キーオ氏が「事業で勝利する方法」で講演を求められて「できない」と断り、
「かなりの確率で負けることなら保証できる」という内容をまとめた本。
キーオ氏はコカ・コーラを全世界で成長させたが、
「ニュー・コーク」発売という大失敗もしただけに、言葉に説得力があります。
年長者の自慢話と繰り言を聴きたくなくても、ぎっしりとした経験と知恵は是非知りたいもの。
10の法則といいつつ、おまけがついて、11の法則があります。
なかでも、「法則8 官僚組織を愛する」はかなり怒りに近いトーンで書かれており、
「会社の前進をすべて止めたいのであれば、事務手続きを何よりも優先すればいい」
「わたしはいつも高給取りの掃除夫を自認」
「わたしの仕事はいつも廊下をきれいにしておき、
とくに優秀な従業員が仕事ができるようにすることだ」
という言葉には共感します。
「ひとりにマネージャーの肩書きを与える。一年半もすると、アシスタントがつく。
アシスタントはすぐにジュニア・マネージャーになる。
すると何が起きるか?その下にアシスタントがついて、この課程がくり返されていく。」には爆笑。
家畜が増えるように、官僚組織が増えていく、とまで言って、かなり頭にきています。
「法則10 将来を恐れる」では、
「事業を指導する立場に立ちたいと考えているのであれば、合理的な楽観主義者でなければならない」と諭しています。
これって、あらゆる悲観ケースを検討して、
それに勝てる戦略と戦術があるから、びくびくしなくて良いということだと思います。
戒めの書として、読み返したい本。
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NORIYUKI TANAKA/田中紀之
株式会社ディーツーコミュニケーションズ 事業開発本部 本部長