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HIKARU MACHIDA 町田光
NFL JAPAN 代表取締役社長 立命館大学客員教授 早稲田大学講師
1996年、スポーツファンでもなく、またアメリカンフットボールのプレーどころか観戦経験もなしでいきなりNFL JAPANの代表に就任、現在に至る。 「スポーツビジネスを学ぶことは、人や社会を学ぶこと、自分に出会うこと」をモットーに、大学の超人気講師としても活躍中。

60年代後半の世界的バンドブームと「Teenager」2009 / 08 / 06

1960年代後半の世界的バンドブームはなぜ起きたのか。
「黄金の60年代」などとよく言われようにロックやポップスだけでなく他の音楽、映画、演劇、美術、さらにはファッション、スポーツに至るまで、いわゆるユースカルチャーのほとんどがこの時代に生まれ、大衆化しています。

それは「Teenager」という存在が登場し、台頭したという現象とシンクロしています。
Teenagerとは何か。それは単に「10歳から20歳」という「年齢層」を指す言葉というよりももっと象徴的な意味を表しています。つまり「すでに子供ではないが、生産する側となることを猶予されている存在」とでもいうことができるのではないでしょうか。

1900年初頭では、もっとも公教育が進んでいたアメリカでさえハイスクールの進学率は8.4%、ヨーロッパのそれは3%以下でした。さらにその50年前にはアメリカの小学校の就学率が40%以下です。
つまりかつては子供の次はすぐに大人、つまり生産に従事する存在に直結していたのです。しかも7〜8歳のころにはすでに十分に「大人」、つまり「労働者」とみなされたのです。
それが社会が豊かになるに従い、人間と社会の発展には幼年期の「教育」が不可欠であり、子供たちに「教育を受ける権利」を与える、という認識が高まりました。

2回の世界大戦が終結し、その中で最も傷の浅かったアメリカでは、戦後のベビーブーマーが15歳に差し掛かる1960年ころにはすでに70%近くがハイスクールへ進学し、大学進学率も都市部を中心に大きく伸びていました。
彼ら「Teenager」は生産者となることを猶予されただけでなく、高度成長社会の新たな「消費者」の役割が与えられます。
そしてこの状況は数年の差を持ちながら世界のほかの国や地域でも起こってゆくことになります。

つまり今では当たり前の「Teenage」という概念、そして「Teenager」という存在はせいぜいこの50年間くらいの間に誕生したものなのです。そしてその最初の「Teenager」たちは、世界が消費社会に突入しようとしていた時代の流れとその絶対的な「数量」によって、社社会全体を巻き込みひっくり返すほどのエネルギーを持っていたのです。

そのエネルギーの中には、何のルールもなくそれこそなんでもありで、明ー暗、体制ー反体制、美ー醜、創るー壊す、などが入り乱れそれがそのまま、音楽、映画、演劇、美術、スポーツ、政治、経済の中で繰り広げられました。
面白くなるわけです。

しかし同時にこれらが「生産しない者たち」、つまり「お小遣い」の世界での出来事だった、という本質的なひ弱さ、があったことも忘れてはならないでしょう。でも、だから純粋でもあったのです。

それに対して現在の「Teenager」はあらかじめ「若者」というカテゴリーが与えられ、重要なマーケットとして研究され、大切な消費者として囲われ、整地され去勢されてしまいました。そのことを「情けない」などといっても仕方ないでしょう。あの60年代のエネルギーも自然発生的であったこと、故に無自覚であったため、結局あれだけのものを生み出しながら、ほとんどの人々にとって「あの頃はよかった」というただの思い出です。前も言いましたが「あの頃はよかった」という姿勢ほど気持ちの悪いものはありません。

あの頃、が素晴らしかったのはなぜか、なぜそれは消えたのか、今何がなくて、何があるのか、それを考えることが、あの面白さをこれからも作り出せるのだと思います。それはまず個人の営みとして、その生活や仕事の中での実践です。

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HIKARU MACHIDA/町田光
NFL JAPAN 代表取締役社長 立命館大学客員教授 早稲田大学講師

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