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KOZO KIZU 木津幸三
釣り師・ゲーマー・競馬ライター
人材関連広告会社、某著名ブランド企業で要職を務めあげたあと、日本でも珍しい「”釣り” “ゲーム” “競馬予想”の達人」として活動を続けるプロフェッショナル・ギャンブリスト。妻子のいる身ながら収入のすべてを釣り、ゲーム、競馬に注ぐ。義理人情に厚い九州男児でもある。

Which horse do you choose?2009.12.28

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そろそろ2009年も終わろうとしている。
実は競馬で1年の締めくくりは、12月ではなく日本ダービー(6月)と表現されることも多い。
なぜならこの種牡馬検定競走とされる日本ダービーは3歳馬たちが凌ぎを削り、10,000頭近くの中から1頭だけが頂点に立てる、一生で一度しか出られないレースだからだ。

そんな観点もあるが、やはりカレンダーでいけば師走が一年の締めくくりであることに間違いは無い。
そして競馬では「グランプリ」と称されるレースがある。
それが有馬記念だ。
もともと「中山グランプリ」という名前だったこのレースは、出走馬が人気投票の要素も踏まえて決められる。
この辺は日本の師走名物の紅白歌合戦的な発想だなぁ・・・と国民性を感じるが、それはさておき、これまでに多くのドラマを生み出しているレースでもある。
1987年、ダービーを圧勝したメリーナイスがスタート直後に落馬、菊花賞を勝ったサクラスターオーが故障発生という共倒れによって、メジロデュレンとユーワジェームスが1、2着し、馬券の種類が少なかった当時としては珍しいGⅠレース万馬券となる。
おまけにその2頭は4枠に並んで入っていて、頭文字を横に読むと「ユメ(夢)」となっていたことから、「ユメの万馬券」として長らく語り継がれることとなった。
1990年、全盛期の勢いの無いオグリキャップが、ジャパンカップでも惨敗してそのまま引退すべきなどの意見も出る中で、スタージョッキー武豊を背に引退レースに有馬記念を選び、見事に勝利を収めて「奇跡のラストラン」と言われた。
僕にとっては、イナリワンや前にも書いたトウカイテイオーなど、それまで低迷していた馬が「復活」するような、「感動ものレース」としてイメージ付いている。

この有馬記念の行なわれる中山競馬場の2500Mコースは、レースの展開に紛れが多いことを指摘する声もある。
特殊なコース形態によって生じるゲート枠順の差もあるし、僕が何よりも感じるのはレースのペース予想の難しさだ。
極端なスローペースになったり、ハイペースで大逃げを打った馬がアレヨアレヨとそのまま逃げ切ったり。
実際オグリキャップが勝ったレースもGⅠレースとは思えないスローペースで流れ、武豊騎手の折り合いをつける力が、往年の迫力のないオグリキャップの渾身の実力を引き出したように思える。
その他にも、長距離血統の代表格とも言われた実力馬のメジロマックイーンを短距離血統のダイユウサクが差し、大波乱を演出した。
まあ、そのレースは「(スティーブ)マックイーンを(松田)優作が負かした」なんて語呂合わせも出たり。
2001年のアメリカ同時多発テロの時は、マンハッタンカフェとアメリカンボスで決まり万馬券。
これは新聞で事前に予想したタレントさんもいたものだから、「今年のテーマは何だ?」という推理のような目線で馬券を買って楽しむファンも少なくないことだろう。
そう、つまり馬券とは結果主義の「勝つか負けるか」なのだから、理由はともあれ、当たれば勝者なのだ。
各々が各々の信念で楽しむ。
基本はそこだろうと思う。

僕の有馬記念に臨む基本的な姿勢は、「誰が、どの馬が軸となって展開するか」だ。
有馬記念に限ったことではないが、近年の日本の競馬ではスローペースになって瞬発力勝負になることが多いと思う。
「見せる競馬」としては、直線でスパッと馬が伸びてくる様は見た目もいいのは事実だろう。
ただ、直線に向くまでの駆け引きみたいなドキドキ感はというと、少ないように思える。
直線までは団子状態でお行儀良く進み、最終コーナー手前からレースが始まるような、直線だけの競馬が多くなっていると感じている。
でもこの有馬記念はこの展開にムラが多いので自分の展開予想の基軸を決めることから入るのだ。

では最近多い「切れ味勝負」になった場合は、今年の出走馬ではどの馬が該当するのだろうか。
実は近走で凄い切れ味の脚力を披露した馬がいる。
3歳牝馬のブエナビスタだ。
エリザベス女王杯では到底届かないと思われた展開と位置取りで最後の3ハロン(600メートル)32秒台で走ったのだ。
まさに切れる脚がセールスポイント。
しかし、それだけの走りを見せたのだから、疲労も残ると見る向きはあり、果たして同じ走りができるかどうか。
3歳牝馬が勝てば49年ぶりだそうだが「○年ぶり」という表現は、この進化している日本競馬ではアッサリ塗り替えられてもおかしくないので、気にしないとして、実はブエナビスタは「スローペースの『ヨーイ、ドン』」には向かないのではないかと。
これまでに好走したレースも初めの3ハロンのペースはスローよりもミドル。
オグリキャップが勝った時のようなスローペースになったりしたら、意外と不発だったりするのかもしれない。
逆にスローペースで切れる脚の馬は・・・となると台頭するのはドリームジャーニーだ。
小回りコースのスローペースならこの馬は堅実に33秒台の末脚を披露してきている。

この切れ味勝負の2頭のように、これまでに33秒台の脚で勝った馬はいるのか、過去を振り返ると20年で2頭いた。
ディープインパクトとマンハッタンカフェという、現在は種牡馬で活躍する2頭だが、実はそれ以外の18年は、どちらかというと上がりタイムのかかる展開になっている。
実力が抜けた馬でないと、有馬記念を切れる脚で差して勝つのは難しいのかもしれない。
そうなると今年は実力伯仲だけに、波乱がおきてもおかしくない。
有馬記念で逃げや先行する馬に実力馬がいた時は、スローペースにもなりづらく、且つ息の入らない厳しい流れになることもあり、上がりタイムもそれなりにかかることが多いのだ。
今回、ペースを予想する上でのキーマンは武豊騎手だろう。彼の騎乗する逃げ馬、
リーチザクラウンに対して追い込み側の騎手がどのタイミングで仕掛けるのか。
池添、横山、ルメール騎手の追込み陣がどう動くか。
結局、有馬記念の予想は毎年悩んでしまう。ペース展開ばかりは天候や馬場状態など複数の要素が重なるので、競馬評論家たちの読みも外すことが多いと思います。
だから専門家の予想印なんて気にしないで、グランプリは各々が楽しめば良いのではないでしょうか。
「黒人初のアメリカ大統領だから2枠」でも「いやいや、時代はエコ。3枠の2頭の頭文字が『エコ』になってるし!」でもいいんです。
とにかく楽しんで「まあ、良い年だったよね」と言えればね。

結局、僕はまだ今年の締めくくりに期待する馬を決めていないけど、まさに「YOU CHOOSE」の主旨どおり、『あなたはどの馬を選びますか?』 そしてHAPPYな年末を。

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KOZO KIZU/木津幸三
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