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about

KOJI SAITO 齋藤光二
株式会社ドワンゴ ニコニコ事業本部 ライブ事業部プロデューサー
Dwango Music entertainment, Inc. エグゼクティブプロデューサー
ネイティブ級の英語力を兼ね備えたミュージシャンとしても活動する彼の本職は、あの「ニコニコ動画」の運営であり、「齋藤P」という名で広く知られている。ゲーム業界を経たあと、Animelo Summer Liveといったメガイベントを成功させてきたこともあり、オタクやネット文化にも造詣が深い。交遊も幅広く社交的である。

ニコニコ大会議2009-2010全国ツアー2009.11.02

2009年10月29日、
ニコニコ動画9番目のバージョン
「ニコニコ動画(9)」がスタートした。

東京だけで行っていた「ニコニコ大会議」だが、今回は更なる新機能・新サービスを紹介するべく、仙台、金沢、高知、福岡、大阪、名古屋、札幌、広島の全国8都市のライブハウスをツアーして回ろうという暴挙に出る。

これがそのオープニングムービーである。
渋谷のクロコダイルという老舗のライブハウスを借り切って撮影した。

映像はPRIDE、DREAMの煽りVTRを手掛けた佐藤大輔、ナレーションは新世紀エヴァンゲリオンの碇ゲンドウ役でお馴染みの立木文彦、出演は「ニコニコ大会議」の顔、夏野剛&ひろゆきのコンビだ。

ところでこのYOU CHOOSEのカテゴリーだが、今回の動画解説についてはどれにすればいいのか、さっぱり見当がつかない。

ニコニコ動画のPRムービーとも捉えられなくもないが、これを観て本気で黒字化したいという「ビジネス」の意思は見えてくるだろうか?

夏野&ひろゆきはIT業界では、知らない人はいない「有名人」。
そんな二人がメイクをしてロックミュージシャンを演じているが、見る人が見ればこれが”Hedwig and the Angry Inch”のパロディだということがわかるので「映画・映像」?
俺も適当に「ドラム」を叩いてみたものの、ひろゆきが即席で覚えたEのコードをかき鳴らすだけじゃ「音楽」とは程遠いよな。

新バージョンに合わせて発表されたのは、目的地さえもわからないマジカルミステリーツアー。
手の込んだオープニング映像には、今まさにこの瞬間も、ユーザーが(9)への怒りのコメントをガンガン書き込んでいる。
そうなのだ、これら全てをひっくるめてニコニコの「文化」と呼ぼうではないか!!

↑実はこれ、壮大な「釣り」に過ぎなかった、、、というのがニコニコっぽくて良くね?

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KOJI SAITO/齋藤光二
株式会社 ドワンゴ ニコニコ事業本部副本部長 DAGE取締役プロデューサー

ファミマに入ったらテンションがあがった2009.10.02

ファミリーマートに入る時の流れるメロディ、これを「ファミマ入店音」というのだが、ご存知だろうか?
今回紹介する動画を見て、流れるメロディを聴けばあぁこのメロディね!と一発で判別できるくらい有名なメロディである。

実はこれ、ファミリーマート専用のメロディでも何でもなくて、ナショナルのメロディサインという乾電池式チャイムに内臓されているメロディなのである。
というわけで、俺の家のメロディと同じ!とか近所の歯医者のメロディと同じだぜ!という人が沢山いても不思議ではない。

理由はよくわからないが、とにかくこのメロディを気に入った人がいて、これをファミマ入店音ということで、トランスっぽくRemixした動画がニコニコ動画に投稿された。

これがよく出来た動画だったということもあるが、ここを震源地として、瞬く間に、「ふぁみふぁみふぁみ〜まふぁみふぁみま〜♪」と歌詞をつけたものやイラストを付けたものなど、ありとあらゆるバリエーションの動画がぞくぞくと投稿され始めた。こうした関連動画のタグには「4:22店長出勤」(これは4分22秒で転調するという意味)、「フロア温めますか?」や「アップ店舗」などといった「誰うま」(「誰がうまいことを言えといった」の略で、要するによく出来た駄洒落とか)なものが付けられていることも多い。

更には「ファミマに入ったら心も温めてくれた」なる歌まで登場して、ニコニコの連中はどんだけファミリーマートが好きなんだ??
というレベルの盛り上がりになったのである。少なくともニコニコ動画で一番愛されているコンビニは、間違いなくファミリーマートと断言できる。

ニコニコ動画で面白いのは、何がヒットするか予測が付かないことである。
今回のように特定の企業が対象で、しかも商品とも全く関係ないものをフックとしてブームが起きた、というのは非常に面白い現象だと思う。テレビで莫大な金をかけるイメージ広告と同じような効果がニコニコでも起こる可能性があるのかも知れない、まぁ全然コントールできないのだが。

ちなみにCMでお馴染みの「あなたとコンビニファミリーマート♪」という例のメロディは小林亜星によるものだが、ニコニコ動画における空前のファミマブームのおかげで、dwangoサイトにおける着メロのダウンロードが急上昇した。

たぶんユーザーが本当にダウンロードしたかったのは「ファミマの入店音」だったのではないか?と俺は秘かに思っている。

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KOJI SAITO/齋藤光二
株式会社 ドワンゴ ニコニコ事業本部副本部長 DAGE取締役プロデューサー

男女男男女男女(だんじょだんだんじょだんじょ)2009.09.08

ニコニコ動画で起こったムーブメントを噛み砕いて説明するのは本当に難しい。

例えば、お互いに全く関連性のなかった音楽や絵が結びついて、突然新しいモノが創造され、次々とその派生が発生して人気になる、といった一連の流れをきちんと追って説明しないとなぜこの動画が面白いのか?といったことさえ伝わらないと思うのだ。

いや、きちんと追って説明したところで、実際にニコニコ動画を「体験」したことのない人にこの独特の空気感がちゃんと伝わるのかなぁ。

先日、専門学校でニコニコ動画について講義をしたあと、生徒に「専門用語が難しいです」と言われてしまった。
たぶん彼らには俺が意味不明のことを楽しく語っているニコ厨(ニコニコばっかりやってる輩)に映ったのかも知れない。

まぁちょっと頑張ってみるけどね。

今回紹介するのはイギリスの近くのマン島に住む14歳の少女xBextahx(Beckii)の動画。
彼女はもともとYouTubeの投稿者で、日本のアニメソングに合わせて踊った動画をあげていたのだが、これもその一つ。
この「男女」ダンスが、ニコニコ動画にうp(アップロードのこと)された時、踊っている外人の美少女Beckiiに多くのユーザーが「かわいいは正義」と反応してたちまち「踊ってみた」カテゴリーランキング一位の動画となった。

その見ようによってはちょっとHなサムネイル画像の「釣り効果」もあったかも知れないが(これを専門用語で「サムネほいほい」というのだが、これが意図されたものかはわからない)彼女が踊っている楽曲「男女」が、ニコニコ動画で元々人気だったことも要因の一つだ。

この「男女」がなぜニコニコ動画でヒットしたかについての経緯を書き始めると、長くなるので一気に割愛!

いずれにせよ、日本からはるか遠く離れた異国の少女は、ニコニコ動画のシンデレラとなった。

ところで、この自分の部屋で顔出しで踊っていた少女Beckiiだが、先日、家族と一緒に来日した。
ちょうどタイミングも良かったということもあるが、粋な計らいというわけで、埼玉アリーナで行われたアニメロサマーライブのエンディング曲に彼女もバックダンサーの一人としてゲリラ的にステージで踊ってもらった。

WEBカメラの前で一人で踊っていた少女が、2万5千人の観客の前でいきなり「踊ってみた」わけである。
彼女にとっては大好きな日本での素晴らしい思い出が出来たことだと思う。

ニコニコ動画では、彼女のような「素人」が、たった一つの動画によって一瞬で脚光を浴びる、といったことが今後も起こっていくことだろう。

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KOJI SAITO/齋藤光二
株式会社 ドワンゴ ニコニコ事業本部副本部長 DAGE取締役プロデューサー

オバマ大統領とヒウィッヒヒー2009.07.27

仕事柄、好き嫌いに関わらず流行っているネットサービスを実際に利用して、体験してみたりしている。で、最近始めてみたのが「Twitter」。
これは「今何をしているか?」の質問に対して140文字以内で「つぶやき」を投稿するというアメリカ発のネットサービスである。
私もPSaitoという名前で登録して、日々の「つぶやき」を発信している。

日本ではこのサービス、技術者とかネット住民を中心に広がり出したようだが、6月の国内ユニークユーザーは70万3000人で、半年で約4倍にも増えたという。Twitter議員なる政治家達も現れたり、経済評論家の勝間和代といった有名人も利用し始めた。

「ヒウィッヒヒー」とは、勝間和代とその親友で歌手の広瀬香美によるTwitter上での他愛もないやりとり、「twitter」のロゴが「ヒウィッヒヒー」に見えた、というものが彼女たちを「フォロー」している人たちの間で広まったという話。まぁ世間では何のこっちゃ?という感じだろうが、ネットでは局地的に大盛上がりして色々なところで取り上げられた。

さて、オバマ大統領がこのサービスを使いこなしていることは有名である。

もちろんセレブの「成りすまし」なんかは簡単に出来ちゃうのだが、私が「フォロー」している「BarackObama」は本物という前提で話をすると、この記事を書いている時点で彼がフォローしている人数は768100人、フォローされている人数は1832320人となっている。

アメリカ大統領ともなればフォローされている数が半端ないのは納得できるとしても、フォローしているこの数は何なんだろう?大多数が一般人で、プロフィールのアイコン(サムネ)は海外の人らしく顔出しで美人のお姉ちゃんも多い。ただし「つぶやき」に関しては非公開の人が多く、フォロー関連の人数はともに10人以下といった人も大勢いるみたいだ。

これってリア友なのだろうか(笑)?

mixiやモバゲーみたいなサービスではよく「有名人」が降臨してたりするが、ともだち申請をすると自動承認で白々しい定型文が送られてきて、(あの馴れ馴れしさは非常に気持ち悪い)その後の日記は一方的な広告宣伝に終始したりしているものだ。

オバマの「つぶやき」も当然「腹減った」みたいなものはなく、大統領としての活動を淡々と発信してはいるが、もしかしたら、本人自らブラックベリーからせっせと送っているのかな?なんて想像しちゃうような親近感を覚える。

少なからずオバマ大統領は、インターネットを影響力のある有効な武器として使いこなしているニュータイプの政治家であることは間違いない。

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KOJI SAITO/齋藤光二
株式会社 ドワンゴ ニコニコ事業本部副本部長 DAGE取締役プロデューサー

Billy Herrington’s Inauguration Speech2009.07.14

ビル・クリントンではない。
ビリー・ヘリントンである。

もともと彼はアメリカ出身の元ゲイポルノのスターである。
しかし、ニコニコ動画においては「ガチムチパンツレスリング」というマッチョな男同士がパンツ一枚でレスリングをしてケツを叩きあうという神聖なるスポーツのトッププレイヤーとして「兄貴」という呼称で慕われている。そして、有名なキメ台詞「歪みねぇな」「最近だらしねぇな」(両方とも空耳から派生しているのだが)の強烈な印象とともに多くのファンの心を掴んで話さない漢(おとこ)の中の漢なのである。
今回紹介する動画は、2月14日「バレンタイン・ゲイ」に合わせて彼が「ニコニ国賓」として来日した際、ニコニコ動画の「ニコニ・コモンズ」普及のため、名誉コモンに就任した演説を収めたものである。
ちなみに本日7月14日はビリー・ヘリントンの誕生日ということで、ニコニコ動画では「兄貴誕生祭」が盛大に開かれていることだろう。
就任演説といえば、YOU CHOOSEを運営するひらさかさんもオバマ大統領の演説を聞いて「いたく感動した」と記されているが、私も「いたく感動した」一人である。
オバマのあの有名なスピーチは、27歳の有能なスピーチライターによるものであることは有名だが、このビリー・ヘリントンの就任演説の原稿、実は私がオバマの演説に「インスパイア」されて作ったものである。
決して「パクり」ではない。
Ass, WE CAN!!
ビリー・ヘリントンのこの力強い言葉はこれからも多くのニコニコ動画の住民を勇気付けるのではないかと思う。
いや、本当にごめんなさい。。。
オバマ大統領の演説がかっこ良すぎたので、ついついパロディをやっちゃいました。
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KOJI SAITO/齋藤光二
株式会社 ドワンゴ ニコニコ事業本部副本部長 DAGE取締役プロデューサー