昨今CDが売れない。当然レコード会社は苦しい。
どこも縮小を余儀なくされている。
そんな中で、「まったく無名の新人のCDを出しませんか?こんな感じです」と3分間曲を聞かせる。
「さあ、どうでしょうかね?」と、その場で判断を迫る。
無謀といえば無謀だ。そう思いませんか?
今回の牛島隆太君の場合、ここにいたるまでの過程を大事にしてきた。
それと言うのも、活動する事で(たかがストリート・ライブと言えども)少しでも情報を発信できるからだ。
シンガ−としての成長ぶりはもちろん、本気度具合(笑)、性格や魅力など。
そしてなにより事前にファンを増やしたい。
もし「歌スタ!!」での挑戦が失敗に終わっても、彼にとっては財産になるはずだ。
いや、もちろん失敗したくないが…。
その甲斐あって「最終プレゼン」までには、それなりの応援団が付いてくれた。
「売り込む側としては、少しでも彼の環境や境遇も合わせて説明したい。」
その最大の助けになったのが、「最終プレゼン」収録時に客席に応援に駆けつけてくれた、学校の友達、先生方、ご両親、その他100名を超える皆さん。
そして、それを目の当たりにして涙した隆太本人である。
この「場」の空気こそが、「フレンズ」という曲の最高の「解説」になったのだ。
「歌スタ!!」スタッフの仕掛けたこの演出が、強力な援護射撃になった。
チュートリアル福田君の「運命のファイナルジャッジ!どうぞー!!」という掛け声と同時に挙がった「よろしく札」は2枚!言わば、レコード会社2社からのオファーである。
番組史上初の快挙である。
その場でレコード会社を逆指名しなければいけない。
嬉しい悲鳴だ。
大変に見込んで頂いた、徳間ジャパンさんには申し訳なかったが、レコード会社とマネージメント・プロダクション機能の両輪を併せ持つ tearbridge (avex)さんにお願いする事になった。
札を挙げていただいた2社は、潤沢な予算は無いが、少しでも売れる可能性を持っている物には賭けてみよう、という発想を持っておられるわけだ。
大人の話になるが、昨今の中学生、高校生はCDを買わない。
音楽を聞くには、携帯でダウンロード。
CDは音楽を聞くためというより、むしろ「1票を投じる」的なアイテムのようだ。
応援であったり、ファンとしての忠誠心だったり。
それだけ高い買い物なのだ。
その中学生が大挙して収録に応援に来る。
これ自体が売る側にとっては稀に見る接点なのだ。
隆太君はこうして、メジャー・デビューの切符を手にしたわけだ。
難関を突破した事は事実だが、あくまでスタートに立てただけである。本当に評価されるのはこれからだ。
無謀なはずの「売り込み」に応えてくれたレコード会社に「応える」ためにも。
http://tearbridge.com/ushijima/
HIDEO SAITO/斎藤英夫
音楽プロデューサー・作曲家・編曲家・ミュージシャン
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