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牛島隆太(6)2010.03.06

ボーカルとは究極の生楽器だ。
楽器を弾く方なら分かると思うが、その日の体調、コンディション、指先の感触ひとつでも演奏に影響する。
ボーカルの場合、それ以上に「楽器」そのものも自分の身体の一部であり、この「楽器」自体のコンディション維持も大変なのだ。

隆太君の場合、まだまだ成長期まっただ中。
コンディションを見ながらのボーカル・トレーニングは最重要部分である。
プロ・ゴルファーも、フィギャースケーターも、ジョン・ボンジョビも、名コーチが付いている。
日本のボーカリスト諸君も自覚を持った方が良いのではないか?
あ、いや、説教するのが目的ではない。
牛島隆太がその後「人気者」になれたのも、「歌がうまい!」と言われるのも、この訓練があったからこそだ。

デビュー曲となった最終プレゼン曲、「フレンズ ―君の記憶のなかの僕―」も当初は決してすばらしい出来ではなかった。
むしろ逆だった。
1曲で聴き手を魅了するには、おのずと曲の「ハードル」が上がってしまう。
彼が努力を重ねて、「うまく歌いたい」という思いが重なって、彼が持っている声や表現が発揮されて、初めて「良い曲」に聞こえるはずだった。そこからが牛島隆太の本領発揮だった。
負けず嫌い、粘り強さ、努力家、全てが「フレンズ」攻略に頭をもたげ出した。
ボイス・トレーニング担当の森「コーチ」と特訓の日々。
しかも、授業と部活、試験はおかまいなしに割り込んで来る。

最終プレゼン曲を事前に演奏するのは異例だったが、川崎のストリート・ライブでさっそく披露した。
隆太君を含め、我々自身の反省、改善点を確かめるためだ。
決して付け焼き刃では表現しきれない曲が、だんだん煮詰められていった。
(続く)

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HIDEO SAITO/斎藤英夫
音楽プロデューサー・作曲家・編曲家・ミュージシャン

牛島隆太(5)2010.03.05

隆太君が初めて番組に登場し、私が「よろしく札」を挙げた日、収録後に話をした。
「歌がうまいだけでもダメ、曲が良いだけでもダメ、本人が人気者にならないと」。
彼はこの時のこの話を覚えているかどうか分からないが、この1年間で着実に人気者になりつつある。

「歌スタ!!」で最初に隆太君が回転ステージに登場し歌った時、実は私は「延長ボタン」を一度も押していない。
歌唱には十分引き込まれたし、中学生という年齢にも興味を持った。
ただ彼の選曲が清水翔太さんの曲だったので、ロック畑の人間としては自分の物件では無いような気がした。
前回ご紹介したように、そもそも札を挙げる事に及び腰な我々ハンター(汗)。 
隆太1コーラス歌いきった後の質疑応答で、郷ひろみさんの大ファンだと分かり、なるほど、何か謎が解けたような、何か自分の中で計算が始まったような気がした。
でも、マシコタツロウか、浅田祐介が(札を)挙げるんじゃないか?と思っていた。
チュートリアル福田君の「ファイナルジャッジ!」の掛け声の後、オンエアでは写っていなかったが、他のメンバー全員が札を挙げ終わるのを待った。
見渡すと全員「ゴメンネ」ではないか!この歌唱でそれは無いだろう!と、ひとまず「井手方式(追試)」でつないだ。

一番欲しいのは、冒頭で書いた「人気者」になりそうな片鱗だったが、まだその気配は感じられない。

「井手方式(追試)」では、コブクロの「永遠にともに」を選曲した。
サビでの引き込まれ方が半端じゃなかった。番組収録時、スタジオには観客の皆さんがいる。
その皆さんの反応が凄く良いのだ。その後のMC東野幸治さんのインタビューで成績優秀、趣味は健康と、いろいろと分かって来た。
本来の人気者の持つ要素とは正反対なファクターが並んだわけだ。
「こんなヤツ他にはいないよな。競合他者はいないかも。でも人気者になれるか?」
いろんな計算が頭を駆け巡った(笑)。
最終的には年齢が物を言った。
まだ14歳(収録時)、3年待っても17歳!可能性は十分ありそうだ。

結果は周知の通りだ。
(続く)

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音楽プロデューサー・作曲家・編曲家・ミュージシャン

牛島隆太(4)2010.03.04

たくさんのアクセスを頂き、急遽連載を継続させて頂く事になった!ありがとうございます。

まず、この機会に「歌スタ!!」という番組について少々説明させて頂きたい。
2005年4月にスタートし、私も6月ころから参加させて頂いているこの番組、実は今どき非常にストイックな番組なのだ。

参加しているレコード会社からは「突然、無理やり新人を押し付けられる」と、敬遠され続け、我々ハンター(審査員)からは「札を上げてしまうと、まったく孤立無援で最終プレゼンの準備をさせられる」とグチられる…(私もその一人だったわけだが)。

ただ、番組制作スタッフの思いは、そんな事にお構いなく、かなり真っすぐなのだ。
ほぼ100%「歌い人(応募者)」目線なのだ。MCである東野幸治さんも徹底して「歌い人」目線のコメントをする。
今回の牛島隆太君の場合も、プロデューサー堀田氏の「歌い人」ケアは完璧。送迎まで付き添って来る。
担当ディレクターの斉藤克央(カツオ)氏とそのチームは徹底的に「追っかけ取材」に来る。
ストリート・ライブのリハーサルも、選曲に行ったカラオケも、「納涼祭」も、ボイストレーニングも、全て撮影されている。
目標は素材テープ100時間!そんなに使うあても無いのに…。1月に放送された「牛島隆太スペシャル」はその、余りある素材の中から編集された。

最終プレゼンの収録時、スタジオのスタッフ全員が牛島隆太の応援団と化していた。
レコード会社から「よろしく札」が上がった瞬間、スタジオのスタッフ全員が「ぅおっしゃ!!」と叫んだ(笑)。最高のチームワークを持った番組だ。

残念ながら、惜しまれつつこの3月で放送終了となる。

牛島隆太、最初の収録は、本人大病直後の去年の3月(オンエアは5月)、最終プレゼンが11月、メジャーデビュー第30弾。
これは、おそらく番組存続期間内で最後のデビュー。

2月15日深夜放送回から番組オープニングで「フレンズ-君の記憶のなかの僕-」がかかっている。
これも恐らく番組としては最後のオープニング。滑り込みセーフ、な感じである。
これも牛島隆太の持っている「運の強さ」なのかもしれない。

この場をお借りして、今回大変お世話になり、ご協力いただいた「歌スタ!!」スタッフの皆さんに感謝したい。
「ありがとうございました。そして、お疲れさまでした!」

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牛島隆太(3)2010.03.03

現代の中学生は忙しい。授業に部活、課外活動、気がつくと試験期間。
なかなかエンジンがかかりにくい環境の中、本人が頑張り抜いた。

昨年11月に「歌スタ!!」のルール通り、レコード会社4社を相手に、曲をプレゼンテーション+披露する「最終プレゼン」を行い、なんと番組史上初の2社からオファーを頂いた。
この辺りの詳細はまたの機会に。

番組オンエア後、この「フレンズ –君の記憶のなかの僕-」を歌う牛島隆太に、実にさまざまな年齢層の方からコメントをいただいた。
中には、ネットに繋がっていないご年配の方から、封書で激励のお手紙を頂戴した。
不登校ぎみだった中学生が、学校に行く気になってくれた。
進路に迷っていた学生の方、落ち込んでいたサラリーマンの方が勇気を持ってくれた。
そして、とてもたくさんの方から「歌を聞いて感動したのは初めて」という感想を頂いた。
手が届かなかった聴き手の皆さんに、ちょっと手がとどいた気がする。

このシングルには横浜市立の中学校の皆さんに協力してもらった「合唱Ver.」、今年度で閉校になってしまう石川県輪島市の中学校で撮影したミュージック・ビデオも収録されている。
シンガー本人、ストーリー、映像と全てにわたり「実物」であり「ノン・フィクション」であり「リアル」なのだ。

世の中が殺伐としているこの時代、皆さんにとって牛島隆太の存在が少しでも「思いやり」や「勇気」の源になってくれれば幸いだ。
私自身にとってそうだったように。

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牛島隆太(2)2010.03.02

ある「中学生シンガー」に「卒業」をテーマにした曲を用意した。

彼とリサーチのためにカラオケに行き、いろいろな曲を歌ってもらった。
ところが、15歳の中学生「目線」に合った曲がひとつも無い。
歌う側に15歳がいないのだから当然といえば当然か…。
私は元来「等身大の…」という表現が嫌いだ。
むしろ逆を目指す事の方が多いのだが、今回に限っては、この「等身大」の物こそが切り札になりそうだ。

修業と認知度を上げるために、京急川崎駅近くの「川崎銀座街」という所で、昨年7月からストリート・ライブを始めた。
まず驚かされたのは同世代の反応の良さだ。
チラシ配り、看板作り、ブログ開設も全て彼の同級生、部活の先輩後輩、友人たちが手伝ってくれた。これを「等身大」といわずして…、やはりそこか。

一言で「卒業」ソングと言っても、巷にあふれている物とは一線を画する物でなければ、また、「等身大」で「現役」であるのが最大の強みとなる物でなければ意味が無い。
「具体的」な景色が見えるストーリー、大人でも一瞬にして記憶が蘇るようなストーリー。
作詞の人間と悪戦苦闘の連続。徹夜になる事数日。
本人に歌わせては、詞もメロディーもアレンジも変更して行き、牛島隆太でなければ発信できない物に仕上げて行ったつもりだ。
「歌スタ!!」という番組のルール上、一発でレコード会社のエグゼクティブを魅了しなければアウトだ。
さて、どうなる事やら。(続く)

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HIDEO SAITO/斎藤英夫
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