人の皆さんも、一度は通った経験のある情景を思い出して、共感してくれている。
隆太が元来持っている「真剣さ」「一途さ」、特に大人の世代には、「チャラチャラしていない感」が、この「フレンズ-君の記憶のなかの僕-」という曲を聞いてみよう、と思ってもらえている要因ではないだろうか。
逆の言い方をすると、「大人が共感しにくいシンガーが多い」と言う事かもしれない。
お話してきた内容は、製作者としての私の立場から見たストーリーだ。
偉そうな事を書いて来たが、最後に付け加えさせて頂きたいのは、私自身が動かされ、決して短く無いキャリヤの中でもこれほど勉強させられ、熱中させられ、本気になったのは、やはり牛島隆太の持っている不思議な存在感、魅力や実力のせいにほかならない。
CDが出せたから、こんなもっともそうな話ができたんだな。
ダメだったら「たわごと」にしか聞こえないもんね。しめしめ…。
http://tearbridge.com/ushijima/
POSTED BY:
HIDEO SAITO/斎藤英夫
音楽プロデューサー・作曲家・編曲家・ミュージシャン
牛島隆太(9)2010.03.09
昨今CDが売れない。当然レコード会社は苦しい。
どこも縮小を余儀なくされている。
そんな中で、「まったく無名の新人のCDを出しませんか?こんな感じです」と3分間曲を聞かせる。
「さあ、どうでしょうかね?」と、その場で判断を迫る。
無謀といえば無謀だ。そう思いませんか?
今回の牛島隆太君の場合、ここにいたるまでの過程を大事にしてきた。
それと言うのも、活動する事で(たかがストリート・ライブと言えども)少しでも情報を発信できるからだ。
シンガ−としての成長ぶりはもちろん、本気度具合(笑)、性格や魅力など。
そしてなにより事前にファンを増やしたい。
もし「歌スタ!!」での挑戦が失敗に終わっても、彼にとっては財産になるはずだ。
いや、もちろん失敗したくないが…。
その甲斐あって「最終プレゼン」までには、それなりの応援団が付いてくれた。
「売り込む側としては、少しでも彼の環境や境遇も合わせて説明したい。」
その最大の助けになったのが、「最終プレゼン」収録時に客席に応援に駆けつけてくれた、学校の友達、先生方、ご両親、その他100名を超える皆さん。
そして、それを目の当たりにして涙した隆太本人である。
この「場」の空気こそが、「フレンズ」という曲の最高の「解説」になったのだ。
「歌スタ!!」スタッフの仕掛けたこの演出が、強力な援護射撃になった。
チュートリアル福田君の「運命のファイナルジャッジ!どうぞー!!」という掛け声と同時に挙がった「よろしく札」は2枚!言わば、レコード会社2社からのオファーである。
番組史上初の快挙である。
その場でレコード会社を逆指名しなければいけない。
嬉しい悲鳴だ。
大変に見込んで頂いた、徳間ジャパンさんには申し訳なかったが、レコード会社とマネージメント・プロダクション機能の両輪を併せ持つ tearbridge (avex)さんにお願いする事になった。
札を挙げていただいた2社は、潤沢な予算は無いが、少しでも売れる可能性を持っている物には賭けてみよう、という発想を持っておられるわけだ。
大人の話になるが、昨今の中学生、高校生はCDを買わない。
音楽を聞くには、携帯でダウンロード。
CDは音楽を聞くためというより、むしろ「1票を投じる」的なアイテムのようだ。
応援であったり、ファンとしての忠誠心だったり。
それだけ高い買い物なのだ。
その中学生が大挙して収録に応援に来る。
これ自体が売る側にとっては稀に見る接点なのだ。
隆太君はこうして、メジャー・デビューの切符を手にしたわけだ。
難関を突破した事は事実だが、あくまでスタートに立てただけである。本当に評価されるのはこれからだ。
無謀なはずの「売り込み」に応えてくれたレコード会社に「応える」ためにも。
http://tearbridge.com/ushijima/
POSTED BY:
HIDEO SAITO/斎藤英夫
音楽プロデューサー・作曲家・編曲家・ミュージシャン
牛島隆太(8)2010.03.08
今回は「最終プレゼン」の続きはお休みさせていただきます。
次回以降に請うご期待下さい。
前回も触れた、「フレンズ-君の記憶のなかの僕-」発売記念イベント・ライブを3月7日にラゾーナ川崎で行った。
「咽のコンディション絶不調」「期末試験中」「天気は雪」と、大ピンチな状況だった。
さて実際どうだったか?
まず一つ目、咽のコンディションは幸い多少良くなった。
1ステージ目(2ステージ構成)は問題無くクリア。
2ステージ目はキーを下げるなどで切り抜けた。
二つ目はまだ結果が出ていない(笑。控室で勉強していた!)。
三つ目、そもそも隆太君、晴れ男なのだ。
実はスタッフにもう一人、自称ソーラーパワーという晴れ男がいる。
これらのパワーを結集した結果、気温は低いものの(寒かった…)小雨程度ですんだ。
心配された人出はニュース・サイトの記事によると約3000人。
想像以上のお客さんに見ていただけたようだ。
また一つハードルをクリアしたわけだ。
寒い中、演奏後のサイン会には沢山の方が並んでくれた。
ありがとうございました!嬉しい限りです。
この前日、3月6日に、シングルの中にも収録されている「合唱Ver.」を歌ってくれた、横浜市立緑が丘中学校合唱部の皆さんが、ららぽーと横浜にて合唱を披露していた。
そして「フレンズ」も熱唱してくれた。発売直後の新曲が、シンガー本人不在で歌われるのは異例としかいいようがない。
そもそも、シングルに本人不在のテイクが(カラオケ以外で)収録されているのも超異例なのだ。
これも、曲と隆太君とのつながりが非常に強いからこそ出来た事である。
誰が歌っていようと、「この曲=牛島隆太」というイメージが強烈に出来上がっているので、合唱部の皆が歌っていようが、「牛島隆太のシングル」としての軸がぶれない。
さて、前回の「最終プレゼンの巻」、山場にさしかかっているが、レコード会社4社の判断の違いは、ビジネスへの考え方の違いだ、と私は思っているのだが…。
http://tearbridge.com/ushijima/
POSTED BY:
HIDEO SAITO/斎藤英夫
音楽プロデューサー・作曲家・編曲家・ミュージシャン
牛島隆太(7)2010.03.07
学校の友達が、学校以外の事で応援してくれる。
5人や6人じゃない。100人近くが…。あまりないよね、そんな事。
去年11月初旬に「歌スタ!!」の最終プレゼンを行った。
スタジオの観客席には隆太君の学校の友達、先生方、ご両親、その他総勢100名強の応援団が駆けつけてくれた。
この日隆太君はあまり調子が良くなかった。
極度の緊張のせいもある。
約半年間かけて積み上げてきた物の評価が今日下される。
私とてもちろん緊張しないわけではない。
彼は、なぜか苦労を呼び込む宿命を持っているようだ。
「歌スタ!!」初出場の直前も大病をしている。
7月の最初のストリート・ライブの直前も絶不調だった。
原稿執筆中の今現在も、明日の発売記念ライブを前に、咽のコンデイションは絶不調。
しかも期末試験中。
しかも天気は雪だそうだ(笑)。
ただし、これらの苦労を全て乗り越える運を持っている。
トラブルを毎回しょいこむが、結果的にクリアできなかったハードルは無い。
で、明日はどうなるんだろう…?
私の曲紹介コメントの後、いよいよ本人、回転ステージで中央へ。
知ってはいるものの、目の前にレコード会社4社の面々。客席には友人達。
オンエアされなかったが、緊張から感極まって涙があふれ、止まらず、歌える状態ではなかった。
MC東野幸治さんの優しいはからいで、決して短くない、ひとしきりの「間」を頂いた。
その間も東野さん、チュートリアルのお二人、臼田さんMC陣の、空気を神妙にしない、絶妙なおしゃべりと、つっこみのおかげで、隆太本人もだんだん無駄な力が抜けていった。
この、歌う前に泣いてしまった事と、脱力できる空気を作ってくれたMC陣のはからいが、彼にハードルを超えさせた。
MCの皆さんにはとても感謝している。
不安定な所は沢山あったものの、この日の「フレンズ」は、それまで目指していた、表現したかった思いが全て聴き手に伝わる歌になっていた。
客席にいた友人、先生達の中にも、目頭を押さえていた人が見受けられた。
自分が感動していなければ、聴き手を感動させられないさ。
http://tearbridge.com/ushijima/
POSTED BY:
HIDEO SAITO/斎藤英夫
音楽プロデューサー・作曲家・編曲家・ミュージシャン
牛島隆太(6)2010.03.06
ボーカルとは究極の生楽器だ。
楽器を弾く方なら分かると思うが、その日の体調、コンディション、指先の感触ひとつでも演奏に影響する。
ボーカルの場合、それ以上に「楽器」そのものも自分の身体の一部であり、この「楽器」自体のコンディション維持も大変なのだ。
隆太君の場合、まだまだ成長期まっただ中。
コンディションを見ながらのボーカル・トレーニングは最重要部分である。
プロ・ゴルファーも、フィギャースケーターも、ジョン・ボンジョビも、名コーチが付いている。
日本のボーカリスト諸君も自覚を持った方が良いのではないか?
あ、いや、説教するのが目的ではない。
牛島隆太がその後「人気者」になれたのも、「歌がうまい!」と言われるのも、この訓練があったからこそだ。
デビュー曲となった最終プレゼン曲、「フレンズ ―君の記憶のなかの僕―」も当初は決してすばらしい出来ではなかった。
むしろ逆だった。
1曲で聴き手を魅了するには、おのずと曲の「ハードル」が上がってしまう。
彼が努力を重ねて、「うまく歌いたい」という思いが重なって、彼が持っている声や表現が発揮されて、初めて「良い曲」に聞こえるはずだった。そこからが牛島隆太の本領発揮だった。
負けず嫌い、粘り強さ、努力家、全てが「フレンズ」攻略に頭をもたげ出した。
ボイス・トレーニング担当の森「コーチ」と特訓の日々。
しかも、授業と部活、試験はおかまいなしに割り込んで来る。
最終プレゼン曲を事前に演奏するのは異例だったが、川崎のストリート・ライブでさっそく披露した。
隆太君を含め、我々自身の反省、改善点を確かめるためだ。
決して付け焼き刃では表現しきれない曲が、だんだん煮詰められていった。
(続く)
http://tearbridge.com/ushijima/
POSTED BY:
HIDEO SAITO/斎藤英夫
音楽プロデューサー・作曲家・編曲家・ミュージシャン