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TSUGIO NISHIMURA 西村次雄
フォトグラファー
1973年、九州産業大学芸術学部写真科卒。同年渡米。1979年、「STUDIO BB」を設立。デジタルの可能性にいち早く気づき、雑誌・広告を中心に一眼レフカメラを駆使して活躍中の”IT写真家”である。建築物、料理、人物、商品、そして動物・植物・昆虫と被写体の幅も極めて広い。

白いセミ2009 / 08 / 28

蝉時雨を背中に浴びながら、森の地面を注意深くある物を探して歩いていた。

普段は上の方を注視しながら歩き回るのだが、地面を見て歩き回るのである。

ある方が「森の底を読む」と表現していたが、まさに言い得て妙である。這い蹲るように探していたある物とは、蝉をホスト(宿主)するツクツクボウシタケの冬虫夏草。

探してみると意外に多く見つかるもので、その中からセミの形が多少なりとも解る物を選び角度を変えて撮影。それから約2時間後、蝉時雨に加われなかった物たちに思いを馳せここを後にした。

ちなみに、
冬虫夏草は漢方薬、アガリスクなどで有名だが、元々はチベットのコウモリガの幼虫を指すそうである。しかし今は昆虫などから出るキノコを総称として冬虫夏草と呼ぶとのこと。

【この時の撮影技法】
スコップで約5㎝の冬虫夏草を注意深く掘り出し、地中の状況が解るように作業を行う。

掘り終えたら地面にお手製カメラ用座布団(約20㎝×20㎝中身は小豆)。を地面に敷き、その上にカメラを置いて角度を自由に固定する。冬虫夏草と環境を取り入れるために8ミリ魚眼レンズをチョイス。ただしこのレンズはカメラの撮像素子1.6倍でも四隅がケラレてしまうので1.5Xテレコンをボディーとレンズの間にかませる。

その結果テレコン使用により冬虫夏草約5センチまで接近可能となる。しかし被写界深度の深い魚眼レンズでも接写ではピントが浅くなるので絞り込みが必要となる。

絞り込み過ぎによる「回折現象」を避けるためF11まで絞り込む。背景の絞りF11が決まったら主題の冬虫夏草の露出を計る。計測結果、約2絞りほど露出アンダーであったのでストロボ光で主題の露出をコントロールする。

【外付けストロボのコツ】
レンズと冬虫夏草の間隔が近すぎるため(約5㎝)レンズが邪魔をしてカメラ内蔵のストロボ光が冬虫夏草に届かない。そこで超小型のサンパックPF20XDストロボ1灯を改造拡散板(半透明のフイルムケースを半分に切りストロボ発光窓にテープで貼り付ける)で光を柔らかくする。

3秒の露光中に手持ちストロボのテストボタンを押し、左から1回、右から1回の合計2回発光させ光のコントロールを行う。

このように露光時間3秒あれば外部ストロボを福数回発光可能となる。従って動かない被写体の場合、手持ちストロボはあらゆる角度から福数回の発光が可能となるのである。

【カメラ設定】
露出設定マニュアル、シャッタースピード3秒,絞りF11、ISO 200

【使用機材】
デジタル一眼レフカメラ、8ミリ魚眼レンズ+1.5Xテレコン、カメラの座布団(地面に敷きその上にカメラを置いて角度を自由に固定するためのお手製座布団、中身は小豆を入れています)、サンパックPF20XDストロボ1灯、園芸用スコップ。

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TSUGIO NISHIMURA/西村次雄
写真家

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